No.455238

世界を越えし男と数の子たち 第3訓 お金があると、つい余計な物まで買ってしまったりする

俺はこの日、掛け替えの無い奴らに出会った。
俺は車に跳ねられて死んだと思ったら、なんかよく分からんが別世界に行ってしまったみたいだ。
気が付けば、マッドな科学者や12人の姉妹と暮らしていたり、組織にケンカ売って犯罪者になっちまったり。平凡な日々を送っていたり
そして--俺は戦う。ナンバーズ達を、世界を守るために。

2012-07-18 19:45:51 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1559   閲覧ユーザー数:1527

チンクとクアットロの口調、これで合ってたっけ?

俺達はお互いに自己紹介(他にもNo.2のドゥーエがいるが、今は任務中でいないとの事)した後、みんなで夕食を食べる事になった。

 

 

しかし……

 

 

 

ユウト「おい…、何だ、これ?」

 

 

スカリエッティ「何…って、夕食だが?」

夕食といえば、本来は手間暇かけて作った温かいおかずが沢山並んでいるだろう。

 

ところが、此処に並んでいたのは……

 

ユウト「俺の目がおかしくなければ、クッキーとかサプリメントにしか見えないんだけど」

スカリエッティ「君の目は正常だよ」

そう、此処に並んでいたのは、優斗の居た地球では、バランス栄養食品と呼ばれていた物だった。

 

ユウト「なあ、ウェンディ、まさかとは思うけどよ…、今までも『これ』だったとか…言わねえよな?」

 

ウェンディ「ん?今までずっと『これ』だったっスよ?」

 

その言葉を聞いた優斗は、部屋の隅に置いてある冷蔵庫に向かった。

ノーヴェが「いらねえなら貰っちまうぞ」と言っていたが、優斗の頭の中はそれどころではなかった。

冷蔵庫のドアを開け、中身を見た優斗は絶句した。

冷蔵庫の中身は、

 

 

バランス栄養食品でギッシリ詰まっていた。

 

優斗はドアを閉め、机に向かった。そして……

 

 

ユウト「テメェら!!馬鹿か!!」

 

優斗の叫びに、全員の動きが止まった。

 

ノーヴェ「な…何だよ!いきなり!?」

 

ユウト「何だじゃねえよ!!あの栄養食品の数こそ何だ!毎日あんなもん食ってられるか!」

 

クアットロ「あら〜、好き嫌いは駄目よ、優ちゃん」

ユウト「好き嫌いとか以前に体壊すわ!つか何だ!優ちゃんってのは!?」

クアットロ「優斗だから『優ちゃん』よ」

ユウト「…それより、何で食材の一つや2つ無いんだ」

 

スカリエッティ「そ、それは…誰も料理が出来ないから…」

 

その言葉を聞いた優斗は決心した。

 

ユウト「分かった。スカリエッティ、明日食材を買いに行ってくるから金をくれないか」

 

スカリエッティ「あ、ああ、構わないよ。でも君はこの世界をよく知らないだろう?案内役に私の娘を一人連れて行きなさい」

 

チンク「なら、私が行こう」

スカリエッティ「それならチンク、頼んだよ」

 

チンクは、「分かりました、ドクター」と言った後、此方の方を向いた。

 

チンク「そう言うわけで、明日は私が案内しよう」

 

ユウト「あ…ああ、それじゃあ、頼むわ。(やっぱりよく似てるんだよなぁ…)」

 

 

 

ーー翌日ーーーーー

 

 

俺は朝飯を我慢して『あの』栄養食品で済ませた後、スカリエッティの所に向かった。

 

スカリエッティ「やあ、おはよう、優斗君」

ユウト「ああ、おはようさん。さっそくだが、食材、買いに行ってくるから金をくれ」

そう言うと、スカリエッティは優斗に大量のお札を渡した。

 

スカリエッティ「それだけあれば足りるだろう?チンクはもう準備して待ってるよ」

ユウト「分かった。じゃあ行ってくる」

 

アジトの入り口で待っていたチンクと合流し、街に向かった。ちなみに、チンクは昨日の全身タイツ姿では無く、白いシャツにGパンを穿いていた。聞くと、街への偵察用にみんな普通の服は持っているとの事。

 

 

 

ーー首都、クラナガンーー

 

 

 

ユウト「しっかしなぁ〜、こういうのを見ると、改めて此処は地球じゃねぇんだなって思うな」

 

優斗が周りを見渡すと、空間に浮かぶモニターや見たことの無い文字が目にはいる。

 

チンク「?、地球はどんな所何だ?」

ユウト「地球も科学は発展してるけど、此処までじゃないな。それに、文字が違う」

チンク「そうか。ちなみに、あれは魔法だぞ」

チンクが空間に浮かぶモニターを指差して言う。

ユウト「は?あれが?、どう見ても科学じゃねぇか。まさか、あの超科学がこの世界の魔法ってか?」

魔法ってのはもっと、ファンタジーなもんかと思ってたのに。

ユウトがそう呟いているうちに、二人は大型スーパーに到着した。

 

 

食材を買い物籠に入れながら歩いていると、チンクが話しかけてきた。

チンク「そういえば優斗、お前は料理出来るのか?」

ユウト「ん?ああ、これでも料理は得意たぜ。何か食べたいのがあったら作ってやるけど?」

チンクは少し困ったように言った。

 

チンク「うむ…料理を食べたことが無いからな…」

自分は何が食べたいよく分からない。ふと、商品のある棚を見た、そこで目に映ったのは、

 

プリンだった。

 

チンク「なぁ、プリンは作れるか?」

 

チンクはプリンの方を見ながら言った。

 

ユウト「プリン?いいぜ。すると…卵と牛乳がいるな…」

そう言い、牛乳と卵を籠に入れた。

 

チンクはこの様子を見て、何気なく優斗に聞いた。

 

チンク「優斗はこの世界に来る前は、よく家族に料理を作っていたのか?」

 

優斗はチンクの何気ない質問に一瞬表情を変えた。

 

ユウト「そうだな。母さんが料理出来なかったから、よく俺が料理を作ってたな。父さんは仕事で家に帰るのが遅かったし、妹のサヤは、病弱だったから、俺が作るしか無かったんだけど」

 

チンク「そうだったのか。しかし、優斗がいきなり居なくなって、家族は心配しているのではないか?」

 

ユウト「家族は…半年前に死んだよ。事故にあってな…」

 

チンクは優斗に悪い事聞いたと思い、すぐに謝った。

 

チンク「!!、済まない、悪い事を聞いた」

 

ユウト「気にすんな。さて、会計して帰るぞ」

チンク「あ…ああ」

 

 

ーーーー帰り道ーーーー

 

 

道を歩いている途中、チンクが優斗に謝るように言った。

 

チンク「優斗、さっきは、悪い事を聞いて済まなかった」

これに対して優斗は

 

ユウト「さっきも言ったろ?気にするなって」

その言葉を聞いたチンク、それでも済まなそうに優斗の顔を見た。その顔は、

 

 

とても悲しげだった。

 

チンク「優斗…お前は気にするな、と言っていたが、家族の事を話しているとき、悲しそうな目をしていたぞ。

……特に、妹の事を話していた時は」

 

チンクが言った後、優斗はチンクを見据えて言った。

 

ユウト「実はな…、最初、お前を見た時、妹…サヤを思い出したんだよ」

 

チンク「妹を…?」

チンクは少し驚いた表情になった。

 

ユウト「ああ、なんつうか……、よく似てるんだよ…。特に、雰囲気とかがな…」

 

チンク「そうか…」

 

ユウト「そうだな…。帰ったら、俺の家族の事、俺の事を聞かせてやるよ」

 

チンク「!?、優斗の事を…」

 

ユウト「ああ、そんじゃあ、アジトに帰るぞ」

 

そして、二人は道を再び歩き出した。

 


 
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