No.51567

獣使い 第1章 始まりは突然に(まとめ

lapisさん

ばらばらになってたのを
すべてまとめます

(まとめ)はその章の
まとめおよび修正をおもに作りました

続きを表示

2009-01-11 18:28:40 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:734   閲覧ユーザー数:702

町が静けさに沈む午前2時

 

 

僕は近くの墓地にいた。

 

 

特に理由は、ない

ただ日課だっただけなのだ。

 

 

普通、夜に墓地に来るような人はいない

せいぜい肝試しに来る若者くらいだろう。

 

 

しかし、僕は違った。

幼いときから、人とは違うものが聞こえていた。

今では霊や精霊が見えるほどである。

 

 

そういうこともあってか、好奇心からよく墓地に来ていた

墓地では、いつもさまざまな感情が入り乱れている

 

 

幸福な死を迎えた人、苦しみから自殺をした人、未練を残して死んだ人。

 

 

その割合によって、墓地には、さまざまな物が集まってくる。

たとえば、未練を残したものが集まった墓地は、俗に言う心霊スポット。

つまり負の感情が集まりこの世界にさまざまな影響を与える。

場合によっては 不幸をもたらすものたちの扉が開くほどだ。

 

また幸福な死を迎えたものが多くいたなら、

その墓地はとても暖かく、やさしい感情にあふれている。

そして、そういうところは精霊や役目を終えた守護霊が住み着く

 

 

ここはそんな墓地のひとつだ。

 

「あれ?またきていたの?」

 

 

不意に後ろから幼い子供の声がした

振り向くとそこには、

背中から蝶のような羽の生えた10cm位の女の子がいた。

 

 

「なんだ、怜夜か。」

 

 

彼女の名は、怜夜。

ここに住み着く精霊の一人だ。

白い服に身を包み、髪はシルバーのロング。

その髪を青いリボンでうしろにしばっている。

 

 

話では、光をつかさどっている精霊らしい。

 

 

「もう・・・・なんだとは何よ!なんだとは!」

 

 

そういって彼女は口をぷくっと膨らませた。

 

なぜかはしらないけど、この子はやたら僕に絡んでくる

ここには、ほかにも僕に絡んでくる精霊はいるけど

特にこの子は絡んでくる精霊だ。

 

 

「ところでさ。怜夜」

 

 

ん? と彼女は、言って僕の左肩に座った。

こう見ると非常にかわいく感じてしまう。

 

 

 

「なんか今日は、いつもと雰囲気が違うのは気のせいか?」

 

 

僕は、そのとき初めてずっと持っていた疑問を口にした。

思えば ここにいたときからそれを感じていた。

入った瞬間、何か嫌なものを感じた。

そう・・・例えるなら蛇のような目ににらまれたときのような

全身を貫くような視線を・・・

 

 

「ぇ?特には知らないよ。新しい死者もきてないし」

「そうか・・・・ならいいんだけ・・・・・」

 

 

ど と言おうとしたとき突然、この場所の空気が重くなった。

 

 

「ぇ」

 

 

僕と怜夜は、口をそろえていった。

突然、この墓地の上空に黒い渦ができた。

それを僕は、一度見たことがある

この世界へ不吉なものが行き来する<門>だ。

 

 

しかし、その<門>は、こんな幸せなものたちのいるところには開かない

あれは負の感情の渦巻いたものであるからだ。

逆に言えば 負の感情が渦巻けばあれは開く

 

だが死んだ者のたちは、

その死に方によって負の感情となるか、正の感情となるか決まる。

そしてそれは、人間と違って変わることはない。

自我がないからだ。

 

 

だから、新しいものが入ってこない限りここの割合が変わることはなく

あれが開くことはありえない

 

 

「!!」

 

 

怜夜が、何かに気がついた。

「見て!!」

 

 

振り返るとそこには、スライム状の物体が何体もいた。

その物体は、絶えず形を変えている。

あるものは動物型に、またあるものは人型に

まるで生き物が腐り落ち、またもとの姿に戻るのを繰り返しているかのように

 

 

それを見て僕は、吐きそうになった

あまりにもその姿は、リアルすぎるからだ。

同時に、僕は早くここから逃げなければと思った。

頭で考えるより先に、体は動いた。

 

 

ここの墓地は、近くに竹やぶがあり、

そこは、神聖な場所として祀られてる。

おそらくあのスライム状の物体は負の感情が集まったものだろう

そこなら、入ることはおろか近づくこともできないはずだ。

 

 

と、思った。

 

 

しかし、現実は残酷にも、

その選択は、

僕とあの人をつなげてしまったのだ・・・・


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択