No.549684

命-MIKOTO-14話-

初音軍さん

久しぶりの弟くんの出番。そして題材は浮気。でもいつものようにおとぼけな展開になるかもしれません。よければみてってください~

2013-02-28 18:19:13 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:377   閲覧ユーザー数:358

 

 

【萌黄視点】

 いきなり現れた女の子を預かること1週間が経った。

彼女の歌はどの言葉にも当てはまらない不思議な音色を奏でるように歌う。

その歌が微かに耳に入り、私は滅多にないほど清々しい気持ちで朝を迎えられた。

 

「あ、おはよう。萌黄~」

「あ、うん。おはよう」

 

 それほど時は経っていないのに彼女の順応能力には驚くばかりである。

マナカちゃんはやや警戒心を残してはいるがほぼ完全に家族になったかのように

家の中で溶け込んでいるのだ。

 

 そういう私も彼女に対しての怪しいと思っていた気持ちもだいぶ少なくなっていた。

同じ金髪だからか、その細くて小さな体はどこか命ちゃんが小さい時はこんな感じ

なのかなと想像させるものがあった。

 

 階段を下りると包丁の音と味噌汁の匂いが漂ってきた。

しばらくの料理当番は命ちゃんに任せてあるので毎朝が楽しみである。

簡単に目玉焼きと納豆に豆腐の味噌汁と焼き海苔がテーブルに用意したところで

みんなで朝食をとった。

 

 みゅ~ずちゃんは毎食ラーメンじゃないのをがっかりしていると、

命ちゃんが健康のためと時々作ってあげると約束をすると彼女は見とれてしまうほど

柔らかい笑みを浮かべて頷いた。

 

 朝食を取り終わり1週間ぶりの休日を満喫していた時、何か慌しい音がして窓から

覗いてみると、連絡もなく急に我が家にやってきた愛しい弟の姿があった。

 

 その弟は血管が切れるんじゃないかというほど青筋が浮いていて、どう贔屓目に見ても

冷静とはかけ離れた状態であった。

 

 私は玄関まで小走りで向かうと、顔を真っ赤にしている弟を宥めながら

中へと上がらせてお茶の一杯も出しておいた。

 

「まぁまぁ、落ち着いてお茶でも飲みなよ」

「悪い・・・」

 

 熱湯で淹れたお茶をまるで冷水のごとくゴクゴクと勢いよく飲み干す弟。

熱くないのだろうか・・・? 私だったらやけどしてしまいそうだけど。

 

「何があったの?」

「アイツ・・・。他の男と楽しそうに遊んでたんだよ」

 

 アイツとは彼女の直海ちゃんのことだろうか。燈馬は勉強が嫌いだから大学へ

行かずにバイトをしながら正社員になれる所を探していた。

 

 今の世の中なかなか職につくのは難しいからまだバイトのままだけど。

弟の彼女の方はシフトを少なくできる仕事を選んで、他は大学で勉強に勤しんでいる。

 

 直海ちゃんは軽い感じはするけど、浮気をするとかそういうことはしない子なんだけど。

 

「それ、燈馬の思い違いじゃない。ただの大学の友達とお喋りしてただけだって」

「いや、それはないな。あれだけ楽しそうにしてたら」

 

「友達だから楽しそうにしているのは当たり前でしょ~」

「いやいや・・・」

 

 頑なに浮気ということを譲らない。昔のことがあってからか、マイナスの方面に一度

向かうとこれがまたしつこいんだな、この弟は。私は呆れにも似た溜息を吐いて

落ち着くまで別のことでも話そうとしてたら。

 

「ちょっと今日から泊めさせてよ」

 

 弟は卒業をしてからすぐ、溜めていた貯金を使って彼女と二人で同棲生活を

始めていて、それっきり会っていなかったから歯が溶けるほど甘ったるいことしてると

思ってたらこれだもんな。

 

 あまり姉に近づくとシスコンだと思われてしまうぞ、と口に出さずに心で毒づく。

そこでふと気づいた私は申し訳ない気持ちで両手を合わせて頭を下げた。

 

「ごめーん。今部屋満員だったわ」

「は?」

 

「燈馬が知らない内に同居人が3人ほど増えちゃってさぁ」

「どういうことだよ」

 

 うな垂れるようにして頭をがしがし片手で掻くと傍にあるソファーに指を差して

弟はこう言った。

 

「じゃあ、そこで寝させて」

「あんたどこまで帰りたくないのよ」

 

 仕方ない、と私は弟に呟くように言うと。

 

「私の部屋使いなさい。私は命ちゃんのとこで一緒に寝るから」

「え・・・!?」

 

 すると一瞬驚いた後に顔が少し赤くなる燈馬。姉の部屋で寝ろと言っただけで

意識するのは弟としてどうなのか非常に心配になる姉なのであった。

 

 結局そこでしか泊まるとこがない弟は固くなりながらも私の提案に賛成せざるを

得なかった。そんな気持ちになるくらいなら素直に帰ればいいのに。

 

 その日は燈馬の気持ちが固まり過ぎていて解決するのは難しいと判断した私は

二人が住んでる住所に電話をかけた。事前に直海ちゃんや姉である緑と連絡とっていて

よかった。

 

 電話に出た直海ちゃんは普段通りの声で対応していたが燈馬の話しになったら

少し心配していたようで私が事情を話したら安心したような反応をしてくれて

私としてもホッとできた。

 

 直海ちゃんの方のことは聞きはしなかった。いくら弟のためとはいえ、プライベートを

聞き出すのは違うと思うし、こういうのは本人が解決しないといけないだろうから。

 

「ちゃんと明日は直海ちゃんと仲直りするのよ!」

 

 私の部屋に入ろうとしていた燈馬に釘を刺しておいた。

ビクッという反応をしてから無言で入室。聞こえてはいるだろうけど、

一度決め付けたらなかなか気持ちを切り替えてくれないのは困りものである。

 

 何だか頭が痛くなって表情をしかめていたら命ちゃんに心配されたが

一緒のベッドに入り込んだらすっかり良くなっていたのであった。

私も大概単純にできているなぁと心の中で苦笑していた。

 

 多分、弟の方もきっかけがあれば今すぐにでも戻りたいはずだった。

これでも姉弟だからね。長いこと見てるから何となくわかるものなのさ。

 

 

【燈馬視点】

 

 理由がどうしようもないが久々に元住んでた家に戻ってきたら俺の部屋が

なくなっていた。いや、正確には他の奴に使われていたのだが。

 

 姉貴は立ち直ってから何でも受け入れるようにしているのはわかっていたが

まさかここまで住人が増えているとは思わなかった。

 

 変り種は命さんだけでよかったんだけどな。

 

 そんなことを姉貴の部屋の天井を見ながらボーっと考えていた。

この部屋には姉貴の匂いがあって何だか胸の奥がくすぐったくなるような気分になった。

おかしいな、直海と付き合うようになってからこんな気持ちになったことなんて

なかったのに。

 

『ちゃんと直海ちゃんと仲直りしなよ!』

 

 部屋に入る前に姉貴の言葉がグサッと胸に突き刺さるような気持ちになった。

俺の勝手な被害妄想から来るものだとわかってはいるが、素直に聞けない、認められない。

そんな自分をアイツの前に曝け出したくなかったから逃げただけなのかもしれない。

 

 案外姉の言ったことは的を射ているんだろうけど、どこかで疑っているんだろう。

捻くれた考えしかできない俺らしいっていえばらしいのだが。

 グルグルと同じ所を何度も往復するような気持ち悪い気分、スッキリしないで

もやもやしていたから布団を被って目を瞑ると隣の部屋から歌声らしいものが

聞こえてきた。

 

 それを聞いていたら頭のもやもやが不思議と晴れてきていつの間にか眠って

しまっていた。

 

 

 次の日、眠れない朝を迎えるかと思っていたが爆睡していたのか気がついたら

朝になっていて、気分もスッキリしていた。

 

 が、肝心のアイツのことだけはスッキリしないまま。今日という日を迎えて

しまったのはまずい。姉貴のことだ、直海とやりとりをして今日にでも会わせる

つもりだろう。

 

 俺の方の気持ちが整理ついていないから何を言うかわからないから

こっそり姿をくらまそうかとも思ったが流石にそこまで子供なことをしてはいけないと

思えた。

 

 ベッドの上でウンウン唸っていると下から姉貴が呼ぶ声が聞こえた。

起きて時計を見たときは余裕があると思っていたがいつの間にか1時間ほど

経過していたのを確認した。

 

 下りると俺の知らない顔ぶれが揃っていて、反射的に挨拶をして簡単な自己紹介を

お互いに交わした。簡単な中でも、複雑な事情があることが垣間見ることができた。

姉貴に関わる人の一部は大体が変人か特殊な人間で構成されているから。

 

 そう思いながら自分の友人達を思い浮かべて人のことは言えないな、と心の中で

苦笑をした。それからほどなくして食事の用意を手伝ってから6人で食卓を囲んだ。

最近一人増えたからとテーブルも大きいのに買い換えたんだそうだ。

 

 食事の会話で姉貴が嬉しそうに言うのを聞いてから、そのテーブルが見覚えないことに

気づいた。それだけ今の自分は周りに気がつけない状況なのかもしれない。

 

「はぁ・・・」

「どうしたの、燈馬」

 

 姉貴の提案で命さん含めた残り3人は外へ遊びに出かけていった。

残された俺と姉貴の二人で何故その状況になってるかは容易に想像ができる。

恐らくこの場所で話をつけさせるつもりだろう。

 

 勝手に家を飛び出しているから、顔を合わせ辛い。だが長引くと戻りにくくなるから

という姉の配慮なんだろうと頭ではわかっているが今すぐにでも逃げたい気持ちは

変わらないでいた。

 

「ったく、もう子供じゃないんだから。逃げようとしないでよ」

「うぐっ・・・」

 

 ズバッと言われて俺は思わず頷いてしまう、そんな時に外のインターホンが鳴る音が

聞こえた。

 

「いらっしゃーい」

「お邪魔します~」

 

 窓から見るアイツの顔は一日しか日が経っていないのに随分と久しぶりの感じがした。

表情からは俺が出ていったことに対して何も思っていないかのように明るく振舞っていた。

・・・ように見えたのは俺と顔を合わせるまでの間だけだった。

 

「いきなり消えるから心配したよ、相棒」

 

 どこかのドラマみたいにかっこよく言い放つ直海。肩に届くか届かないかわからない

長さの深い色の青っぽい髪の毛がふわっと揺れた。

 

「・・・」

「一体どうしたのさ。お姉さんからは何も聞いていないからちゃんと話し合おう」

 

 姉貴は二人分の濃いめの緑茶を出した後。用は終わったとばかりにそそくさと

リビングを後にして姿を消していた。この場にいるのは俺と直海の二人きり。

自分の心臓が鳴る音がえらく大きくやかましいくらいだった。

 

 こんな状態じゃ落ち着いて話したくても話せないじゃないか。

 

「あの男は誰だったんだよ」

 

 忙しい直海のために食事を作ろうと買い物に行く途中で見つけた二人はどこかお似合い

な気がして俺の中で嫉妬が芽生えていたのかもしれない。

 

「あの男って言っても友達にはいっぱいいるからなぁ」

「それもそうか・・・」

 

 普通の女子と違って女友達より男友達の方が多いやつだから、俺の言葉にピンと

来ないのも仕方ないことなのだろうか。だが、俺の商店街で見かけたというと

あぁ、と手を叩いて思い出したかのように相槌を打つ。

 

「あのメガネの男子かな?」

「言われてみればそうかもしれない・・・」

 

 拗ねている方がうろ覚えなのはどうにも情けないことだ。

だが言われて相手の輪郭も霞かかっていたのがはっきりした気がした。

 

「そっか焼もち焼いてくれたんだ。燈馬って見た目の割に可愛い反応するんだね」

「お、お前なぁ!」

 

「ごめんごめん」

 

 笑いながら言うものだから、あまりの恥ずかしさに勢いよく席を立とうとすると

直海が悪かったと俺を宥めてくる。

 相手の方が大人な反応をされると何だか男として少し悲しくなる。

 

「そっか・・・うん。わかったよ」

「何がだよ」

 

 俺の知らないところで勝手に理解されてると気になって仕方が無い。

そういえば俺たちがこういう関係になる前はもっとお互いのことを喋っていたような。

そう考えるとどこか寂しい気持ちにもなる。

 

「燈馬は不安だっただなって」

「別にそんなことは・・・ないけどな・・・」

 

 素直に言えない気持ちとコイツに対して線引きをしそうになる自分が嫌でたまらない。

直海はいつもみんなに対して全力で接してくれているのに。

 

 考えすぎて頭の中が張ってくるような感覚がしたその時だった。

どこからかわからないが、うっすらと耳に歌声が聞こえてきた。

 

 それは幻聴ではないとわかるのは、直海が同じような反応をしたからだ。

何を言っているかわからないその声は聞いていると今まで固く閉ざしていた気持ちが

解けていくように楽になっていく。

 

「直海の言う通りかもしれないな」

 

 自分でも驚くほど優しい声が口から発せられた。それに驚くこともなく直海も穏やかな

眼差しで俺を見てくれている。見つめながら直海は理由を話してくれた。

 

「あれはね。勉強を教えていた男の子から買い物に付き合ってくれって言われたの。

その途中で告白みたいなことされたからハッキリと断ってやった」

「・・・」

 

「私には別れることのない最高の彼氏がいるからねって言ったよ。

そしたらすぐに引き下がってくれた。良い友達でいようってね」

「直海・・・」

 

 何だかどっちが男で女かわからなくなってきた。俺の顔がみるみるうちに赤く熱く

なっていくのがわかる。直海がかっこよすぎて直視できずにいると。

 

「こらっ、燈馬」

 

 「こっちを向きなさい」って向かい合っていた直海が身を乗り出して両手で俺の頬を

挟むようにして顔を上げさせる。そして、直海はちょっと切なげな表情でこう告げた。

 

「私達、もう一歩を進んでみようか」

 

 それはまだこの年になってキスしかしていない俺たちがそれ以上のことをしようという

宣言であった。俺はいきなりのこと過ぎて頭の中がパニックに陥りそうになっていた。

 

「ちょ、ちょっと待て!」

「燈馬は他の奴とは違う、安心を少しでも多く求めてるんじゃないの?

本当は私も同じ気持ちでいたんだよ」

 

「え・・・?」

「燈馬が仕事先で女の子と仲良くしていたのと同じ気持ちだってことよ」

 

 わかってはいたが、同じような状況を目撃するのは二人共同じくらいあって

どれだけ相手を信じられるかというのが大切なのだ。

 

 直海は俺のことをずっと信用してくれたのに、俺ときたら一度そういう場面を

見ただけで動揺してしまってるのだ。情けないったらないな・・・。

 

 緊張の音とは違った胸の音が静かに鳴り響いている。

 

 いつまでも保留していても埒があかない。ずっと目の前にいるコイツとやっていくって

決めたんだ。俺は留めていた決意を動き出させることにした。

 

 直海を汚すのではないかという考えで止めていたこの気持ち。

本当は俺自身が自信をなくして怖がっていたのではないかと気づいてしまったのだ。

 

 お互いの気持ちが合わさってる今。

すれ違ってしまう前に決定付けてしまおうではないか。

そういう結論に達した俺の口から出された言葉は。

 

「あぁ、わかった、直海。俺たちもっと前に進もう」

「燈馬・・・」

 

 両手でずっと俺の顔を挟みっぱなしだった直海の手が離れて少し気まずく俯きながら

それでも前より相手の気持ちが見えたようで嬉しかった。

するとドア越しから人の気配を感じる。

 

「なにこっそり見てるんだよ、悪趣味な姉貴め」

「あ、ばれた? ごめーん。あまりに初々しくてつい」

「あ、もう解決したんで大丈夫です」

 

 直海の背後にあるドアから入ってきた姉貴に振り返り声をかける直海だが

その表情はやや赤らんだままであった。もう隠しようがないって悟ったのだろう。

 

「そう、それはよかった」

 

 姉貴は外国の人がするようなハグを直海にすると、ちょっと冷めた眼差しで俺を見やる。

 

「燈馬は彼氏なんだからもっとガンガンいきなさいよ。なに、その草食っぷりは」

「なっ・・・!」

 

「直海ちゃんは良い女なんだからちゃんとしないと取られちゃうよ」

 

 こんな風にねって姉貴は直海の額に軽く口付けをした。俺はそれを見てほぼ無意識に

姉貴の腕を掴んで引き剥がした。そこまでの行動をしてから俺は我に返る。

 

「わ、わかってるよ」

 

 その一言だけ漏らして後は恥ずかしさを紛らわすためにやや俯いた。

 

「やれやれ」

「お姉さん、今の燈馬にはこれくらいで十分ですよ」

 

 直海の言葉に納得する姉貴。そして俺は直海の手を引いて姉貴の家から出ていく

ことにした。長く居るとどれだけからかわれるか、たまったものではないからだ。

 

 そんなことを考えながらもここへ来てよかったと思えるのは、ちゃんと俺たちのことを

考えてくれる姉が居てくれたおかげだ。あと周囲の人たちも明るかったおかげで

俺の気持ちも沈み過ぎずに済んだ。

 

 最後に不思議な音色で気持ちが明らかに変化したのもありがたかった。

あれは一体どういう現象だったのか、今の俺たちにはわからないことだった。

 

「燈馬、キスしよ」

「え、ここで!?」

 

「バカ。家でするに決まってるじゃん」

「そ、そうだよな」

 

「うん、そして早速それ以上の関係になろうね」

「お、おう・・・」

 

 帰路の途中、歯切れの悪い返事をしつつ嬉しくて不安で気持ちがいっぱいだった。

 

【萌黄】

 

「おつかれさま、みゅーずちゃん」

「ん、何のこと?」

 

「貴女が歌ってくれてたおかげで助かったわ」

「そんなの知らないな~。私はただ歌いたくて歌ってただけだもの」

 

 弟を見届けてから、元弟の部屋のドアを開けると窓を開けて静かに歌っている

少女に声をかける。少女は振り返らず、興味もなさそうに呟いた。

 

 それが本当だとしても結果的には助かったことに違いはない。

だから礼を言ったのだ。それよりも彼女にとってもっと喜ばしいことを私は口に出す。

 

「どっちにしろ貴女の歌はありがたかったわ。なので、今日は特別に近くにある

お店でみゅーずちゃんの大好きなラーメンを奢ってあげる」

 

 言うや否や、彼女のあまりの素早さに私は一瞬ビクッとなって驚いた。

なぜなら間を空けて大人しくしていた彼女はラーメンを奢るという単語を聞いた瞬間に

私の目の前に移動していたからだ。

 ラーメンのためならどんなことでもできそう、恐ろしい子である。

 

 道行く途中で、帰る頃だったのか。命ちゃんたちと偶然会って昼ごはんと夕ごはんの

間くらいだったけど、一緒にしてしまおうということでみんなでお店に入る。

 

 人数的に大きなテーブルがある場所に案内されてメニューを選んだり、みんなで

楽しくお喋りしながら食事をして大いに楽しんだ。

 特にマナカちゃんだけ大人しいとお互い気を使いそうになることがあった分、

みゅーずちゃんの存在はありがたかった。

 彼女は大人しい割にみんなに明るく接してくれているから。

マナカちゃんと同じくらいの年に見える彼女のおかげで普段暗いマナカちゃんも

引っ張られるようにして元気な姿を見せてくれるから嬉しかった。

 

 ・・・ややケンカっぽい雰囲気ではあったけどね。主にマナカちゃんの方が。

その光景を見て大いに笑って私達は充実した日を送った。

 

 燈馬たちもこういった日を過ごせるようになれればいいな、と。

ちょっと過保護気味な姉はそう思うのだった。

 


 
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