No.475199

Fate/Lyrical Reincarnation Ⅰ

答えを得たエミヤと手に入らぬからこそ美しいモノを知ったギルガメッシュの転生物語。 二人は子供化し、見知らぬ世界に飛ばされて、2人の少女と出会う。 Fate/Lyrical Reincarnation、始まります。 自己満足作品です。はい。 実質これが最初の作品になるので、文章とか下手ですが、よろしくお願いします。
暁〜小説投稿サイト〜の方で投稿しているものをこちらに
修正して投稿しております

2012-08-25 17:04:19 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:9657   閲覧ユーザー数:9505

 

「答えは得た、大丈夫だよ遠坂。俺もこれから頑張っていくいから」

 

英霊エミヤはあの日、あの夕日のもとであの少女に誓った事を何故か未だに忘れることが無かった。

英霊の座に戻れば記憶は保持されないはずだというのに。

そもそもここは英霊の座なのだろうか?

少なくとも目を覚ましたエミヤを迎えた場所は、おおよそエミヤの知る英霊の座とは程遠い風景だった。

周りには電柱、民家等がある。どう見てもここは街だろう。

守護者として召喚されたのか、それともイレギュラーでも起きたのか、訳が分からない。

 

 

「やれやれ、また厄介事に巻き込まれてしまったか」

 

 

混乱する自分を落ち着かせるためのお馴染みの呪文とも言える皮肉を誰にでもなく口にする。

これだけでもある程度は普段の調子に戻れるらしい。

調子も戻った所で現状確認をしようとする・・・はずだったのだが。

動けない、いや、正確にはとてつもなく動きづらい。

違和感と寒気を一身に感じたエミヤは自分の体の状態を確認する。

 

魔力回路に異常はない、全ての回路は正常稼働中だ。

 

投影も問題なく使える。

 

人格に異常をきたしているわけでもない。

 

では肉体年齢はどうだろう。

 

低い視点、着るには大きすぎる服、短くなった足、小さくなった手。

子供のになっているようだ、年齢は恐らく9歳程だろう。

 

 

「幼体化とはな・・・厄介事で済めばいいのだが」

 

 

まずはここがどこか、今は何時なのか、他にも調べなければならない事は山ほどある。

エミヤはまずここが何処かを調べることにした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「憎らしい女だ…最後までこの我に刃向かうか。 だが赦そう。手に入らないからこそ美しいものもある。

 ではな騎士王。いや、中々に愉しかったぞ」

 

 

英雄王は自らが手に入れようとした女に最期の言葉を残し、消えていった・・・・・はずだった。

実際ギルガメッシュ自身、自分が消失するものと思い込んでいたし、普通なら消失する。

ならばこれはどういうことだろうか。

ギルガメッシュが目覚めた場所は大方ビルの屋上で、フェンス越しにはビルの明かりが見える。

さらに子供の状態になっているようで、服が全く合わない。

鎧を着ていたはずなのになぜいつものライダースーツを着ているのか。

疑問なことはいくらでもあるが、まずは服のサイズを合わせることにした。

サイズを合わせると言ってもそう面倒なことではない。

ただ、指を鳴らしてそれをイメージすればいい。

 

 

「さて、これからどうしましょうかね?」

 

 

恐らくここは冬木ではない。

彼は冬木全体の風景を熟知しているが、こんな場所は見た事がない。

つまりここは冬木以外の何処かという事だ。

しかし冬木では無いと言う情報だけではここが何処かなど分かるはずもない。

 

 

「まずはそこらを散策して来ますか」

 

 

ギルガメッシュは認識阻害のヘッドギアを装着し、ビルを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エミヤが調べた情報によると、まずここは日本の海鳴市という事、

少なくともこの世界に冬木という街は存在しないこと、この二つである。

 

 

「第二魔法にでも巻き込まれたのか、私は」

 

 

生前に知っていた人間でそんな事をしそうな人物といえばゼルレッチくらいしかいないのだが。

どの道ここが平行世界であることは分かった。今更飛んだ原因を追求しても仕方がない。

今夜の野宿先を探すことにした。

 

 

 

 

 

一時間程野宿をして目立たなそうな場所を探してみたものの全く収穫がない。

電柱に寄りかかって寝る訳にもいかないし、ましてや民家に押し入りなどもっての外だ。

いっそのこと寝ないで過ごしてしまおうかとも思っていた。

エミヤは本来サーヴァントなのだから睡眠の必要はない筈だ。

 

 

「では、一晩中練り歩くとしよう」

 

 

エミヤが今夜の不眠を決定した瞬間、周囲にバーサーカーの斬撃のような衝撃が走った。

 

 

「っ!?今のは?」

 

 

轟音は東の方から聞こえた。

しかし、こんな夜中に結界も貼らずにあんな轟音を出すなど、普通の魔術師がする事とは思えない。

こちらの世界には封印指定を喰らいたがっている魔術師でもいるのだろうか。

 

 

「全く、移動初日にして仕事とはね・・・私もついていないものだ」

 

 

誰にでもなく皮肉りながら、かつ迅速にエミヤは東に向かった。

 

 

「おいおい、なんなのだこれは?バーサーカーでも暴れたのか?」

 

 

エミヤの声こそ笑っていたが表情は全く笑っていなかった。

エミヤが東に向かった先は動物病院だった。

確かに轟音の元であろう爆撃したような跡はあるが、誰もいない。

つまり、犯人はこの爆発を起こした後に逃走したというわけだ。

愉快犯か何かだろうが、とんだはた迷惑である。

 

 

「そういえば私の幸運は『E』だったな。ここでもステータスは反映されるのか?」

 

 

この件は暫く放っておくことにしておいた。『もしかしたらとんでもないことに巻き込まれるかもしれない』

と言うエミヤの個人的な直感での判断である。尤も、直感ならばセイバーことアルトリアの方が余程頼りになるのだが。

 

 

・・・・・この直感は見事に当たることをエミヤは知らなかった

 

 

幸運がEなのを嘆いた矢先に野宿に最適そうな公園が見つかった。

しかもちょうどいい事に一晩越しても誰にも見つからないであろう木がある。

先ほど不眠を決めたエミヤであるが、サーヴァントであるはずなのに何故か眠いと言う現象に悩まされていた最中だった。

幸運Eでも事がうまく運ぶこともあるらしい。

 

 

「あまりこう言ったものの投影はしたくないのだがね、仕方あるまい。投影開始」

 

 

嫌々ながらも投影した物は生前着ていた服だった。ちなみにユニクロである。

今着ている外套は子供化しているが故にとてもではないがサイズが合わない。

昼間この格好で出歩いても間違いなく通報されるだけだろうから、当面を凌ぐために投影した品がこれである。

ついでに投影した鞄に外套を入れ、エミヤはユニクロに着替えた。

 

 

「こうして見ると生前の私が白髪になっているだけだな。全く、今までしてきたことが虚しくなってきた」

 

 

自虐に走りつつ、エミヤは木の幹に寄りかかりながら、何年ぶりかの眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルガメッシュが今いる場所について調べて得た事は大体エミヤと同じである。

ただ、ギルガメッシュは現在地や他の情報よりも、今、行動を共にしている少女のことが

何故か気掛かりになっていた。

 

 

 

 

 

ギルガメッシュはここが平行世界であろうということを知っても自分で驚く程にあっさりと受け流せていた。

勿論ある程度は驚いてはいたものの、一切の動揺はしなかった。

ギルガメッシュの中である程度予想が立っていたのだろう。

とりあえず、目が覚めたビルに戻ることにした。

ビルの屋上から一階降りた場所が無駄に生活感があったので利用させてもらおうと思ったのだ。

ヴィマーナで暮らそうかとも思ったが、あんなに目立つ舟を結界も貼らずに飛ばすわけにはいかない。

ビルについたギルガメッシュは誰もいないことを確認してビルの表面を登って、屋上に向かった。

どうやら身体能力はさほど落ちていないようだ。

屋上に着く直前、ギルガメッシュはこれまでに無いほどに驚愕していた。

なんとフェンスの上に金髪の少女が立っており、街の様子を眺めていたのだ。

どうやら金髪の少女も驚いたようで、

 

 

「えぇと・・・あの・・・」

 

 

としか言わず、会話が成り立たない。

むしろこちらが戸惑いたいくらいである。フェンスの上に立って街を眺める人間などまずいない。

ギルガメッシュから話しかけようと決意したところで、金髪の少女は俄かには信じられない事をした。

いきなり光に包まれたかと思いきや、光が見えなくなり姿を現すと、格好が変わっていたのである。

黒を基調としたレオタードとマント、イメージだけで言うと死神だろう。

 

 

「お願いですからここは大人しく気絶してください」

 

 

金髪の少女はその手に持っていた鎌のようなものをこちらに向けてとんでもないことを言い放った。

先ほどの戸惑いが嘘のようである。

それにしても大人しく気絶してくれなど、何を考えているのだろうか。

少なくともいう事を聞くわけにはいかない。

 

 

「お断りします」

 

 

目の前の少女と同じくこちらもきっぱりと断った。

そんな依頼を聞いてくれる人間などギルガメッシュでなくともそうそういない。

いるのは真性のマゾだとか、そういった人種だろう。

 

 

「それじゃあ、峰打ちで気絶させます」

 

 

金髪の少女はそれだけ言うと、鎌の刃でない部分をこちらに振り下ろしてきた。

やはり年相応ということだろう、太刀筋もとい鎌筋が甘い。

ギルガメッシュは王の財宝の武器を自分の前に展開して防いだ。

 

 

「!?」

 

 

「そんな依頼を聞くほど僕は人間が出来ていませんので」

 

 

元を正せば人間ですら無いのだがそれは言えない。

金髪の少女は突如出現した剣に驚いたらしく、2秒ほど硬直したあと、身を翻し、元の位置に戻った。

今の一撃で分かった。自分よりこの少女は下だ。

疲弊したところを天の鎖で縛り上げて事情聴取をすればいい。

ギルガメッシュが戦術を決め込んだ途端に金髪の少女がアルフと叫んだ。

何かの呪文か名前か、考えていると後ろから耳が生えた人が襲いかかってきた。

即座に先と同じ防御を展開する。

 

 

「んなっ!?こいつ、後ろが見えてやがる!」

 

 

恐らくこの人は使い魔の類だろうが、こんな高度な使い魔は見た事がない。

この世界では使い魔が発達しているのだろうか。

どちらにしても相手が2人となると少し面倒だ。

どちらかが分を超えた武装を持っている可能性もある。

ここはすぐに拘束しておかなければ。

 

 

「天の鎖よ!」

 

 

ギルガメシッュの号令に応じ、彼の朋友の名を冠した鎖が2人に絡みつく。

てっきり直ぐに脱出されるかと思ったが、足掻いても抜け出す気配がない。

二人の神性が高いのか、それともこの世界の人間は天の鎖から抜け出せるほど力が強くないのか。

どちらにしても拍子抜けである。

 

 

「こんなキツい鎖で縛ってどうしようってのさ!?」

 

 

「まぁ落ち着いてください、僕は話が聞きたいだけですので。

 て言うかなんなんですか貴女たちは、いきなり鎌で襲いかかってきたりして。

 この世界での挨拶ですか?」

 

 

「黙秘権は・・・無いですよね?」

 

 

金髪の少女の問いに当然ですと首を縦に振って答える。

せっかく見つけた情報源だ。

ここで逃してしまってはなんの意味もない。

 

 

「まぁその蜘蛛の巣に捕まった蝶のような格好は解いてあげましょう。

 そんな所に浮いていては何かと目立つでしょうし」

 

 

そう言ってギルガメッシュは天の鎖を解き、

2人が降りたのを確認してから、再び2人の両手に天の鎖を着けた。

出来れば両足も拘束しておけば絶対に逃げられないだろうが、運ぶのが面倒なので両手だけにした。

そもそも逃げようとするものならば王の財宝で両手両足を剣で拘束する。

 

 

「ところで下の階の色々置いてあるのは貴女達の?」

 

 

「「(コクコク)」」

 

 

「それなら都合が良い、下の階で話を聞きましょうか」

 

 

ギルガメッシュは天の鎖で繋いだ2人を引き摺りながら

下の階へ降りていった。

 

 

「せめて引き摺るのは勘弁してくれないかい?」

 

 

「黙りなさい、強者はこちらです。いきなり襲ってきた人間の言葉など聞く耳持ちません」

 

 

「酷い言いようだね・・・」

 

 

「仕方ないってアルフ、実際本当に私たちが先に襲ったんだから」

 

 

金髪の少女は結局のところかなり大人しい子のようだ。

この歳でよくもまぁあんな表面人格が被れるものである。

 

 

「さて、着きましたね。あ、どうぞ掛けてもらって結構ですよ」

 

 

「ここがあんたの家みたいな言い方するね」

 

 

「勝者の簒奪です。何の問題もないでしょう?」

 

 

それではここで聞きたいことを全て聞かせてもらうとしよう。

まずは魔術がこの世界でどういった存在なのか、先ほどの鎌の正体、

瞬時の変装について、その他諸々である。

後は2人の目的について聞かせてもらうとしよう。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

聞きたいことを全て聞いた結果はかなり面倒なものだった。

まず、この世界に魔術自体は存在していない、先ほどの鎌はバルディッシュと言って

この金髪の少女・・・フェイト・テスタロッサの固有の武器(デバイス)だそうな。

あの瞬時の変装はいわゆる変身というやつらしい、あのカレイドステッキと同じようなものだろう。

この2人の目的はフェイト・テスタロッサの母親がジュエルシードなるものを必要としているらしく、

それを集めさせられているらしい。

もう一つ収穫と言えばこの耳が生えた人はアルフと言ってやはり使い魔だそうな、

どうやらこの世界では使い魔が随分と発達しているようだ。

まぁこの世界でやっていくだけの情報は得た。

 

 

「えぇと・・・他に聞きたいことは?」

 

 

「そうですね、ジュエルシードというのは何です?モノによっては収集の手伝い位はしますよ?」

 

 

「あ、その説明はあたしがするよ」

 

 

アルフによるとジュエルシードというのは大魔力の塊だそうで

周囲の生物が抱いた願望を自覚の有無に関係なく叶えるロストロギアらしい。

ロストロギアというのは要するに古代文明の遺産でモノによってはかなり危険なものもあるらしい。

 

 

「これで聞きたいことは大体聞きましたね。ありがとうございました」

 

 

礼を言ってペコリと頭を下げる。

形はともかく自身の情報収集に協力してもらったのだ。

何か礼をしよう。

 

 

「いえ・・・お礼だなんてそんな・・・」

 

 

「いいじゃないかフェイト、せっかく何かしてくれるって言ってるんだし。

 ご好意に甘えさせてもらおうじゃないか」

 

 

「その通りですよ、いっそのこと金銀財宝とかでも構いませんし」

 

 

それくらいのものならば王の財宝に山ほどある。

 

 

 

「えぇと・・・じゃあ・・・ジュエルシード集め、手伝っていただけますか?」

 

 

なんだ、そんな事か。

それくらいならばむしろ歓迎だ、暫く居候出来るから野宿をしなくても済む。

本当はヴィマーナを使おうと思ったのだが認識阻害のヘドギアが小さすぎて使えない上に

あまり上空に行き過ぎると気持ち悪い。

空気が薄いのは防護結界でどうにでもなるが、高空の違和感だけはどうにもならない。

 

 

「それくらいなら全然構いませんよ」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

フェイト・テスタロッサがさっきのしおらしい姿を嘘のようにして食いついて来た。

 

 

「!?ええ・・・暫くどうしようかと暇を持て余していましたし」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

それにしてもフェイト・テスタロッサは何故こんなに嬉しそうにしているのだろう。

それにさっきからアルフから睨まれている。

 

 

「こいつをジュエルシード集めに加えるのはいいけど、食料はどうするんだい?

 あたしとフェイトの分しかないよ?」

 

 

「それついては全く問題ありません、食料ならいくらでも持ってますし、調理もできますから」

 

 

調理に関してはあちらの世界で言峰から教えられたものだ。

そういえば繰り返す4日間の中でも衛宮士郎にも教えてもらったか。

かの激辛麻婆豆腐も作れることは作れるが、あれは封印指定である。

あれを食べられる人間など、言峰くらいしかいない。

 

 

「じゃあ決まりですね!いいよねアルフ!?」

 

 

「あ・・・ああ、あたしも構わないよ」

 

 

「あぁそうだ、ここに僕を住まわせるのなら、少しリフォームさせてもらえますか?」

 

 

「なんでさ?」

 

 

アルフは疑問げにしているが生憎、こちらは大金持ちの出である。

どうしてもこう言った環境は辛い。

正直教会にいた時は自分の部屋にいるか、外出するかの2つの選択肢しかなかった程である。

この性はどうも黄金律持ち固有のものらしくあちあの世界では治らず、こちらでも引きずっている

というわけである。

 

 

「いいですけど・・・そんな短時間で出来るんですか?」

 

 

「普通なら無理ですがね、生憎普通の人間ではありませんので」

 

 

「それならまぁやってみてくれないか?見てみないことには分からないし」

 

 

アルフに言われると、ギルガメッシュはいつも通りに指を鳴らし、家具を一瞬で置き換えた。

やはりこちらの方が慣れがあっていい。

先ほどのベッドとテーブルだけの部屋とは大違いである。

 

 

「これってもう高級ホテルの一室じゃないか・・・

 まぁいいけどさ、こんだけ豪華な家具の中で住ませてくれるってんならあたしは大歓迎だよ」

 

 

「では夕飯を作ってきますね、暇ならそこのテレビでも見ててください、

 ある程度はゲームも置いてますからそっちでもいいですけど」

 

 

「あいよ」

 

 

さて、数年ぶりの料理だ、衛宮士郎程ではないが、ある程度は出来る。

たまにしかしないのだから気合を入れるとしよう。

とりあえずよくある食材でハンバーグでも作ることにした。

・・・・・あぁ、そういえば自己紹介をしていなかった。後でしておこう。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ふぅー、鱈腹食ったぁー」

 

 

「こらアルフ、お行儀悪いよ」

 

 

「気にしないで下さい、別に公の場ではないですし」

 

 

子供のギルガメッシュは基本的に効率を重視して行動するようにしている。

これは昔からの癖で冬木で周りの子供たちに不思議がられていた。

英雄王たるための一つの姿なのかもしれない。

人と神の血が流れる者には幼年時代すら子供らしく過ごせなかったのだろう。

 

 

「それじゃあ僕は食器とか片付けてきますね」

 

 

「あ、私も手伝います」

 

 

「手伝ってくださるのなら有難いです」

 

 

ギルガメッシュにはフェイト・テスタロッサの手伝いに行きたいと言った

真意が全く分かっていなかった。

 

 

 

ところ変わって台所である。

ギルガメッシュは食器の片付けをしながら一つ提案を居た。

 

 

「ところで一つ提案ですが、貴方の堅苦しい敬語は無しにしませんか?

 僕のこれは素なので仕方がないですが、貴方はそうではないでしょう?」

 

 

食器を洗いながらついでに言った為にあまり真剣味がないが

ギルガメッシュはフェイト・テスタロッサの堅苦しいまでの敬語には正直なところ

結構対応に困るのだ。

 

 

「えぇと・・・これでいいのかな?」

 

 

「まぁそうですね、同い年に敬語で喋られるのって結構疲れるんですよ」

 

 

「ごめん・・・」

 

 

「今更気にすることはないですよ、過ぎた事ですし」

 

 

「そうだね。

 あ、そういえばまだ君の名前聞いてないよ」

 

 

「ギルフォードです、ギルとでもお呼びください」

 

 

よくも即座にこんな偽名が名乗れたものだと自分でも思う。

そんな偽名を名乗るとフェイト・テスタロッサも一つ申し出てきた。

 

 

「じゃあ、私のこともフェイトって呼んで」

 

 

フェイトが申し出た瞬間に洗い物が終わった。

偶然とは恐ろしいものである。

 

 

「ではフェイト」

 

 

「何?」

 

 

「寝るときは部屋の端にベッドを3つ設置しておいたので、そこで寝てください」

 

 

「うん、分かった。じゃあ明日ね、ギル」

 

 

「ええ、御休みなさい、フェイト」

 

 

フェイトは洗い物を終えてから、先の部屋に戻っていった。

ギルガメッシュはその際、フェイトの首に痣を見つけた。

こちらに来てからまだ戦闘はしていないと言っていたが、なんだろうか。

あとでアルフに聞いておくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 
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