No.447175

恋姫外伝~修羅と恋姫たち 三の刻

南斗星さん

いつの時代も決して表に出ることなく

常に時代の影にいた

最強を誇る無手の武術『陸奥圓明流』

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2012-07-06 11:36:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4490   閲覧ユーザー数:4228

【三の刻 戦いの前兆】

 

 

 

 

陸奥が村に住み着くようになってから、早一月が立とうとしていた。

 

最初は陸奥を敬遠してた村人だが、かの者は人と交わるのが異様にうまかったのである。

 

三日も立たぬうちに子供達と親しげに遊ぶようになり、十日も立てばかなりの人と交流を持った。そして一月立った今では殆どの者がまるで昔からの知り合いのように接していた。

 

殆どの者と言ったのは例外が一名いるからである。誰であろう他でもない愛紗である。

 

愛紗は自分でも自覚するほど頑なな所があった。その為陸奥とはどうしても一線引いて接してしまうのである。

 

そんな愛紗とは逆に陸奥が村に住むようになった翌日には、もう陸奥に懐いた者がいた。名を張飛と言い愛紗とは幼馴染である。愛紗より年下な為、愛紗は張飛を妹のように可愛がっていた。また張飛も愛紗を姉のように慕いまるで本当の姉妹のようだった。

 

そんな張飛が陸奥を「お兄ちゃん」と慕うようになり陸奥に真名である「鈴々」を預けてしまったことに、一抹の不安を覚えた愛紗がなぜ陸奥を慕うのか聞いた所「疾風は面白いから、鈴々のお兄ちゃんなのだー」と笑顔で答えられ固まったのはつい最近であった…。

 

ちなみに真名については陸奥が住み着くようになった日に、愛紗がそれとなく「心を許した者のみ呼ぶ事を許される名で、本人の承諾なしで呼べば首を刎ねられても文句が言えぬぞ」と説明していた。外からやって来た陸奥はもしかしたら真名についても知らぬのでは?と思ったからである。

 

頑ななところがあるが、基本的に世話焼きな愛紗であった。

 

 

こうして平和に村での生活を営んでいた愛紗たちであったが、その平和も長くは続かない物である。

 

昨今大陸のあちこちに黄巾を名乗る賊が出没し、村々などを襲い略奪の限りをつくしていた。

 

愛紗たちの村の近辺でも賊の類が増えていったが、愛紗や鈴々などを中心とした若者たちによる自警団の活躍により、村を無事守っていた。

 

愛紗は陸奥も自警団に参加するよう誘ったが

 

「争いは苦手だから」

 

と断られそれ以上は無理に誘わなかったのだ。

 

実際、愛紗は陸奥に争いごとは向かないだろうと思っていた。

 

村の子供と遊ぶときでも、自分より何歳も年下の子供にチャンバラで負け、にこにこしてるような男なのである。

 

そんな争いごとに向かない男を無理やり戦わせるより、村で子供達と一緒にいてくれたほうがましと考えたのである。

 

それにいかに賊が出ようとも、自分と鈴々がいれば大抵なんとかなる自信もあった。

 

自分の武には大抵の相手には負けぬ自信があったし、妹分の鈴々もその自分と対等な実力があった。

 

実際いくつかの賊が攻めてきたときも、ニ人でほとんど片付けてしまったのであった。

 

だが、そのニ人の強さが賊に思いもよらない行動を取らせる。

 

自分達だけでは敵わぬと知った賊達は、周りの賊と手を組み一大勢力を作り上げ一気に村に攻め入ろうと考えたのである。その数実に二千。

 

今、愛紗や陸奥の住む村は風雲急を告げていた。

 

 

 

 


 
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