No.631974

恋姫婆娑羅

KGさん

今確認したら、この作品を見てくれている人が結構多くなっていて、嬉しい反面、少し緊張しているKGです。

やっぱりどちらも人気の作品だから人も集まるんでしょうね。気を引き締めて頑張ります

2013-10-28 03:03:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4040   閲覧ユーザー数:3661

「Are you ready?」

 

 

 

 

 

 

 

旭日が登り空も黒から青に変わる、そんな荒野を疾走する大部隊がいた。

 

 

「Are you ready guys?」

 

「「「「「「「「YHEEEEEEEEEEEEッ!!」」」」」」」」」

 

「Put the guns on!」

 

「「「「「「「「YHEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEッ!!!!」」」」」」」」

 

「Got it 良いか、おめぇら久々のpartyだ盛り上がっていけよッ!」

 

「「「「「「「「YHEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEッ!!!!」」」」」」」」

 

「そうだッ!!急げ! 急いで先遣隊に合流するぞ」

 

もはや、疾走どころの話ではない、爆走、もしくは暴走である。

 

「政宗ッ!春蘭ッ!そんなに急いだら戦う前に疲れてしまうでしょうッ!!」

 

そんな、暴走族と化している二人を割と本気で叱る華琳

 

「何言ってやがる!このくらいでへばる様な訓練をしてねぇんだ!こっちはよ!」

 

ぶっんで往きます! ヒャッハー! 馬で俺らに敵うわけねぇぜ! そんな声があちこちから聞こえる。思わず頭を抱えたくなってくる華琳に桂花が報告する

 

「華琳様、秋蘭より報告の早馬が届きました・・」

 

良いタイミングで来た桂花に心から感謝し報告を促す

 

「敵部隊と接触したようです。張角らしき存在は確認されていませんが、予想通り敵は組織化されており、並の盗賊より手ごわいだろうとのこと・・・くれぐれも余力を残して接敵してほしいと・・・」

 

「数は?」

 

「夜間のため詳細は不明、しかし、先遣隊よりは明らかに数が多いため、うかつに攻撃せず、街の防衛に徹するとのことです」

 

華琳は秋蘭の作戦を評価する、やはり、彼女をついて行かせたのは正解だった。後は余力を残すためにあの珍走団を大人しくさせなければならない。

 

「政宗?聞いていたでしょ、あなた達は良くても私達が困るのよ。今回は抑えて貰えるかしら・・・?」

 

「やれやれ、Troublesomeな連中だな・・・」

 

文句を言いつつも速度を落とす。ようやく聞き入れた政宗に安堵しつつ、思考は張角について考え始める。

 

「張角本人は指揮を執ってるかと、期待したけれど・・・やはり、他の指揮官がいるのね。張角の才覚、侮れないわ・・」

 

「そうだな、それだけの人間をも惹きつける、何かがあるんだろう」

 

「そうね。恐らく張角はその能力が極端に高いのでしょう。それが暴走しているのか、はたまた野心に向かっているのか・・・どちらにせよ、面白い相手であることには違いはないわ」

 

小十郎の言葉に肯定しつつ張角という人物への興味を隠す気もない華琳に呆れる春蘭

 

「また悪い癖が・・・よもや、張角たちを部下にしたいと言うのではないでしょうね、華琳様?」

 

「それは張角の人となり次第。利用価値の無い相手なら、舞台から消えてもらうだけよ」

 

春蘭の懸念に薄ら寒いセリフを持って返していると、慌てたように一人の兵士が飛び込んできた。

 

「曹操様ッ、曹操様はおられますかッ!?」

 

「どうしたッ!」

 

その兵士は先遣隊の者だった。矢継ぎ早に要件を報告する。

 

「はっ!許緒先遣隊、敵軍と接敵!戦闘に突入しました!」

 

「状況は?」

 

「数と勢いに押され、お味方に不利、街に立て籠もり防御に徹していますが、戦況は芳しくありません!至急増援を求むとのこと!」

 

「秋蘭のことだから、苦戦すると読んで、あらかじめ使いを出したのでしょう」

 

「恐らく、今は長曾我部殿がなんとか戦線を維持されていることでしょう・・・」

 

「分かりました・・・総員ッ!全速前進!追いつけない者は置いていくわよッ!!」

 

「全員ッ!!駆け足!駆け足ッ!!」

 

「Inclease the speed! 一気にいくぜ!」

 

先程の兵士に殿を任せて華琳ら一軍は一気の速度を上げて目的地を目指すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋蘭様っ! 西側の大通り、三つ目の防柵まで破られました!」

 

「うむ、防柵は後二つか。どのくらい持ちそうだ? 李典」

 

先遣隊としてこの戦場を指揮する季衣と秋蘭は、この大幅不利の状況で未だ諦めることなく抵抗を続けていた。

 

「せやなぁ・・・応急で作ったもんやし、あと一刻保つかどうかって所やんなぁ・・・」

 

李典と呼ばれた少女は鎮痛な面持ちでそう話す。良く見るとこの少女、前に街で竹かごを売っていた少女だ。

 

「・・・微妙な所だな、姉者達が間に合えば良いのだが・・」

 

「しかし、夏侯淵様がいなければ、我々だけではここまで耐えることは出来ませんでした。ありがとうございます。」

 

「それは、我々も同じ事。貴公ら義勇軍がいなければ、連中の数に押され敗走していたことだろう。」

 

そう、彼女らが諦めず抵抗し続けていられた理由の一つは、この義勇軍の存在であった。この真面目な少女は楽進と言い義勇軍を率いていた少女である。

 

「いえ、それも、夏侯淵様の指揮があってのこと。いざとなれば、後のことはお任せします。自分が討って出て・・・」

 

「そんなのダメだよッ!!」

 

「・・・・・ッ!!」

 

楽進の突攻発言に季衣が声を荒げる。

 

「そういう考えじゃだめだよ、今日は絶対に春蘭様達が助けに来てくれるんだから。最後まで諦めないで守りきらないと」

 

季衣の言葉に李典も同意する。

 

「せやせや、突っ込んで犬死しても、誰も褒めてくれへんよ」

 

「うむむ・・・」

 

「今日の百人の民を助けるために死んじゃったら、その先で助けられる何万の民を見殺しにすることになるんだよ・・。それにボク達は一人じゃない、きっと絶対に助けがくるよ!」

 

「・・・肝に銘じておきます」

 

季衣の様子についつい頬が緩んでしまう秋蘭、そんな様子に季衣が訊ねる

 

「何が、可笑しいんですか?秋蘭様?」

 

「いや、昨日あれだけ姉者や長曾我部に叱られていたお前が、一人前に諭しているのが、おかしくてな・・」

 

「うう、ひどーい」

 

戦場に似つかわしくない微笑ましい光景も、飛び込んできた少女の報告ですぐに霧散する。

 

「夏侯淵様ー!東側の兵隊を西側に回してくれっていわれたのー」

 

飛び込んで来た少女は于禁という、李典や楽進と共に義勇軍を率いていた者の一人だ。そんな彼女の要請に李典が目を丸くして聞く

 

「何をいってんねん!東側は材料足りなくて防柵をまともに作れなかったんよ?そないな事したらすぐに・・・」

 

「・・・・それは、長曾我部の指示か?」

 

「は、はい!そうですの、あのお兄さんが、ここは自分一人でなんとかなるから西に人を回せって・・」

 

秋蘭は納得して、すぐにそのように指示を出す、しかし季衣や李典、楽進は本当に大丈夫なのかと不安な面持ちだ。

 

「・・・なんだ?その顔は・・・」

 

「だって、秋蘭様・・・いくらチカ兄ちゃんでも・・・」

 

「そうやで・・・あの兄ちゃんがどれだけ強くてもやなぁ・・・」

 

「安心しろ、長曾我部が大丈夫と言ってるんだ。本当に大丈夫なのだろう・・・それに季衣よ、あの男を疑うのか?」

 

「そんな事は絶対ありえないよッ!チカ兄ちゃんは一度だってボクに嘘ついた事無かったもん!」

 

秋蘭は少し意地悪なやり方かなと思ったが季衣が納得したようなので良しとする、しかし、李典や楽進はまだ納得できないようだ。

 

「何の根拠で言っとるんや・・・あの兄ちゃんが死んでもええん・・・」

 

「夏侯淵様、お言葉ですが、流石に一人では・・・・」

 

二人が異議を唱えようと言葉を紡いだ所で東側から爆音と火柱が上がり、何かが天高く舞い上がっている。目を凝らして見れば、あれは人間だ・・・驚愕の光景に二人は黙るしかない。

 

「あれを見ても、まだ異論があるか・・・?」

 

ブンブンと首を横に振る二人、あれを見たらもはや文句の一つも出ない。

 

「報告なの!街の外に大部隊なの、まだ旗印は確認してないけど、やたらと派手な格好でこっちに向かってくるって・・・」

 

「まさか・・・敵の増援か?」

 

「万事休すやな・・・」

 

「いや、恐らくそれらは味方であろう・・・ほら、我が軍の銅鑼の音が聞こえてきた。」

 

「間に合ったんですね!秋蘭?」

 

「そうだな、総員ッ!矢を持て!外の仲間と連携する!」

 

秋蘭の言葉に兵たちは慌ただしく動いていく、しかし、彼らの表情には、先程までの絶望ではなく希望の光に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鳴らせ!鳴らせ!鳴らしまくれ!街にいる秋蘭たちに、我らの到着を知らせるのだ!」

 

春蘭の号令で銅鑼の音が響きわたる。

 

「敵数の報告入りました!敵およそ三千、我ら本隊の敵ではありません!」

 

桂花が伝える。それを聞いた政宗が華琳に大声で告げる。

 

「おいッ華琳!お前は本隊を連れて街の連中と合流しろ。俺と小十郎は西側から回る!」

 

「分かったわ!そちらは任せる!」

 

華琳と別れた政宗は敵の一団に向け突っ込んでいく、本隊が無事に街に入れるようにするためにも、ここは派手に暴れなければならない。

 

「Are you ready guys?」

 

「「「「「「「「YHEEEEEEEEEEEEE!!」」」」」」」」

 

「Let's get serious! Come on!」

 

今、黄巾の前に青い竜が舞い降りた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋蘭、季衣!無事か?」

 

「ああ、おかげさまでな・・」

 

「春蘭様ー!助かりました!」

 

街に入り開口一番に二人の安否を確認する春蘭、よほど心配だったのであろう。先ほどの鬼気迫る表情が大分崩れている。

 

「無事で良かったわ、二人とも、損害は・・・思っていたよりも少ないわね」

 

「はっ、彼女らや長曾我部のおかげで被害は最小限で済みました。街の住人も皆無事です」

 

少し遅れてやってきた華琳も同じく二人の無事を祝い、周りの少女たちの説明を求める。

 

「我らは大梁義勇軍。黄巾党の暴乱に抵抗するため、こうして兵を挙げたのですが・・・黄巾の賊がまさかあれだけの規模になるとは思わず、こうして夏侯淵様に助けて頂いている次第・・」

 

「そう、己の実力「を見誤ったことはともかくとして、街を守りたいというその心がけは大したものだわ」

 

「面目次第もございません」

 

華琳の言葉に楽進は素直に反省する。

 

「とはいえ、あなた達のおかげで、私は大切な将を失わずに済んだ。秋蘭や季衣を助けてくれてありがとう」

 

「はっ」

 

華琳の礼に楽進は恭しく答えた。それから、季衣より彼女らを仲間にしてもらえないかとの提案が出される。

 

「ふむ・・・義勇軍が私の指揮下に入るということ?」

 

「聞けば曹操様もこの国の未来を憂いておられるとの事。一臂の力ではありますが、その大業にぜひとも我々もお加えくださいますよう・・」

 

「そちらの二人はどうなの?」

 

楽進だけでなく、李典と于禁にも意見を求める。

 

「ウチもええよ。陳留の州牧さまの噂は聞いてるし、そのお方が大陸を治めるなら、今より平和になるんやろし・・・」

 

「凪ちゃんと真桜ちゃんが決めたなら、私もそれで良いのー」

 

かなり、軽い感じで提案を受け入れる気の二人であった。そんな彼女らの能力を秋蘭に問う。

 

「はっ、一晩ともに戦っておりましたが、皆鍛えれば一廉の将になる器かと・・」

 

「そう・・・良いでしょう。三人とも名前を教えなさい」

 

三人を仲間にすることを決めた華琳は名を聞く。

 

「楽進と申します。真名は凪・・・この命、曹操様のために・・」

 

「李典や、真名の真桜で読んでくれてええで、以後よろしゅう」

 

「于禁なのー、真名は沙和なのー、よろしくお願いしますなのー♪」

 

彼女らの真名を噛み締めるように呟く華琳だったが、西からは爆音と火柱、東からは轟音と雷光が轟いたことで、せっかくの余韻も台無しだった。

 

 

 

 

 

 

 

はい、今回で新たに三人の仲間が増えて大分賑やかになってきましたね・・・

 

 

それでは、ここまで読んで下さった方には最大級の感謝を・・・

 

 

 

 

 

 


 
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