No.538913

IS x アギト 目覚める魂 44: 反発と離反

i-pod男さん

二代目s の逃走です

2013-02-02 04:43:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2100   閲覧ユーザー数:2012

そして次の朝。教室に入った一夏と秋斗は席に着いたが、授業開始寸前で身なりの整ったスーツ姿の男女が現れた。

 

「失礼します。ここに、織斑一夏と門牙秋斗なる人物はいませんか?」

 

二人は立ち上がるが、敵意は剥き出しにしている。

 

「何か?」

 

「おや、織斑先生から聞いていませんか?まあ、良いでしょう。貴方達二人は本日付けでIS犯罪対策部に異動して頂きます。これはIS委員会の決定です。覆る事はありません。」

 

事務的に淡々と口を開いたのは女性の方だった。明らかに男に対しての嫌悪感が感じられる。

 

「おいおい、学生を意に反して強制的に軍に送るとしか聞こえないぞ。だが・・・・・成る程、そう言う事か。」

 

「まあ、仕方無いですよ。ていうか、誰ですか?」

 

「申し遅れました。私はIS委員会直属の監査官、北条美鈴と申します。」

 

「補佐の水城透です。」

 

「任意同行、って訳でも無さそうだな。」

 

「はい。残念ながら貴方達の意思は関係ありません。」

 

「これだから政治家は嫌いなんだよ。要点は言わないし、目先の物にばかり気を逸らして、国がこの先どうなるかとかを考えている様子も無い。要するに、犯罪者を捕まえる従順な番犬が欲しいだけだろ?それか、俺達の特異な力が目当てか?アンノウン対策の為に。」

 

「貴方達には関係ありません。ご同行願います。」

 

北条のこめかみがピクリとひくついた。

 

「「悪いが、断る。」」

 

そう言い放ち、二人は監査官二人を押しのけ、教室の外に飛び出した。だが、その途端に黒服の集団に囲まれる。

 

「抵抗しても無駄です。必要とあらば強硬手段を取る認可も下りています。両手を後ろに組んで下さい。」

 

「おいおい、俺達は犯罪者じゃなく、協力者だろう?A級戦犯、いや、囚人扱いはご遠慮願いたいね。俺達は別にここに来たかったから来た訳じゃない。殆ど成り行き任せだ。そもそも、何で学生に強力を仰ぐ?上層部は無能が多いから何も出来ないってか?これだから」

 

だが、その言葉の続きは水城の拳が秋斗の顎を的確に捉える事で遮られた。

 

「余計なお喋りは不要です。口を慎んで下さい。」

 

口の中を切ったのか、秋斗は血の混じった唾液を口から吐き出した。

 

「女にへいこらする様な駄犬に言われても説得力ゼロだな。一夏、やれ!」

 

そして号令と共に、手錠をかけられた一夏は腕力だけでその鎖を千切り、秋斗の鎖もゼロフレイムによって脆くし、砕いた。

 

「捉えろ!」

 

「させないぜ。」

 

蛍光灯がスパークして明かりが消え、その混乱に乗じて窓を突き破って飛び降りた。下に止まっているマシントルネイダーに着地し、学園から逃走を始める。

 

「準備しといて良かったぜ。」

 

「でも、これからどうするんですか?流石に警察に駆け込む訳にも行かないですし。」

 

「とりあえず、翔一さんの所に行こう。それが駄目なら真島さんの病院に。少なくとも、彼らなら事情を分かってくれる。しかし、怖い位予想通りだったな。あの時と同じだ。」

 

「あの時?」

 

「ああ。ある時、自衛隊の一人がSAULのデータベースにハックして、G4システムの設計図とデータを奪い、独自に完成させた。アンノウン対策用の兵器として。」

 

「G4を?」

 

「ああ。今となっちゃもう存在しないがな。あの事件の後、小沢さんがスーツとその設計図を完全に破壊した。データどころか、バックアップも、全てだ。だが、問題はそこじゃない。G4は、G3-Xや俺のG4-X0と同じ様に制御AIを積んでいる。それに加え、アギトの種を持つ人間をある装置に繋いで、次の動きを読める所謂『未来予知システム』を搭載した。だが、結局その人間は死に、装着者もG4の動作によって起こされる負担で、死んだ。氷川さんが息の根を止めたらしい。」

 

「だから、呪いのシステムって呼ばれるんですか・・・・初めて知った・・・」

 

「ま、当然だろ。小沢さんが言ってた。物を作って犯した唯一のミスだってな。設計図を盗んだ奴もアンノウンに食い殺されたらしい。この世界を生きて十八年。 あの話を聞いて、 俺は組織と言う物を信用していない。仮にしていたとしても、ほんの一部だけだ。当然、IS学園も、小数しか信用していない。学園の中なら国家による介入は無い。が、逆に言えば学園内にいなければ国からの接触を受けると言う事だ。それに防衛のためとは言え、島を丸々一つ使ってる。孤島の監獄アルカトラズみたいなもんだろう?」

 

「確かに・・・・それに、学生として女子を潜入させれば幾らでも接触が可能になる・・・・」

 

「そう。俺達は始めから政府のクソッタレ共の掌の上で踊らされてたんだよ。入学が決まった時点でな。」

 

「そんな・・・・ん・・・・?やばい!!」

 

「追跡部隊を向かわせるとはな。こんな所で戦って海に落ちたらそれこそヤバいぞ。コイツならISのイグニッション・ブーストだろうと振り切れる。運転頼む。俺が撃ち落とすから。」

 

「はい!って、運転って・・・・これぶっちゃけボードですよね?」

 

「体重移動で操縦出来る!グダグダ言ってないでやれ!」

 

「了解!」

 

秋斗と立ち位置を入れ替えて動き始める。マシントルネイダーは高速で空を駆け抜ける、正に竜巻のマシンと言う名に恥じない動きを見せた。後ろから追って来るIS部隊は秋斗がマキシム・アンビウスで迎撃し、ガードディバイダーネオで攻撃を防いだ。そして逃走する事十数分、プライベートチャネルで聞き慣れた声が・・・・

 

『二人とも聞こえる?』

 

「この声は・・・」

 

「まさか・・・・?!」

 

「「ナターシャさん?!」」

 

『そうよ。私に付いて来て、助けてあげる。』

 

「何?都合が少々良過ぎないか?」

 

『何よう、助けてくれた恩に報いてるだけなんだから。ね?』

 

一夏はマシントルネイダーを上昇させた。見ると、シルバリオ・ゴスペルとはまた別のISを纏ったナターシャが見えた。

 

「ナターシャさん、何で・・・・?」

 

「同僚の頼みだからよ。小沢澄子。」

 

「え?ナターシャさん、MIT卒なんですか?!」

 

秋斗はこの偶然に思わず驚きの声を上げる。

 

「ええ、そうよ?すぐ後に軍に入ったけど。でも、何で分かったのかしらね?」

 

「虫の知らせって奴でしょうか?」

 

「何でも良いわ。とにかく、私があいつらを引きつけるからこれから送る座標に向かって一直線に飛んで頂戴。絶対に振り返っちゃ駄目。」

 

二人は何も言わずに頷き、目の前に現れた座標に向かって飛び始めた。

 

「向こうに付いたら、イーリス・コーリングの名前を出して。ウチの国家代表で、私の友達だから。」

 

「「ありがとうございます。」」

 

二人はそのまま地平線の彼方へと消えて行った。

 

 

 

 

「予想通りと言うか何と言うか・・・・」

 

「やはり、か・・・・」

 

状況の一部始終を見ていた真耶の話を聞いた千冬はどこか嬉しそうだった。

 

「まあ、あの二人はああ見えてしぶとい。そう簡単にくたばりはせんだろう。何にせよ、大きい借りが出来ている人物が二人を放って置く筈が無いからな。それに、IS犯罪対策本部の本拠地はアメリカの『イレイズド』だ。さてと、授業に戻るぞ。あの小娘共にもしっかりと事情を説明してやらねばならんが・・・・」

 

「は、はい!」

 


 
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