No.58459

獣使い 第5章 分かれ道(まとめ

lapisさん

5章のまとめれす
↓AnotherView
http://www.tinami.com/view/47209

(まとめ については↓参照で

続きを表示

2009-02-16 13:30:10 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:532   閲覧ユーザー数:516

「ここは?」

 

 

さっきの大広間の奥にある厚い鉄の扉の先には、

小さな部屋があった。

部屋の壁という壁には、見たことのない模様が所狭しと描かれ

床には鎖が無造作に置かれていた。

一見、昔の拷問部屋にも見える。

よく見ると何か鋭利なもので抉った後も見える。

 

 

「さて、まぁとりあえず、やるべきなのは、使い魔を召喚することだ。」

 

 

そういうとレベッカは、突然目の前から姿を消した。

その瞬間、僕の両手は、後ろに無理やり回され鎖につながれていた。

 

 

「え?ちょっ・・・・ちょっと!?」

 

 

「AULLA」

 

 

レベッカが何かを唱え始めた。

そのとき、体が宙に浮き始め、鎖に引っ張られた。

十字架に張りつけられたかのように身動きが取れない

そして、僕の意識は、深い闇の中へと落ちていった・・・・・

気がつくとまたあの草むらにいた。

起き上がるとあのオブジェがすぐそばに見える

 

 

「やぁボウヤ。やっと起きたか

大方の内容は知ってる。

さっさと始めようじゃないか」

 

 

「その前にあんた誰だ?

この前きたときも名乗らなかったじゃないか。」

 

 

「ふむ。そうだな・・・

今は、イデスとでも名乗っておくか。」

 

 

そういうとイデスは、片膝をつき右腕を振り上げ、

そしてそれを勢いよく地面にたたきつけた。

目の前の草原は暗転し、そしてすべてが真っ黒になった。

存在するのは僕とイデスだけ。

その中にすっと3つの扉が現れた。

 

 

「さぁ、好きなのを選べ。

その先にはお前の使い魔がいる。

まぁ私もそのひとつなんだがな・・・・

私は、こいつらが全員使えるようにならないと

出られんようにされてるから。

だから、私を早く出してくれ。」

 

 

それぞれの扉には個性がある。

ひとつは、和風のふすま。

ひとつは、木でできた青いドア。

ひとつは、厳重な鉄の扉。

明らかにどの扉からも何か黒いものが見えて仕方ない。

「とりあえず鉄の扉は、まだやめておけ。

制御できないだろうからな。

残りの二つのからだ。」

 

 

そう言われ、とりあえずふすまの方を選び開けた。

というか、最初からこれをあけるつもりでいた。

なんとなくではあるが、

これを最初にあけなきゃいけない気がしたからだ。

 

ふすまを開けた先には

青い着物を着た銀髪の女性がいた。

一見少女のようにも見える。

しかし、明らかに空気が違った。

イデスと同じ感じがする。

しかし、雰囲気はイデスと違いおっとりとしている。

のんきに正座して茶の湯をすすっていたこともあるだろう。

 

 

ふとこっちの存在に気づき僕の顔をゆっくりと見た。

瞬間、その女性は満面の笑みになり飛びついてきた。

 

 

「おぉ!京ではないか!!待ちくたびれたぞ!」

 

 

口調にはそぐわぬどこか幼さを感じる声

その声を聞いていると、

僕は、その女性のことを知ってる気がした。

 

「ん?なんじゃ・・またわらわのことを忘れたのか。

仕方のないやつめ。」

 

 

やれやれという顔をして再び前に立つと

いきなりその女性はキスをしてきた。

 

 

 

記憶の奥底に眠っている記憶の一部が眼を覚ます。

その記憶は走馬灯のように頭の中を駆け巡り、

その女性の名前を浮上させる。

 

 

「・・・・雛乃ねぇさん?」

 

 

「ふむ。やはりこれが一番手っ取り早いな。

しかし、毎回これをやるのもけっこう恥かしいのだぞ?京」

 

 

「ご・・ゴメン。ねぇさん」

 

 

ふぅと息をつくと

ねぇさんはさらに続けた。

 

 

「よい。思い出さぬよりはましじゃ

それよりもここに来たということは、わらわの力が必要なのじゃろ?」

 

 

「まぁ・・・ね」

 

 

ねぇさんは、それを聞くと立ち上がり

 

 

「うむ。では、ついてまいれ」

「ここじゃ。」

 

 

ついていくとそこには、大きな大木があった。

一見すると、御神木のように見える。

その根元には、巨大な黒い三角錐の物体が刺さっていた。

 

 

「それではこれを壊してくれぬか? 京」

 

 

「ちょっ、えぇ?」

 

 

ゆうに50mくらいはあるその物体・・・・。

 

それを壊せとねぇさんは言ってきた。

 

 

「壊せったってどうやって?」

 

 

「そんなの拳でに決まってるじゃろ。」

 

 

卒倒しかけた・・・。

いくらなんでもこれを素手で壊せるわけがない。

いくらなんでも無茶だ。

 

「まぁ、もちろん素手では無理じゃろな。じゃから・・・」

 

 

ねぇさんは、僕の左腕に抱きついた。

そしてねぇさんは、こう唱えた。

 

 

「月紋拘束封(げつもんこうそくふ)第一解除」

 

 

その瞬間、ねぇさんの体は光りだした。

するとねぇさんの姿が消え、

僕の左腕がまったく別のものに変化していた。

 

 

「ぇ?ええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

手のひらは黒く

人差指から小指までの付け根には金色のつめのようなものがついている。

手首には金色のリングが1こ・・・。

いや正確には違う。

中に2つのリングが重なっている。

手の甲から肩口までは白くなり

肩は、球体状、外側には、三つの刃のようなものが出ていた。

【京】

 

 

どこからともなくねぇさんの声が聞こえた。

 

 

【これは、武器化というものじゃ。

我々獣は、こうやって主と同化することによって

様々な力を与えることができる。

また、獣によって形や力、能力も様々なのじゃ】

 

 

・・・・まるでRPGみたいだ。

 

 

【しかし、武器化したところで使い方を知らぬと何にもならんのでな。

とりあえず、一回あれを殴ってみよ。】

 

 

僕の腕がこの状態になってから

確かに僕の中で何かが漲ってるのを感じている。

とりあえず、僕は半信半疑で、その物体を思いっきりぶん殴ってみた。

殴った瞬間、あの巨大な物体に亀裂が走る。

根元から先端まで大きな日々ができた・・・・・・はずだった。

 

しかし、その亀裂は一瞬で消えてしまったのだ。

 

 

「へ?」

 

【あぁ、言い忘れておったのぅ。その物体は一発で粉砕せぬとすぐ元に戻ってしまうのじゃ。】

 

 

なんてこった。

今の一発は渾身の一撃だったはずだ。

これでダメならどうしろというのだろうか。

 

 

【今のは、京の力だけで殴ったから粉砕できなかったのだ。

わらわの力がほとんど使われておらぬ。

武器化というのは獣と人間とが精神を同調させることによって

常人以上の力や能力を発揮できるようになっておる

つまり京がわらわと精神を同調すれするほど力が強くなるのだ。

まずは瞑想して、わらわの心を感じてみよ。なんとなくはおぼえてるはずだろうからな。】

 

 

とりあえず、そこに立ち尽くし、目を閉じて瞑想してみた。

心を限りなく無にしていく。

僕の眼前に真っ暗な世界が広がっていく。

そのとき、ふと何か青白いものが見えた気がした。

その青白いものに意識を集中していく

すると、無意識に雪原をイメージしていた。

どこまでも白い雪・・・・

いや正確には青い雪原といった方がいいだろう。

無音の大地にただただ雪が降る。

さらに奥に進もうとしたとき、突然、意識が戻った。

 

 

【今はそこまでじゃ。京】

 

 

元の場所に俺は立っていた。

どこからともなく、何かが回転している音がする。

おもむろに左腕を見てみると、手首のリングが回転している。

 

 

【もう一度やってみるのだ。】

 

 

俺はもう一度、左腕に力をこめた。

その瞬間リングがひじ近くに移動し

さらに回転が早くなる。

僕は、その物体めがけ拳をぶつける。

拳が触れた時リングが手首に戻ったのとともに、

物体全体に大きな衝撃が走る。

そして、あの物体が粉砕された。

 

 

【ふむ、上出来じゃな。京】

 

 

そして、ねぇさんは元の姿に戻った。

 

 

「うむ。これでわらわは向こうにいけるようになったな。」

 

 

笑顔でいった。いっぺんの曇りのない笑顔で

 

 

「っと、それはそうと早く戻らないといかんな。いくぞ。京」

 

 

あの物体があった穴に僕とねぇさんは飛び込んだ。

目が覚めたときには、さっきの拷問部屋のようなところにいた。

隣には、白いイタチがいた。

コツコツという靴の音がした。

 

 

「イタチ・・・か。という事は・・・・。」

 

 

レベッカがいった。

 

 

「ほぅ。まさかお主がとは。何の因果かの。」

 

 

雛乃ねぇさんは、笑って言った。

すると、レベッカは、深くお辞儀をした。

 

 

「お久しぶりです。雛乃さん。」

 

「うむ。ひさしいの。レベッカ。

少し見ないうちにずいぶんと成長したようじゃ。」

 

 

どうやらお互いに知ってるらしい。

ふと、周りを見ると、汀と響、それとあと2人いる。

一人は黒色肌で髪の赤いとてもラフな格好をした長身。

もう一人は青い短髪で黒い背広を着た少し背の低い人。

いずれも女性のように見える

その二人もお辞儀をしていた。

すると黒色肌の方が話かけてきた。

 

 

「なんだなんだ?誰かと思えば京じゃないか。ひっさびさじゃないの!!!」

 

 

ものすごく愉快な感じで話しかけてきた。

若干低めの声で、どこか少年のような声だ。

話し方もボーイッシュなかんじがする。

 

 

「リリア、京はまだ記憶が完全ではないぞ。」

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択