No.494056

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第九十六技 交わらぬ想い、そして影

本郷 刃さん

第九十六話です。
シリカの告白に、ヴァルの答えは・・・・・・。

どうぞ・・・。

2012-10-09 09:57:05 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:11556   閲覧ユーザー数:10839

 

 

第九十六技 交わらぬ想い、そして影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァルSide

 

「………好きです/////////」

 

僕に伝えられたシリカの想い。嬉しかった。だって、僕だって彼女の事が好きだから。

 

「助けてくれたからっていうのがあるとは思うの。

 だけどそれは、きっかけで……そのあともヴァル君と会って、

 お話ししたり、一緒に戦ったりしていく内にね、

 好きなんだっていうのがしっかりとわかったの//////」

 

想いを言葉にしていくシリカ。僕はその言葉を絶対に聞き逃さないようにする。

 

それが僕にできる事だから。でも、やっぱり僕には辛い…。

 

「だから……もしよかったら…、あたしと…付き合ってもらえませんか/////////?」

 

その言葉だけで僕は満たされた。満たされたからこそ、僕は答えなくちゃいけない。

 

たとえ彼女を苦しめてしまっても。それで僕がどう思われようとも。

 

「……ありがとう、シリカ。すごく嬉しいよ…」

 

その言葉で彼女は笑顔になった。だけど僕は…それを悲しみの表情に変えてしまうだろう。

 

だって僕は……血に汚れた僕は幸せになっちゃいけないから。

 

「でも……ごめんね」

 

「え……」

 

シリカの表情が呆然としたものに変わる。さらに僕は追い打ちをかけるように言う。

 

「僕は君とは付き合えない…」

 

そう言い放った。僕が血に汚れていることも伝えておかないと…。

 

「だって僕は…」

 

「っ!」

 

「っ!? シリカッ!」

 

彼女は僕が全部言い終わる前に走り去ってしまった。本当なら追いかけないといけないのに足が動こうとしない。

 

いや違う。僕は怖いんだ。僕の正体を知られて拒絶されるのが。

 

「最低だ……男として、人としても……」

 

 

 

結局僕は歩いて街に帰ってきた。

 

そこで街に着いた時に高額のアイテム≪念話結晶(テレパスクリスタル)≫に反応があった。

 

連絡相手はティアさんだった。一体どうしたんだろう?

 

結晶を額に当てて、相手との連絡をとる。

 

「(ヴァル君! 聞こえますか!?)」

 

「(ティアさん、なにかあったんですか?)」

 

かなり焦った様子のティアさん。なにがあったんだろう…。

 

「(時間が無いので手短にお伝えしますね!

  先程シンカーさんから連絡が入ったのですが、『黒鉄宮』の監獄エリアから脱獄者が出ました!)」

 

「(なっ!?)」

 

そんな…。あの脱出不可能な監獄から脱獄なんて、一体どうやって!?

 

「(脱獄者への手引きを行ったのは『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』の残党でした。

  そちらへの対応はキリト君達が行っていますが、脱獄者達は未だに逃亡中です。

  そして…脱獄した者達の名前は……………)」

 

「(そ……んな…)っくぅ!」

 

僕はティアさんから脱獄囚達の名前を聞いた瞬間に走り出した。

 

早くしないと彼女が………シリカが危ない!

 

ヴァルSide Out

 

 

 

シリカSide

 

あたしは今、当てもなく歩いています。何も考えたくない。何も……なにも…。

 

「う…うぅ(グス)、んぅ…(ヒク)」

 

涙が溢れてきた。

 

何も考えたくないのに……振られちゃったのに、それでもヴァル君のことが頭に浮かんでくる。

 

どうしたらいいのかなぁ?

 

「ピナ…あたし、どうしたらいいかな?……ピナ?」

 

辺りを見回してみても、どこにもピナがいない。はぐれてしまったのだ。

 

それに『ミーシェ』の街の中にいるのは確かなのに、見た事もない場所に来てしまったようだ。

 

「また……一人になっちゃった…。一人は…いや…(クスン)」

 

「それじゃあ俺と一緒にきてもらおうか?」

 

「っ!? だれ!?」

 

いきなり声を掛けられて、後ろを振り返ってみると一人のプレイヤーが立っていた。

 

ただ声からして男の人なんだろうけど、仮面を着けているので本当の性別がわからない。

 

ここは街の中だから命の危険はないけど…、なにが起こるか分からないからダガーを構える。

 

そして目の前の人はさらに言葉を続けた。

 

「へぇ~構えるのか…。だけどな~、周りへの警戒が足りないぜ」

 

「えっ? んっ!? んんっ~~~~~、ん……」

 

あたしは口元を誰かに抑えられて、そのまま何かを嗅がせられた。そのまま意識を失った。

 

 

 

「よ・・ったね。こ・で、あい・・釣・るよ」

 

「・うで・ね。・・餓鬼・・して・やれ・・ね」

 

誰かの声が聞こえる。一体誰なの?少しずつ意識がはっきりとしてくる。すると、

 

「起きやがったみたいですよ!」

 

あたしの近くにいた一人の男が喋っていた人達に声を掛けた。

 

「ああ、やっと起きたのね?」

 

「この声…」

 

あたしはその声に聞き覚えがあった。だけどあの人がここにいるなんてことは…。

 

しかし、現実は残酷でした。

 

「久しぶりね………シリカ」

 

ありえないと、そう思った。だけどその人は目の前にいる。

 

「なんで…貴方がここにいるんですか………ロザリアさん(・・・・・・)!」

 

そう。あたしの前に現れたのは、ヴァル君によって『黒鉄宮』に送られたはずのロザリアさんと、

犯罪(オレンジ)ギルド『タイタンズハンド』の人達だった。

 

シリカSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

オリジナルアイテム説明

 

念話結晶(テレパスクリスタル)

額に当てて使用し、リアルタイムでの通信を行える高額アイテム。

 

 

 

 

 

後書きです。

 

みなさま・・・・・・大変申し訳ありません(土下座)!!!

 

このまま二人が付き合ってもいいじゃないか!と思われた方々が多いと思いますが、

「黒き閃光編」がそもそものフラグだったのです。

 

ですが心配には及びません。

 

シリカの元にはヴァルが駆けつけます、決定事項です!

 

『タイタンズハンド』には逝っちゃえフラグを建てました。

 

ヴァル君の怒りが炸裂しますので、是非ご期待くださいませ。

 

それとシリカが眠らされた手法ですが、状態異常は圏内では回復しますが、

『眠る』という動作は状態異常ではないので、圏内でも睡眠薬で眠らされるということにしました。

 

そして何故オレンジである彼らが脱獄できたかというと、ラフコフに所属(妄信)しているグリーンが、

NPCの衛兵達から壁になったという設定です。

 

少し無理があるかもしれませんが、ご容赦いただけると幸いです。

 

では、また・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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