「な、何だ貴様等は!!」
「寝てろボケ」
「な…ほがぁっ!?」
四人が研究施設に突入してから数十分。
警備員の顔面に膝蹴りを炸裂させ、昏倒させるガルム。その後方ではロキが別の警備員を手刀で気絶させている。
「ディアーリーズ、そっちはどうだ?」
「こっちも全員倒しました!」
ディアーリーズも、向かって来た警備員達を全員倒したようだ。その後方には、彼によって倒された警備員達が山のように積まれている。
「終わったのならさっさと進みましょう。システムはいくらかダウン出来たものの、奴等の事です。既に私達の侵入には気付いてるでしょうね」
「いや、お前も少しは働けっての」
「私はあくまで、データ収集に徹したいので」
「お前なぁ…」
竜神丸の変わらない態度に、ガルムは呆れつつもビームライフルにエネルギーを充填する。
「…さて。ロキさん、ディアーリーズさん」
「「!」」
「施設内の構造は大体把握しました。二人のデバイスに、データを送っておきます」
竜神丸がタブレットを操作し、ロキとディアーリーズの持つデバイスに施設内部のデータが送られる。
「んじゃまぁ取り敢えず、ここからは二手に別れるとしましょうかね。道も二つ分かれてる事だし」
「俺はディアーリーズと一緒に、子供達の捕らえられているフロアまで向かう。ガルムと竜神丸は二人で先に進んでくれ」
「了解しました」
「んじゃ、そっちは頼むぜ」
ガルムと竜神丸は二人で先に進み、残ったロキとディアーリーズはもう片方の通路を見据える。
「うし、俺達も行くぞディアーリーズ」
「はい!」
「班長、侵入者が!!」
「侵入者だと!? 警備の連中はどうした!!」
「警備隊、全滅です…!!」
「な、何だと!?」
現在、施設内は慌しくなっていた。突然侵入者が現れたかと思えば施設内で暴れ始め、警備員はあっという間に全滅。この緊急事態に、技術班班長は思わず歯軋りする。
「おのれ……No.88とNo.91を迎撃に回し、仕留めさせろ!! 絶対にここへ近付けさせるな!!」
「は、はい!!」
(まだ手札はある……精々足掻け、侵入者共め…!!)
クククと下卑た笑みを浮かべつつ、班長はモニターに映っているロキ達を睨み付ける。
「最奥部はこの先か?」
「はい、もう少しで辿り着きます」
襲い来る警備隊はガルムが薙ぎ倒し、発動するレーザートラップは竜神丸が破壊して突破、二人は技術班のいる最奥部まで後少しの距離を駆け抜けていた。
その時、タブレットでフロア構造を見ていた竜神丸は何かに気付く。
「…ッ!? ガルムさん!!」
「ん……ぬぉあ!?」
前方から一発の光線が放たれ、二人は素早く回避して立ち止まる。
「ヘヘヘ……餌がノコノコと現れてくれたな…」
「「!?」」
通路先の暗闇から、一人の男が姿を現す。両腕両足、ボディ全体に機械のアーマーを取り付けられた金髪の男だった。
「…あなたは?」
「あぁん? この俺が、何でお前等なんぞに名乗らなきゃなんねぇんだよ……と言いたいところだが、特別に名乗ってやらん事もねぇぜ」
男は右腕のアーマーから仕込み刃を、左腕のアーマーからビームライフルを出現させる。
「ここでは一応、No.88って名前になってる。よろしくなぁ」
「No.88…!?」
「…実験体、という事ですか」
「まぁそういうこったなぁ。そんな訳で…」
ビームライフルの銃口が、ガルムと竜神丸に向けられる。
「絶望しながら死んでいけや……檻の中に迷い込んだ、哀れな小ネズミさん達よぉっ!!!」
「「…ッ!!」」
戦いの火蓋は、切って落とされた。
一方、ロキとディアーリーズは…
-ズガァンッ!!-
「ここか!?」
「はい、間違いありません!!」
入り口を破壊し、二人は牢獄フロアに到着した。牢獄には10代に満たないような子供達が、実験用として収監されていた。
「だ、れ…?」
「お兄ちゃん達、誰…?」
「大丈夫ですよ。すぐにここから出してあげますから」
ディアーリーズが牢屋を破壊し、中にいる子供達を助け出す。
「ディアーリーズ、どうだ?」
「心身共に、だいぶ衰弱してます。早く地上まで運びましょう!」
「と言っても、結構な人数だな。こりゃアン娘さん達に応援頼んだ方が良さそうだな」
ロキはユーズを通じて、現在
そう……通信に集中していた為、彼はすぐには気付けなかった。
全身にアーマーを装備した少女が、真上からロキ目掛けて斬りかかろうとしていた事に。
「侵入者発見……ターゲット、二名…」
「!! 何だ…うぉわっ!?」
寸でのところで殺気に気付いたロキがユーズを振るうのと、少女がブレードで斬りかかるのはほぼ同時だった。互いの武器がぶつかり合い、パワー差で僅かに上回っていた少女がロキを壁まで吹っ飛ばす。
「え、ロキさ…」
「No.91、戦闘を開始します…」
「な!? くぅ…!!」
ロキを吹っ飛ばした少女―――No.91は左腕に装備された光線銃をディアーリーズに向け、ビームを連射。ディアーリーズは素早くしゃがんで回避し、レオーネを刀剣状態にしたままNo.91に接近。ブレードを構えた彼女と猛スピードで斬り結ぶ。
(後ろには子供達がいる……巻き込む訳にはいかない…!!)
互角の剣捌きを見せる二人だったが、次第にディアーリーズの方が押され始める。しかし後方には子供達がいる為、あまり後ろには引き下がれない状況だ。
(せめて、一旦横に引いて態勢を立て直して…!!)
『こんにちはウルさん、また来てくれたんですね!』
「…ッ!?」
現在対峙しているNo.91と、金髪の少女の姿が重なって映る。
(今のは一体…)
「だらっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「ッ!!」
そんな時、突撃してきたロキがNo.91の横腹に蹴りを加えた。No.91は吹っ飛ばされ、壁に突っ込んでそのまま瓦礫の中に埋もれる。
「ディアーリーズ、大丈夫か!!」
「あ、はい!! 子供達も無事です!!」
ディアーリーズは被害が及ばないよう、子供達のいる牢屋に結界を貼る。
「お兄、ちゃん…?」
「…少しだけ待ってて下さい。大丈夫です、すぐ戻って来ますから」
笑顔を見せる事で子供達を安心させてから、ディアーリーズはロキの下まで駆け付ける。
「子供達は?」
「結界を貼りました。これで何とか、子供達が巻き込まれる事はありません」
「だが、衰弱している事も変わらないか。さっき一応、アン娘さん達には通信を入れておいたが…」
-ボゴォンッ!!-
「「!!」」
「損傷率、18%……支障、無し。戦闘を続行します」
瓦礫の中からNo.91が出てきた。装備しているモノアイが赤く光り、二人を見据えながらブレードと光線銃を構える。
「ロキさん、あれは…」
「実験体だろうな。あの子も、ここで造り出されたんだろうよ」
「…やはり、そうですか」
自然と、ディアーリーズのレオーネを握る力が強まる。
「どうするよ? 向こうさん、俺達の事を確実に排除しようとしているんだが…」
「助けます」
堂々と言い切ってから、ディアーリーズは前に出る。
「…おいおいディアーリーズ、分かって言ってるのか? あの子も実験体だが、今は俺達と敵対してる状態なんだ。場合によっては…」
「そんなのは分かっています……だけど、それは彼女を助け出さない理由にはなりません。手の届く距離にいるのにこっちが手を伸ばさなかったら、後で死ぬほど後悔する事になる。だから手を伸ばすんです」
「ディアーリーズ…」
「少しでも可能性があるのなら、僕はそれに賭けてみたい……掴める距離にあるのなら、僕はこの手で掴んでみせます…!!」
「…あぁそうかよ」
ロキは彼の台詞に若さを感じつつも、小さく笑みを浮かべる。
「子供達の事だってあるんだ。アン娘さん達に応援を頼んだとはいえ、いつまでも時間をかけて余計に衰弱させる訳にはいかない」
ユーズを構え、ロキがディアーリーズの横に並ぶ。
「やれる所まで手伝ってやる。お前のその手で、あの子の手も掴んでやれ!!!」
「はいっ!!!」
「目標二名、戦闘意志ありと判断……速やかに排除します」
ロキとディアーリーズはその場から駆け出し、No.91はそんな二人を排除すべく迎え撃つのだった。
場所は変わり、旅団アジト
「さて、ロキ達の方から応援を頼まれた訳なんだが…」
Unknownは横にいる人物をチラッと見る。
「…お前達、大丈夫なのか?」
「あ、あぁ、何とか……大丈夫、だ…」
「うぅ~…殴られた頭がぁ~…まだ痛いぃ~…」
「全然大丈夫じゃないだろお前等!!」
「休め!! お前等は目一杯休んでくれ、お願いだから!!」
松葉杖を使いながら、フラフラしている支配人。ZEROに殴られた後頭部を押さえているげんぶ。明らかにコンディションは大丈夫とは言えない状態だったのだ。awsと二百式が突っ込みを入れるが、それも無理は無いだろう。
(これも全てZEROが原因か……全く、いつになっても迷惑な奴だな)
二人がこうなったのには、両方共ZEROが関係している。ZEROが料理を喰らい続けた事で支配人が過労で倒れ、げんぶは食事の邪魔という形でZEROによって理不尽な仕打ちを受けた。同じ旅団メンバーにとっては非常に迷惑な話である。
「お困りかね、Unknownや」
「ん、kaitoか…」
Unknown達の下に、kaitoがひょっこり顔を見せる。
「こんな時こそ、自分に任せたまえよ!」
「…任せて大丈夫なんだろうな?」
「ありゃ、ひょっとして疑っちゃってる? 大丈夫だって、今回は普通に良いのが作れたから」
kaitoは懐から一本のドリンクを取り出す。
「こいつさえ飲めば、あっという間に復活して元気モリモリだよ~ん? という訳で、大人しく飲んでくれたまえ君達」
「「え、ちょ、ングググググ…」」
否応言わせる事なく、kaitoは支配人とげんぶに無理やりドリンクを飲ませた。
それから数秒後…
「ふっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!!」
「漲ってきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
支配人とげんぶは無事に回復。先程までと違い、元気いっぱいに動き回る。
「…凄まじい効果だな」
「でしょ~?」
「だがまぁ良い、これで心配は無くなった……二人共」
「「ん?」」
「これからロキ達の所へ助っ人に向かう。問題は無いな?」
「「もちろんだとも!!」」
Unknownの問いかけに二人は元気良く返事を返し、ロキ達の応援に向かう事になるのだった。
三人が出てから数分後、kaitoがある事に気付く。
「あ、ヤベェ。これ消費期限切れてたわ」
「えっ」
(…本当に大丈夫なのだろうか)
そう思わずにはいられない二百式だった。
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対決:二人の人形兵器