No.565923

【獣機特警K-9ⅡG】ロボちゃんズの一番長い日【交流】

古淵工機さん

ようやくロボちゃんズを動かせたと思ったらいきなりシリアスですかい。

■出演
ロボちゃんズ(http://www.tinami.com/view/553167http://www.tinami.com/view/553518http://www.tinami.com/view/556297 )
クオン(http://www.tinami.com/view/551025 )

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2013-04-14 02:10:47 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:869   閲覧ユーザー数:816

「マーリンちゃん!カーリンちゃん!いっしょにかーえろっ!!」

いつものように、ラミナ小学校の教室に元気な声が響き渡る。

柴犬形ロボットのマリンとカリン…ココノエ姉妹に声をかけたのは、キツネ形ロボットの長谷川麗奈。

彼女たち三人は3年生の同じクラス、ほかのクラスメートからこの三人組は『ロボちゃんズ』と呼ばれ、とても仲がよかった。

そんなロボちゃんズは放課後にはいつも三人で行動している。そして帰りがけにいろんな場所を冒険しているのだった…。

 

「なぁなぁ。何して遊ぼうか」

と、切り出したのはマリン。ロボちゃんズの中でももっとも活発で行動派。

男の子も顔負けの元気でさっぱりした性格だ。

「じゃあいつものようにラミナ市内を探検するって言うのはどうかな?」

と、レイナが答える。

「おお!そいつぁいい考えだ!!」

と、意気込むマリン。しかしカリンは

「…で、でも…」

「どーしたんだよカリン?探検面白いじゃん!」

「…でも危ないよやっぱり。もし怖い人たちとかが出てきたら…」

「大丈夫だよ。三人いるんだから」

と、おびえ気味のカリンを励まそうとするレイナとマリン。

「じゃ、じゃあママに電話してもいい、かな…」

「そっか。マリンちゃんとカリンちゃんのママって警察官だもんね」

「んー、そこまで言うならいいか…」

マリンとレイナの言葉を受けて、カリンは母親である久遠・ココノエに電話をかけた。

電話、といっても、ロボットである彼女には通信機が内蔵されており、それで離れた相手との通話が可能なのである。

「もしもしママ?えっとね…」

 

しばらくして、カリンはマリンたちのほうに向き直り言った。

「えっと…『何かあったらすぐに連絡して』だって。あと、あんまりキケンな場所には行かないようにって」

「よーし!それじゃあさっそく!」

「ラミナ市内の探検にレッツゴーっ!!」

かくして意気揚々と、探検に繰り出すロボちゃんズの三人。

しかし、今日がまさか三人にとって一番長い一日になろうとは、誰も知る由もなかった…。

工業C地区。

「うわー、すっげー倉庫だなあ。探検のし甲斐があるぜ!」

「あ、あんまり勝手に入っちゃ駄目だよ。怒られちゃう」

「わーってる。フェンスの中には入ったりしねーよ」

と、フェンスの向こうにある倉庫や工場を見て、目を丸くする三人。

ふと通りかかったホッキョクグマ形ファンガーの工員が、声をかける。

「おや、お嬢ちゃんたちこんなところで珍しいね。何してるんだい?」

「はーい!私たちラミナ市内を探検してるんでーす!!」

と、元気よく答えるレイナに、工員はさらに続ける。

「そうか、探検ねぇ。元気があって大変結構。でも工場にはキケンなところがいっぱいあるんだ。そういう場所にはたいていフェンスがついてたりするから、勝手に入ったりしないようにね。じゃあオジさんは忙しいからこれで失礼するよ」

「「「はーい!!」」」

…工員は隣にある倉庫へ向かって歩いていった。

「ねえ、私たちも先に進もう」

「よーし!じゃああそこの貨物線まで競走だ!!」

「あーん、待ってよぅー!」

と、走り出すレイナとマリン。続いてカリンが追いかける。

 

…貨物線の横を走る道路。

「いやー、今回もまたオイラの勝ちだったなー!」

「くぅ、マリンちゃん足速すぎだよぉ」

「もー、ヘトヘト…」

と、少々お疲れ気味の三人の耳に、なにやら話し声が聞こえる。

「…ねえ、なんか声が聞こえない?」

「あっちの倉庫の近くだ…」

三人は音声センサーの感度を上げ、声の聞こえてきた方向に神経回路を集中させる。すると…

「…へへ、これだけのトリップ・ドラッグがあれば一生遊んで暮らせるぜ。流石スレイさんだ」

「そうだろ?こいつをまずはこの工業地域一帯。そしたら今度は学園地区にもばら撒いてやる。中毒者が増えていけばめちゃめちゃになる。そうすりゃあんたは儲かるし、オレたちも好き勝手暴れられる。一石二鳥ってやつだな」

なんと話の内容は、違法ドラッグの取引だった。しかもその相手はとんでもない人物だったのだ!

そう、あのブラッドファミリーのボスである、スレイ・ブラッド。彼はこの薬をラミナ市中にばら撒き、中毒者まみれにしようとたくらんでいたのである!!

 

「大変!すぐにママに知らせなきゃ…」

と、カリンが通信を入れようとしたそのとき、走ってきた貨物列車が巻き起こした突風にあおられ三人はバランスを崩し倒れこんでしまった!

「うわ!?」

「きゃ!?」

「いて!!」

しかも運が悪いことに、その音にブラッドファミリーの一員が気づいてしまった!

「…おい、何だありゃあ?」

「クソ!聞いてやがったかあのガキども!捕まえろ!!」

三人めがけて走ってくるギャングスターたち。

「…ど、ど、ど、どうしよぉぉ!」

と、思わず目に涙を浮かべるカリン。

「逃げるしかねえ!走れーっ!」

マリンの号令を合図に、全速力で走り出す三人。

しかしいくら三人がロボットとはいえ、まだまだ子供である。

小学生タイプの機体が全速力を出したところで、そんなに早く走れるはずもない。

まして相手は大人。歩幅も速さも違う。じりじりとその距離は縮んでいくばかりだ。

「くそ!待ちやがれこのガキ!!」

「はぁ、はぁ…!」

それでも必死に逃げようとする三人。だが次の瞬間、三人は近くに落ちていた鋼材に躓き、将棋倒しになるように転んでしまった!!

「うわーっ!?」

しかもここで転んだのが運の尽きだった。

転んだことで一気に足止めを食った彼女たちは、あっという間に追いつかれ、そして…。

スタンガンを首筋に喰らい、そのまま三人とも機能停止してしまった…。

「…ん……?」

真っ先に目を覚ましたのはマリンだった。

見ると、いつの間にか彼女たちは強靭なワイヤーで縛り上げられていた。

「…いったいここは…っ!!!」

マリンがふと下を見ると、そこには赤く光る液体。

その液体からはすさまじい熱が出ている。それが何なのかは、マリンにもすぐにわかることだった。

そう、彼女たちは今まさに、溶鉱炉の上につるし上げられていたのである!!

 

「おいっ!カリン!レイナ!起きろっ!!」

「ん…な、なぁにマリンちゃん…」

必死に声を張り上げ、カリンとレイナを起こすマリン。

「…マズいぞ。どーやらオイラたち捕まっちまったみたいだ」

「…そのとおり。そしてこれからテメーらはこの溶鉱炉の中にブチ込まれるってワケだ」

「その声はスレイ・ブラッド!!」

見ると、溶鉱炉の近くにある足場の上にはスレイと、数人のギャングスターが立っていた。

「ハッハッハ。悔しいか?でも仕方ねぇよなァ、テメーらは知っちまったんだからよ?ん?」

「くっ…」

狂ったような笑みを浮かべるスレイを睨みながら、歯を食いしばるマリン。

「安心しな。タダじゃ殺さねえ。幸いにもテメーらは三人ともロボットみてぇだし、いったん溶かしてからウチの一家として生まれ変わらせてやんよ。アッハッハハハハハハ!!!!」

「ふざけんなぁ!そんな事されて嬉しくなんかねーっての!!」

「いやぁぁ!助けておかぁさぁん!!」

立ち去っていくスレイに怒鳴りつけるマリン、泣き叫ぶレイナをよそに、カリンは落ち着いた様子で言った。

「…マリンちゃん、レイナちゃん。大丈夫だよ」

「大丈夫だァ!?この状況でよくそんなことが…!」

「…大丈夫、だよ。さっきママたちに緊急シグナルを送っておいたから」

…操作室。

「さて、そろそろだな?」

時計を見ていたスレイは、操作盤に座っているギャングスターに目をやると、不気味な笑みを浮かべながら言った。

「…さぁあと15秒だ。せいぜい祈りながら溶けちまいな」

と、時限スイッチのボタンをスレイが押そうとしたその瞬間、精密な射撃が操作盤にいたギャングの右腕を撃ち抜く!!

「ぎゃっ!!」

「な、なんだ!?」

スレイが振り向くと、そこに立っていたのはイヌ形のロボット警官だった。

K-9隊のスナイパー、ナタリア・天神・フトライミツィと、同じく早撃ち自慢のジョナサン・ボーイングが入ってきたのだ!

「警察です!これ以上あなたたちの好きにはさせません!!」

「さぁ、大人しくしてもらおうか!」

じりじりとスレイに詰め寄るナタリアとジョニー。だがスレイは懐からボタンを取り出すと、二人を挑発し始める。

「おーっと、動くんじゃねえぜテメーら。オレ様がこのボタンを押したら…今そこに吊るされてるガキどもが溶けちまうぜ?」

「くっ、卑怯な真似を…」

「ひゃっひゃっひゃ!さァどーする?K-9さんよォ!」

と、スレイが勝ち誇ったように笑っていた次の瞬間、溶鉱炉のスイッチが何者かによって操作され、三人組を吊るしていたクレーンがゆっくりと炉の中心線から外れていく。

「なっ…なんだ!?」

…なんと、溶鉱炉の上にあったクレーンの非常操作ブースに、煌月空が座り、クレーンを操作していたのだ!

やがて、クレーンが足場の上に下ろされると、縛られている三人をめがけて走ってくるロボットが一人。

 

「マリン!カリン!!それにレイナちゃんも無事か!?」

「母ちゃん!!」

「ママ!」

「クオンおばちゃん!!」

そう、彼女たちのSOSを真っ先に受けたクオンだった。

クオンはソニックブレードでクレーンのワイヤーを切断すると、自由になった三人をしっかり抱きしめた。

「よかった…みんなが無事で本当に…!」

「か、母ちゃん…!」

「ママ…怖かったよぉ…!」

「おばちゃん…うわあぁぁぁあああ!!」

再会を喜び合う母と娘たちの姿を見届けたジョニーはギャングスターの方に向き直り銃を構える。

「さぁ、テメェらまとめて署まで…お!?」

だが、その一団の中にはスレイの姿はなかった…。

 

GOD DAMN(チクショウ)!!スレイの野郎、逃げやがったか!!」

「落ち着いてジョニーさん!とにかく、ここにいるギャングスターだけでも確保しましょう!」

…かくして、ロボちゃんズの三人は救われ、現場にいたスレイ以外のブラッドファミリーのギャングスターは全員逮捕と相成った。

…翌日、カフェ・ラ・ヴォルペ。

「…へぇ、そんな事があったんですか」

会議の合間を縫って昼食を食べていたテオ・カシイ・アインリヒトは、クオンの話に耳を傾けていた。

「まったくヒドい奴らだよ。タダでさえ罪のない人々が奴らに殺されているってのに、僕の娘たちにまで手を出すなんて。あいつら命を何だと思ってるんだか」

「…ブラッドファミリー…あいつらは利益のためなら平気で罪のない人々に手をかける。俺も正直アイツらみたいな悪党は大嫌いですよ…」

「だからこそ、僕たちは立ち向かっていかなきゃいけないんだ。小さな命を消してしまわないために…っ!?」

と、クオンが振り向くと、そこではロボちゃんズの三人が無邪気に遊んでいる。

「ちょ、痛い痛い、こらー!尻尾を引っ張るな!」

と、悲鳴を上げているのはライドアーマー隊所属の煌月陸斗だ。

「あっ!?リク君!!」

「ク、クオン隊長助けてくださいよーっ!」

「こらマリン!あんまりお兄さんに迷惑かけちゃ駄目でしょ!!」

「わー!母ちゃんが怒ったー!おっかねー!!」

「だからやめようよって言ったんだよぉ…」

「マリンちゃんってば本当やんちゃさんなんだから…」

…こうしていつものように、ほがらかな昼食風景が繰り広げられる休日の昼下がり。

だが忘れてはならない。その平和の影で暗躍する悪党は無数にいるのだ。

戦えK-9隊よ!子供たちの笑顔と、その未来を守るために!!


 
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