No.635812

【獣機特警K-9ⅡG】嵐、過ぎ去りてのち…【交流】

古淵工機さん

ちょっとしたほんのりギャグ回。

エルザ:http://www.tinami.com/view/551405
テレジア:http://www.tinami.com/view/617442
フュア:http://www.tinami.com/view/553789

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2013-11-10 16:20:13 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:738   閲覧ユーザー数:702

さて、クリムゾンクロスとの激闘の末、ボディーを破壊され頭部だけになってしまったエルザ。

当初は事件現場近くの修理センターに搬送されたが、その後ラミナ市内中央部にあるロボット管理局直属のセンターに移送されていた。

 

「ふぅ…」

そんなエルザの頭部は病室の中にある検査装置に接続されていて、

遠目に見ると機械の箱の上に彼女の頭がくっついたような格好であった。

その視線の先では、幾多ものマニピュレーターが腕、脚のフレームや動力装置を運んでいて、

エルザ向けの新しいボディーの組み立てが行われていた。

 

「それにしても…頭だけというのも退屈なものだな…」

と、エルザが再びため息をついていると、ふいに病室のドアが開き、今回の『手術』を担当しているテレジア博士が入ってきた。

「エルザさん、お加減はいかが?」

「ご覧の通りだよ博士。首から下はすっかり吹き飛んでしまったからな…まったく動けないと言うのは本当に退屈だな…」

「ふふ、そう言うだろうと思ったわ…どうぞ入って」

と、テレジアが扉の方を向いて声をかけると、彼女の姉であるフュアと、その夫であるヒロキが入ってきた。

「フュア姉さん!それにヒロキまで…」

「事情はテレジア博士とクオンから聞いている…つらかったなエルザ。ま、生きていてくれて何よりだ」

と、フュアはエルザの頭をひと撫でする。

「ははは…全く恥ずかしい限りだよ。仮にもラミナ署の署長である私がこんなザマだ…」

「何を言う。お前は全力をつくして戦ったのだろう?十分立派だよ…さすがは私の妹だ」

と、苦笑いを浮かべるエルザの頭をさらに撫でるフュア。

 

その傍らでヒロキがテレジアに訊ねる。

「博士、それでちょいと相談なんだが、エルザの頭をこっちで預けさせてもらえないか?」

「それは構わないけど…どうする気なの?」

「ウチの店にフュアのスペアボディーがあるんだが、フュアとエルザは同じタイプのロボットだから互換性がある。つまり」

「…エルザの新たなボディーが完成するまでの間、私のスペアボディーを貸してやろうと思ってな」

「なるほど、それは名案だわ。エルザさん、いいお姉さんを持ったわね」

「ああ…すまないな姉さん、こんな事までしてもらって」

「なに、私たちは姉妹だぞ?困ったときはお互い様さ」

かくして『フランバージュ・メカニサポート』に運ばれたエルザ。

「…よし、接続完了だ。あとはシステムの最適化を行うからちょっと動いてみてくれないか」

「わかった。右腕からでいいか?」

「どっからでもいい。とりあえず動かせるだけ動かしてみてくれ。最初はゆっくりと」

ヒロキの指示で、エルザは腕や足を動かしていく。

肘を曲げたり伸ばしたり、上体を起こしてから立ち上がってみたり、そのまま向こうの壁へ向かって歩いてみたり…。

 

「よし。最適化は完了だ。当分はこれで問題ないだろ」

「恩に着るよヒロキ。…しかし姉さん、本当にいいのか?」

「ん?何がだ?」

「いくらスペアとはいえ姉さんの身体なんだろう?そう思うとうかつに傷付けては悪い気がしてな」

「おいおい。本当に堅いなお前は…。確かにそれはもともと私の身体だが、今はお前の身体も同然だ。遠慮せず使ってくれていいんだぞ」

「ありがとう。本当にすまない、私のためにここまで」

「よしてくれ、お前が謝る必要はない。それよりどうだ、使い心地は」

「さっき動いてみてわかったが、違和感はほとんどない。まあ、姉さんと私の基礎設計が同じだから…というのもあるが、稼働環境が似ているのも一因なのかもな」

「そうか…」

と、フュアは間を置いた後、こう切り出した。

「よし。仮復旧とはいえエルザが動けるようになったんだ。今夜はワインでもどうだ?」

「それはいい考えだな。ありがとう姉さん、喜んでいただくよ」

「フュア、あまり飲みすぎんなよ。お前いつもがぶ飲みして酔っ払った挙句オーバーヒートしてぶっ倒れるじゃないか。修理する側のみにもなってくれよな」

「バカにするなヒロキ。そうそう同じ失敗はしないさ」

「どうかな、先月もそう言って飲みすぎてぶっ倒れた気がするんだが…」

「うっ…あ、あれはだな…と、とにかく今日は仮復旧祝いだ!ワイン持ってくるから待ってろ!!」

と、フュアは顔を赤くしたまま慌て半分にキッチンへと向かうのであった…。

 

「…ヒロキ、まさか姉さんって…」

「ああ。ホントはあまり酒に強くないのにムリして強がってるんだ」

「そ、そうだったのか…設計が同じだから私と同じで強いかと思ったが…」

「ま、人間と同じようにロボットにも性格はいろいろだからな…」

と、やや呆れ顔になりながらワインを待つエルザとヒロキなのであった。


 
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