第九十六技 交わらぬ想い、そして影
ヴァルSide
「………好きです/////////」
僕に伝えられたシリカの想い。嬉しかった。だって、僕だって彼女の事が好きだから。
「助けてくれたからっていうのがあるとは思うの。
だけどそれは、きっかけで……そのあともヴァル君と会って、
お話ししたり、一緒に戦ったりしていく内にね、
好きなんだっていうのがしっかりとわかったの//////」
想いを言葉にしていくシリカ。僕はその言葉を絶対に聞き逃さないようにする。
それが僕にできる事だから。でも、やっぱり僕には辛い…。
「だから……もしよかったら…、あたしと…付き合ってもらえませんか/////////?」
その言葉だけで僕は満たされた。満たされたからこそ、僕は答えなくちゃいけない。
たとえ彼女を苦しめてしまっても。それで僕がどう思われようとも。
「……ありがとう、シリカ。すごく嬉しいよ…」
その言葉で彼女は笑顔になった。だけど僕は…それを悲しみの表情に変えてしまうだろう。
だって僕は……血に汚れた僕は幸せになっちゃいけないから。
「でも……ごめんね」
「え……」
シリカの表情が呆然としたものに変わる。さらに僕は追い打ちをかけるように言う。
「僕は君とは付き合えない…」
そう言い放った。僕が血に汚れていることも伝えておかないと…。
「だって僕は…」
「っ!」
「っ!? シリカッ!」
彼女は僕が全部言い終わる前に走り去ってしまった。本当なら追いかけないといけないのに足が動こうとしない。
いや違う。僕は怖いんだ。僕の正体を知られて拒絶されるのが。
「最低だ……男として、人としても……」
結局僕は歩いて街に帰ってきた。
そこで街に着いた時に高額のアイテム≪
連絡相手はティアさんだった。一体どうしたんだろう?
結晶を額に当てて、相手との連絡をとる。
「(ヴァル君! 聞こえますか!?)」
「(ティアさん、なにかあったんですか?)」
かなり焦った様子のティアさん。なにがあったんだろう…。
「(時間が無いので手短にお伝えしますね!
先程シンカーさんから連絡が入ったのですが、『黒鉄宮』の監獄エリアから脱獄者が出ました!)」
「(なっ!?)」
そんな…。あの脱出不可能な監獄から脱獄なんて、一体どうやって!?
「(脱獄者への手引きを行ったのは『
そちらへの対応はキリト君達が行っていますが、脱獄者達は未だに逃亡中です。
そして…脱獄した者達の名前は……………)」
「(そ……んな…)っくぅ!」
僕はティアさんから脱獄囚達の名前を聞いた瞬間に走り出した。
早くしないと彼女が………シリカが危ない!
ヴァルSide Out
シリカSide
あたしは今、当てもなく歩いています。何も考えたくない。何も……なにも…。
「う…うぅ(グス)、んぅ…(ヒク)」
涙が溢れてきた。
何も考えたくないのに……振られちゃったのに、それでもヴァル君のことが頭に浮かんでくる。
どうしたらいいのかなぁ?
「ピナ…あたし、どうしたらいいかな?……ピナ?」
辺りを見回してみても、どこにもピナがいない。はぐれてしまったのだ。
それに『ミーシェ』の街の中にいるのは確かなのに、見た事もない場所に来てしまったようだ。
「また……一人になっちゃった…。一人は…いや…(クスン)」
「それじゃあ俺と一緒にきてもらおうか?」
「っ!? だれ!?」
いきなり声を掛けられて、後ろを振り返ってみると一人のプレイヤーが立っていた。
ただ声からして男の人なんだろうけど、仮面を着けているので本当の性別がわからない。
ここは街の中だから命の危険はないけど…、なにが起こるか分からないからダガーを構える。
そして目の前の人はさらに言葉を続けた。
「へぇ~構えるのか…。だけどな~、周りへの警戒が足りないぜ」
「えっ? んっ!? んんっ~~~~~、ん……」
あたしは口元を誰かに抑えられて、そのまま何かを嗅がせられた。そのまま意識を失った。
「よ・・ったね。こ・で、あい・・釣・るよ」
「・うで・ね。・・餓鬼・・して・やれ・・ね」
誰かの声が聞こえる。一体誰なの?少しずつ意識がはっきりとしてくる。すると、
「起きやがったみたいですよ!」
あたしの近くにいた一人の男が喋っていた人達に声を掛けた。
「ああ、やっと起きたのね?」
「この声…」
あたしはその声に聞き覚えがあった。だけどあの人がここにいるなんてことは…。
しかし、現実は残酷でした。
「久しぶりね………シリカ」
ありえないと、そう思った。だけどその人は目の前にいる。
「なんで…貴方がここにいるんですか………
そう。あたしの前に現れたのは、ヴァル君によって『黒鉄宮』に送られたはずのロザリアさんと、
シリカSide Out
To be continued……
オリジナルアイテム説明
『
額に当てて使用し、リアルタイムでの通信を行える高額アイテム。
後書きです。
みなさま・・・・・・大変申し訳ありません(土下座)!!!
このまま二人が付き合ってもいいじゃないか!と思われた方々が多いと思いますが、
「黒き閃光編」がそもそものフラグだったのです。
ですが心配には及びません。
シリカの元にはヴァルが駆けつけます、決定事項です!
『タイタンズハンド』には逝っちゃえフラグを建てました。
ヴァル君の怒りが炸裂しますので、是非ご期待くださいませ。
それとシリカが眠らされた手法ですが、状態異常は圏内では回復しますが、
『眠る』という動作は状態異常ではないので、圏内でも睡眠薬で眠らされるということにしました。
そして何故オレンジである彼らが脱獄できたかというと、ラフコフに所属(妄信)しているグリーンが、
NPCの衛兵達から壁になったという設定です。
少し無理があるかもしれませんが、ご容赦いただけると幸いです。
では、また・・・。
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第九十六話です。
シリカの告白に、ヴァルの答えは・・・・・・。
どうぞ・・・。