No.535661

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START 二十四話 闇に蠢くもの達

モアイ像さん

今回はアラスカへと続く序章みたいなものです

2013-01-24 21:23:44 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:7976   閲覧ユーザー数:7624

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START

 

 

二十四話 闇に蠢くもの達

 

 

アスカ SIDE

 

 

港に到着してから次の日、トレミーとともに山の中にいた

まさか、本社が山の中に隠されていたなんて驚きだ

元々、冷戦時の核シェルターを改修して町ひとつ入る広さで作ったらしい

さらに電気は水力、風力を利用して食料生産プラントで天然物を栽培、気候はコンピューターで完備、日が当たらない以外は、いたせりつくせりな本社だ

それとカードキーが渡され、今後自由に本社や支部の出入りが出来るようになった

なんでもこの厳重な本社にトレンチコートを着た男性が侵入してセキュリティーがさらに厳重になったとか・・・

トレミーの光学迷彩を解いて指示した場所にゆっくり進ませる

格納庫で作業していた人は手を止めトレミーを見て驚いていた

 

「空中を移動する艦!?」

 

「どんな技術を使っているんだ、気になるぞ!」

 

「サクラザキチーフ、分解したいと話があります」

 

「分解されると宇宙に上がれなくなるから宇宙基地でオーバーホール行なうからその時に」

 

「分かりました」

 

「クソーあの時負けていなかったら一緒に行けたのに」

 

人員補充のため、ポーカーなどのゲームで熾烈に争って厳選したな

今も壁でいじけている人いる

ちなみに宇宙基地とはソレスタルビーイング号のことだ

さすがに個人で持っていたら怪しまるので、四番目の宇宙基地として話になっている

 

「サクラザキチーフ、近くの搬入口が開きますので離れてください」

 

「分かった」

 

立っていた場所から離れると、4台のトレーラーが入ってくる

スタッフが各車輌で作業を始め、シートを取り外されコンテナ部が稼働し、コンテナに積まれたモノが姿を現した

 

「スローネ・・・なんでここにあるの!?」

 

「驚いたかね、これがミスユウコから依頼されたガンダムだ」

 

驚いた、頼んでいたものがスローネシリーズだったなんて、しかも動力以外は完成している

長距離射撃GNランチャーを装備したアイン

エクシアと同じ実体剣とビームサーベルを装備し、ガンダムとしては初採用の遠隔武器GNファングを装備したツヴァイ

背面に巨大なGN粒子発生装置を備え、広範囲のジャミングを可能としたドライ

 

そしてGN―Xジンクスの試作機でありスローネの名を持つヴァラヌス

このヴァラヌスはスローネシリーズとジンクスの両方の装備を持っている

たとえば、左肩にはGNディフェンスロッド、反対の左肩はアインと同じGNシールド、武装にジンクスに使用していたGNロングバレルライフルの原型を装備

最大の特徴は上下合計4本の大きく突き出したGN粒子発生装置

この装置の機能により空中でのGN粒子による機体制御が容易になり、太陽炉搭載型の操作が不慣れなパイロットでも短時間訓練すれば、すぐに実戦が可能なチートな訓練機だ

 

「ストキング一枚と4機(動力以外)でいい取引をさせて貰った、おかげで技術がさらに発展するわい」

 

はは・・・

今回はご苦労様です香月博士

 

「なんかすごそうな機体だな、それで誰が乗るんだ?」

 

「たぶんA―01だろ、俺は元々あるし、ケニーは別の機体を用意しているから」

 

「A―01かぁ・・・かなり失ったよな」

 

「ああ、でもA―01がスローネを乗りこなしたら負けないし、二度と失うつもりはない」

 

「そうだな・・・」

 

「辛気臭い話は終わったなら、付き添いを頼みたいのだが?」

 

「付き添い?」

 

「3日後に軍で第三世代機のデモンストレーションが行われるらしい」

 

第三世代機ということは、前に調べた対人戦使用の機体か

人のことは言えないが、本当になにやっているのこの国は?

協力という言葉が事典には載ってないのか?

 

「――そのデモンストレーションは、2機対36機で模擬戦を行うらしい・・・誰か当て付けだがのう・・・」

 

非公式でも情報は漏れていることは想定内だ

模擬戦後からいままで、各国が動きを見せると思っていたが何も動きをみせない

俺の情報が漏れていないと言うことになる

ま、自由に動けて、四番目に凄腕の衛士がいると虚像が出来て手出しできないはず

 

「行くとしても、俺はどうします?容姿で怪しまれると思いますが?」

 

「それじゃあアスカ、女装だ!」

 

「断る!基地は入る時、検査でボディータッチされてバレる」

 

「それなら、性転換だ!」

 

「それも断る!!男を捨てるつもりは無い」

 

「「「「ええっ~~~!」」」」

 

なぜ落ち込む?

そこまで俺を笑い者にしたいかオマエら?

 

「チーフが女なら、女性同士の快楽ができたのに・・・」

 

「けどチーフのアレが奪えるよね?」

 

「それなら性転換する前、頂く?」

 

「だめよ、殿下が狙っているんだから」

 

「その後に・・・うふふふふ」

 

なんか寒気がする・・・

この格納庫は温度が一定に保たれていたはず?

 

 

 

 

そして3日後

デモンストレーションが行われる基地にいた

この日まで、「女装をー!出来なければ性転換を!!」と言われながらどこかの戦闘員みたいな全身黒タイツ集団(とくに男)から昼夜とわず襲われた

もちろん返り討ちさせ、男としての誇りを守り、アオザイというベトナムの民族衣装を着て、ケニーが語尾にアルをつけたら中国人っぽいと言うことで使ったらゲートの憲兵に、「なんだ、ジャンプじゃなくベトナム系のチャイナか、失礼した」と言われた

おい、大丈夫か憲兵?

今思うが中国人は語尾にアルは使わないぞ

 

さらに身体検査では、「ウホッ、いい男!」と言われ背筋が凍るような恐怖を感じた

この国に同性愛者いるのは知っているが、まさか実物を見るとは世界って広いな

そして、今はご来賓用の観客席から離れた場所にケニーと一緒にいた

観客席を見ると軍事企業のトップ達が座っている

 

「今回のデモンストレーションは各企業への発表だから力を入れているんだろう、 “戦術機の父”ロイド・バンデブルクが登場したな」

 

視線を観客席の中央に移すと軍服を来た人達が現れた

アメリカ陸軍ロイド・バンデブルク中将、第一世代機ファントムから第二世代機ストライク・イーグルまで開発に携わってきて「第二世代機の投入によって、BETA大戦は終息する」とか楽観論を説いた人だな

 

「ったく、寝言は寝て言ってくれ、ケニーちょっとトイレ行くでアル・・・・・・・・・?」

 

隣にいたはずのケニーがいない、周りを見てもいなかった

まさかとは思うが、ナンパに行ったのかケニー?

 

 

アスカ SIDE END

 

 

テロリスト SIDE

 

 

倉庫には血が流れていた、地面に倒れている作業員から呼吸の動作が見られない

 

「た、助けてくれ!!」

 

叫びながら倉庫から逃げ出そうとする者は頭を撃ち抜かれ倒れた

 

『こちらB班、制圧並びに処分完了。直ちに起動準備に取りかかります』

 

『了解した、A班は作戦どおり戦力を無力にする』

 

サイレンサー(消音器)付きの銃の銃口から煙が上がっていた

陸軍の軍服を着ている男たちは作業を始める

しばらくして軍用のトラックが入って木箱が下ろされ、バールでこじ開けられた

木箱から強化装備を着たクリストファーが出てくる

 

「待機している部隊は?」

 

「すでに準備完了しました」

 

「ならいい、全部隊に連絡しろ!これより作戦を開始する!」

 

「了解ッ!!」

 

強化装備を着たクリストファーが戦術機を見上げる

 

「腐った大国どもに見せってつけてやる、このスパイダーで!」

 

 

テロリスト SIDE END

 

 

アメリカ SIDE

 

 

『皆様、長らくお待たせしました。94年から長い時間を掛けて、ついに実戦配備可能な量産の基礎にたどり着きました。新開発した電磁兵器を余すことなくつぎ込み、我が国の国家戦略G弾ドクトリンに合わせ、戦後のハイヴに眠る希少物質の各国よりも早く獲得すべく、各国の第三世代を凌駕する機体を作り上げました、関係各署の協力が無ければここまでくることは無かったでしょう、感謝します』

 

バンデブルク中将は頭を下げ、周囲から拍手が送られていた

 

『では、紹介しましょう、我が国が作り出した第三世代の最強となるラプターの勇姿を!!』

 

バンデブルク中将はマイクを手に持ち、演習場へ全員の視線が向いた

演習場は急に白い煙が上がり、白い煙から音も無く2機の戦術機が飛び出した

黒光りする機体の右肩には無限大の可能性を表すインフィニティマーク

 

『これが完成されたF―22Aラプター EMD Phase2先行量産型です』

 

至る所にドローンが展開されていく、ラプターは電磁投射砲に改良されたAMWS-21(突撃砲)を構えた

AMWS-21に装備されているレーザー測距装置が瞬時に測定を始め最適な射撃を始める

ドローンはたちまち破壊されていく、誰もが絶賛と歓喜の声を上げていくがチャールズは表情を変えずに見ていた

 

(あの電磁兵装、親米派からもたらしたデータを使っているが、十分に発揮されていないのう~)

 

チャールズの指摘通り、電磁投射砲に改良された突撃砲はリニアライフルと同じように二つのモードが使えず、一発一発の間隔が遅かった

その理由は、アスカたちが帝国に渡したデータは、劣化データだった

ヴェーダを使い親米派がコピーすると、コピーされたデータをハッキングして書き換えたのだ

 

「どうです、先行量産型の性能は?」

 

チャールズは声がしたほうに振り向くと先ほど演説をしていたバンデブルク中将が歩み寄って来た

 

「これはバンデブルク中将、対人戦に特化した素晴らしい機体でありますが人類はまだBETAとの戦争を終えていませんぞ」

 

例え嫌な相手でも公私混同するわけにもいかず、チャールズはいつもの営業スマイルで対応した

 

「たしかに現状を見ても人類はBETAに滅亡への道を辿っていますが、我が国が進める計画がこの世界を救済するでしょう」

 

「しかし計画の中核を担うG弾は脅威論が唱えられ、各国が危機感を募らされて計画に支障が生じているのでは?」

 

「各国はデメリットばかり気にしては、真の平和を勝ち取ることは出来ません、G弾が唯一BETAに対抗できる兵器いや希望なのです」

 

「なるほど・・・(もはや制御できない爆弾、止めるのは面倒だぞ四番目)」

 

 

 

『只今より、ラプターEMD Phase2先行量産型の模擬戦を開始します、ご来賓の皆様、大型モニターをご覧ください』

 

アナウンスの放送に各企業は観客席の目の前に設置されたモニターを見る

モニターは演習場の至る場所を映し出され、ラプターの生贄であるストライクイーグル36機が丸見えだった

先に動いたのはストライクイーグルで36機が分かれそれぞれ別の獲物に攻撃を仕掛け、ラプターは乱数回避を行う

イーグルはラプターに追い討ちを掛けるべく、ラプターの周りを包囲していったがラプターに積まれているアクティブジャマーがイーグルのセンサーを惑わせ動作が遅れていた

ラプターはその隙を見逃さず、イーグルの包囲を紐解くように抜け出し、翻弄しながら撃墜する

ラプターに乗る衛士ユウヤ・ブリッジスが嫌味を言いながらぼやいていた

 

「――ったく冗談じゃない、完成した機体にあの国の技術を組み込むなんて馬鹿げている、アメリカだって独自に作り上げることが出来るはずだ」

 

自分と同じ境遇を持つ混血のラプターを呪いながらさらに操縦に専念する

射撃で相手の行動を制限させ、跳躍ユニットを使い一気に距離を縮め撃破

観客席からは驚きの声が上がるが、ユウヤの気分は晴れなかった

相手が10機を切り、次のターゲットに切り替えようとした瞬間、ロックオンされ機体が吹き飛ばされた

 

「グッ!今の攻撃は?」

 

機体を立て直そうとすると、ユウヤの目に色と形が統一されていない4機の戦術機が建物の屋根を突き破り周囲の格納庫に攻撃を始めた

 

「ゴースト2よりHQへ、何が起きた!」

 

司令部に通信を繋げるが、一向に繋がらない

さらに基地とリンクしたレーダーに障害が発生して敵味方の識別が出来ない状態に陥ってしまった

そんな危機的状況にアメリカでは使用されていないはずのファントムが突撃砲を向けて近付いていた

 

 

アメリカ SIDE END

 

 

アスカ SIDE

 

 

「くそ痛い・・・」

 

トイレから戻る時、目の前の壁が吹き飛ばされ衝撃で至る所に切り傷が出来ていた

血はそんなに出ていないが、肋骨が痛み動きにくい

ナノマシンで痛みが和らぐのは時間が掛かりそうだ

それより、模擬戦はペイント弾を使って実弾は使っていない

ということは、襲撃されているのか?

でもどうしてデモンストレーション中に狙ったんだ?

これじゃあ、大衆の前で姿を晒して、今後動き難くなる

よほどの自信があるのか、影響しないのか

 

「オイ、大丈夫かアスカ!」

 

「肋骨にひびが入って動きずらい」

 

ゆっくりと顔を上げ、ケニーを見ると頬が真っ赤に腫れていた

またナンパに失敗したんだな

 

「それよりチャールズ社長は?」

 

「ワシならここじゃ、無事と言いたいところだが基地がファントムに包囲された、脱出するにも乗って来た車は破壊されているだろう」

 

「それなら近くの格納庫にジープが置いてあったぜ、それと武器庫から拝借してきた」

 

「・・・準備が早いな・・・」

 

「こういうことに慣れているからな、鎮痛剤打つぞ」

 

「う・・・!」

 

腹にチクッ!と痛みが走り、痛みを我慢しながらジープがある格納庫に向かい出した

 

 

アスカ SIDE END

 

 

アメリカ SIDE

 

 

観客席からいち早く退避していたバンデブルク中将を含めた軍人は脱出を図っていた

 

「一体何故、テスト機が起動している?テスト機の改修はまだ終えていないはずだ」

 

「しかし奪われたテスト機はすでに稼動しております。基地の包囲、通信レーダーの障害など踏まえて計画的犯行だと思われます」

 

「・・・基地に配備されている戦術機はどうなっている?」

 

「緊急発進させていますが基地を包囲しているF―4(ファントム)に足止めをされているそうで…」

 

「くっ、どいつもこいつも役に立たんとは!」

 

バンデブルク中将は嫌味を吐き捨てていく、突然何かが飛来する音が聞こえバンデブルク中将の近くになにかが落ちてきた

壁は破壊され、砂ほこりが破壊の衝撃で舞い周囲が見えなくなる

 

「ゴホッ、ゴホッ、今度は何が起・・・き・・・た・・・?」

 

バンデブルク中将の目の前には瓦礫の中に黒い鋼の塊がいた

黒い鋼の塊は獲物を見つけると体を起こしながら突撃砲を構えた

 

「YF―23PAV―1(スパイダー)……!!」

 

スパイダーは躊躇無く、突撃砲を撃ちバンデブルク中将の周りにいた軍人が撃ち殺され辺りに血痕が飛び散り、返り血を浴びたスパイダーの装甲を赤く染まっている

スパイダーは死神の鎌のようにバンデブルク中将に突撃砲を突きつける

 

「バカなこんなところで終わるなんて!!」

 

周囲に突撃砲の咆哮が響き渡り、遅れて基地施設内部から爆発した

 

 

アメリカ SIDE END

 

 

テロリスト SIDE

 

 

爆発後から出撃した部隊は襲撃者たちに手を焼いていた

 

『なぜ、旧式(ファントム)相手に遅れを取られているのだ!?』

 

『こっちは最強の第二世代機だぞ!』

 

基地を防衛している誰もが優勢を確信していたが時間が過ぎていくと焦りが見え始める

襲撃者は第一世代の特徴である重装甲の重さをものともせず、軽々しく乗りこなし防衛している部隊を追い込んでいく

ストライクイーグルに砲弾が浴びせられ装甲が抉られていく、また違うストライクイーグルはコクピットに短刀が刺され、オイルが零れ落ちた

 

「スティーブン!!このやろぉぉぉ!」

 

ストライクイーグルの衛士は激情のまま短刀を取り出し、跳躍ユニットを最大出力に吹かしながらファントムとの距離を詰める

ファントムは微動だにせずストライクイーグルの衛士は「獲った」と思った瞬間、突如横からの衝撃がきて滑りながら倒れた

衛士は網膜投影システムの機体ステータスを見ると跳躍ユニットが破壊され、起き上がろうとしたが次々と機体へのダメージが表示されていく

ストライクイーグルは残った右手をファントムに向けるように出したが踏み潰された

衛士の目は黒く血だらけの装甲の戦術機が写っている

 

「な…んだ、あの…戦術…機…」

 

ファントムはスパーダーに近寄り通信を入れた

 

『少佐、奪取に成功したのですね、これで我々の使命に近付けます!』

 

『まだ結果を出すのはまだ早い、警戒を怠るな』

 

『はっ!』

 

『少佐、敵機が接近中、増援だと思われます』

 

『・・・各機は撤退せよ、私は軽く往なしてくる』

 

『では我々は一足先にルートを確保します』

 

ファントムが去るとスパーダーに向かってストライクイーグルが迫っていた

 

 

テロリスト SIDE END

 

 

アメリカ SIDE

 

 

「コイツら本当にファントムなのか?」

 

ユウヤもまた襲撃者のファントムに苦戦を強いられている

武装は通常兵器を使っているが、思っていたよりも相手はよく動き、一機に狙いを定めようとするが他の機体に防がれてしまう

包囲されないように移動し、奪った突撃砲で牽制しているとレオン・クゼが乗るラプターもファントムを引きつけていた

 

「コイツら何機いるんだよ!」

 

『ユウヤ!このままだと埒が明かねぇ、一度撤退だ』

 

「なら、オマエ一人で行け」

 

『なんだと!死ぬ気か!』

 

「第三世代機が第一世代機に負けたら配備が白紙に戻される、それと逃げるつもりはない!」

 

『オイ!』

 

ユウヤは、レオンを囲むファントムを撃ち挑発、そのまま離れるように飛び出しファントムは後に続く

ロックオンされないように機体を縫う様に障害物を利用する

砲弾は障害物を破壊するが、着実に近付いていた

 

「振り切れない、だが時間を掛ければ直に援軍が・・・!?」

 

目の前に血だらけのスパイダーが現れた

そのスパイダーは突進し、突然の出来事に上空へ逃げる

しかし上空へ逃げたことが仇となり、跳躍ユニットが破壊され地面に落下してしまう

ユウヤは機体を立て直し、スパイダーに向かって射撃

スパイダーはラプターを飛び越え、残りの跳躍ユニットだけを破壊し蹴り飛ばした

 

「くっ……!!」

 

建物に衝突させ、突撃砲が破損しながらも立ち上がり短刀を構えスパイダーに跳びかかる

しかしこれは悪手だった

アメリカ陸軍は射撃を中心に訓練されて近接戦は不慣れな点があり、ましてスパイダーを乗るクリストファーは近接戦が未知数である

スパイダーは横回転をさせながらラプターの攻撃を回避させ腕部を破壊

 

「・・・ッ!?」

 

殺さず生かして甚振るようにコクピットを避け短刀で攻撃をする

装甲は切り刻まれ機体にはダメージが蓄積されていき、その場に倒れこんだ

ユウヤの目にプラズマソードを発生させ、いまにも止めをさそうとするスパイダーが写る

 

『ユウヤァァァ!!』

 

叫び声と同時にストライクイーグルがスパイダーに衝突

そのまま押し倒す形で引き離すが、スパイダーはストライクイーグルの跳躍ユニットを破壊

そのまま両腕部を斬り、胴体を踏みつけた

 

『グアアアァァァ!』

 

「隊長ッ!!ベールアウトを!」

 

装甲が軋みを上げ、フレームが歪み始めた

スパイダーはプラズマソードを両手で構え、コクピットに狙いを定める

 

「オイ、止めろ・・・・・・止めてくれ!!」

 

ユウヤは精一杯叫ぶが、スパイダーに届かない

プラズマソードはゆっくりとコクピットを刺し、周囲に血痕が飛び散る

スパイダーは何事も無く飛び去ってしまった

 

 

アメリカ SIDE END

 

 

アスカ SIDE

 

 

「・・・っ!?」

 

なんだ今のは?

悲しくて苦しみが波紋のように響き渡る

心が鷲掴みされ、うまく呼吸ができない

 

「大丈夫か、アスカ!」

 

「・・・大丈夫、痛みが和らいできたから手伝う」

 

「無理はするなよ」

 

「ああっ」

 

荷台に置いたライフルを掴み取り、周囲を警戒する

基地は砲撃が鳴り止まず、あちこち火の手が上がっていた

その中で米軍のイーグルが倒れているが、敵機のファントムは一機も見当たらない

米軍は各国に派遣できるほどの戦力を保有し、対人戦を特化した戦術が組み込まれていたはずだ

それを覆すなんて襲撃者はかなりの熟練者だ

ジープは滑走路を進むと聞き慣れた稼働音が聞こえる

 

「アスカ!」

 

「分かっている、まだアメリカで配備されていない水素プラズマジェットを使って、なんて先取りな襲撃者だな!!」

 

目の前に降り立つファントムを睨んだ

悪用されるのは考えていたが、こうも早く使われるなんて思ってもいなかった

しかも改造されたと思うファントムが米陸軍を圧倒するなんて自分でも恐ろしい技術を世界に渡したものだ

 

「向こうはやる気だ、おやっさん運転頼むぜ」

 

「なんじゃ?年上をコキ使うとは」

 

「代価として性転換したアスカの踏みつけコース」

 

「任せておけ!」

 

「・・・二人ともあとで長いミーティングだ!(激怒)」

 

「もちろん女装姿で・・・グヘッ!」

 

武器庫から拝借した発煙弾を投げつけ爆発、煙が俺たちの姿を隠す

ファントムは手当り次第攻撃するが当たらず、物影でチャールズ社長へと運転が代わり煙から飛び出した

ファントムが反応し突撃砲を向けるが、ジープはドリフトさせながら真下に停車

俺とケニーはライフルを構え関節に撃つ、銃弾は関節に当たるが弾かれるが続けて撃った

 

「逃げるぞ、しっかり掴まれ」

 

アクセルを踏み倒し、タイヤが滑り煙を上げながら急発進をする

ファントムは突撃砲を俺たちに狙いを定めようとするが足に力が入らなくなり甲高い悲鳴上げながら倒れてしまった

ジープはそのまま基地を脱出し、道亡き道を走る

 

「これからどうするおやっさん?」

 

「後のことは軍に任せたいじゃが、なにかあると考えているんじゃろう?」

 

「普通殲滅だったら人知れず夜間の奇襲とかすれば最適ですが、今回は姿を見せてまで殲滅するのはちょっと可笑しいです、なにか別な目的があると考えています」

 

「別な目的・・・ラプターの強奪か」

 

「それも考えたけど、この日以外に襲撃すればいい話だ」

 

「となると、この日でなければならない何かがあった」

 

「一つだけ分かったことがあるのう」

 

「一つだけ分かったこと?」

 

「襲撃が始まる前、ATSF計画のテスト機がラプターに攻撃をした」

 

「ATSF計画のテスト機?」

 

たしかATSF計画ってイーグルなどの後継となる次世代戦術機を開発する目的で開始された計画だったな

この計画で競合試作されたのはラプターの原型であり性能が別なものになっているYF―22試作1番機ライトニング・試作2番機クラウディ

BETA近接格闘戦闘能力重視され、武御雷同様の高価な機体、YF―23試作1番機スパイダー・試作2番機グレイゴースト

 

比較試験で行われた模擬戦は、ステレス機同士の戦闘となり有視界戦闘域まで接近し、近接格闘重視なYF―23が僅差ながらも戦績で上回る結果を残した

最終選考の時にはYF―23は調達・運用の色々なコスト面、整備性でYF―22に劣っている結果と、一部の政府高官が「米国の若者にBETAとの近接戦闘を行わせるべきではない」と言う鶴の一声で次世代機として省かれYF―22が選ばれて今のラプターになった

 

この襲撃は次世代機として選考されなかったYF―23を開発したノースロック・グラナン社が真っ先に疑われるが会社にとってデメリットしかない

しかも先行型量産機に親米派から流された技術を使用され、あの4機も導入されたかもしれない

 

となるとあの4機に目を付けた第三者がいる

襲撃には撃墜されることを考えてアメリカでは生産中止になっているファントムを使用

しかも四番目・日本・米国しかない水素プラズマジェットを持っている

四番目は厳重に管理され、日本は親米派以外の情報は洩れてない

つまり米国の誰かが襲撃者に渡したと思う

 

「ATSF計画の機体強奪は分かったけど、強奪してもすぐに撤退しないんだ?」

 

「それは見られたから殲滅か、時間を稼いで・・・・・・時間を稼ぐ?」

 

「アスカ・・・?」

 

姿を見せても相手を殲滅したい

しかし時間が掛かり、増援が来て自分を危険に晒してしまう

そうなるならどうする?

 

「さらに威力を持つ兵器で殲滅・・・ミサイルだ・・・」

 

「ミサイル?何を言っているんだ?この国全土はレーダーで監視されミサイルが飛んでくるなら一瞬で迎撃されるぜ」

 

「水素プラズマジェットを渡したヤツが手引きしていたら?しかも弾道ミサイル」

 

「本当なら厄介じゃ、基地にはまだ逃げ遅れた民間人もいる」

 

「けど、どうする?そのことを軍に言っても聞く耳を持たないと思うぜ連中は」

 

たしかにそうだ

軍事企業が軍に告げ口しても耳を傾けてくれないだろう

まして俺が軍に連絡すればここにいることがバレて四番目に影響する

 

「俺たちがやるしかない」

 

「・・・うむ、そうだろうと思ってスタッフとトレミーを近くに待機させておいた」

 

ジープから顔を出すと一部だけ景色が歪んで近くにスタッフが手を振っていた

 

「いくらオレの愛機でも弾道ミサイルとなると放物線軌道を取るから狙撃できないぜ」

 

「確かにそうだ、現在ある武装でも宇宙空間まで届かないなら――」

 

そういうとチャールズ社長が俺を見た

スペースシャトル以上に自由に宇宙に行ける性能を持ち、何機も格納できるスペースを持つ、そして300年後の技術の粋を次ぎこまれた艦、プトレマイオス2

 

「つまり直接、宇宙に行けばいい」

 

「そういうことじゃ、トレミーにサンダーボルトⅡを乗せ大気圏まで運び迎撃すれはいい話じゃ」

 

「言っていることが簡単だけどよ、宇宙で浮遊しながらの狙撃は始めてだし、機密作業していると間に合わないぜ」

 

「ケニーは別な機体でカタパルトから狙撃、おれは宇宙に出てケニーをサポートするから」

 

「チーフ、全クルー乗り込み、システムチェック、機体積載完了、いつでも行けます」

 

「ハァ~自分の会社はいつもやることが大胆なのか繊細なのか・・・」

 

「「「アナタがそれを言いますか!!」」」←全スタッフ

 

「それは言えるのう~桜咲、“乱気流”はしばらく掛かりそうじゃ」

 

アレまで開発していた!?

もう~香月博士は、人が知らないところで結構話を進めるなぁ・・・

 

「分かりました、ハロ、例のアレは?」

 

「待機中!待機中!」

 

「トレミーが上がったら直ぐに合流してくれ」

 

「了解!了解!」

 

さ~て、準備は整った

肋骨の代価を頂きに参りますか!

 

 

アスカ SIDE END

 

 

テロリスト SIDE

 

 

基地を襲撃していた者達は軍の目を掻い潜り、海を目指していた

 

『レーダーに敵機の反応無し、HQへの定時連絡に入ります』

 

『各機は現状の速度を維持、周囲を警戒したまま、予定のルートを進行せよ』

 

『『『『了解ッ!』』』』

 

『しかし、ファントム一機を失うことになるとは・・・』

 

『可笑しな連中でした、たかが民間人と思って甘く見たらファントムを行動不能に陥るなんて』

 

『いくら強くても、その連中は我々がこれから起こす事をすることを知るまい』

 

『だが、その慢心した考えが命取りになる』

 

突然通信が入り、音も無くレーダーに表示されることなくファントムの隣にスパーダーが並列して来た

 

『少佐、失礼しました!』

 

『念には念を入れるミサイル発射後、別の地点で待機している攻撃部隊からミサイル発射と伝えておけ。我々は予定通りファントムを破壊後、偽装タンカーで脱出する』

 

『了解しました!』

 

ファントムとスパーダーは跳躍ユニットをさらに吹かし荒野の中をつき進んで行った

 

 

 

あとがき

 

はい、どうも~今年二回目の投稿です

夕呼が頼んでいた物はスローネシリーズ!

このスローネシリーズはA―01・・・伊隅ヴァルキリーズ(風間と宗像を含む)が乗ります

なに?ヘタレが乗る機体がないって?

ヘタレは○○ムに乗らせます(決定事項であり強制です)

あれ?誰か一人、忘れているような・・・ん?お、オマエはサブ友・・・

 

 

 

 

しばらくお待ちください

 

 

 

 

というわけで、今回はアラスカの前にユウヤとクリストファーに因縁をつけました(リック・スヴェン大尉、早く亡くなってすいません)

不知火・弐型 VS YF―23スパイダーという図式を考えています

そしてYF―22のコードネームは非公式に呼ばれていたものと天候に関する名を入れました

それでは、また会いましょう

 


 
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