No.560711

ALO~閃姫After story~ EP8 結城家での夕食

本郷 刃さん

EP8です。
今回はタイトル通り、結城家で夕食を取ることになった和人の話しです。

どうぞ・・・。

2013-03-30 10:15:06 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:14317   閲覧ユーザー数:13003

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EP8 結城家での夕食

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

飲み物を飲んだり、他愛もない談笑を交わしながら話を続けていれば、時間はいつの間にか進んでおり、既に夕方となっていた。

 

「そろそろ帰らなきゃな」

 

「え? も、もう?」

 

「ああ、スグが帰ってくる頃だろうから」

 

「そ、そぅ…」

 

明らかに落ち込んだ様子を見せる明日奈。

確かに刻に連絡を入れれば、アイツならスグの相手を喜んで引き受けてくれるだろう。

それは別に構わないのだが、これ以上ここに残るということは夕食にまで食い込んでしまうということだ。

 

―――コンコンコンッ

 

「お嬢様、桐ヶ谷さん、そろそろ夕食の準備を致しますけれど、どうなさいますか?」

 

橘さんがそうドア越しにそう声を掛けてきた。

なんか俺が夕食を一緒にすることが当然な流れになっていないか?

しかも明日奈はというと上目遣いで「駄目///?」と聞いてくる始末だ、断る………訳が無い…はぁ。

俺は手早く携帯を取り出して登録しておいた番号を選択する。

コール音が鳴り、少ししてから目的の人物が出た。

 

『和人さん、何か御用っすか?』

 

「刻、すまないんだがお前、夜は何か用事があるか?」

 

『いえ特には…両親は仕事で遅くなるみたいっすから、9時頃には帰るとか言ってたっすけど…』

 

「もし良かったらなんだが、俺が帰宅するまでスグと一緒に居てくれないか?」

 

『え、それは構わないっすけど…いいんすか?』

 

「信頼も信用もしているからな……なんなら襲っていいぞ」

 

『襲わないっすよ//////!……と、取り敢えず、了解はしたっす…///』

 

「くくく…あぁ、頼む」

 

通話が途切れて俺は笑みを明日奈に向ける、彼女は嬉しそうな表情で橘さんに俺の分も用意するように頼んでいた。

まさか初めてきた恋人の家でいきなり夕食まで頂く事になるとは…。

 

「そういえば、キリトくん。電話は刻君だったみたいだけど、襲うって?」

 

「それは勿論、刻にスグを襲うようにと…「駄目だよ///!?」、まぁ断っていたから安心しろって」

 

俺的には両者の合意があれば構わないんだがな、そうなったらそうなったで2人を応援するし。

俺と明日奈は夕食までの間、再度ゆったり過ごす事にした。

そう2人で思った時の事だった。

 

「お嬢様、奥様がおかえりになられましたよ~」

 

「「……はい?」」

 

ノックの後に聞こえた橘さんの言葉、俺と明日奈は間をおいてから聞き返した。

奥様? つまりは京子さんの事で、帰ってきたという。

明日奈はすぐさま立ち上がってドアの元へ向かって開いた。

 

「あ、あの橘さん!? どうして母さんが!?」

 

「桐ヶ谷さんがいらした事をご連絡しましたところ、是非ともお会いしたいとのことで、お早くにおかえりになられました。

 今は着替えていらっしゃるところです」

 

なるほど、確か大学の教授を務めていると明日奈から聞いたな。残りの仕事は自宅でするつもりなのだろう。

 

「う、うそ…ど、どうしよう、キリトくん!?」

 

「なんで明日奈が焦るんだよ…。俺は別に大丈夫だぞ、また話したかったのは俺も同じだし」

 

「なら、いいけど…(母さん、根掘り葉掘り聞いてこないよね//////?)」

 

なにやら明日奈は悶々としているが、このままなのもいけないので橘さんに案内されるように俺達はリビングへと下りた。

 

 

 

「ただいま、明日奈。それからこんばんは、桐ヶ谷君」

 

「おかえりなさい、母さん」

 

「こんばんは、京子さん」

 

リビングには既に着替えを済ませた京子さんが居り、テーブルの椅子に座っていた。

挨拶を交わして俺と明日奈も向かいの席に腰を下ろす、さすがにこういう時は緊張するなぁ…。

 

「もう少ししたら彰三さんも帰ってきますからね」

 

「と、父さんも?」

 

京子さんのカミングアウトに明日奈も俺も驚いた、まさか彰三氏まで早くに帰ってくるというのか。

しかしこんな早くに話をする機会が訪れる事になるとは思わなかったよ。

 

「まずは和人君と呼んでもいいかしら?」

 

「はい、そちらの方がいいのでお願いします」

 

俺としてもそう呼んでもらえなら嬉しいからな。

 

「それでは和人くん……向こうでの明日奈との事、聞かせてもらえるかしら?」

 

「お母さん//////!?」

 

「是非聞いてください」

 

「キリトくん//////!?」

 

どうやらSAOでの明日奈との事が気になるようだ、俺視点での話しでもしてみるか。

なにやら明日奈が止めるように叫んでいるがこの際は無視だ。

 

 

 

そして夕食が完成するまでの間に俺達は話していたのだが…、

 

「ぁ、あぅ~~~//////」

 

ある程度話しを終えると明日奈は顔を真っ赤にさせている、茹蛸状態だ。

京子さんは笑みを浮かべながら彼女を見守り、俺は微笑を浮かべて隣の椅子に座る彼女の頭を撫でる。

 

「ふふ、まさか明日奈のこんな姿を見られるようになるとは思わなかったわ」

 

「俺は慣れたものなんですけどね(苦笑)」

 

明日奈は恥ずかしがっているもののどこか嬉しそうである。

溝があった家族との関係、それが埋まった事に喜んでいるのだと思う。

そうして話していると…、

 

「いま帰ったよ…おぉ、いらっしゃい桐ヶ谷君」

 

「「おかえりなさい、あなた(父さん)」」

 

「おじゃましています、彰三さん」

 

ついに帰宅なされた明日奈の父である彰三氏。

同時にキッチンより良い香りが漂い、橘さんがこちらにやってきた。

 

「おかえりなさいませ、旦那様。まもなくご夕食が出来上がりますので、もう少しお待ちください」

 

「ありがとう」

 

橘さんの言葉の後に彰三氏は一度リビングから出た。

少ししてから自宅での普段着に着替え、戻ってきた。

なお浩一郎さんは終わらせておきたい仕事があるそうで、遅くなるらしい。

そして橘さんと他のお手伝いさんの手によって料理が運ばれてくる。

父さんと母さんとスグには悪いと思うくらいに豪華な食事である、もしや俺が来たからかもしれないが…。

とにもかくにも、僅かな談笑を加えながらみんなで夕食を取り始めた。

 

 

 

夕食を終え、紅茶を飲みながら食後の休憩を取る。

 

「そういえば明日奈も和人君も4月から学校だが、勉強の調子はどうかね?」

 

彰三さんがそう尋ねてきた。

京子さんと同じように名前で呼んでもらうことにし、

喋り方もいつも通りで良いと言われたので出来るだけ自然体にするようにした。

 

「順調だよ。遅れることはないから、余裕が持てるかもしれないし」

 

「俺もです。元々2年前の段階で中学過程の勉強は終わらせていましたから、周りよりかはかなり前に進んでいますよ」

 

明日奈と俺が順に答えるも、俺の回答に3人は驚いた様子。まぁ普通に考えれば驚くよな。

 

「それはまた、凄いじゃないか…」

 

「志郎や公輝、師匠にかなり教えられましたし、理数系は大学でも通用すると言われていました」

 

言葉を漏らした彰三さんに、さらに加えるように話すと彰三さんと京子さんは感嘆の息を吐き、明日奈はガックリと項垂れ……え?

 

「わ、わたしよりも、勉強が進んでるなんて……しかも、わたしよりも、頭が良い…?」

 

「あ、明日奈?」

 

「か、かずと、くん……ゆっくりしててね…。わたし、お風呂に入ってくるよ…」

 

「あ、あぁ…」

 

明日奈は椅子から立ち上がるとフラフラしながらリビングを後にした。

俺と彰三さんは呆然とし、京子さんは苦笑を浮かべている。

 

「きっと和人くんに勉強を教えたかったのね、あの子」

 

「あ~、なるほど…」

 

自分よりも年下である俺に勉強を教えるという頼りになるところを見せたかったのか…。

ただ肝心の俺がその必要が無い片鱗を見せてしまったので意気消沈したということだな。

俺にも当然ながら苦手な分野あると思うからそこら辺で頼ってみよう……主に家庭科で…。

彰三さんも苦笑を浮かべてから紅茶に口をつけ、そして一息吐くと…。

 

「それで和人君、明日奈とは実際どうだい?

 あの娘から聞いているとは思うが、私達は碌に親らしいことをしてあげられなかったからね。

 他の人から聞いてみないと、まだ分からないことがあるんだ…」

 

「そうですね……ですが、俺の話しよりも明日奈と直接話した方が良いと思いますよ。

 人前ではあまり見せないですけど、俺の前だけではかなり甘えてきますから。

 しっかりしていますが、まだまだ誰かを頼りたいんだと思います」

 

「やっぱりそうなのかしらね…」

 

彰三さんの問いに答えると京子さんも頷いてきた。

こればかりは親子の問題であるから、俺が言えるのは少しだけ。

ちなみに、実は明日奈からもどうやって両親に接すれば良いかと聞かれた事がある。

その時も直接ちゃんと話せば大丈夫だと答えた。

実際、俺自身がどう両親やスグと接すれば良いか分からなかったんだがな。

ま、それもこちらに戻ってきてからは些細な事だったけど。

 

「よし、それならまた明日奈と話をしてみるよ」

 

「ええ、そうしましょう」

 

彰三さんも京子さんも笑みを浮かべている。

今の2人や明日奈、浩一郎さんを見たりする限りは、溝があったとは思えないんだけどな。

それから再び談笑を始め、しばらくすると明日奈が入浴から戻ってきた。

くっ、寝間着姿じゃなかったのが残念だ…。

 

 

 

そして時刻も8時半になろうとしていた。

 

「そろそろお暇させていただきますね」

 

「もうそんな時間か…」

 

俺が言うと彰三さんは残念そうに呟いた。

 

「橘さん、和人君を車で送ってもらえませんか?」

 

「はい、承りました」

 

「あ、わたしも行きます」

 

京子さんは俺に気を遣ってくれたようで、橘さんが送ってくれるそうだ。

しかも明日奈も付いてきてくれるとのこと、ならお言葉に甘えておこう。

元々持ってきていたのは財布と携帯だけなので準備は簡単に終えた。

玄関まで彰三さんと京子さんに見送られる。

 

「和人君、また是非いらしてね?」

 

「良かったら機械方面の話しもさせてもらえるかな?」

 

「ええ、必ず。お邪魔しました」

 

京子さんと彰三さんの言葉に短くも楽しみに答え、俺は明日奈と橘さんと共に車に乗り込んだ。

 

 

 

車の中でも明日奈と談笑し、自宅前へと辿り着いた。

 

「それじゃあ、おやすみ…明日奈」

 

「おやすみなさい、和人くん…(ちゅっ)///」

 

車から降りて開いた窓から顔を覗かせた明日奈に不意打ちのキスをされた。

照れながらもしてやったり顔の彼女にやはり愛しさを感じる。

明日奈と橘さんはそのまま去り、俺も家の中へと戻った。

丁度、刻も帰る頃だったようで、彼も自宅へと帰っていった。

スグに刻とはどうだったか尋ねてみると……どんよりとしてしまった、進展はあまりなかったか…。

 

和人Side Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

え~、というわけで・・・デート編はこれにて終了です。

 

次回から3話にかけて、今度は学校入学編となります。

 

学校への入学を、3話に分けて投稿しますよ。

 

それではまた、お楽しみに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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