No.397311

高みを目指して 第10話

ユキアンさん

少しは昔の様な顔をする様になったわね。
その方があなたにはお似合いよ。
byリーネ

2012-03-24 19:48:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2577   閲覧ユーザー数:2462

決闘、生き様、少女

side 零樹

 

 

あの日からフェイトはずっとダイオラマ魔法球に籠っているが未だにダブルドライバーが完成していない。ロストドライバーはすでに限界が近づいている。一回変身するたびにオーバーホールが必要になってしまった。このままでは十回もしないうちに大破するだろう。そんな時に事件が起きる。

街中に謎のパワードスーツ軍団が現れ破壊活動を始めた。これに対してオレ達は現場に急行する。だが、パワードスーツの数が多くバラバラになって対処することになりほとんどのヒーローが押されている。オレは何とか対応出来ているため一番多い地区に廻されている。また操縦者はマッドベアと呼ばれるぬいぐるみなので気にすることなく破壊することが出来る。

 

「アニエス、こっちの地区は殲滅したぞ」

 

『なら、折紙サイクロンとスカイハイの援護に向かって頂戴』

 

「了解」

 

スタッグフォンを取り出しダイヤルを入力、スカルギャリーを呼び出しスカルボイルダーの換装に移る。元々は換装機能はなかったが必要になるかもということで改造が施されている。タービュラーユニットに換装し、指示されたビルの上に急行する。苦戦している二人を援護する為にタービュラーユニットに備えられているエナジーバルカンを発射し、二体程パワードスーツを破壊してから飛び降りる。落下しながら踵落しで更に一体破壊する。

 

「待たせたな」

 

「かたじけない」

 

「すまない、そしてありがとう」

 

先程破壊したパワードスーツの足を掴み、固まっている奴らがいる場所に投げつける。そのまま作り直したスカルマグナムを叩き込み次々に破壊していく。半数近くを破壊してからスカルマグナムを折紙サイクロンに投げ渡し次の現場に向かう。

ビルから飛び降り再びスカルボイルダーの換装を行なう。次に換装するのは大型のブースターを取り付けたダッシュブーストユニットだ。アクセルを全開にするのと同時にブースターに火が付き一気に最高速で街を駆け抜ける。次の目的地はファイヤーエンブレムとロックバイソンの二人が銃弾から市民を守っていて身動きが取れない所だ。二人に銃弾を浴びせているパワードスーツが見えた所でブースターを切り離しながら一回転する。切り離されたブースターがパワードスーツにぶつかり爆散する。そのままスカルボイルダーごとジャンプで車を乗り越え反対側にいたパワードスーツに体当たりをかます。そのまま動力ケーブルを引きちぎり破壊する。その隣にいるパワードスーツには先程破壊したパワードスーツをぶつけて行動不能にする。最後の一体はこちらに銃口を向けた所でファイヤーエンブレムの炎を浴び、爆散する。

 

「とりあえずはこれで終わりか」

 

 

 

 

 

 

『さ~て、次の相手は~~~~、こいつだ』

 

そう言ってジェイクが投げたサイコロにはオレが映し出されていた。

 

『スカル、巷じゃあ仮面ライダーなんて言われているらしいなぁ。仮面ライダースカル実にかっこいいじゃねえかよ。ランキングでも1位らしいじゃねえか。さあ、オレを捕まえに来いよ』

 

「上等だ」

 

スカイハイとロックバイソンが欠けた待機室を出る。いつも通りスカルに変身し、スカルボイルダーに跨がりビルの屋上を跳びながらスタジアムを目指す。

スタジアムでは既にジェイクが待ち受けていた。とりあえずこのままスカルボイルダーで体当たりを敢行する。それを当然の様にジェイクはバリアで防ぐ。弾き返されると同時に飛び降り対峙する。

 

「なるほど、バリア能力かと思ったが、どちらかと言えばエネルギーを自在に発生させる能力か」

 

「いきなりじゃねえか、少しは名乗りをしたらどうなんだ」

 

「オレの名乗りは不意打ちから始まるのでな」

 

そう言ってから左手で帽子を押さえながら右手でジェイクを指差す。

 

「さあ、お前の罪を数えろ」

 

「今更数えきれるかよ」

 

オレはスカルマグナムを抜き、ジェイクは両手を銃の様に構えエネルギーを撃ち出す。撃ち合いでは不利と判断し接近戦に変更する。だがそれも紙一重で躱されてしまう。

この感覚はなんだ?なぜこうも簡単に攻撃を見切られる。まさか読心か未来予知の能力も持ってやがるのか。

そう思った所ジェイクの顔が真面目になる。やはり読心能力持ちか。

 

「させるかよ」

 

生放送という弱点を突こうと能力を二つもっていることを叫ぼうという思考を読み取られ全力と思われるエネルギー波を放たれスタジアムの壁に叩き付けられる。さらに一気に仕留める為に連続でエネルギー波が叩き付けられる。このままでは不味いので思考と同時に行動を行ないバットショットをライブモードで飛ばしフラッシュで一瞬の隙を付き脱出する。

 

「そんなに」

 

そこでベルトから電流が流れる。ベルトの方を見ると丁度大破し、変身が解除される。

 

「こいつは都合が良いなぁ~、死にさらせや!!」

 

再びエネルギー波、しかも今までのような弾丸ではなく壁の様なエネルギー波だ。ヒーロースーツを着ていない普通の人を手早く確実に殺すにはそれが一番だろう。またもや壁に叩き付けられる。

 

 

 

side out

 

 

 

 

side other

 

 

画面に映るスカルのヒーロースーツが剥がれ落ち、その姿が曝される。銀と黒を主体とした装甲から白を主体にしたスーツ、頭には変わらずソフト帽が被られている。そして、次の瞬間スタジアムの壁に叩き付けられる姿が映し出される。

 

『はっはぁ、所詮はこんなもんだったか。仮面ライダーさんよ。クリーム、次の相手を選ぶぞ』

 

『はい、ジェイク様』

 

ジェイクがベンチにいるクリームの方に歩いて行く。

 

『……待てよ、ジェイク』

 

スカルが叩き付けられた場所をカメラが捉える。

 

『まだ、オレは戦えるぞ』

 

そこには血だらけになりながらも立ち上がりジェイクを睨みつけるスカルが居た。

 

『とっとと死ねや!!』

 

再びジェイクのエネルギー波をまともに喰らい吹き飛ばされる。それでもスカルは立ち上がり銃を構える。

それが何度続いただろう。苛立からジェイクのエネルギー波が雑になり、たまにスカルの銃から弾丸が放たれる。

 

『てめえは一体何なんだよ』

 

『オレか?オレは、大切な人との約束すら守れなかった最低な男だ。だがな、それでも誰かが流す涙を止めてやりたいと思うヒーローだ』

 

『ふざけんじゃねえーー』

 

再びジェイクがエネルギー波を放とうと構えたとき見慣れた装甲車がジェイクを跳ね飛ばす。装甲車が開き白髪の男がスカルに向かって何かを投げる。

 

『ようやく完成したよ。さて今更だけど悪魔と相乗りする覚悟はあるかい』

 

『今更だな』

 

スカルに投げ渡されたもの。それはスカルが付けていたバックルを二つ繋げた様な形をしていた。

 

『行くぞ』

 

『ああ』

 

スカルが渡されたバックルを装着すると白髪の男の方にもバックルが現れる。二人が何処からかUSBメモリの様な物を取り出し左右対称に構える。

 

<<CYCLONE!!>>

<<JOKER!!>>

 

『『変身!!』』

 

白髪の男が緑色のメモリをバックルに装着するといきなり倒れ込みスカルの方に緑色のメモリが現れる。それを深く挿入して、今度は黒色のメモリを挿入してバックルを開く。

 

<<CYCLONE!! JOKER!!>>

 

スカルを中心に風が巻き起こり、中心線を境に緑と黒に分かれた装甲を纏った新たなヒーローが現れる。

 

『調子はどうだい?』

 

『悪くはねえ。だが、速攻で決めるぞ』

 

緑と黒のヒーローがジェイクに飛び蹴りを決める。

 

『何だ貴様は』

 

『W。仮面ライダーWだ。今日限りだがな』

 

『クソが』

 

そのまま接近戦になり、またジェイクが紙一重で攻撃を躱そうとしてWの右ストレートが顔面に入る。

 

『馬鹿な、なんで』

 

『どんどん行くぞ』

 

それからも次々とWの攻撃がジェイクに当たっていく。

 

『ちくしょうが』

 

今度はエネルギー波を盾の様に出してWを弾き飛ばす。

 

『ならばこいつだ』

 

立ち上がると両手に赤と銀のメモリを持ち、それを付け替える。

 

<<HEAT!! METAL!!>>

 

次の瞬間、赤と銀に色が変化し棒状の武器が出現する。

 

『ふん』

 

棒状の武器に炎が纏わりつき盾を突き抜ける。そのままジェイクの鳩尾を捉え、投げ飛ばす。

 

『負けるかよ』

 

最初の様に指からエネルギーを飛ばしてくるのをWは転がって躱しまたメモリを付け替える。

 

<<LUNA!! TRIGGER!!>>

 

今度は黄色と青に変化しスカルマグナムにそっくりな銃が出現する。

 

『はっ』

 

そして、銃から放たれた弾がまるで生きているかの様に飛びまわりエネルギーを撃ち落とし、ジェイクに命中する。

 

『さあ、観念するんだジェイク』

 

『誰が観念するかよ』

 

また全方位へのエネルギー波を放つ。そしてその隙にヘリに逃げ込む。Wが追撃しようにも先程のエネルギー波で銃を弾き飛ばされてしまっている。

 

『マキシマムを使おう』

 

『……それしか無いか』

 

再び緑と黒のメモリを取り出し付け替える。

 

<<CYCLONE!! JOKER!!>>

 

そして、黒いメモリを引き抜きスイッチを押す。

 

<<JOKER!!>>

 

それを腰の右側にあるスロットに挿入する。

 

<<JOKER!! MAXIMUM DRIVE!!>>

 

『シュテルンビルトの市民よ、そしてそれらを守るヒーロー、その目に焼き付けておけ。これがオレの生き様だ』

 

さらにそこから緑のメモリを引き抜き黒いメモリと入れ替える。

 

<<CYCLONE!! MAXIMUM DRIVE!!>>

 

次の瞬間、緑色の竜巻を纏いながら空高くまで跳び上がり回転してヘリ目指して急降下を始める。さらに途中で左右分離し、時間差でヘリにキックを決める。そのままヘリはバランスを失い墜落していく。ジェイク達はそのままヘリと共に墜落し、どうなったのか分からない。そしてWは……またもや装甲が剥がれ落ち、倒れ込んでしまった。そこに先程の白髪の男がWに近づいて何かを話して、Wの手が力つきる様に地面に落ちる。白髪の男が帽子で顔を隠し、抱き上げて装甲車に向かう。表情は変わっていないがその眼に涙を浮かべながら。

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

side 虎徹

 

 

「最後のお別れを」

 

神父に促されて零樹の姉達が別れの言葉を告げながら棺桶に土を被せる。

 

「皆様も」

 

一番最後に回してもらったオレが本当に最後の言葉をかける。

 

「なあ、零樹。お前は以前言ったよな。楓が大きくなるまでヒーローを辞めろって……」

 

「虎徹さん」

 

「でもなぁ、お前は最後に『シュテルンビルトの市民よ、そしてそれらを守るヒーロー、その目に焼き付けておけ。これがオレの生き様だ』って言ったよな。オレはどうすれば良い」

 

最後のこの言葉が無かったらオレはヒーローを辞める気でいた。実家に帰って今まで放ったらかしにしていた楓をうんと甘えさせてやろうと思っただろう。けど、お前は最後までヒーローであり続けた。オレもヒーローなのに放り出して良いのかと。

そんな時にアニエスの携帯に連絡が入る。

 

「皆、申し訳ないけど事件よ。すぐに出動して頂戴」

 

他の皆が走っていくのにオレはその場から一歩も動けなかった。

 

「ワイルドタイガー、悩むのは分かるわ。でもここで動かないのなら零樹はあなたに失望するわよ。今の貴方はまだヒーローなんだから」

 

零樹の姉である金髪の女性にそう言われ気付く。

そうだ、オレはまだワイルドタイガーなんだ。

 

「すまん、ありがとう」

 

それだけを告げてオレもヒーロースーツを取りに走る。

 

 

side out

 

 

 

 

side リーネ

 

 

埋葬が終わり、神父も立ち去った墓地には私と刹那とフェイトだけになる。

 

「それで何時まで死んだふりしてるのよ」

 

そう言うと今しがた埋葬したばかりの墓の下から手が出てくる。1分程で零樹が墓の下から這い出てくる。

 

「まったく、いきなりツインマキシマムをしだした時はビックリしたわよ」

 

「ああ、すまない。正直に言うとWに変身した時点でもう身体が限界だったものでね。ならダブルドライバーのデータを少しでも取ることを考えて動いたら見事に死んじまった。再生もほんの1時間前に完了したばかりだったんだよ」

 

「遊び過ぎね。で、やっぱりこの世界から離れるのね」

 

「やりたいことはやったからね。次に行こう」

 

「そうね。事務所の方は既に片付いているし、今すぐ行きましょう」

 

「その前に清めの炎だけは使わせてくれ。いつまでも泥だらけは気持ち悪い」

 

「それ位は待つに決まっているでしょう」

 

次の瞬間、零樹が炎に包まれ汚れが落ちていく。結構便利なのよね清めの炎って。

 

「よし、じゃあ行こうか」

 

この世界には魔法が存在しないのか霊地が存在しないのでこの場で世界を渡る。

 

「くっ、まずい」

 

そして世界を渡る途中、魔力不足か分からないけどバラバラに飛ばされそうになる。

 

「手を」

 

急いで手を伸ばすけど零樹だけが掴み損ない別の場所に流されてしまう。同じ世界にはいるでしょうけど、仕方ない。別々に好きに活動することにしましょう。

 

 

side out

 

 

 

side 零樹

 

 

ちぃ、姉さん達と別の場所に跳ばされたか。とりあえずここは何処だ?下水道っぽいからとりあえずは地上に、なんだ?変な音が聞こえるな。気になる。先に音の方に行くか。

それにしても大気中の精霊の数がやけに少ないな。ここまで少ないと魔法の射手位しか使えそうにないな。まあ、問題は無いか。

戦いの歌で強化しながら適当に走ると正面にドラム缶から触手を生やした様な機械達がいた。

オレに気付いたのかこちらにレンズのピントを合わせて、光線を放ってきた。十分に対処出来る速度だったので壁を走りながら接近して手刀で破壊していく。周囲にいた最後の一体を破壊して移動を再開すると目的の音に辿り着いた。

そこにいたのは小さな少女とその少女を繋いでいる鎖とケースだった。

 

 

 

side out

 


 
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