No.562126

恋姫無双・異端録4 楼桑村編2

fryttoさん

ハートフル田舎ライフ()
駄文シリーズ第4弾はじまります。

2013-04-03 01:00:50 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1006   閲覧ユーザー数:896

 

主に桃香の手伝いをしながら出来ることを探し数ヶ月の平和な日々が流れた。

その頃には一刀は村に溶け込み主に薪割りや整地など力仕事を中心に活躍していた。村からも一目置かれるようになり、皆に認められ充実感を感じる日々を過ごしていた。桃香との仲も縮まった様で、昼休憩に弁当を持って一刀のもとに向かう姿と、夕方に仕事場まで迎えに来る姿がほぼ毎日見られている。

 

「桃香。俺、そろそろ狩りを覚えようと思うんだ。ご飯も増えるし、村にとっても狩りできる人増えたほうがいいだろうしさ。」

そう桃香に一刀が提案したのはそんな平和なある日のことだった。

「うーん。狩りは危険だけど・・・うん、でもそうだね。冬に向けて食料も蓄えないとだし。簡雍さんに聞いて教えてくれる人さがそっか。村長さんだし。」

そんなことを話しながら、一刀たちは簡雍のもとに向かった。

「ほう!劉備ちゃんが一刀のために狩りを教える人を・・・な。」

嫌な(いじられる)予感がする笑い方でニヤニヤ笑う簡雍のもとに顔を出したのは昼過ぎのことだった。一刀は知らぬことだが、生活知識の私塾など開いている人など居ない為、教えてくれる人というのは自分で探すものである。他人のために教師を探すというのはしないのだ。つまり・・・

(劉備ちゃんにとって、一刀君はもう他人じゃないということだな!なんと弄りがいのあr・・・はっはっは。未来は明るいな!・・・しかし一刀、外堀埋められてるな・・・男としてそのあたりは同情せざるを得ないな。無論喜ばしいことだが。)

と、周りからは判断されるのだ。桃香がそれに気がついているかどうかは別として。

 

「まぁ、そういうことであるのならば・・・っと、韓程のヤツは腰を痛めて狩りに出れなかったな・・・ふむ・・・人物に少々問題はあり流れ者ではあるが程遠志に言うと良いじゃろう。」

それを聞いた一刀達は礼を言うと「礼は猪でいいからな!」という言葉を背に程遠志の所へと向かった。

 

「程遠志さーん!いらっしゃいますかー?」

と桃香が声をかけると家の中からひとりの男が出てきた。出てきた男は一刀のことなど目に入らない様子で桃香にやけに早口で話しかけた。

「や、やあ劉備さん!フヒッこんなところで奇遇ですね!って俺様の家だった・・・フヒッ それできょうはどんな用事でっ。」

一息で程遠志は言い切ると桃香を粘着くような目線で眺め始めた。そんな様子に桃香は気持ち悪さと若干の恐怖を感じ、一刀の背に隠れながらも程遠志に一刀の紹介をした。

「え、えっと。今日はこちらの北郷さんに狩りを教えていただきたくて。」

桃香が姓で一刀のことを言うのは話し相手を信用してない証だ。一刀という名前を真名とまではいかなくてもそれに近い形で考えてる証でもあった。

 

「程遠志さん!本日はよろしくお願いします!」

桃香が嫌がり気味の悪さを覚えていたとしても、一刀自身は教えを請う身だ。少なくとも狩場のルールや危険な場所を知るまでは教えを請わなくてはならない。それさえ知ってしまえば狩りは未経験というわけではないのでその内狩れるようになるだろう。と一刀は踏んでいた。

 

そんな一刀に程遠志は苛立ちを隠そうともせず睨みつけると

(ちっ・・・なんで俺様がアイツなんかに教えなきゃいけないんだよ・・・邪魔ばっかりしやがって!・・・ん?そうだ・・・俺様ってば冴えてるぅ!)

なんてことを考えていた。こうして程遠志による狩り指南が始まったのだった。

 

1日目は弓の扱いだった。非常に質の悪い弓とも言えないような弓であった。桃香も見に来ていたことから上手く扱えず道具のせいにする一刀を見せて悪く言おうとしたのだろう。だが天正の一刀は元々弓馬に優れた武将であった。獲物の大鉞と常に前線に立つスタイルから弓のことは皆から忘れられているが森に入って枝と蔓で弓を作りそれで狩りができるほどに弓には精通しているのだ。伸びきった弦を軽く張り直し射ち、問題ない評価を得た。

 

2日目は山の歩き方だった。狩り対象の足跡をどのようにして見つけるか。などだ。迷った時にどうするべきか。というのも習った。といっても、桃香がいないときは目に見えてやる気がなく適当だったが。それでも狩りのルールはありがたく教わった。

 

3日目は休日だった。というのも程遠志が2日ほど狩場に篭るからだ。程遠志が戻ってきてから山に狩りに行くということになった。

 

狩りの基礎を習ったこの3日間、昼時には桃香が必ず弁当を持って来ていた。午後も遠巻きに眺めてたり時間が空いているときは常に覗きに来ているようだった。

 

そして5日目。約束した狩りに行く日だ。一刀は桃香に

「簡雍さんの礼の件もあるし、何かとってくるよ。それじゃ行ってくるね。」

と微笑みながら告げると「怪我に気をつけて頑張ってね!」という桃香の言葉を背に受け、自分で作った弓矢を背に担ぎながら程遠志の元へと向かった。

「やっと着たか。チンタラしてんじゃねぇよ、おらっ!行くぞっ!ったく・・・ブツブツ」

一刀は程遠志が一刀を詰りながらズンズンと山の中に入っていくのを見て慌てて追いかけながら

(俺、なんか悪いことしたっけ?)と考えていた。

 

「ん?おぉ。北郷。お前アレ狩れ」

山の中腹森の中、離れたところにいる猪を程遠志は見つけ一刀にそう言った。ニヤニヤ笑っていたことが気にはなったが、一刀が射てるところまで移動するとそこは崖際だった。危険な場所ではあったが、倒れないように足場を固定し矢を番え弓を引き絞り解き放とうとした瞬間

 

ドン!と横から押された。一刀は当初理解できなかった。自分は風に押されたのか人に押されたのか。人におされたとしたらなぜ押されたのか。誰が押したのか。首を衝撃が来た方向に向けるとそこには両手をこちらに突き出した程遠志がいた・・・

 

(お、お前が悪いんだ!劉備・・・いや、桃香は俺様の女なのに!俺様の女なのが桃香にとって幸せなのに!お前が横から奪ったんだ!だから・・・俺様も奪い返すんだ!フヒヒッ俺様は認められるべきなんだ!お前さえいなければ桃香も!村の信頼も!全部俺様のものだったんだ!これで・・・)

ガサッと草が擦れる音がした。

ビクッと振り向くと離れたところから

「おぉーい!そこに誰かいるのかー!このあたりは崖が草で隠れてる場所があるから危ないぞー!」という声が聞こえる。

(大丈夫だ。バレてない。誰も見てない。このままヤツが足を滑らせたことにして・・・いや、ヤツが勝手に静止を振り切ってこっちに来たことにすれば・・・それにココにのこのこ来るような奴なら突き落としてやれば・・・フヒッ)そこまで程遠志は考えると声をかけてきた人に声を投げ返す。

「おぉーい!こっちだー!大変だ!北郷が落ちた!俺は止めたのに!」

呼び声に近づいてきたのは程遠志もよく見知った妙齢の女性だった。

「か、韓程さんだったのか・・・ほ、北郷がここからっ・・・!」

(コイツは顔役の一人だったな・・・ダメだ落とせないっ)

「な、なんと!それは・・・!程遠志!すぐに下山し簡雍に伝えよう!」

慌てて言う韓程に程遠志は、韓程を殺害できないことに内心舌打ちしながらも

「わ、わかった!すぐ行こう!」

と頷き、村へと移動を開始した。

楼桑村では桃香が奮発し食材を多く買っていた。何せ、秘密(皆にバレているが)だが自分が好いている男が初めて狩りに出て帰ってくるのだ。これほど目出度い日はない。

(簡雍さんも韓程さんも呼んで・・・宴かなっ)

「あら、劉備ちゃん!ご機嫌だねぇ!何かあったの?」

と話しかけるのは商店のオバちゃんだ。問いかけておいて自分で回答を見つけたらしく

「あぁ!今日だったねぇ・・・北郷君の初狩り!」

「はいっ、一刀頑張っていたので今日は人呼んで楽しもうと思って!」

そうするとオバちゃんは昔を思い出したらしくその身をくねらせながら

「あぁっ!思い出すわぁ!ウチの旦那も初狩りの後は食事もその後も激しくてねぇ・・・!」

などと言いながら思いで話が続いていく。そんなオバちゃんに桃香は若干引きながら

「あ、あはは・・・」

と苦笑いをするしかなかった。

 

夕方になり、桃香は食事を作り始めた。思えば一刀が来た当初は全く料理ができなかったものだが、今では宴会の料理まで作れるほどになっていた。まだ一刀の方が料理は上手だが・・・その内「桃香の料理は美味しいよ」と言わせてやる!と思っていた。

 

あたりも暗くなり料理も作り終わった。だが一刀は帰ってこない。

 

暗くなってしばらく経った。料理はすっかり冷めてしまったようだ。

(せっかく作ったのに・・・寄り道してるのかな。戻ってきたら怒らなきゃ・・・うぅ・・・)

桃香の中には嫌な不安が渦巻いていた。

 

更に時間が経った。勢いよく家の扉が開いた。

「あ!お帰りなさい!もぅ!遅いよぅ!・・・?」

そこにいたのは一刀の姿ではなく簡雍だった。

「あれ?一刀は・・・?一緒じゃないんですか?」

簡雍と韓程は事前に誘っていて、一刀と一緒に家まで来る予定だったのだ。

その言葉を聞いて簡雍は桃香に走りよると膝をついて泣き始めた。

「うっ・・・っく。すまない劉備ちゃん。一刀は・・・」

その言葉を聞いて桃香はその先を察してしまった。

「そ、そんな・・・なんで・・・なんで・・・嫌ぁ・・・」

簡雍と同じく膝をつくと泣き始めてしまった。

しばらく経ち多少落ち着いてくると簡雍は

「韓程が、事情を知っているらしい。もう少しで韓程が来るから話を聞こう。」

と言い、桃香を椅子に座らせ韓程をまった。

 

「すまない!遅れた!」

深い悲しみを湛えた韓程が桃香の家にやって来たのは夜もだいぶ更けた頃だった。

「早速で悪いが、韓程。事情を話してくれんかの。」

桃香も早く事情を聞きたようで、韓程が家についてから作ってしまった料理を勧めながら目を見据え先を促していた。

 

「一刀は、程遠志に突き落とされた。」

韓程はそう話を始めた。そのほかにもその当時の状況、立ち位置を伝えた。尊大で高慢な程遠志を韓程はどうにも気に入らず、遠くで見ていたのだ。例え、程遠志が一刀を射ち殺そうとしたとしてもその前に韓程が程遠志を射ち殺せるその間合いに韓程は潜んでいた。程遠志が一刀を突き落としたのは予想外だった。害意があるのならば、無駄にプライドが高く自己中心的な程遠志は必ず弓で射殺すと、そう踏んでいたのだ。

「こんな言葉じゃ済まないが、私のせいだ。見誤った私の失策だ。」

韓程は後悔していた。あの時自分が腰を痛めてなければ、少なくとも腰を痛めた。と簡雍に報告せず、自分が狩りを教えていれば一刀が突き落とされることは無かっただろう。そう考えると悔やんでも悔やみきれないのだ。韓程が持っている怒りは程遠志に対してだけでなく不甲斐ない自分に対してもなのだろう。

「ワシも思うところがないわけではない。もっと早く・・・いや、そも、流れ者の程遠志を村に受け入れさえしなんだらこのような事にはならなかったからな・・・。韓程!村の長として程遠志に罰を申し付ける!」

簡雍は悔やみきれない声で呟いたあと、威厳の篭った声で韓程に指示を与える。それに対し韓程は片膝をつき簡雍の言葉に耳を傾ける。

「程遠志!村の和を乱し、村人を殺害せしこと許すまじ!韓程!これより夜明けまで程遠志を硬鞭を使用した鞭打ちを少なくとも百度行い村の外に追放せよ!今後この村に立ち入らせること罷りならぬ!日が昇り次第捜索隊を組織し一刀の搜索に当たらせよ!」

一息にそこまで告げると韓程は「御意」と発言し刑罰を実行しに行った。

「何、話を聞いてみれば、まだ死んだと決まったわけではないさ。突き落とされただけだ。ワシも捜索に加わる。きっと見つかるさ。」

気休めだ。と感じながらも目に見えて憔悴している桃香の前ではそういうしか無かった。自身の言葉に励まされながらも、簡雍は桃香にちゃんと寝るように言い付けると桃香の家を後にした。

 

「一刀さん・・・」

桃香はその手で顔を覆ってしまった。桃香の顔にいつもの笑みが失われていた。

はしがき。

 

程遠志とかどう考えても名前がフラグというかなんというか。

ありがとうございます!って感じですよね。

 

閲覧してくださる皆様、コレクションしてくださった方ありがとうございます。

一刀さん落下しました。

落下系主人公ってやつですね!

 

しかしあれですね。気がついたら更にオリジナルキャラが増えてますね。

困ったものだ。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
10
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択