No.621908

ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY9 謎を残して

やぎすけさん

久々の戦闘シーンです。

2013-09-23 12:35:49 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1084   閲覧ユーザー数:1049

STORYⅨ 謎を残して

 

 

 

 

デュオ視点

避難を確認して、俺は暗殺者の男に銃を放った。

暗殺者は俺が放った弾丸を、首を傾けるだけで易々と避け、お返しと言わんばかりに、両手のハンドガンを連射してくる。

奴の銃はハンドガンにも関わらず、アサルトライフルにも引けを取らない連射性能を持っていた。

俺とキリトは慌てて左右に回避し、柱の陰に隠れる。

 

デュオ〈武器はあの二丁拳銃と背中の長剣か〉

 

そっと覗き見て確認するが、それ以外に武器は見られない。

俺はキリトとアイコンタクトを取ると、さっと陰から飛び出してリボルバーを発射する。

男は、右手の銃でそれを撃ち落とし、左手の銃をこちらに向けた。

 

デュオ「キリト今だ!!行け!!」

 

俺の言葉に、後ろに控えていたキリトが飛び出し、ジャンプして俺の上から男に斬りかかる。

男は右手の銃だけ仕舞うと、背中から剣を引き抜き、空中のキリトと激しい斬り合いを演じる。

キリトが放った上段の一撃を、下段の斬り上げで真っ向から迎撃。

立て続けに飛んでくる左右の斬り払いも、回避することなく打ち合い、正面から受けて立つ。

互いの剣がおよそ12回の激しい火花を迸らせた後、キリトが再び上段斬りを放ち、男と鍔迫り合いになった。

剣が徐々に下がり、交差する刃の間から仮面の暗殺者が、キリトを見る。

そして、ニヤリと一瞬頬に笑みを浮かべると、剣を押し込んでキリトを吹き飛ばした。

俺は、こちらに向かってきたキリトを受け止め、男に発砲。

銃弾に続くようにして、男に斬りかかる。

剣の重量を活かし、遠心力を使った右斬り払いを放つ。

余裕の姿勢を崩さずに戦っていた男も、さすがに耐え切れないと踏んだか、宙に身を躍らせた。

俺は、空かさず剣を片手持ちにし、ホルスターから抜き取った銃を空中に向けて6発の銃弾を放った。

それに続いてキリトも飛び上がり、剣を振り上げる。

 

デュオ〈勝った!〉

 

幾ら奴が銃弾を撃ち返せるとはいえ、銃をホルスターに収めた状態でこの距離から発砲されれば、さすがにそれは無理だろう。

しかも、空中では身動きが取れないため回避も不可能。

奴は間違いなくダメージを受け、上手くいけばキリトの攻撃で行動不能に出来るかもしれない。

俺は、勝利を確信する。

だがその時、奴はこちらに不敵な笑みを浮かべてみせた。

まるで「これで勝ったつもりか?」とでも言っているような。

次の瞬間、男は信じられない行動を取った。

体を捻って、空中で―――床と垂直に―――高速回転、飛来する弾丸を斬り落としたのだ。

 

キリト&デュオ「なっ・・・!?」

 

驚く俺たちを他所に、男はキリトに向かって構える。

 

デュオ「キリト!!」

 

キリト「ちっ・・・!!」

 

慌てて防御態勢に入ったキリトに、暗殺者の容赦無い一撃がぶつかる。

 

?「ぜあ・・・っ!!」

 

キリト「ぐっ・・・!!」

 

甲高い金属音とともに吹き飛ばされたキリトは、そのままの勢いで壁に激突した。

衝撃音が轟き、キリトが激突した壁に亀裂が奔る。

 

キリト「がはっ・・・!!」

 

硬い大理石に叩き付けられたキリトが、HPを大きく減らし口から鮮血を吐き出した。

 

デュオ「キリト!!くそっ!!」

 

それを見た俺は銃を投げ捨て、剣を振り上げて男に走る。

 

デュオ「ぜいあぁぁぁ・・・!!」

 

着地した直後の暗殺者は、振り返るのと並行して、剣を後ろに流すように構えた。

 

デュオ「はあぁぁぁっ!!」

 

未だ余裕の色を失わない男に向かって、俺は上段に構えた剣を右に流して横薙ぎに振るう。

男の後ろから向かってきた剣が、俺の剣と激突し火花を散らした。

 

デュオ〈重い・・・!!〉

 

あまりの剣圧に、俺の剣が跳ね返ると、男は滑るような滑らかな動きで剣を引き絞る。

左手を突き出し、肩と同じ高さで水平に構えた剣先が俺の心臓に向いた。

瞬間、狂いの無い打突が飛んでくる。

俺は、どうにか引き戻した剣の腹で突きを防いだ。

致命傷は避けられたが、打突の勢いでキリトとは逆側に吹き飛ばされてしまった。

すると、男は剣を担ぐように肩に乗せる。

 

?「なんで俺と戦うんだ?」

 

そして、突然話し掛けてきた。

いきなりの出来事にやや驚くが、すぐ気を取り直すとキリトが言い返す。

 

キリト「お前こそ、なんでこんなことをする!?」

 

?「なんで、って。こっちは仕事なんでね」

 

デュオ「人殺しがか!?」

 

?「モンスター退治さ」

 

悪びれることも無く、飄々とした態度と取る暗殺者。

その様子はラフコフのメンバーを連想させるが、奴にはどこか違和感がある。

だが、その違和感が何なのかわかる前に、キリトが怒鳴った。

 

キリト「何がモンスター退治だ!!人を殺しておいて!!」

 

?「よく見てみろ。こいつらは人じゃない。」

 

男は、剣で周りをあおぐ。

それを見て俺たちは同時に、倒れている騎士たちを見た。

フェイスマスクが壊れ、中から出た顔は炭のような黒い肌をしている。

深夜の外灯のように光るオレンジ色の目、口には三角形の鋭い牙が鋸状に並ぶ。

 

?「まあ、俺もただの人間じゃないけどな」

 

振り返ると、そこには男の姿はなかった。

慌てて周りを確認するが、その姿はどこにもない。

 

?「こっちだ、こっち」

 

声が聞こえたのは、上からだった。

俺たちは、天井の割れたステンドグラスに視線を向ける。

そこには、先程姿を消したばかりの暗殺者の姿があった。

 

キリト「どういう意味だ!」

 

?「自分で考えな。さて、俺は仕事があるんでね」

 

デュオ「待て!!」

 

立ち去ろうとする男に、俺は銃を放つ。

だが、銃弾は天井に当たって、大理石の粉を落としただけだった。

すると、土埃が舞う天井部分から男がヒョコっと顔を出した。

 

少年「Adios(アディオス) Kids(キッズ)!」

 

それだけ言い残して、暗殺者はどこかへ去っていった。

 


 
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