No.574936

真・残念†無双 第13話

システマさん

ひっそりと更新。

これからもこれまで通り続けますよ(藁

2013-05-10 19:53:35 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1571   閲覧ユーザー数:1354

・・・んん、ふぁあはぁ・・・、よく寝たよ。ってあれここはどこだ?

 

確か服も現代アイテムも何も持たず下着一枚でパラレルワールドの三国時代に飛ばせれ、そこからなんやかんやあり、

公孫讃に仕えることになり、悪逆非道の董卓を討ちに行く事になり、悪逆非道の元直に一人決死の潜入を

命じられ、うまく潜入したはいいが何者かに連れ去られたところだったか・・・

 

おや、空耳で「あらすじ乙」と聞こえた気が・・・

 

さてどれくらいの時間が経っているのだろう・・・

実際時間で半年くらいたった気がするが実際には半日程度だろう。

そうさ、半日しか経ってないさ。半年も経っているなんて気のせいだ!

 

 

とにかく現状を把握しなければ・・・、どうやら俺は茂みに放りだされているようだ。体を動かそうとしてみたが

よく見ると縄で縛られている。さらに襲われた時の痛みで体があまり動かない。これが美少女にやられていたならご褒美でしかないのだが

むさいおっさんときにやられていたらそれだけで死を覚悟する。周りには木々しかなく人の気配もしない。だが俺にはわかる。

木の上からガサゴソと音がした。そこに刺客がいるのであろう。まったく甘いものだ。この北郷一刀様を出し抜こうなど。

 

「っふふ、隠れたって無駄だぜ。あんたの気配にはとっくの昔に気づいているぜ」

 

俺はそう言いつつ木の上を見つめる。俺の気迫に怖気づいたのか刺客がその姿を現す。

 

「気配は完全に消したつもりでしたが、なかなかやりますね」

 

やはりな。サラっと布が落ちる音がして刺客が姿を現す。というかあんた前回で俺のこと起こしてましたよ。忘れてましたね?笑

・・・だがふと見ると俺の視線よりかは幾らか下のほうから声がした。

 

その声の主は身を隠していた木の柄の布をはぎつついかにも映画村で忍者の仮装してみました的な美少女が姿を現した。

 

「一応、あなたに他に仲間がいないか確認するつもりでしたが、襲われたところを助けに来ないのを見るとどうやら一人できたみたいですね」

 

「や、やはりな、あんたがそこに隠れていたのは分かっていたぜ、ついでにその布もドンキホーテで買ったことは分かっているぜ」

 

まぁ襲われて仲間が近くにいたとしても助けに来るかどうか微妙だけどと思ったが黙っておく。

 

「どんきほーてが何かは分かりませんが私が隠れているのを見破ったのは褒めておきましょう」

 

「だ、だろうな。そこは大人しく褒められておこう。っふ、だがこの程度で俺を封じたと思ったのはあんたの失敗だ。あんたの失策だ。

 どうやら次にあんたが動いたときがあんたの最後だぜ。ここでおさらばだな、あんた」

 

てくてくてく

 

「で?誰の最後って言ってましたっけ?あなたの最後ですか?」

 

「いやいや全然そんなこと言ってませんけど?私めが言ったのは、さ、さ、サ、そう、サイコー、

 そう、あなたの美しさは最高ですねって言ったんですよ」

 

っち、なにものだこいつ俺の77ある特殊能力の1つ『はったり』が効きもしないとは!?

 

とそんなことを言ってる場合ではない。森で美少女に縛られ放置プレイとかご褒美でしかない、ご褒美でしかないのだが、

まわりまわってご褒美でしかないのだが、この乱世の時代すぐに斬り捨てられる可能性もある。(大事なことなので三回言いました)

とにかくなんとかして命だけは助からないと・・・、この状況誇りとか君主への信義とか言ってる場合じゃない。

少なくとも今、命があるということは俺に聞きたいことないし、俺の命を必要としていることだ。無駄な抵抗はせず、

相手の言うことに従うしかない。といっても俺も一人の男。相手に媚びへつらう真似はできない。俺のプライドが許さない。

誇りをすてず、毅然とした態度で接せねば。俺は心にそう誓いその忍者ルックな美少女に相対する。

 

 

「む、なにやら怪しい雰囲気ですが、まぁいいでしょう。まず自分の所属軍と目的を言いなさい」

 

「へぇへぇ、大将軍様、不出来な私めでしたら答えられる事はなんでも答えますのでどうか命ばかりはお助けを」

 

動けないながらも頭を下げ、地面にこすりつけながら言う。誇り?何それ?それで飯が食えるの?

 

「へぇ、私は公孫讃軍所属のしがない雑用係です。此度の戦で公孫讃軍の斥候もとい鉄砲玉として悪逆非道の軍師に

命を捨てて相手方に潜入して来いと命じられたのです。なんとか商人の振りをして関に侵入したのはいいのですが

やはり董卓軍と違いあなたのような大将軍様となるお方は騙せませんでした。さすがは大将軍様でございます。

私めのような不才が言うことではありませんが、この数刻で感じるその武、その智、まさに天下に轟く程の輝きを感じます」

 

「わ、私は大将軍ではありません。ただの将でありその様な武も、智も持ち合わせていません。

そ、それより公孫軍ということは連合軍の将兵でしたか、確か公孫軍は太守自ら先陣で関を打ち破るという大言を放ったと聞きます。

それならば斥候、もとい策を練り兵を侵入させるというのは納得いたしますが・・・」

 

「へぇへぇ、そうなんです。あのクソ酔っ払い太守様が騎兵しか取り得のない我が軍に攻城戦を強いるという暴挙に出た次第でございます。

そこに根っからの性悪軍師様が悪乗りして私めが侵入させられたのです」

 

「むむ、それはさすがに同情しますが軍師殿が献策したからにはそれなりの勝算があったからでは・・・」

 

「いやいや、勝算とかなくても憂さ晴らしとかいう理由で人を死地に追いやる奴ですから。ここに来る時も

 『お前なら必ず生き残ることが出来る。私を信じろ』とか言いながらまるで人間を騙すことに成功した悪魔の様な笑みを浮かべていましたし」

 

「そ、それはちょっと変に捉えすぎでは・・・」

 

俺は二人がいないことをいいことになんとかこの場を逃れようと口にする。あくまでこの場を逃れるための嘘であり、

決してそんなことを心のそこから思っているわけではない。二人に知られたら命すら危うい言葉を口にするのはあくまでこの状況を逃れるためであり、

引いては天下太平の為である。俺は心を鬼にして言葉を続ける。

 

「だいたい無茶なんですよ。一人で関に忍び込んで何が出来るってんですかっ!!第一俺は武官ですらないのに。あのアホ君主!キノコの毒で酔っ払ってどうかなったの華も知れませんが・・・、

まぁ確かにそのキノコを調理したのは俺ですけど、そこに一因があったとしても普段からキチンとしていればこんなことにはならなかったと思いますよ。

その普段が地味でどうしようもないからこんなことになったのかもしれないですけど。それに元直も元直ですよ。明らか君主が普段とは違い

おかしいと分かっているのに、まぁやる価値はあるかなと言ったところで俺を送り出すんですから。そりゃ俺も男ですからね。

今回の戦に思うトコロはありますよ。別に剣でマジに脅かされたから来た訳ではませんよ。いやホントに。確かに剣を向けられはしましたが、

そこは器の大きさで俺が譲ってあげただけですしね。まったくあの二人にはホント困ったものですよ」

 

 

と少し控えめに俺の苦悩を告げる。どうやら相手も連合軍の兵のようだ。ここまで無傷で侵入できたということは

俺と同じく優秀に違いない。そして俺と同じく無茶な君主に無理を言われているに違いないと共感を得る作戦にでる。

 

 

「ま、まぁたまに無茶な命令をされて困る時もありますが、それもひいては君主の為、民の為でありますから・・・」

 

「ですよねー。そりゃ俺も民の為を思って行動したいとは思いますよ、思いますがやっぱり今回のこれは無茶すぎますよ・・・。

まぁお互い無茶な君主に耐えて民の為にがんばりましょう。今度無茶な君主の話を肴に一杯やりましょうよ。

あっと、申し訳ない、そろそろ家で娘がお腹空かせて待ってるんで、ではこれで」

 

いつの間にか縄をなんとか抜け出していた俺はそのまま立ち去ろうとする。今日の晩御飯は何しようか・・・、やはりハンバーグかな・・・。

いや最近家族サービス出来てないからなここは豪勢にハンバーグカレーにしよう。よしそうと決まればスーパーによって、

 

 

 

とそこに

 

 

シュン

 

 

「ちょっと待ちなさい。あなたに同情する気はありますが、これ以上ここで余計な事をされても困りますし、

私の姿を見られた以上生かして返す訳には行きません。あなたには董卓軍にやられたことになってもらいましょう」

 

そう言いつつその少女は背中から長刀を取り出すとその切っ先を俺に向ける。ちょ、ちょっと待って

 

「いやいや大丈夫ですって誰にも喋りませんって。ホントに。だから勘弁して下さい」

 

「申し訳ありませんがそれはできません。あなたの娘さんには悪いですがここでお別れです」

 

「そう、そうなんですよ。俺が死んだらまだ幼い娘と病弱な妻と働かない夫が悲しんでしまいますよ!」

 

「その家族構成だとあなたは何なんですかっ!?既に一家族できてますけど?」

 

「ちがった!えっとなんだっけ?病弱な娘と働かない妻と幼い夫でしたっけ?」

 

「それもおかしいですよっ!?あなた私を騙しましたねっ?」

 

「っな、こんな単純な手で騙される人がいるとはっ!?じゃなくて騙してはいませんよ!!」

 

「思いっきし本音喋ってますけど・・・」

 

「し、しまったっ!つい、嘘をついてしまった。こんな美少女さん騙すつもりなかったのに・・・、

 実のところホントに家で娘がお腹を空かせて待っているのに・・・・」

 

「いや、もういいですから、とにかく私を騙そうとしましたね!許せません。ここで斬り捨てます!」

 

「ちょ、そんな短気を起こさないでっ!!

少女の長刀が振り下ろされる。あぁ俺の人生短かったな・・・。今までの人生が走馬灯となって現れる。

 

 

ザザーン  ザザーン  ババッ  東○

 

ちょ、俺の人生東○監修なの!?ゴジラと一緒かよすげーな俺。まぁポップコーン片手にゆっくり観るか走馬灯。

やっぱ少年の時に観たゴジラが思い出されるな、あの時は純粋だったなぁ・・・。

 

 

 

にゃぁ~ん

 

 

 

ん?誰だよ、映画館に猫連れ込んだのは、マナーなってないな。頭がカメラになった人に怒られるぞ。

あ、これは俺が小学生の頃道場で遊んでてつい転んで窓ガラス割った時のだ。

いや~、あの時はじいちゃんに怒られたな~、懐かしい。

 

 

にゃぁ~ん にゃぁん 

 

 

「にゃ、にゃんでこんなトコロにお猫様が!?にゃ、にゃぁ~ん」

 

あれ?猫2匹もいるよ、ったく走馬灯くらいゆっくり観させろよ。ってあれ?今人語しゃべってなかった?

視線を向けると先程まで殺気を放っていた少女が猫に向けで正座していた。

 

「お、お猫様!!どうかこの貢物を受け取ってくださいっ!!そしてその代わりといってはなんですが、どうか一撫でだけでも・・・」

 

 

 

 

 

 

あれ?何これ?

 

 

 

 

 

「ただいま~」

 

「ん?なんだ一刀か?生きていたのか?」

 

「そりゃ生きてたよ!!なんだよそれもっと心配しろよ!!だいたい大変だったんだぞ。どっかの性悪軍師に無茶振られて」

 

「むむ、性悪軍師とは誰のことだ?我が軍にはその様な者はいないと思うがな。もしいたとしたらその性悪軍師殿は

 任務を途中で放棄した者を許しはせず。軍規にのっとって処分するだろうな。文字通り処分な。

 

 

 ところで一刀よ。ちなみにだが我が軍にはいないよな、その性悪軍師は」

 

 

 

「はい、いませんでした。私の勘違いでした。我が軍の優秀で優しい軍師殿の献策によって索敵を命じられましたが、

 任務途中で戻ってきてしました。どうか勘弁して下さい」

 

「ふむ、私も少しばかりは心が痛んでいたのだよ。だが一刀なら出来ると思ったがまぁいい。

 何より無事で戻ってきて嬉しいよ」

 

「ちなみに戻るまでに大冒険が4つくらいあったのだけど聞いてもらえる?」

 

「いや、忙しいから遠慮しておく」

 

「お前ホント話甲斐のない奴だな。それだけで3話は消費できるぞ!!文庫本で言うと上下段使って全体の3分の1はあるぞ!?

 印税の3割だぞ!!まったくボロイ商売だよ・・・」

 

「何を言ってるかさっぱり分からんよ」

 

「それは何よりで。ところで伯珪様は?まだ頭おかしい状態?」

 

「仮にも君主に対してそれはないだろ。伯珪様なら正気に戻られたが、いや戻られたからこそか・・・、今は自分の天幕に篭っておられる。

 誰も入れるなとのことだ。それと頭おかしいのは一刀、お前だ」

 

「どこの思春期さんだよ。そんな昔の事の厨二病を思い出して引きこもるような・・・、ぅわ、嫌な事思い出した、死にたい」

 

「そうか、あっちの崖から飛び降りるといいぞ」

 

「いや止めろよ!

 いや、あれはギリギリ大丈夫なはず、黒歴史じゃない、少しヤムチャだっただけ、大丈夫大丈夫」

 

「まったく大丈夫じゃないからな、それ」

 

「んで伯珪様がそんな状況なら公孫軍はどうなったの?てか連合軍としての行軍は?

 あと頭おかしいとか言うな、傷つく」

 

「ふむ、我が軍は未だ後方にいたから知らなかっただろうが連合軍は既に関を突破している。

 口ばかりで先陣も切れない様な軍は後ろの方で待機してなさいとは連合軍盟主様のお言葉だ。

 ちなみに先陣をきり、あの天下無双の呂布とも相得たのはこの間まで伯珪様の客将だった劉備の軍だ。

 関雲長と張益徳の武勇はこの連合中に広まっただろうな。その辺も踏まえて我が君主様はご自身の天幕に引きこもっている」

 

「いや、伯珪様が引きこもっている理由はだいたい想像がつくからいいです。

 しかし、劉備軍か・・・、やはりでてきたか・・・」

 

「ん?なんだ?一刀は劉備や関羽のような胸の大きいのが好みか?それとも張飛のような何も知らない幼女を自分の欲望のまま

 汚すのが趣味なのか?そうだったら一回と言わず五千回くらい死んで人生やり直した方がいいぞ。

 地味でこれと言った特徴のない伯珪様のことを考えてやれ」

 

「お前の方が伯珪様に酷い事言ってるからな。そこまで言うならお前はどうなんだよ」

 

「何を言う、私は知的暴言クールキャラという第二の星野ルリキャラポジションを確立しているだろうが」

 

「いや全然違うからルリルリはもっと可愛いから!俺のルリルリを汚すな!!それにメタ発言やめろ」

 

「っは、バカばっか」

 

「違うルリルリはそんなただ蔑んだだけの目をしていない、もっと冷たいけど心の奥底では純粋で愛くるしいという目をしている!!」

 

「・・・、お前ホント死んだ方がいいな」

 

 

 

虎牢関をいつの間にか劉備軍が突破し、その勢いに乗じて曹操軍、孫策軍、そして袁紹の本隊が突入した時、公孫軍は後方にいたらしい。

その間俺はと言うと、どこかの忍者さんに捕まり命危うしというところだったが、なぜかその忍者さんが猫と戯れ始め、

その隙を突いて逃げ出していた時だった。

 

 

 

 

 

「よし、者ども、虎牢関では戦功を取り損ねたが、洛陽一番乗りこそ我が白馬義従の独壇場よ!

 我等の騎馬術に適う者はいない。このまま一気に洛陽を目指すぞ!!!」

 

「伯珪様、もう心の病はよろしいので?」

 

「ん?なんだ北郷よ、死にたいのか?」

 

「いえ、まだ生きていたいです」

 

「そうか、なら死ね」

 

「いやいや、生きていたいですって、すいませんでした」

 

「はぁ、わかったよ。じゃあ苦しんで死ね、というか苦しまして殺そう」

 

「っすいませんでしたー。我が君主殿に対する無礼を働きまして事をお許し下さい」

 

「なぁ元直、鉄の処女って持ってたよな?」

 

「ちょ、伯珪様っ!?そんな拷問器具準備しないで下さい!!しかも持ってる前提?

 今この瞬間の俺の渾身の土下座をどうか無為にしないで下さい」

 

「っは、伯珪様、あれは実はその時代には実在しないと言われているそうですが、私自ら改良したものなら準備しております」

 

「おい、元直!なんでそんなもの準備してんだよ!後それも時代先どってるからな、おかしいからな!!」

 

「私が改良した物は男性に使うとまさに至上の苦しみを与えるという物でして・・・」

 

「そんな改良しなくていいから!!それに楽しそうな顔して説明始めるなよ!!!」

 

「時間をかけ男性の象徴を少しずつ苦しめていき、そこから命の危機、肉体の限界を感じさせつつ、さらに精神の崩壊を狙い・・・」

 

「怖いから!!!何得意げな顔で詳しく話し始めてるんですかっ!?ホントはそんなもの持ってないよね!冗談だよね!?」

 

「ふむ、さすがは元直だ。ちゃんと手入れをしといてくれな。そろそろ使うかもしれないし」

 

「他には馬で両手両足を縛りそのまま四方に一気に引っ張るという手法も原始的かつ味がありいいかと」

 

「お前ホントいい加減にしろよ!!怖いから!!さっきから目キラキラしてるからね!

 俺を無視して話を進めないで下さいよ!!そして伯珪様ホントに許してください」

 

「っはは北郷よ、冗談にきまっているだろ。・・・今のトコロな」

 

「・・・今のトコロですか。今後気をつけます・・・」

 

 

 

 

「おい元直」

 

「ん?なんだ一刀、鉄の処女の処女性について聞きたいのか?安心しろお前が初めてだ。

 ゆえにお前はこの乙女の処女を奪える訳だ男として本懐だな」

 

「今そんな話してないから!!第一それは乙女じゃないから!!どちらかというと魔女だし!悪魔だよ!

 それに処女じゃなかったらお前の人間性を疑うよ!!」

 

「まぁまぁいいじゃないか、処女信仰というのは男の勝手な押し付けでしかないぞ」

 

そんなこと語ってないし、そ、それに処女信仰なんてしてない。ただ付き合う人はお互い初めてでって・・・、

 

「気持ち悪いなお前」

 

「何俺の心の声聞いてんだよ!?

 そうじゃなくて洛陽見えてきたんじゃねって言おうとしてたんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なー、北郷」

 

いつものように執務室で仕事に追われていると同じ部屋にいる伯珪様からお声がかかる。

 

「はい、なんでしょうか?伯珪様。ちなみに休憩でしたらそっちの竹簡の山が終わるまでありませんからあしからず」

 

「うえぇっ、そりゃないよ。じゃなくて反董卓連合私ら参加したじゃん」

 

「えぇ、しましたね。結局洛陽の飢えを全て連合で賄うことはできず、

 曹操が献帝を奉じて許昌に遷都して、そこに大部分の民も移民できたので助かったらしいですね」

 

「なー、曹操すごいよなー」

 

「まぁ我が軍も洛陽1番乗りをし、民からも感謝されましたし白馬義従の精強さも見せれたのではないですか」

 

「そうかもしれないけどさ、曹操が1番いいとこ持ってたじゃん」

 

「えぇ、それに袁紹が激怒して戦が近いんじゃないかって話ですねー」

 

「うん、そこまでは知ってる。でさ麗羽のトコも軍師陣は馬鹿じゃないからまず後顧の憂いを断つと思うんだよなー」

 

「でしょうねー、連合軍で見るに袁紹は好戦的でしたしねー。自分が1番じゃないと気に入らないってトコでしょう」

 

「そうなると地理的に後顧ってうちだよな」

 

「えぇ、そうですね。まぁその辺は元直と話し合ってください。俺はちょっと自分探しの旅に行かないといけないので失礼しますね」

 

ガシッ

 

さらっと逃げ出そうとした俺を伯珪様が本気で掴んでくる。いや、痛いですって。

冗談じゃないですかー、もうやだなぁ。俺が伯珪様を見捨てるわけないじゃないですか。

 

「ッチ、逃げそこなったか、まぁいい夜にでも抜け出して・・・」

 

「お前本音と建前が逆になってるからな。それとお前の部屋にはこれから毎晩監視つけるからな、今決めた」

 

「いやいあy、ほ、ホントに冗談ですって。それより、いやーどうにかしないといけませんね。真剣に。

 まぁあの袁紹ですし煙に巻けなくもないですが、そこは腐っても名家、優秀な官僚がたくさんいますからねー」

 

「人は自分が不利になると饒舌になるってホントだよなぁ」

 

「え、何か言いました?いいなー優秀な官僚、うちも欲しいなー」

 

「欲しいな、切実に、真摯に、真剣に、全力で欲しいな」

 

「そこまで力こめて言われるとちょっと引くんですけど」

 

俺と伯珪様が他愛もない話、もといこれからのことを考えた真剣な話をしていると執務室の戸が叩かれた。

 

「ん?誰だ」

 

「っは、失礼します。伯珪様にその、ご報告が・・・・」

 

「その声は文官その1か、いいぞ入れ」

 

「いや、伯珪様文官その1って・・・」

 

「なんだ北郷?何か文句でも?」

 

「いや、ないですけど」

 

踏み込んではいけない世界の闇に踏み込もうとした俺を伯珪様が止める。

いやでもそこは突っ込むトコロでしょ。まぁ文官Aとかでないだけギリギリましか。

 

「そのですね・・・、申し上げにくいんですが、先ほど元直様に仕事の報告に行った時なんですが、

 机の上にこのような書置きが・・・」

 

「ん?どれどれ?この間頼んでいた予算の割り振りが出来たのか?・・・

 

そう言ってその書置きを見た伯珪様が固まる。文字通り固まる。

力が抜けたのか竹簡が地面に落ちる。

 

「どしたんですか?また悪口でも書いてあったんですか?俺にも見せて頂けます?」

 

文官その1さんが伯珪様よりこぼれた竹簡を俺に渡す。

あぁ、この人はよく見る人だ。確か元直の部下だった人だろう。よくその上司の愚痴を肴にお酒を一緒に飲んでる。

でも文官その1さんだ。名前はまだない。

んで書置きか・・・、嫌な予感しかしないが・・・、どれ

 

 

『ちょっと自分探しの旅に出て来ます。探さないでください。元直

 P.S 田豫ちゃんはかわいいので連れて行きます』

 

 

「げんちょくさあぁああああああああああああああん!!!」

 

 

 

 


 
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