No.356596

恋姫無双 ~決別と誓い~ 第一四話

コックさん

お待たせしました。

誤字脱字指摘お願いします。

2012-01-02 00:07:18 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:3461   閲覧ユーザー数:3037

警告!!

 

今回の話で史実と異なる記述があり、時系列も違っています。それでもいい方はどうぞ読み進めてください。

 

 

 

冥琳の診断の結果を医者が脂汗を浮かべて報告する。

 

無理はない。彼が診断したのは呉の大物だ。臆するのよくわかる。

 

「疲労と極度の緊張により腹部が炎症を起こしています。食事を気を付けて禁酒、療養期間を最低でも三週間はおいていただいたほうが賢明かと・・」

 

「ただ・・・、意識を失い心肺停止になったことについては原因がよくわかっていません」

 

「どういうことなのだ・・・?」

 

「普通、腹部の炎症だけでは心肺が停止するのはありえないことなのです。激痛のあまり意識を失うというのはあるのですが・・・・。

 

申し訳ありません。私を死罪に処して貰って構いません」

 

医者は畏まって頭を垂れている。

 

王族や高官の病気を治せない、または病気を特定できない場合は死罪に処せる事を今更ながら思い出した。

 

漢王朝で行われていた風習というか、習慣といったところだろう。

 

私はそんなくだらないことにため息をつき、

 

「お前が死んで事態が好転するのなら私はお前の体を今すぐにでも八つ裂きにしよう。申し訳ないと思うなら少しでも多くの人を救えるよう日々研究を怠るな。それでいい」

 

といってやる。

 

医者を死罪にしたら大切な人材が失わてしまう。百害あって一利なしだ。

 

「は、はい。有り難きお言葉であります」

 

と医者は狐につままれた顔をしている。まぁ死罪だと思っていたらおとがめ無しなのだ無理はない。

 

「さがっていい」

 

 

医者を下がらせると側にいた劉備こと桃香は感嘆の声をあげる。

 

「ひぇ~。蓮華さんかっこい~。まさに王様の中の王様って感じだね!」

 

「桃香様。あなたも王様だと思うのですが・・・・・」

 

「ああ!朱里ちゃんそうだったね・・・」

 

たははと苦笑をする桃香に諸葛公明こと朱里が相談を持ちかけてきた。

 

「それより桃香さま。冥琳さんが病気になった以上会議の進行に支障をきたすのは間違いないかと・・・・」

 

「そうだね・・・。ねぇ朱里ちゃん、蓮華さんたちには冥琳さんが完治するまでは待ってもらえないかな?」

 

「・・・あまり現実的な話ではありませんね。何時までも建業を留守にはできませんし・・・」

 

と難しい顔をする朱里と桃香に、

 

「大丈夫よ。会議には冥琳の代理がじき到着するから問題はないわ」

 

という。桃香は良かったとでも言うように安堵の息を吐き、質問を私に投げかけてくる。

 

 

「誰が冥琳さんの代理を務めるの?」

 

「魯粛という軍師よ」

 

「はわわ、魯粛さんですか!?」

 

急に動揺しだした朱里。

 

「朱里ちゃん誰だか知ってるの?」

 

「は、はい。同盟を締結するときの交渉する相手が魯粛さんだったんです。私見ですが、軍師としては冥琳さんに匹敵すると思います」

 

魯粛の説明を朱里が説明するとき、何故か誇らしげで頬がほんのりと紅く染まっているのは私の気のせいだろうか。

 

まるで恋人を友人に紹介する少女のようだ。

 

「へ~。冥琳さんに匹敵する軍師さんか~。あれ?でもそれだけ凄い軍師さんなら私たち、知っていてもおかしくないのに・・・・」

 

「魯粛は地方を統治する任務に就いていたの。劉表の統治していた江東は治安が安定していなかったから、それであなたたちと顔をあわす機会が無かったのだと思うわ」

 

劉表が統治していた江東は過酷な税の徴収と既得権を得ようとはこびる官僚のせいで荒廃していた。

 

それを母様の孫堅が吸収する形で江東を手に入れた。

 

母様は江東をなんとか立て直したけれど、母が死に袁術がその権限を吸収することで江東は再び荒廃の一途を辿ったのを再び・・・・姉さまが治め、魯粛がその任に赴いたというわけだ。

 

 

私はそれをかいつまんで話すと桃香は再び感嘆の声をあげ、

 

「そうなんだ~。どんな人だか会ってみたいな。ねぇ、朱里ちゃん?」

 

と笑顔で言う桃香に朱里ははわわといって顔を紅くしてただただ項垂れるばかりで、そんな彼女を見るとある考えがふと頭をよぎる。

 

(朱里の奴、まさか魯粛ことを・・・・!)

 

そういえば魯粛はあの同盟のとき、

 

《いやぁー、まさか諸葛孔明殿が私の考えと同じだとは思ってもいませんでした。聡明な方で話していても退屈しない素晴らしい人でしたよ》

 

とあっはははと笑い心底嬉しそうな顔で魯粛が私に報告していたのを思い出す。

 

朱里は魏と蜀、そして呉が均等な勢力を保持することで抑止力を発生させその結果平和を生み出すという考え、天下三分の計を支持する軍師である。

 

魯粛もその考えの持ち主でお互い何か通じるものがあったのだろう。

 

・・・ただ魯粛は年上が好みのはず。

 

《しかし噂には聞いていましたが黄忠殿の美しさには凄まじいの一言につきますな!!しかも子持ちの未亡人とは・・・・・。素晴らしい・・・!!》

 

と黄忠こと紫苑と仲良くなれたことを聞いてもいないのに嬉しそうに語っていたのが記憶に新しい。

 

(がんばれ・・・!朱里)

 

私は明らかに不利な状況にある少女にそう祈るしかなかったのである。

 

 

朱里と桃香の光景を見ながら私は冥琳と一刀のことを考えていた。

 

冥琳が休みなく働いていたのは知っていたがそれを止めることができなかったのは明らかに私の責任だ。

 

しかしいつも彼女に休むように注意をする私にこう反論するのだ。

 

《蓮華さまの仰る通りです。ですが・・・・親友苦しんでいるのに私がのうのうと休んでられません》

 

親友というのは口では言わないが恐らく一刀のことだろう。

 

正直羨ましいと思った。

 

彼とはあんな形で再会したうえ、もう私とは二度とあの優しい笑顔で話してはくれないだろう。

 

なのに冥琳は対等に彼と話すことができ、そして互いに切磋琢磨し合う固い絆で結ばれている。

 

それこそ姉の孫策との強い絆と変わりないほどに・・・・。

 

「蓮華さん?どうしたの?」

 

桃香が心配そうにこちらを伺っているずっと無言でいたのが気になったというところだろうか。

 

「ええ、ごめんなさい。実は--------」

 

私は桃香と朱里に冥琳の件を相談してみることにした。彼女は口が固いし何より信頼できる人物、また一人で悩んでもいい考えは生まれてこないからだ

 

「確かに冥琳さんはあのままにすれば必ずまた体を壊すと思います。しかし蓮華さんや私たちが言っても耳を傾ける可能性が低いし・・・」

 

「そうだね。何かいい考えが・・・・・・あったよ。朱里ちゃん、蓮華さん」

 

「本当?どんな考えなの?」

 

「えっとね・・・・・」

 

桃香の話を全て聞いた後、朱里と私は桃香の策に文句なしの太鼓判を押した。

 

「灯台下暗しとはまさにこのことですね・・・」

 

「違いないな。有難う桃香。それでやってみるわ」

 

「どういたしまして!困ったらさっきのように相談してね?私達もう仲間なんだから」

 

笑顔でにっこり笑いかける桃香。なるほど仁徳の劉備とはよく言ったものだ。

 

 

以前は敵であった私にこうして相談にのったり話し掛けたりしてくれる大きな器と度量。

 

蜀がどうしてここまで大きな国となったのか今私は分かった気がする。

 

「そうね・・・。そうするわ」

 

私は桃香の言われた事を実行に移すため踵を返した。

 

 

「北郷です。入室よろしいでしょうか」

 

俺は周瑜将軍の代理である人物が何やら話があるらしくこれから会おうとしていた。

 

「おう。入ってもいいぞ~」

 

少し間の抜けた声。声からして男性であるようだが・・・・。

 

「失礼します」

 

「よう。久しぶりだな北郷」

 

中肉中背でどこか疲れたような顔。俺はこの顔に見覚えがあった。

 

「あなたは以前駐在基地で・・・・」

 

「お!覚えてくれていたか。そういえばお前には名前を教えてはいなかったな。すまなかった。俺は名は魯粛、字は子敬。階級は三佐だ。療養中の周瑜将軍に代わり務めることとなった。よろしくな北郷二尉」

 

俺はその名前に見覚えがある。

 

魯粛は周瑜とともに赤壁の戦いの際反対派を制しその戦いで大いに貢献した名軍師だ。

 

諸葛孔明とともに孫劉同盟を強いものにしようと奔走した人物で後に周瑜の後大都督の受け継ぐ人間でもある

 

まさに周瑜の代理にはもってこいの軍師だ。

 

「はっ!宜しくお願いします」

 

敬礼する俺に苦笑いする魯粛。あまり敬礼に慣れていないようだった。この敬礼も今年の軍事改革で導入されたものであるためだろう。

 

 

「さて部隊のことなんだが、お前が現在指揮している一六部隊はこの護衛任務を機に解体されることが大本営で決まった」

 

「・・・・解体ですか?」

 

「そう暗い顔するな。実質的には解体ではない。現在一六ある独立部隊をすべて解体し、再編隊され第三連隊としてこれから働いてもらう」

 

これには納得がいく。精鋭部隊である独立部隊は孫呉が出来てからある、王直属の近衛兵的な存在であった。

 

つまり、指揮系統が通常の軍とは異なっているのだ。これにより指揮系統が混乱をきたすということがしばしば起こっていた。

 

よってこれらの部隊を一つにすることで、指揮系統を一元化し効率化を図ろうとしたのだろう。

 

「連隊長は周泰。さらに第三連隊はこれから南方方面基地に転属となる。南方基地の司令長官はこの代理がおわったら俺だ。このことに関して何か質問があるか?」

 

「あの甘寧隊長は・・・?処遇に関しては私は何も聞かされていませんので・・・・」

 

魯粛は一瞬躊躇したが、彼女の処遇を説明してくれた。

 

「・・・思春は、殺人未遂、軍施設の私的利用、部下の過度な暴行等、犯罪行為を犯した。彼女は軍規会議で裁かれ、一佐からの二階級降格、さらに独立部隊の隊長の権限を剥奪のうえ開拓部の長官に転属が正式に決まったところだ」

 

開拓部はつい最近できた部署で呉の生産能力向上を目指す部署である。軍が予備兵士を使うことで手を付けていない未開拓な南部の地域を開拓する。

 

新田を増やし安い価格で小作農に売り渡すことで貧富の差を抑え、税収の拡大を図る狙いがあり、失業者を救済するといった効果がある。

 

だが権限の強いエリート部隊隊長から新設された部署に転属するのはすなわち左遷を意味していた。

「左遷ですか・・・・?」

 

「まぁそうなるな。だがお前が気にすることはない。思春も自分がやった過ちにようやく反省し始めたところだ。それに・・・・この転属は彼女にとっていい経験になる。

 

お前も知っているとは思うがあいつは蓮華さまに見初められて人間でな、少々自分本位の行動が目立っていた。使う人間から使われる人間へと変わったとき思春は自分のやった行為に気づくことができると俺は考えている。それに彼女はまだ若い。挽回の機会はまだ残されている」

 

流石のち大都督になる人間。周瑜顔負けの切れ者だ。

 

 

「それと次はお前へに蓮華さまから直々に・・・・・」

 

心臓が思わず跳ねる。孫権とは最悪な形での再会であったからだ。

 

彼女には辛いことをしてしまったとは思うが彼女がどんどんと姉に似ていくの見ると正直辛い部分があるのも事実であった。

 

彼女が怖かった。彼女をどうしても雪蓮と重ねてみてしまう自分がいたのだ。

 

若干震える手で孫権の手紙を開けると、

 

『一刀。あなたの顔を見れる自信が私にはないため、こうして手紙で貴方に伝えるようとする臆病な私をどうか許して欲しい。

 

今回は王として貴方に任務を与える。

 

冥琳を治療の期間働かないよう監視することと、説得をして欲しいの。彼女はあまりにも働きすぎている。このままだとまた心労で体を壊すのは聡明な貴方には分かっていると思う。

 

我侭な女だと思うかもしれない。でもお願い一刀。冥琳を助けてあげて・・・。そうじゃないとまた大切な人がいなくなるかもしれない。それは貴方にも私にも、もう耐えられないことだと思うから・・・』

 

と書かれてあった。

 

「どう書いてあった?」

 

「周公謹将軍の監視と説得をせよ・・・と」

 

「ふむ。なるほどな・・・。まぁ最高司令官である王がそう言っているんだ。お前にはその任務について貰う。部隊の指揮は俺に任せろ」

 

「了解しました」

 

「じゃあ下がっていいぞ。北郷、・・・・冥琳のことはお前に任せたぞ」

 

「・・・・・・はい」

 

俺は部屋に出ると周瑜の元へと足を向かわせたのであった。

 

 

どうもコックです。

 

今回はキャラ登場と今後の動向がメインでした。

 

なんか思春さんの扱いが雑になってますがお許しください。

 

彼女にも活躍機会を与えますので・・・・・(-_-;)

 

階級は付けるか迷いましたが付けました。あったほうが書くときいろいろ便利ですから。

 

それとはわわ軍師こと朱里が魯粛に恋をしている描写がありますが、それに耐性が無い方には大変申し訳ありません。

 

ただ世界は一刀を中心に回っている訳ではないので、恋姫キャラが違う男性キャラを好きになってもおかしくないのではと考えておりますので・・・・。

 

私は基本ハーレムは好きではありませんし、一夫多妻制はもうこの話の最初でまっさきに否定してますしね・・・・。

 

では新キャラである魯粛さんの紹介です。

 

魯粛 字は子敬(しけい)・・・中肉中背で武力は中の下。武官ではなく軍師タイプの人間。年上好きで紫苑を狙っている。

 

諸葛亮とは交渉の際彼女の考えに共感を抱くと共に尊重する。周瑜、孫策とは同期で友人であり、改革を行う周瑜を陰ながら支える苦労人。

 

呂蒙とも幼い頃からの知り合いでよく

 

〔呉のあーちゃん〕

 

といってからかっていた。

 

性格は基本真面目だが、たまにオヤジ臭い下ネタを言うなどちょっと抜けてるところがあり。

 

 

史実では赤壁の戦いでは反対派が多い中周瑜と共に開戦を主張。

 

曹操を退けたあと劉備の同盟を強固にしようと尽力。周瑜死後は呉の舵取り役として活躍した優秀な行政官であり、外交官でもあった。

 

といったところです。これでオリキャラはナシの新たな登場今後ナシにしたいと思います。多すぎたらいいってわけではないと思いますので。

 

今回史実とは異なってしまってますが、恋姫という強い設定があるためそれもありかなと・・・。

 

では次回冥琳さんと一刀はどうなるのでしょうか?

 

では再見!!


 
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