No.454183

異聞~真・恋姫†無双 四三

ですてにさん

前回のあらすじ:美羽さまが覚醒しつつある、という話。

人物名鑑:http://www.tinami.com/view/260237

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2012-07-16 18:07:30 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:8305   閲覧ユーザー数:5677

この作品はキャラ設定等が一刀くんを中心に、わりと崩壊しております。原作重視の方はご注意下さい。

時代背景等も大きな狂いがあったりしますので、『外史だから』で許容できない方は全力でブラウザバックを連打しましょう。

 

オリキャラも出ますので、そういうのが苦手という方も、さくっとまわれ右。

 

一刀君とその家系が(ある意味で)チートじみてます。

物語の展開が冗長になる傾向もすごく強いです。(人、それをプロット崩壊という)

 

この外史では一刻=二時間、の設定を採用しています。

それでもよろしい方は楽しんで頂けると幸いです。

「な、なんつーか、砂浜で徹底的に走り込みした時と、同じような疲れが・・・う、動けねぇ」

 

「わ、儂も似たようなもんじゃの。真夏でのぶっ通しの鍛錬より、これはキツいわ・・・ぃ、いつつ、まさか腹筋がもう筋肉痛、じゃと・・・!?」

 

むせるような、汗と、お互いの身体の体液がどろどろに混じった、どこか脳髄が痺れるような、媚薬のような、不思議な匂い。その匂いですら、俺達はもう立ち上がれないほどに、疲れ切っていた。

 

「俺も、ちゃんと鍛えているつもりだったんだけど、これは・・・きつっ・・・このまま寝てしまいぐらい・・・やばい、ほんとに眠くなってきた」

 

「不覚にも儂もじゃ・・・よ・・・身体中に飛び散った一刀の汗や精を拭き取らんと、まず・・・いんじゃが」

 

計十五回戦。全てダブルK.O。それが俺と祭さんの結末。

祭さんが俺の肥大した氣の特質、交じり合う性質をまさか、閨の闘いに積極転用した結果、記憶が時折飛ぶほどの快楽に襲われ続ける、などという普通に生きていれば経験できるはずのない、貴重な時間を過ごせたのと同時に、とんでもない疲労感に襲われていたのだ、それも二人とも。

 

「まったく、なぜ夜の営みが、全力での意地の張り合いになるのかしら・・・」

 

天幕の中に入ってきた人物を知覚するのもままならないほどに、俺達は体力を使い果たしていた。だけど、どれだけ疲れていても、その声を聴き間違えるはずもなく。

 

「ごめん、よ、華り、ん。あと、頼む」

 

「はいはい。愛紗は一刀をお願い。公覆は私がやるわ」

 

俺は呆れたその声を子守唄に、安心して意識を手放した───。

翌日。寝起き早々、寝台に仲良く正座させられた俺と祭さんは、華琳さんのお説教を頂戴していた。正座に慣れていない祭さんが辛そうだが、羅刹状態の華琳の前に彼女は犠牲になったのだ・・・。

 

「何か良くない事を考えているわね、一刀。ちゃんと私の話を聞いていたのかしら?」

 

「サー! サーイエッサー!」

 

「ならば、貴方たちの濃厚過ぎる営みをBGMに、この天幕の警備を一晩中務めた兵たちにはどう詫びるつもりなのかしらね…聞かせて頂戴な?」

 

「…いや華琳、BGMって俺以外わからな」

 

「言い訳は見苦しいわ」

 

俺の突っ込みは頭部への激痛と同時に中断させられていた。『陽』の刃の無い所で殴られたのは、華琳の手を見れば判る。が、いつ出したんだよ。欠片も見えなかったんですけど、挙動が。

 

「ま、全く見えなかったじゃと・・・っ!」

 

「え、祭さんが見えないとか、はははこやつめ。冗談もたいが、ごふぁらば!」

 

「だまらっしゃい?」

 

「目の錯覚ではなかったか。残像すら捕らえられんとか、なんという早さ、そして威力・・・。

こりゃ策殿に知られると面倒だの」

 

見えないニ撃目に俺の顔面は陥没した地面のくぼみとお友達状態。反射的に纏った氣が無ければ即死だったのは疑いようも無い。あ、あれ、ぬ、抜けねぇ・・・。

 

「さて、おふざけが過ぎる一刀は捨て置くとして。しっかり対処することね、公覆」

 

「まぁ、今日の警護兵は女性で固めておいたからの。北郷の力を借りればちょちょいのちょいじゃろ」

 

「何を言ったのかしら、公覆。よく聞こえなかったわね」

 

底冷えのするような、低い音声。覇王の頃にすら滅多に聴くことの無かった、冷たい全てを切り捨てる。そう感じさせる怖さが、華琳の声にはあった。

 

「か・ず・と、の力を借りればすぐに済むと言うておるのじゃ、若いもんがもう耄碌したか?」

 

一方、祭さんの受け答えにはとても余裕があるし、あえて意地悪い言い方をしているのも判る。理由はさっぱり思いつかないけれど。

って、ちくしょう! ぬ、け、な、いーっ! 華琳がこんな声を出す時は、心が悲鳴をあげるのを無理やり抑え込んでいる時なんだから、動かなきゃ、動け、動け、動けェええええええええ!

 

「とまぁ、蘭樹殿に意地悪しても仕方ないの。あれだけ濃厚な夜を毎晩過ごしているとわかり、少し反撃したくなったんじゃ、すまんの。しかし、羨ましいのー、毎晩こんな想いが出来るとはのー」

 

「なっ、なっ、ななななな・・・っ!」

 

祭さんぇ、一気に力が抜けたよって、あ、頭も抜けた。

とりあえず俺は、軽く頭を振るって、土を払い、そのまま華琳を後ろからそっと抱き締め、近くの胡床に腰を下ろした。とっくに祭さんは正座を崩し、痺れた足の確認に入っている。

 

「祭さん、それにしてもやり過ぎだって。昨日も言ったじゃないか、俺は華琳を第一にしているし、嫌なら抱かれる必要は無いって」

 

「むー、お主が特定の女一筋なんてあり得んと思うたんじゃもん。少しぐらい、嫉妬しても仕方なかろう?」

 

拗ねる祭さんは、普段の凛々しい彼女の印象と遠く離れていて、確かに愛らしいと思うけど、それとこれとは話が別。華琳を陥れるようなやり口を許容するわけもない。

 

「やり方があると思うよ。俺、怒ってる」

 

沸騰して感情を解き放つようなものとは違って、ずしんと腹の底にどす黒いものが溜まっていて、それが飛び出さないように、つとめて平静を装って。頭は冷えてるけど、身体は熱く感じる。

 

あぁ、俺、本気で怒ってるんだな。あの祭さんに対して。

このまま関係を絶つことすら、頭の片隅に置いてるじゃないか、さも当然のように。その思考に少し驚いて俯き加減になれば、顔だけこちらを振り向いた華琳の、頬を紅潮させつつも、どこか心配そうな瞳が目に映って、静かに瞳を閉じたと思ったら、

 

「んっ」

 

甘い吐息と一緒に、彼女に唇を重ねられていた。口内に素早く侵入した舌がざらつき合うのに、背筋にぞくりと走るものを感じて、どす黒いあの感覚が霧散していくのに気づく。

 

「バカ。私はこうして貴方の腕の中なわけだし、大丈夫だから、ちょっと落ち着きなさい。公覆が色を失ってるわよ」

 

「あ、あぁ」

 

「公覆も、しっかりなさいな。私も平静に戻ったから。一刀の怒りを見たら、なんか怒ってるのが馬鹿らしくなったわ」

 

「う、うむ。すまんかったの、蘭樹殿。そして、一刀。儂は柄にもなく、お主に傾倒しとるんじゃな、再認識したわい」

 

「あ、うん。俺も沸点が低くなってるかもだから、ごめんよ、祭さん」

 

祭さんはバツが悪そうに少し頬をかきながら、寝台から脚を下ろし、腰掛けている体勢に移行して、近くにある湯飲みにあった水を軽く含んでから、仕切り直すように口を開いた。

 

「まぁ、儂も自身に驚いたが、蘭樹殿が一刀の事になればこれほど平静を失ったり、一刀の蘭樹殿への想いの強さにも驚いてしまったわい。ただ、大丈夫なんじゃよ、儂だって一刀を何が悲しゅうて自分達の部下に貸し出さねばならん」

 

じゃあどういうことなのか、と首を傾げる俺たち二人に、祭さんはまだ痺れが残っているのか、若干奇妙な足取りで、俺達の隣まで来て、もう一つ胡床を開いた。

 

「ここからは、外の連中に聞かれたくないでの。さて、論より証拠じゃ。一刀、お主の『氣』そのもので儂や蘭樹殿を包み込んで抱き締めるのじゃ。ただし、ゆっくりで良いから、氣の拡散する範囲は天幕全体を包むぐらいに広げるようにの」

 

俺や華琳にしか聞こえない程度の小さな声で、祭さんは細かい指示を出す。悪戯を仕掛ける子供のように、楽しそうな悪い笑顔を浮かべて。

 

「うん、構わないけど。じゃあ、ゆっくり気脈を広げるから待ってね」

 

ちなみに華琳は俺の膝の上のまま。髪の何ともいえない甘く匂いを感じていると、心がぽかぽかしてくるから、少しの間、下ろすつもりはなかった。華琳も自分から下りようとする素振りはなく、丹田に近い辺りで合掌するように組まれている俺の両手に、そっと自らの両手を添えている。

 

「一刀の氣に包まれる感覚は確かに心地良いけれど、兵士達の欲求不満の解消と繋がらないのではなくて?」

 

「ふふふ、困惑が素直に声に乗り過ぎじゃぞ?」

 

「う…一刀と一緒だと、どうにも隠せないようになってきているのよ。必要時以外は変に隠すなと言われてるし」

 

「はっはっは、年相応の少女の顔と言ったところかの。なるほど、儂の『旦那様』は本当に蘭樹殿のことが大切なんじゃな、羨ましいわい」

 

「ええ、本当に大切にしてくれているわ。で、実際にどうしようというの? 声まで潜めさせて」

 

二人の会話が続く間に、俺は氣を広く大きく広げる事に集中し、そして、華琳と祭さんを自分の氣で抱き締めるイメージを強く持つ。

 

「昨晩の再現じゃよ。ん、やはり一刀の氣に包まれる感覚はたまらんの。心地良いだけでなく、どうにもココがうずくわい。ほれ、一刀。直にも儂も抱き締めぬか」

 

言うが早いか、祭さんは俺の片腕を取り、自分の肩に回してしまう。というか、ココってどこを指差してるんですか、祭さん。これだけ広めに拡散していると集中を切らせないから、下手に口は開けないし、あくまで思うだけだけどさ。

 

「ちょっと下品よ、公覆。ま、否定は出来ないんだけど、んっ、って、ちょっと待ちなさい、かず、とっ、昨日の時点じゃ、こんな感覚にならな・・・っ!」

 

「おっと、一刀、集中はそのままじゃ。危険なわけではないし、敏感じゃだけじゃよ、蘭樹殿は。当の一刀はそんなつもりはないようじゃ、が、とはいえ、気を抜いたら儂も持っていかれそうじゃ、のぅ。蘭樹殿、こういうこと、じゃ、よ?」

 

華琳の急に慌てた感じの甲高い声に拡散を止めかけた俺を、祭さんはすぐに止める。

ただ、二人とも明らかに声に余裕が無くなってきている。

 

「慣れぬ間は下手に、話す余裕は無、いのは判る。と、いうか気づいていない、ぃ、お主が天晴れ、じゃ。さ、て、二人とも耳を澄ませて、みせい。拡散はそのまま、にな」

 

「んんんっ、バ一刀、あとで覚えてなさいって、え、何、この声・・・?」

 

『ん…はぁ、ダメぇ、警護中なのに…また…この感覚、逆らえ、な』

 

『指が止まらない、ぃ、ああ、もう朝になってて明るいのにぃ、ああ、近づいてきちゃ、うぅぅ!』

 

『あの男性の氣、気持ちいいっ!! 癖になるぅっ』

 

「おっと、一刀。まだ氣を切らすでないぞ?」

 

「なんですかこれ。明らかに嬌声が聞こえて集中乱れそうなんですが」

 

集中しつつも、流石に口を開く俺。抱き締めるイメージが弱まるのは仕方ない。というか、甘い声が聞こえる中で集中しろって拷問だろ、おぃい。

 

「そこは頑張るん、じゃ、あと100も数えんう、ちに終わる」

 

「いや、第一、祭さんも華琳も二人とも顔が赤いし、止めるべきだと思うんだけど」

 

「まぁ、待て。何とか飛ばずには済むか、らの。ほら、あれじゃ。予想通り、じゃったんじゃが、昨晩、繋がり合う時に、儂と氣を混ぜあったろう。あの感覚を覚えた、一刀の平静時の氣に包まれるとの、中途半端に氣を持つ者、この場合、儂の女性の部下がそうじゃが、まぁ、一気に昂りの頂点に連れて行かれて、しまうんじゃろう、んんっ」

 

「話してる間に上り詰めて、しまったみたいよ、ぉ、一刀、お願い、氣緩めて、頂戴」

 

外からの嬌声が途切れるのと、集中の限界が来て、広がる俺の氣が霧散するのはほぼ同時だっただろうか。

 

「いや、そんな話聞いて集中出来ませんです、はい・・・」

 

「ふぅ、まぁ、氣に長けた者や、快楽を制御出来る者には通じんから、大丈夫じゃて・・・多分」

 

多分ってなんだよ! というか、俺の氣が快楽刺激するとか、猥褻物状態じゃないかぁ!

 

「はぁ、公覆。その部分を隆起させながら言っても、説得力が無いわ。とはいえ、これだけ濡れてしまえば、私も着替えないとダメか。私もたいがい欲に囚われ過ぎねぇ、まぁ、一刀のせいだから仕方ないけど。バカ」

 

「え? いや、そうか、うん、ごめん」

 

「それでね、腰に力が入らないのよ、連れて行って頂戴。それともこのまま発情した私と公覆を好きにする?」

 

「いや、なんか色々自分の氣の性質の可笑しさにショックで」

 

「向こうの言葉が出てるわよ、一刀。ただ、確かに貴方の氣は本当に別の意味でどんどん人外に近づいていくわねぇ。こんな器用な性質を持った氣なんて、聞いた事も無いわ、ふぅ」

 

すごすごと俺は華琳をお姫様抱っこしながら、祭さんの天幕を退散した。警備兵の人たちは一切視界に入れずに、足早に去ることだけを心がけて。

 

 

「のぅ、なんで『主様』は部屋の隅で三角座りをして、地面に指をこすりつけておるのじゃ?」

 

『の』の字を書いてるんだよ、公路さん。

 

「公覆さんの所で色々あったみたいですねぇ。ね、蘭樹さん?」

 

うん、おいらの氣は変態ってことが判ったんだ・・・。

 

「えぇ、朝食の用意が整ったら、無理やりにでも席につけるから、少しだけ放っていてあげて頂戴」

 

だからそれまで放っておいて。

 

「おお、いい匂いが漂ってくるのじゃ~」

 

・・・確かに。

 

「私や愛紗が振舞うのだから、美味しくないわけが無いわね。おまけに公覆まで加わっているし」

 

追い討ちか!? 追い討ちをかけに来たのか!

 

「およ、公覆もかや?」

 

「準備や食事を共にするだけで、後の話には混じらないから、と言っていたわ。一刀へのせめてものお詫びですって。だから、内密な話はその時でいいんじゃないかしら」

 

そんなこんなで、朝食が始まるまで、俺は三角座りを続けるのだった───。


 
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