No.602496

ダンガンスクール[3] 桑田怜恩

アッキさん

 ダンガンロンパIfストーリー。
 もしも、彼ら彼女らが普通に学園生活を送っていたらどう言う生活を送っていたのか?  第3話、【超高校級の野球選手】桑田怜恩の話。

2013-07-28 15:12:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2597   閲覧ユーザー数:2579

【ダンガンロンパIfストーリー・ダンガンスクール】

【希望ヶ峰学園デノ生活】

【第3話・桑田怜恩】

【超高校級の野球選手】

 

 

【ロクガツ・ナノカ】

 

 

 【超高校級の幸運】、苗木誠はいつもは中学時代の同級生にして【超高校級のアイドル】である舞園さんと帰っているのだが(これは彼女が言い出した事で現在進行形でやられている)、本日はアイドル活動があるとかで苗木は1人帰っていた。

 舞園さんは「ごめんなさい、苗木君。どうしても外せない用事なの」と頭を下げていたが、苗木としては今までの状況が可笑しかったので別に大丈夫だよと言っておいた。

 

 

「あれ、あそこに居るのは桑田クンと葉隠クン?」

 

 

 苗木は運動場の近くの芝生で二人で座る彼らを見つけ、どうしたんだろうと思っていた。

 【超高校級の野球選手】、桑田怜恩。高校野球ではエースピッチャーで4番打者。プロのスカウトも目をつける超一流の高校球児。一切の練習をせずに発揮される圧倒的な野球センスを持つ。

 【超高級の占い師】、葉隠康比呂。“30%の確率で必ず当たる占い”を売り物にしている新進気鋭の占い師。

 

 

 同じ高校に通う生徒で2人とも共に明るい性格だが、苗木が知る限りはあまり2人で一緒に居る機会が少ないと思っている。こんな所でどうしたんだろう?

 

 

「おっ、苗木っちだべ」

 

 

「苗木か」

 

 

 と、どうやら2人とも苗木の存在に気付いたみたいで無視するのも可愛そうだと思った苗木は、

 

 

「やぁ、2人ともどうしたの?」

 

 

 と明るく声をかけながら2人の横に座る。

 

 

「いや、何。葉隠と一緒に人生について考えてたっつーか」

 

 

 はぁー、と落ち込んだ声を出す桑田を見て、どうしたのと葉隠に尋ねる。

 

 

「苗木っち。俺らは超高校級の才能で集まった事は知ってるべ?」

 

 

「う、うん。ボクは厳密には違うけどね」

 

 

「俺は【超高校級の野球選手】、葉隠は【超高校級の占い師】、そして【超高校級の幸運】が苗木。俺はその肩書が怖いんだよ」

 

 

「怖い……?」

 

 

 その言葉にきょとんとする苗木に、葉隠が続ける。

 

 

「他の奴らはその才能が将来にいかされてるべ。例えば【超高校級のアイドル】、舞園っちは将来、アイドルを止めても女優やモデルになれるべ。【超高校級のプログラマー】である不二崎っちはそのプログラミングで、大手に引っ張りだこだべ。けど、俺らは違うべ」

 

 

「違うって……?」

 

 

 葉隠の言葉に戸惑う苗木に、桑田が声をかける。

 

 

「将来に不安を感じてるのさ。野球選手は身体を壊せばそれで終わり、占い師も当たらなくなればそれで終了。将来として大丈夫かなってさ、急に思ったわけよ」

 

 

「つまり、2人は将来に対して不安を感じてるの?」

 

 

「んだべ。俺っちの占いでも、俺っちは将来、『模擬刀の先制攻撃だべ!』と言う事を言うとしか分からないんだべ」

 

 

「俺もさ。葉隠の話だと、将来的に『アポ……』と言って終わる未来が見えたとかで」

 

 

 将来に悩む2人は揃って溜息を吐く。それに対して苗木はどう言えば良いか分からず、困惑するがとりあえず2人に手を差し出す。

 

 

「とりあえずさ、将来の事なんてまだ分からないよ。けど、大切なのはこの学園生活を送るって事なんじゃないかな……なんて」

 

 

 ちょっと無理っぽかったのかな、と思いつつ言う苗木。それを見て桑田と葉隠はアハハと笑う。

 

 

「そうだな、将来に悩むのもまた青春か。苗木に教えられたよ」

 

 

「そうだべ。将来、可愛らしいお嫁さんを持つと言う未来もあるかもしれないべ! それを信じて、日々を生きるべ!」

 

 

「おっ、そりゃあ良いな。俺もその未来に賛成! 賛成!」

 

 

「ボクは無理かなー。そんな可愛らしいお嫁さんを貰うなんて。2人のように才能ないし」

 

 

「いや、苗木は絶対に可愛らしいお嫁さんが出来るだろ」

 

 

「占いをしなくても分かるべ」

 

 

「えぇ、そうかな」

 

 

 3人は希望ヶ峰学園の芝生で思う存分、笑いあう。

 苗木はこれもまた青春だと、心に刻みつけるのであった。


 
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