No.573343

真・虐姫†無双 #__

一郎太さん

という訳で、単発ネタ。

GWの暇潰しにでも。

どぞ。

2013-05-05 21:37:45 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:8592   閲覧ユーザー数:5687

 

 

 

#__

 

 

俺の名前は北郷一刀。とある高校に通う学生だった。そう、『だった』。今は、その身分にはない。

どういった原理なのかは分からないが、俺は別の世界に飛ばされてしまったのだ。歴史資料館で見ていた銅鏡が急に光り出したかと思えば、俺は荒野に倒れていた。

 

「あ゙ー…仕事入んねーな……」

 

訳も分からないままなんとか街へと到着し、状況把握に努める。分かったのは、ここが後漢時代の中国である事。街の名前は、忘れた。

 

「街に繰り出すか…?」

 

そこからは、生きる事に必死だった。黄巾の乱が起きた時には義勇軍で戦い、それが落ち着いてからは飯屋で仕事を始める。

 

「いや、でもアイツらまた来るだろうしなぁ……」

 

ある程度金が貯まってからは街の中でも人通りの少ない場所に店を構え、何でも屋を開いた。『万屋・北郷』だ。仕事内容は、本当に『何でも』。店や大工なども手伝うし、軍を手伝う事もあった。その所為で、変な奴らが居つくようになっちまったが……。

 

コンコン。

 

「言った端からコレだよ……」

 

 

 

 

 

 

コンコン。

 

「だが、無視だ無視」

 

退屈だからと言って、予定が埋まればよい訳ではない。こういった日に客が来る事はない。それは経験から分かっている。そして、そんな日に来る奴なんて、たかが知れている。

 

「という訳で居留守、と」

 

布団を被り直し、ソファ(自作。長椅子に布を何重にも貼りつけ、その上からなめした革を張り、座り心地・寝心地を良くした)で寝返りをうつ。

 

ドンドンドン。

 

「ちっ、うるせぇな。今日は居ねーんだよ。つか、会いたくないんだよ。わかれよ」

 

ドンドンドンドン!

 

「うっせぇ! 我慢比べだ。ぜってぇに出ねーぞ」

 

ドンドンドンッ――。

 

「……おっ? 諦めたか?」

 

そんな風に耳を塞いでいれば、ノックの音がだんだんと小さくなり、遂には途絶えた。俺は勝利を確信し、

 

「おらぁっ!!」

 

ドガァアアアッ!!

 

「……なんだ、居るんじゃない」

 

……確信した途端、扉が派手な音を立てて破壊された。

 

 

 

 

 

 

その破壊者は俺の姿を認めると、スタスタと足を踏み入れ、

 

「あー、疲れた。北郷、お酒」

 

向かいのソファに腰を下ろして酒を所望した。

 

「自分でやれ。つーか、扉壊すの何度目だよ。直すのも大変なんだぞ!?」

「知った事じゃないわ。何でも屋でしょ? 自分で直せば?」

「だからそれが大変だって言ってんだよ!」

 

ったく、コレだから年増は。更年期か。

 

「何か言った?」

「いえ、何も」

「じゃあ、お酒持ってきなさい」

「ハイ」

 

首筋に剣を突き付けられた。なんで思考を読んでるんだよ。

 

「ほら、私って勘が鋭いし」

 

うるせぇよ。

 

 

 

 

 

 

台所から酒と乾き物を持って、居間に戻る。こいつ、阿蘇阿蘇なんて読んでやがる。

 

「そんで、今日は何の用だ? また城で叱られたのか?」

「……」

 

無視かよ。この無下着(ノーパン)女ぁ゙っ!?

 

「いってぇ…杯を投げんなよ……」

「……」

 

やっぱ無視か。

だが、何も喋らないのなら、それはそれで丁度いい。俺は俺で好きに寝させてもらう。

 

「――――あら、また扉を壊したの、雪蓮?」

「あぁ、貴女も来たのね」

 

寝られない。

2人目の来客が、壊れて開放されたままの扉から入って来た。

 

「一刀、お茶」

「自分で入れろ、この貧乳女」

「何か言ったかしら?」

「イエ、ナニモ…」

 

鎌を突き付けられた。

 

 

 

 

 

 

「相変わらず貴方のお茶は不味いわね」

 

ソファ3つ目のソファも埋まり、2人の招かれざる客が好き勝手に過ごしている。

 

「じゃぁ自分で入れろや。これだから百合女は」

「百合の何処がいけないのよ。ねぇ、雪蓮?」

「あの良さが分からないなんて、これだから童貞は」

「どどどど童貞ちゃうわ!」

「どの口が言ってるんだか」

 

マジでムカつく。

 

「あれっ、また入口が壊れてる」

 

そして3人目。もうヤダ……(´∩ω∩`)

 

「お邪魔しまーす」

「いらっしゃい」

「なんでお前が答えてんだよ」

「あ?」

「お前、俺が口を開く度に凄むのヤメロよ! ぶっちゃけ怖ぇんだよ!!」

 

これだから百合は。

 

「百合を馬鹿にするのは許さないわよ」

「おわぁっ!?」

 

短剣が投げつけられた。

 

「お前なぁ、場所を提供してやってる俺に向けて、得物投げるとか有り得ねぇだろ」

「あ、あの……」

「手が滑っただけよ」

「えっと……」

「というか、投げられるのが嫌なら出てけばいいじゃない」

「その……」

「だから俺の家だって言ってんだろ! つーか今自分で『投げる』つったな! やっぱワザとじゃねぇか!」

「うるさいっ!」

「そう何度も当たるか!」

「びぶるちっ!?」

「「あっ……」」

 

孫策の投げた阿蘇阿蘇が、3人目の客――劉備の顔にぶち当たった。

 

「きゅぅ…」

「気絶したわね」

「気絶したな」

「貴方たちの所為でしょ、はぁ……」

 

曹操の野郎、ちゃっかり安全圏に居やがって。

 

「だれが『野郎』よ」

「いえ、何でもないです、ハィ……」

 

 

 

 

 

 

「いたた…タンコブ出来ちゃったよぉ……」

「おら、冷やしとけ」

 

気絶から回復した劉備に濡らして絞った手拭いを渡す。

 

「まったく、これだからバ一刀は…」

「ホントよねぇ」

 

いや、なんで俺の所為なんだよ。てか、なんで孫策もちゃっかり傍観者気取ってんだよ。

 

「相変わらず北郷はいちいち雪蓮に絡むわね」

「孫策が俺に暴力を振るってんだろ。俺は被害者だ。……ん?」

 

と、俺はある事に気づく。

 

「ははぁん? そういう事ね」

「なにその気持ち悪い顔。吐きそうになるからやめてくんない」

「相変わらず酷い事を言いやがる」

「呼吸を」

「死ねと!?」

「それ以外に意味なんてある訳ないでしょ」

 

それはいいとして。

 

「孫策、俺はようやく気付いたぞ」

「何を?」

「お前が俺に暴力振るうのって、アレだろ?」

「アレ?」

「ほら、素直になれなくて、好きな奴を苛めたくなるっていう」

「気持ち悪い妄想してんじゃないわよ。死ね、童貞仮性人が」

「どどどど童貞ちゃうわ! 仮に童貞だったとしても、ズル剥けだよ!」

「ウップ…」

 

曹操が口元を手で覆う。

 

「やめてくんない、そういう反応(リアクション)。マジに傷つくんですけど!?」

「華琳さん、大丈夫?」

「おい、劉備。なにマジで心配してんの? むしろ俺を心配してくれよ」

「え、どこを?」

「テメェもあどけない顔してえげつない事言うよな」

 

 

 

 

 

 

孫策は無言で酒を呷り、曹操は孫策が読み終わった阿蘇阿蘇に目を通す。劉備は曹操の肩越しからそれを覗き込み、曹操がページを捲る度に何事か感想を言っている。

 

「ねぇ、北郷」

「なんだ? ついに俺への愛を自覚したか? よし、ちょっと奥の寝室でしっぽりヤろうぜ」

「寝言は死んでから言え、このタコ」

 

死んだら寝言言えないよね?

 

「アンタ、今日は仕事ないの?」

「あったらこんな風にグダグダしてねーよ。なんだ、心配してくれてんのか?」

「当たり前じゃない」

 

あれ、デレ期来た?

 

「来るか、肺活動を止めろ」

「死ねと?」

「アンタに仕事がなくなったら、この場所がなくなるじゃない」

「あぁ、そういう事ね。自分たちが安らげる場所を残しとけって事ね」

「よく分かってるじゃない」

「アンタ王様なんだから、自分で適当に場所作らせればいいだろ。なんでこんな寂れた店に来てんだよ」

 

つーか曹操も劉備も王じゃねーか。なんで来てんの。

 

「だって、ここなら冥琳も知らないし」

「春蘭と桂花の喧嘩がうるさいのよ」

「愛紗ちゃんが怒った時の隠れ家かなぁ」

 

城の奴らにバラそうかな。

 

「あぁ、城にバラすなんて考えない方がいいわよ」

「華琳の言う通りね」

「うん、やめてね、北郷さん」

 

なんでだよ。

 

「ここをバラしたら、捩じ切るわよ」

「潰すから」

「すり下ろすかも」

「ナニを!?」

 

ひゅんとした。

 

 

 

 

 

 

なんとはなしに、話題を提供する。

 

「なぁ、この時期なんだけどさ」

「この時期……春の事?」

 

辛辣な言葉を吐きつつも、劉備だけは反応をしてくれる。

 

「あぁ。なんていうか、こう…夕方になると切なくならねーか?」

「夕方? うーん…わかんないかも。雪蓮さんと華琳さんは?」

「わからないわね」

「感傷に浸る北郷とか気持ち悪いわね」

「なに、孫策お前? 毒を吐かないと死んじまうのか?」

「……」

 

都合の悪い事は無視ですよ。

 

「あと、秋の夕方とか。朝昼はそうでもないんだが、陽が暮れかけて薄暗くなってくると、人が恋しくなるというか」

「北郷が気持ち悪い事を言ってるわよ、雪蓮」

「北郷の分際で恋を語るとか、身の程を知れって感じよね」

「なに、お前ら。俺が人並みの感情を持つ事すら許してくんねーの?」

「だって、アンタの言う『人恋しい』って、要するにヤりたいって事でしょ」

 

そこまで短絡的じゃねーよ。

 

「……あぁ、そういう事ね」

「何かわかったの、華琳さん?」

「いや、春と秋にヤりたくなるって、それ、犬や猫の発情期と一緒だって事よね。北郷、貴方の本能は獣と同等なのね」

「えっ、獣と同程度って……」

「本気でヒいた眼してんじゃねーよ! 地味に傷つくんだから、それ」

 

劉備もなに若干距離取ってんだよ。

 

「それって、北郷さんが犬や猫と…その、そういう行為をしたくなるって事?」

「いや、それは何かが違って――」

「「キモッ」」

「ボソっと言うなよ! 大声で言われるよりよっぽどキツイんだぞ!?」

「あー、喋らないでくれる? 酒が不味くなるわ」

「北郷一刀の当室内における呼吸行為を禁じます」

「だから死ねと!?」

「法で定めますので」

「敬語はヤメテっ、曹操さん!?」

 

ここは『万屋・北郷』。どんな仕事でも請け負う、何でも屋だ。だが、ここしばらくの間、変な女たちの溜まり場になっている。家主の俺の尊厳を傷つける3人組。こんなのが、この大陸を統べているらしいが……

 

「北郷、お酒切れた。買ってきて」

「お茶も切れてたわ」

「あ、じゃぁお茶菓子もお願いね」

 

……俺には信じられない。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で、金姫は放ったらかしで単発ネタ。

 

 

一刀くんをイジメたくなったので書いてはみたが……

 

 

……アレ? 今までで1番原作に近い一刀くんだ。

 

 

また思いついたら続きを書くかも。

 

 

ではまた次回。

 

 

バイバイ。

 

 

 


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