No.634638

恋姫婆娑羅

KGさん

今回、前の話を読んでないとよく分からない感じになっていますのでご注意を・・・

2013-11-06 05:37:09 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3559   閲覧ユーザー数:3260

「背負う者たち」

 

 

 

 

 

 

政宗は華琳に呼び出され玉座の間に来ていた。今日は春蘭と秋蘭が脇に控え何やら、重要な話でもするようだ。

 

「遅いぞ伊達! 華琳様に呼ばれたなら例え就寝中でも駿馬の如く駆けつけろ!」

 

「うるせぇ、春蘭、黙ってろ・・・」

 

「そうだぞ、姉者、華琳様の御前なのだぞ。それに伊達と華琳様の関係を忘れたか?」

 

「む、そうだったな・・・」

 

静かになった春蘭を一瞥しつつ華琳に用件を訊ねる。すると、爽やかな微笑と共に華琳が答えた

 

「政宗、あなたは張三姉妹の事はもちろん知っているわね? 今日からあなたには、彼女たちの仲介役をしてもらいたいの」

 

あからさまに顔を顰める政宗が問う

 

「What's? 仲介役だと・・・つまりはお前とあいつらの橋渡しをしろって事か?」

 

「そうよ、何か問題でも?」

 

「・・・お前がやれば良いだろ? それこそ問題でもあるのか?」

 

政宗の言葉に華琳は事も無さげに返答する

 

「あなたも国主であったなら、分かるでしょう? 私は色々と忙しい身なの、それに彼女たちを御せるのは、恐らく、あなたくらいなものでしょう」

 

呻る政宗。確かに華琳の立場を考えれば、分かることだ。国主というものは、とても忙しいものだ、特に世の情勢が不安定なこの時代は尚更だろう。だが、あの件もあって彼女たちは自分の事をあまり良く思っていないのは明らかだ。なおも考え続ける政宗に華琳が止めの言葉を掛ける

 

「それに、あの件で彼女たちの人生に少なからず影響を与えたのだから、それを見届けるのも、あなたの役目じゃない?」

 

「・・・All right 確かにお前の言葉にも一理ある。この役目、引き受けてやるよ・・・」

 

「ありがとう・・・期待しているわよ」

 

政宗は思う、この華琳という女は人がどうすれば動くかと言う事を熟知している。厄介この上ない女だと

 

「で、あいつらを仲間に引き入れた意味合いだが、あいつらの影響力を利用して、民の士気高揚と国への忠誠を強めるってな所で良いだな?」

 

「流石、私が認めるだけはあるわね・・・その通りよ。彼女らの力は利用しない手はないもの」

 

華琳の言葉にため息が出る。正直、このような事は政宗はあまり好まない手法だ。どちらかと言えば、豊臣の軍師であった竹中半兵衛がよく使う手である。そんな事を考えてしまったからなのかポロリと愚痴が漏れてしまう

 

「やれやれ、正直な話、こんな姑息な手段は嫌いなんだがな・・・」

 

「何だと・・・! 伊達、貴様、華琳様の意向を姑息な手段などと愚弄するか! 取り消せ! さもないと・・・」

 

政宗の呟きが聞こえていた春蘭が激高して剣に手を掛ける。

 

「チッ、全く、忠義と妄信は別モンなんだがな・・・」

 

面倒臭そうに振り向く政宗は春蘭を睨む。

 

「春蘭、剣を納めなさい・・・」

 

「しかし・・・」

 

「二度言わせる気?」

 

華琳が冷静に春蘭を諌める。その後、部下の非礼を政宗に詫び、自らの意見を述べる

 

「あなたの気持ちも分かるわ、だけど、他国との戦いとなれば、国民の意識統制は絶対に必要なの・・・無駄な争いを生まないためにもね・・・」

 

「大陸で独立を保つためには、力がいる。平和を欲するために武力を持つ事は仕方がない事、矛盾しているかもしれないが。そう簡単に割り切れるものでは無いのだ。現実と言うものはな・・・」

 

「うむうむ、華琳様には深謀遠慮があるのだ、それを知っておけよ伊達」

 

三人の、正確には二人の言葉にそんな事は百も承知だと舌打ちをする政宗。これまでも何度も歯噛みしてきた事だ。だが、一度、自らの旗を掲げて、天下泰平を目指した者は、それを背負って立ち続けなければならないのだ。

 

「・・・話は終わったな。俺は行くぜ・・・」

 

そう言って三人に背を向け、玉座の間から出る政宗の背中に華琳が声を掛ける

 

「あなたの手腕、期待しているわよ・・・」

 

その言葉が聞こえたのか、聞こえてないのかは分からないが政宗は足早に出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・と、ここで良いのか?」

 

政宗は三人がよく出入りしていると情報のあった酒屋に来ていた。あの件の以降、彼女たちにはあっていないが個性の塊のような彼女らなら、すぐに見つかるだろう。予測通りに窓側の席で大量の料理を頬張っている三人を見つける。

 

「ちょっと!お姉ちゃん、それちぃの!」

 

「良いでしょー、ちーちゃんが新しいの頼めば解決だよー」

 

「まぁ、良いけど・・・すいませーん、杏仁豆腐、追加ー!」

 

「二人とも太らないようにしてよね・・・」

 

キャッキャッと賑やかに食事をしている彼女たちに近づいていき、声を掛ける

 

「おい、お前ら・・・」

 

「あ、今は私的な時間なので・・・・」

 

「どうしたの?姉さ・・・ん」

 

「あ、あなたは・・・」

 

先程の賑やかさは吹き飛び、怯えたような目で政宗を見てくる三人、それに関しては予想通りと淡々と用件を告げる政宗

 

「Ah~ 俺は曹操からお前らの世話役を任された者だ」

 

「せ、世話役・・・?」

 

「・・・曹操様から?」

 

「そうだ、・・・そういえば名乗ってなかったな、俺は伊達政宗だ。宜しく頼むぜ」

 

いきなりの事に戸惑う三人だったが地和が恐る恐る訊ねる

 

「な、なんで、あんたなのよ・・・私たちの事、嫌いなんじゃ無いの?」

 

「Ah? 嫌いだぁ? 何言ってんだ・・・」

 

「だ、だって・・・。あの時・・・」

 

モゴモゴと口ごもる地和に、ため息を付きつつも政宗は言う

 

「別にあん時の事はてめぇらが嫌いだから、言ったんじゃねぇよ。けじめって言ったろ? あのまま、てめぇらを許してたんじゃ、兵士に示しがつかねェし、何より死んでいった者たちが浮かばれねぇからな・・・。」

 

そう言った政宗に人和が聞く

 

「じゃあ、あなたは私達の事を許してくれるの?」

 

「・・・俺が許す、許さねぇじゃねぇんだ。あの時の事は、お前らが一生かけて背負っていかなきゃならねぇモンを自覚させただけだ・・・。それはもう分かってんだろ?」

 

この言葉に三人が頷くが、天和が不安そうに声を出す

 

「あ、あの、私たちはどうしたら罪を償えるの?」

 

「んなモン、テメェで考えな・・・。まぁ、一つ言えることは死んでいった者たちの分まで必死に生きるこったな・・・」

 

押し黙る三人であったが、政宗は頭をガシガシとかくと、これまでとは打って変わって明るい雰囲気で声を出す。

 

「おいおい、そんな辛気臭い顔はもうやめろ。お前らはこれまで通り、大陸一の歌い手を目指せば良い。俺も世話役として出来る限りの事はしてやる。」

 

この言葉に少しずつ元気を取り戻していく三姉妹を満足気に見つめる政宗。そして、地和が何か思いついたように言う

 

「そうだ、私たちの事は真名で呼んでよ」

 

「・・・何?」

 

「そうだねー。この人にだったら真名で呼ばれても良いよ」

 

「おいおい・・・」

 

「そのかわり、私たちの行く末、ちゃんと見届けてくれる?」

 

「Ah~ そういう事か・・・分かった。お前らの行く末・・・この独眼竜が見届けるぜ」

 

こうして、真名を授かった政宗は、彼女たちの世話役としての仕事が始まったのであった。

 

「ああ、そうだ・・・ここの支払いは俺がしてやるから好きなだけ食えよ」

 

「えっ! 良いの?」

 

「本当ー?やったー♪」

 

「お近づきの印って奴だ・・・遠慮すんなよ」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

 

この後、政宗の予想以上に食べた三姉妹のおかげで、政宗の財布がかなり寂しくなってしまったのは内緒の事である。

 

 

 

 

 

 

 

はい、今回、前の話を見てないとよく分からない話になってしまいましたが、どうだったでしょうか?

 

あの件から、張三姉妹と政宗は疎遠にしようとも思いましたが、絡みが思いついてしまったのでこのような形になりました。

 

 

それでは、ここまで読んでくださった方には最大級の感謝を・・ではまた!

 

 

 

 


 
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