No.62589

れんふぁハラスメント

皆さんお久しぶりです。だいぶ間の空いた掲載になりました。

今回ガンガンのギャグです。しかも相当 危ない橋を渡ってます。
キャラ壊れ注意です、しかも公序良俗に反するかもしれません。
怒られないかドキドキです。

続きを表示

2009-03-10 21:15:50 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:15454   閲覧ユーザー数:11378

 今日は蓮華の召集で、腹心の部下たちが集合していた。

 甘寧、周泰、呂蒙。

 皆等しく、孫呉を支える若き勇将たちである。

 

「……蓮華様、この急な お呼び出し、何事でありましょう?」

 

 一同の中で もっとも蓮華との付き合いが古い甘寧=思春が、代表して尋ねる。

 今は、大規模な軍事行動の計画もなく、敵国の侵入や自然災害などアクシデントの報告もない。呉国の そうそうたる面子が雁首揃える理由が思い当たらないのだが。

 

(…ねえねえ亞莎、亞莎は何か心当たりある?)

 

(いいえ、私にもさっぱり。冥琳様も何も言っていませんでしたし…)

 

 後ろで周泰=明命、呂蒙=亞莎が小声で話し合うが、やはり自分らが何故呼ばれたのか原因は定まらない。

 そんな家臣たちの戸惑いを一身に受け、蓮華は思いつめた表情で口を開いた。

 

「…皆に聞いてほしいことがあるの」

 

 その思い口調に全員が息を呑む。

 

 

「……先日、一刀と一緒に街へ行ったのだけれど…………」

 

 

 全員一斉に叫ぶ。

 

「ノロケですか蓮華さま!」

「帰っていいですか蓮華様!」

「この甘興覇…、蓮華様のご命令とあれば、耳から煮汁がこぼれるような惚気話すら耐えて拝聴する所存……!」

 

「違うわよ!いいから最後まで聞きなさい!」

 

 蓮華は顔を真っ赤にして家臣たちを抑える。

 彼女が語るところは、要約すれば以下の通りだった。

 ―――街の視察という名目で二人きりのデートを楽しむ蓮華と一刀………。

 

「ホラやっぱりノロケじゃないですか蓮華さま!」

「本当に帰っていいですか蓮華様!」

 

「だから最後まで聞きなさいってば!」

 

 で、

 街中でデートを楽しんでいた二人は、とある闖入者と遭遇した。

 赤ん坊を抱えた年若い母親で、少しの間 赤ん坊を預かってほしいと言うのだ。

 

「知ってます!それで赤ちゃんを受け取ったら、ドンドン重くなるんですよね!」

「そして最後まで落とさなかったら、赤ちゃんが黄金に変わるんだとか…」

「待て、私の聞いた話では、渡された直後に牛鬼が襲い掛かってくるというぞ」

 

 孫呉の名将たちは日本の妖怪話に詳しい。

 

「違うわよ!相手はちゃんとした人間だったわよ!いいからもう茶々を入れないで!」

 

 勿論 街中で出会ったのは産女や濡れ女のたぐいではなく、フツーの人間の母親だった。

 彼女が言うに、彼女は二人の子供を連れて街にやってきたのだが、兄の方が駆け回って迷子になってしまったため、その子を探す間、まだ赤子の弟の方を預かって欲しいとのこと。

 

 お人好しの一刀は二つ返事で引き受けた。

 

 蓮華は最初、デートを中断されて ちょっぴりガッカリだったが、一刀の腕にあやされる赤ん坊の無垢さに癒されて、いつしか場はなごんでしまう。

 その矢先、更なる事件がひき起こった。

 赤ん坊が突如 泣き出したのだ。

 別に乱暴に扱った覚えもなく、原因不明のおかんむりに蓮華は戸惑うばかり。

 何が悪かったの?

 どうすればいいの?

 いつも戦場で的確な指示を出す蓮華は すっかり混乱してしまうが、対照的に一刀は落ち着き払って、

 

 ―――これは、おもらしだなー。

 

 と言うや否や、母親から一緒に預かっていた子守セットから替えのオムツを取り出し、テキパキと付け替えてしまったのである。

 赤ちゃん笑顔、蓮華は呆然。

 なんでそんなに手際がいいの?と蓮華が驚き半分に尋ねると、

 

 ―――前に親戚の お姉さんが子供産んだことがあってさ。そのときに よく世話をやらされたんだよなー。

 と答えたのだった。

 その後、迷子になった お兄ちゃんを無事確保できた母親は、弟になる赤ん坊を受け取り、礼を言いつつ去って行きましたとさ。

 

「…………で、それがどうしたのですか、蓮華様?」

 

 そこまで聞いても、蓮華が何を言いたいのか思春たちにはサッパリわからない。

 

「……明命、思春、亞莎」

 

「は、はい」「なんでしょう」「はひ」

 

「皆も知ってる通り、一刀は、孫家に天人の血を加えるために迎え入れられたの。……つまり私やアナタたちは、いずれ一刀の子を授かることになる」

 

「た、たしかに そうなりますが…」

 

「あの時 私は、泣きじゃくる赤子を前に何もできずに、ただオロオロするばかりだった。もしこのまま一刀との間に、その、子を授かっても、今のように何も知らないままでは、今度は自分の子を前にオロオロするという醜態をさらすことになりかねない…」

 

「え、私ですか?(明命)」

 

「違うわよ!醜態よ、アナタは周泰でしょ!」

 

「蓮華様の仰りたいことは承知しましたが、そう気にすることはないのでは?蓮華様は呉の王であらせられる、その御子の世話となれば、侍女や乳母に一任しておけば問題はないでしょう」

 

 実際 先代孫堅だって、雪蓮や蓮華や小蓮を育てた時は そうしたんじゃないだろうか?

 

「普通なら そうよ。でも、一刀が父親となれば『そんなこと他人任せにできるかァー!』とか言いそうじゃない?」

 

「なるほど、たしかに言いそうですね」

 

「というわけで私は、将来 一刀の子を授かる前に、赤ちゃんの扱い方を一通り覚えておくべきだと結論を出したの。そこで、同じ問題を抱えるアナタたちと一緒に知恵を出し合おうと……」

 

「お待ちください蓮華様!それはどういう意味ですかッ?」

 

 思わず声を荒げる思春。

 

「なるほど、そうなる原因は私たちのお腹の中でタプタプしてますからねえ……」

 

「亞莎!やめんか そのあられもない物言いはッ!」

 

「あうあう、私、赤ちゃんの あやし方なんて習ったことないですぅ!」

 

「そうね明命、でも私たちは、これからそれを学ばなければならないわ」

 

 蓮華が決然と言った。

 

 

「これから生まれる一刀と私たちの赤ちゃんを、私たちの手で慈しむ作法を……!」

 

 

「……蓮華様、何故そんな照れながらも嬉しそうなのですか?」

 

「ほら、アレですよ。年頃の女の子が、好きな男の子と自分の子供の名前を考えるだけで楽しめるような……」

 

「違うわよ!…私は、ただ真剣に これからのことを………ッ!」

 

 それはいいとして、具体的な育児法を習うには どうすればいいだろう?

 

「はいはい!それなら私が よく知ってます!」

 

 亞莎が勢いよく手を上げた。

 

「そうなの?亞莎?」

 

「はい!私の家は子沢山だったので、よく弟や妹の世話を任されました!」

 

 あー、なんかそんなイメージする。

 

「では、基本方針は決定だな。亞莎を教師役として我々が それを学ぶ、これで問題はあるまい」

 

「あうあう、思春殿が けっこー意欲的です!」

 

「勘違いするな、私はあくまで蓮華様の意向に沿うだけだ」

 

「そ、そうね、…じゃあ亞莎、私たちに色々教えてくれる?」

 

「了解です、この呂蒙におまかせあれ!」

 

 ……と、いうわけで。

 ここに呂蒙子明を教師役とする、新米お母さん(予定)たちの子育て講座in呉が始まった。

 

 講義に参加するのは蓮華、思春、明命の、呉軍では比較的 年若い三人。

 他の祭や冥琳などは参加しなくても、年の分だけ経験が多いから ちゃんとお母さんやれるだろう、きっと。

 ……ごめんウソ、お二人は まだ若いです。

 

「えぇと……、では、何から教えて差し上げればいいでしょうか?」

 

 普段教えてもらう方に回ることの多い亞莎が、慣れない教師役にオドオドする。

 それを受けて、蓮華が、

 

「そうね…、やっぱり先日あったことだし、オムツの替え方がいいかしら」

 

「了解です、では……、そうですね、実際にやってみたいんですが……」

 

「実際にやってみる?」

 

「ええ、口で言うだけでは なかなか伝わりませんし。実演するのを見ていただく方が理解も早いと思うんです…」

 

「それはたしかに一理あるけれど、それにはやっぱり実物の赤ちゃんが必要になるわよね……」

 

 蓮華たちは困ってしまった。こんなとき協力してもらえそうな赤ん坊に心当たりなどあるわけがない。

 人形で代用するか?しかしオムツ替えの実験台に使うには、リボルテックみたいな関節稼動する人形じゃなくてはなるまい。古代中国にそんな技術はあるはずもなく………。

 

「そうなれば……」

 

「実際の人間で代役を立てるしかありませんな、連華様」

 

 全員の視線が、はからずも一点に集中する。

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……はうあっ?なんですか皆さんッ?」

 

 明命は自身が注目の的となっていることにビビッた。

 

「イヤなんですか この注目は。……まさか!私に赤ちゃん役をやれとッ?何故ッ?何故そんな躊躇なく私なんですかッ?」

 

「いやだって、お前この中で一番……」

 

「チビだからですか!一番小っちゃいから赤ちゃん役にピッタリだとでもッ?イヤですよ、そんな理由 二重にゴメン蒙ります!」

 

「明命、世の中には自分の意志ではどうにもできないことがあって、自分の身長の高さ低さも その中に入るのよ。だから、アナタに必要なのは そのことを前向きに捉えて、むしろ有効に活用することだと思うの」

 

「そんな子供に諭すように優しく説得するの やめてください!私ヤですから、絶対イヤですからね!」

 

 明命がヘソを曲げてしまわれた。

 他三人は、この事態に対し作戦会議を開く。

 

「…かように明命がワガママを申していますが、いかがいたしましょう蓮華様。お許しいただければ この甘興覇、明命に教育を施し、御下知に従うよう修正いたしますが」

 

 なんか怖いこと言ってるッ!と明命。

 

「いいわ思春、たしかに これは一方的だと思うもの。やっぱり赤ちゃん役を選ぶにも、全員の中から公正に選び出すべきだと思うの」

 

「わ、私もですか?教師役なのに?」

 

「こういうのは平等さが大事よ。なので、うらみっこなしで赤ちゃん役を選抜できる よい方法はないかしら?」

 

「はーいっ!それなら この明命が知ってます!“じゃんけん”を使うんですッ!」

 

「コラッ、いきなり入ってきて……!」

 

「じゃんけん?それは何?」

 

「こないだ、最後に残った お饅頭を奪い合いになった時に、一刀さまから教えてもらったのです!どういうものかというとですね………」

 

 明命、じゃんけんを説明中………。

「………なるほど、合図で一斉に出す三つの手の形、どれもが必ず どれかに負ける、さすれば勝負は完全に偶然性にゆだねられるというわけか」

 

「なかなか いい方法ね、ではその“じゃんけん”で赤ちゃん役を決めましょう、負けた者が役を引き受けるということで……」

 

「異存ないです!では、この明命の掛け声で始めますよ!」

 

 ジャポニカじゃーんけーん、ジャポニカ―――――、

 

 四人が一斉に拳を振り下ろす。

 

「―――やったです!パーで勝ったらパラダイスです!」

 

「なんなの その掛け声は?」

 

「勝った時は、手の形に合わせて そう絶叫するものだと一刀さまから教わったのです!ジャポニカ学習馬超です!」

 

「学習馬超ッ?」

 

「まあいいわ、とにかく明命は一抜けということで、勝負を続けるわよ」

 

 最後の敗者が決まるまで じゃんけんは続く。

 ジャポニカじゃーんけーん、ジャポニカ―――――、

 

「やたっ、チョキで勝ったら馬超ラッキー!」

 

 何故 呉陣営の彼女らは、さっきから やたらと馬超に拘っているんだろう。

 ともかく二回戦は亞莎の勝利で決まった。

 残されたのは蓮華、思春の主従二人。

 

 ジャポニカじゃーんけーん、ジャポニカ―――――、

 

「……ぐ、グーで勝ったら気分は………!」

 

 全然Goodじゃねーよ、という思春の口調だった。

 最後まで残ってしまったのは、チョキを出してしまった蓮華。

 

「あ……、う……」

 

 真っ赤な顔で呆然とする蓮華に、思春は俄かに土下座して、

 

「申し訳ありません連華様!この勝負 私の負けといたします!蓮華様にそのような恥辱、負わせるわけには参りません!」

 

「……い、いいのよ思春。勝負は勝負だもの、その責めを臣に負わせては それこそ孫仲謀の名折れ」

 

「しかし、蓮華様ッ!」

 

「本当にいいの、さあ亞莎!赤ちゃん役は私よ、この私を使って、赤ちゃんのオムツ替えがいかなるものか、皆に示してあげて!」

 

 蓮華は十字架に上がるメシア様のような表情で言うのだった。

 というわけで、オムツ替え実演を行う赤ん坊役は、呉主・孫権に決まったのでありました。

 

「はあ……、では、こちらに寝てくださいますか蓮華様」

 

「あ、は、はい」

 

 亞莎ガイダンスに従う蓮華。

 

「そして足を開いてください」

 

「!!!」

 

「きっ、貴様ぁ!蓮華様に そんなは したないマネをしろと言うかッ!」

 

「だだだって、そうしないとオムツが……ッ、剣を抜かないでください思春さん!」

 

「そ、そうよ思春、これはあくまで育児の一環、よこしまなことなんて何もないわ」

 

「ですが蓮華様…ッ!」

 

「さあ、開くわよ」

 

 と言って蓮華は、気恥ずかしさに負けそうになりながらも、足を左右に開きたもーた。

 

「………あの、蓮華様?」

 

「…なによ、ちゃんと開いたでしょう?」

 

「いえ、これでは全然足りないというか……、もっと、これぐらい…」

「きゃあああーッ!」

 

 亞莎は、蓮華の両膝をガシリと掴むと、乙女にありえぬ角度までガバッと押し開いた。

 

「きゃー!きゃー!きゃー!」

 

 蓮華が絶叫してしまうのもムリはない。今の蓮華は俗にいうM字開脚状態、こんな体勢、一刀以外には誰にも見せたことのない蓮華なのであった。

 しかも開脚したことによって、普段見せないアンコな部分が丸見えに露出してしまい、家臣三人の娘たちにバッチリ見られてしまっている。

 

「蓮華様……!そんな……!」

 

「うわぁ、蓮華様のココ、すごい えっちいです……、私のとは比べ物になりません」

 

「そんな感想はいらなーい!」

 

 蓮華、心よりの絶叫。

 そして今や司会進行の亞莎はひたすらマイペースに。

 

「はーい、では、ここに用意してあったオムツがありまーす。材質は木綿でーす」

 

 やはりこの時代に紙オムツは存在しないわけで、

 

「それでは これを、蓮華様の股間にまきまきしまーす」

 

「ひうっ」

 

「その前に、赤ちゃんのオムツ替えをするとき、当然赤ちゃんの お尻は出しちゃったもので汚れています。それを拭き取って お尻をキレイにするところから始めましょう」

 

「は、はあ…」

 

「てなわけで、ここに ぬるま湯で濡らした手拭いがあります」

 

「きゃあー!」

 

 亞莎ノリノリ。

 用意した手拭いで、肉付きのよい蓮華のお尻を丹念にふきふきする。

 ぬるま湯に暖めてあった手拭いは人肌にも気持ちよく、亞莎の手つきは慣れていて、される側にもけして不快なものではなかった。

 しかし、その心地よさが返って蓮華には空恐ろしく…、

 

「ああ、亞莎…!ちょっとダメ、そんなところまで……!」

 

「え?だってココが一番 綺麗にしないといけない場所ですよ?」

 

 ココってドコ?

 

「やめて、そこを重点的に拭かないで!そんな ほぐすように、一刀にだって そんな……!あん!」

 

 蓮華には未知の領域であった。

 自分の体の自分の知らないところに何かが侵入してくる感覚。

 それは不快であると共に奇妙な快楽ももたらす感覚。

 

 イヤッ、ダメッ、――流されてはいけないわ!と蓮華は自分を叱咤する。

 

 それくらい濡れ布巾を操る 亞莎の手管は、巧妙かつ蠱惑的で、蓮華は流されまいと必死だった。

 幼少の頃から孫呉の姫として培われた自制心を総動員して、この快楽に逆らう。

 

 流されるな、流されるな、流されるな、…あっ、でも そんなところまでフキフキするの?人肌に暖められた濡れ布巾が凄いキモチイイ……、イヤッッ!ダメよ蓮華ッ、自分をしっかり持って!

 

「思春殿…、蓮華さまがスンゴイ身悶えています」

 

「う、うむ……」

 

 そうして、天国と地獄がないまぜになったようなお尻拭きの処置が過ぎると、蓮華のお尻は剥きたてのゆで卵のように艶を発していた。

 元々のお尻の形のよさといい、此度は色艶まで加わって、蓮華のお尻はモノホンの ゆで卵のようだ。

 

「いやー、いい仕事しました」

 

 亞莎は額の汗を拭いて、みずからの成し遂げた仕事に御満悦。

 蓮華は最後まで快楽に苛まれて、気恥ずかしさに耳まで真っ赤だ。

 

「さ、綺麗になったのを確認したら、これでやっとオムツを装着させます」

 

「うう~」

「…と!思ったら素人の浅はかさ!」

 

 何?まだなんかあるのッ?

 

「そうです、オムツを装着させるには、まだ一つ避けては通れぬ行程があります。……それは、ズバリこれです!」

 

 と言って亞莎が袖口から取り出したのは、円盤状の平べったい缶。

 

「なんだこれは……、ん?表面に名前が書いてあるぞ?」

 

「“辺美異 羽宇陀”?なんて読むんですかコレ?」

 

「これは“ベビーパウダー”と読むんです。赤ちゃんの健康を保つために必要不可欠な。大変重要な道具なんです」

 

 亞莎は円盤状の缶の蓋を開け、中に詰まった白い粉を一同に見せる。

 

「赤ちゃんの肌はとても繊細です、汗やおしっこなどの湿気をそのままにオムツで密閉してしまえば、赤ちゃんのお尻はすぐに蒸れて 汗疹やかぶれを発症してしまいます。それを防ぐためにも このベビーパウダーでお尻の湿気を完全に吸い取ってしまうのです」

 

「なるほど、赤子の体を清潔に保つための道具というわけだな」

 

 思春、感心する。

 

「それでは、オムツを装着させる前に、このベビーパウダーを蓮華様のお尻に塗ってみることにしまーす」

 

「ひぃッ?」

 

 蓮華は何故か本能的な危険を感じた。

 亞莎はパフなど使う気はなく、生手に直にパウダーを乗せている。この女、ナマでやる気だ。

 

「では蓮華様、行きますよー」

 

「助けてーッ!」

 

 濡れ布巾攻撃でくったりしてしまっていた蓮華に、それを避けるほどの機敏さはまだ回復していなかった。

 あえなく その凶悪な手に捕まってしまう。

 パウダー付きの亞莎の手は、張りのよい蓮華のお尻の形を崩すことのないような微細な力で表面を撫で回す。

 それはあくまで赤ちゃんの肌を保護するための行為であったが、先のフキフキで毛穴まで開ききった蓮華の肌には あまりにも意味が違った。

 

「きゃー!きゃー!きゃー!」

 

 蓮華は必死に抵抗を試みるが、やんちゃな赤ちゃんの世話をしてきた亞莎は巧みに受け流して、蓮華をその手から逃さない。

 

「はーい、すぐ終わりますから いい子にしててくださいねー」

 

「そういうことじゃなくてーーッ!」

 

 ヤヴァイ。

 亞莎の手つきはマジやばすぎる。けして力任せでない包み込むような触り方で、その表面に付くパウダーの感触も新鮮だ。

 このままでは本当の子供のように亞莎にすべてを委ねてしまいかねない。

 

 しかし蓮華は心の中で叫ぶ。

 

 ダメよ蓮華、それをしたら完全に終わってしまうわ、孫呉の王としても、それ以前に大人としても。

 とか言ってる間にも亞莎の手は、私のおしりをツルンと、ひゃあ!

 なんという恐ろしい手つき、でも私は負けない。耐え抜いて、この感覚に耐え抜いて、自分の大人としての尊厳を守りぬくのよ!

 

 母上、姉上に問う。

 

 私の天命とは!?

 

 

 否!

 

 

 その問いの答えは、とうに出ておる。

 

 

 

 私の天命は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 孫呉まるごと三代分じゃあ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 獲れるもんなら獲ってみい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああーーーッ!やめて!やめてッ!ホントにやめて亞莎!もうダメだから、私このままだとダメになるから!亞莎!亞莎!お願い亞莎!少しは、アン、アアアアアアアッ!」

 

 蓮華様は敗北なさいました。

 

「やめやめやめやめ!ちょっ、本当に死んじゃう!一刀だって そんな……、あふっ、一刀より……、くっ!」

 

 蓮華様は完全に敗北なさいました。

 

「あああああッ!もうッ!そんな、凄い、すご……!、…………ッ!」

 

 蓮華様は完膚なきまでに敗北なさいました。

 

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!」

 

 

 そして小一時間ほど経過した後。

 

 

 すべてが過ぎ去ったその場には、さめざめと泣く蓮華と、一仕事成し遂げた表情の亞莎とがあった。

 歴然たる勝者と敗者の差。

 

「いゃー、久しぶりにいい汗かきました」

 

 亞莎は達成感ひとしおだ。

 

「どうです思春さん、明命、参考になりましたか?」

 

「亞莎のバカ!刺激が強すぎて思春殿が鼻血噴いて倒れちゃったじゃないですか!」

 

 血まみれで気絶する思春を抱えて明命が叫んだ。

 被害は蓮華本人の外にも及んでいるようだった。

 

「それでは、最後の仕上げと行きましょう」

 

 亞莎はひたすらマイペースに己が任務を完遂させようとする。

 取り出したのは木綿のオムツ。

 元々コレを蓮華に取り付けるためだけのミッションだったのに、なんでこうまで大変なことになったのか。

 

「下に敷いて、包んで、巻いて、留めて~~♪」

 

 よどみない作業を越えて、

 あっという間に装着完了し、オムツ蓮華の一丁上がり。

 

「うわ、すっごい屈辱的な……」

 

 傍観者を代表して明命が一人つぶやいた。

 蓮華本人はもうさめざめ泣くまま、指一本動かさない。

 

 本来、ヨチヨチ歩きの乳幼児が着けてしかるべきもののオムツ。

 それを乳房、腰、ふとももと、体の随所が豊満に成長している蓮華が着けるのはたしかに違和感バリバリというか、羞恥というか、だからこそ逆に興奮を刺激されるというか。

 

 胸は膨らみ、腰はくびれ、豊艶、柳腰たる蓮華の恥部に、木綿オムツ。

 何たるアンバランス。

 何たる背徳感。

 

「み、見ないで……!」

 

 蓮華が耳まで赤くして、涙交じりに訴える。

 

「蓮華様……!ぐわっふ…!」

 

「わー!また思春殿が鼻血噴きました!ダメです思春殿!それはもう魏の人の持ちネタなんです!」

 

 そして一方、オムツを穿かされた蓮華は心が折れてしまったままだ。

 

 なんつーか もう終わりだ私、大人として。

 亞莎の優しい手つきに翻弄され、挙句オムツ姿まで他人に晒してしまうなんて………。

 

 せめて一刀が この場にいないのが せめてもの救いだった。

 こんな醜態を最愛の一刀に見られていたら、それはもう………。

 

「え?周泰?」

 

「だから違うって言ってるでしょう明命!」

 

「……あう蓮華様、今度は私は何も言ってませんよ?」

 

 え?

 当然 明命の発言と思われた、『周泰』と『醜態』をかけたダジャレが明命発でないことに戸惑う蓮華。

 この場には意識不明の思春がいて、亞莎も違いますと首を振っている。

 では誰が………?

 

「あの~、お邪魔しています」

 

「かーーーーーずーーーーーとーーーーーーッッ!?」

 

 そこには何と、いつの間にやら天の御遣いである北郷一刀が登場していた。

 ついさっきまで気配も感じさせなかったのに。

 

「いや、冥琳に言われて皆を探しててさ…。揃いも揃ってドコ行ったぁー!って冥琳カンカンなんだけど……」

 

 それで、やっと皆が集まっている ここを探し当てたと。

 しかもそこにいたのは、豊満、柳腰、色気たっぷりの肢体に、何故か木綿オムツを装着した。ちょっと想像の域を越える蓮華。

 

 蓮華と一刀の目がバッチリあった。

 

「一刀、これはその……」

 

 スモークチーズのつまみ食いを見つかった ちゅるやさんのごとく、しどろもどろに言い訳しようとしている蓮華を見詰め、一刀は顎に手を当てたまま「ふむ」と一息。

 

「こういうのもアリだね!蓮華!」

 

 

 

 ――――――――、(蓮華の思考がプッツリいく音)

 

 

 

 いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!

 

 

 いやーーーーーーーーーーーーーーッ!!

 

 

 いやーーーーーーーーッ!!

 

 

 いやーーーッ!!(←エコー音)

 

 

 蓮華の悲鳴が城中にこだますのだった。

 

 ……それから丸々六日の間、蓮華は自室に引きこもって一歩も外に出ることはなかった。

 

 

 

(ドア越しに)

「なあ蓮華、機嫌直してくれよ、事情は亞莎から聞いたからさ」

 

「………………」

 

「俺は別に気にしないぞ、ホラ、ガラガラガラ~」

 

「ガラガラを振るなぁ~ッ!」

 

 

 終劇


 
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