No.348916

真・恋姫†無双 あなたと共に 13(前編)

highstaさん

どのくらいぶりだよ!!って感じですよね・・・

申し訳ないですね・・・

完結までは絶対に書きますから!!

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2011-12-18 10:37:06 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:13849   閲覧ユーザー数:9278

~祭り5日目~

 

「・・・はぁ」

 

一日の始まりだというのに、身だしなみを整えるために自室の鏡の前にいた華琳はため息をついていた

 

(少しやりすぎたかしら・・・)

 

華琳にしては珍しく反省しているように見える

 

それは何に対してか?

 

 

もちろん・・・・・・

 

昨日の一刀に対する仕打ちに対して

 

 

(ほんと・・・嫌になるわね)

 

昨日、蓮華が一刀と話してみたいと言った時に”あんな結果”になることなんて大体の想像はついていた

 

(・・・でも)

 

実際は・・・

 

女の本能はそれを許せなかった

 

一刀と蓮華が照れくさそうに話しているのを見ると

 

理性なんか吹き飛んでしまった

 

(・・・・・・)

 

自分だけを愛せとは言わない・・・

 

そんなつまらない男には興味ない・・・

 

そう思っているはずなのに・・・

 

 

------自分だけを見てほしい・・・------

 

 

そんな矛盾を抱えてしまっている・・・

 

それも三年前と変わらずに・・・

 

「・・・はぁ」

 

そんなことを考えていると、またため息が出てしまった

 

(・・・一刀のところに行かないと)

 

昨日は結局、ボロ雑巾のようになってしまった一刀・・・

 

華陀を呼び、治療してもらい目立つ怪我もなくなったし、骨にも異常はないことは分かった

 

だが、原因を作ってしまった当事者としては様子を見に行かないわけにはいかない

 

「謝らなくては・・・ね」

 

一刀は為すべきことを為しただけなのに、自分の勝手な感情をぶつけてしまったのだ

 

気は重いが行くしかない

 

「・・・それにしても・・・いまいちね」

 

そんな気の重さからか、なかなか髪もいつものように纏まってはくれない

 

「秋蘭に見てもらおうかしら・・・」

 

自分一人ではいつまでも納得できそうにない・・・

 

そう思い、秋蘭を呼ぼうとドアを開けようとすると

 

 

コン、コン・・・

 

 

部屋にノックの音が響き渡った

 

「・・・誰かしら?」

 

自分の小さな決意を邪魔されたようで少しだけ不機嫌になってしまったが

 

「華琳?俺だけど」

 

「か、一刀!?」

 

不機嫌などすぐに吹き飛んでしまい、予想外の訪問者に慌ててしまった

 

 

 

「ど、どうしたの?あなたケガは?」

 

ドアごしに話しかける

 

「ケガ?・・・あぁ、朝起きたら動けたし、別に傷跡も目立たないから大丈夫だよ。って、それより入ってもいい?」

 

「だ、ダメよ!!」

 

「えぇッ!?」

 

まさか一刀が自ら部屋に来るなんて想像していなかった

 

そのための心の準備なんか出来ていない

 

何よりも・・・

 

(今の姿を見られたくない!!)

 

もちろん人に見られて恥ずかしい格好をしているわけではない

 

相手が一刀だからこそ・・・

 

自分自身が納得できる姿を見せたい

 

“いまいち”な状態ではダメなのだ

 

「ど、どうしても?」

 

「どうしても!!」

 

一刀の問いかけにも、迫力たっぷりの返事をする

 

「わ、分かった。じゃあ、そのままで聞いてほしいんだけど」

 

「え、えぇ・・・な、何かしら?」

 

何を言われるのか分からないので華琳の心臓はドキドキしっぱなしだ

 

「華琳・・・今日、暇?」

 

「今日?・・・そうね、特に予定はないわ・・・ど、どうしてかしら?」

 

返事の途中で”もしかして”という期待がわいてくるが、どうにか一刀に気づかれないように平常心を保とうとする

 

「いや、暇だったら一緒に街に出れないかなと思ってさ」

 

 

「・・・そ、そう」

 

期待通りの言葉

 

一刀から誘われたのだ

 

嬉しくないわけない

 

が、一応確認しとかなければ・・・

 

「春蘭たちも誘っているのかしら?」

 

一刀のことだ

 

他の者を誘っていることなど十分ありえる

 

「春蘭たち?いや、今日は見てないしなぁ。一緒の方がいい?」

 

「・・・い、いえ・・・無理に誘うこともないわ」

 

・・・二人っきり

 

これからのことを考えるだけで胸がいっぱいになる

 

「で、行けそう?」

 

「・・・そうね、私は大丈夫よ」

 

今も平常心で答えられているだろうか?

 

「よし!じゃあ行こ・・・「待ちなさい!」・・・へっ?」

 

ドア越しに間の抜けた声が返ってくる

 

「一刻・・・いえ、半刻後に正門前で落ち合いましょう」

 

「・・・?別にいいけど・・・やっぱり忙しかった?」

 

「そういうわけではないけど・・・色々あるのよ」

 

「・・・分かった。じゃあ半刻後に正門前でな」

 

「えぇ・・・」

 

一刀も“色々”というのが気にならなかったわけではないが、先程の華琳の態度から首を突っ込まない方がいいだろうと考えたようだ

「・・・・・・」

 

・・・足音が遠ざかっていく

 

ドア越しに気配を窺ってみるが、一刀はどこかに行ったようだ

 

「・・・(ガチャ)」

 

念のためにドアを開けて確かめる

 

「行ったみたいね」

 

安心したのか、緊張していた胸を撫で下ろす・・・が

 

「安心してる場合じゃないわ」

 

自分の置かれている状況を冷静に見つめ直し、半刻の間にやるべきことを考える

 

まずは・・・

 

「誰かある!!」

 

女中に秋蘭を連れてきてもらおう

 

その次は・・・

 

「・・・・・・」

 

考えれば考えるほどやりたいことは増えていく

 

「ふふっ」

 

 

きっと・・・

 

今の自分の顔は他人に見せれるものではない

 

溢れる笑みが留まることなく

 

自分でも分かるほど

 

緩みきっているのだから・・・

 

 

~正門前~ 半刻後

 

「北郷様?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・?北郷様!」

 

「・・・え?な、何か言った?」

 

「いえ・・・その・・・」

 

華琳の部屋を訪れてから半刻経つまでもう少しという時間

 

一刀は先に正門前に来て華琳を待っていたのだが・・・

 

「大変申し上げにくいのですが・・・」

 

「な、何?」

 

「目の前を何回も横切られると少し・・・」

 

「あ、あぁ・・・ご、ごめん」

 

落ち着きなく門の前をウロウロとしていた

 

「どうかされたのですか?」

 

「どうかしたというより・・・これからどうしようって感じで・・・」

 

「はぁ・・・」

 

門兵もどうしていいか分からない表情を浮かべる

 

「う~ん」

 

もちろん悩みは華琳とのデート・・・

 

正直、昨日怒られたことは理不尽だとは思っている

 

しかし、華琳のやきもち焼きは三年前に身をもって知っていたのだ

 

別に怒ってなんかいないし、いつも通りに接してもらえばいいのだが・・・

 

「さすがにな~」

 

昨日、皆が華陀を連れてきた時に華琳の顔を見たが、鈍い自分でも分かるほど落ち込んでいるように見えた

 

「あれは卑怯だよなぁ」

 

本当は優しい女の子・・・

 

きっとやりすぎたと思っているんだろう

 

だから今日は・・・

 

そんなことなんか気にしないで

 

思いっきり楽しんでもらいたい

 

「でもな~」

 

そんな思いから少し痛む体をおして誘っては見たものの・・・

 

一刀がこっちに帰ってきてからまともに町を廻ったのは凪たちと遊びに行った時ぐらい

 

どこに行けばいいのかなんて全く分からない

 

「くぉーー」

 

思わず頭を抱える

 

「「!?」」

 

二人いた門兵はそんな一刀を見て、体をビクッと緊張させた

 

正直・・・

 

ドン引きである・・・

 

 

しかし・・・

 

そんな一刀の思いとは関係なく・・・

 

当然、約束の時間はやってくるわけで

 

「一刀!」

 

「!?か、華琳!!」

 

時間通りに堂々とした歩みで華琳が姿をあらわした

 

 

「待たせてしまったかしら?」

 

「い、いや全然大丈夫!!じゃあ・・・行くか」

 

「えぇ」

 

当然の如く、考えはまとまってはいない

 

しかし、もう遅い

 

「(なるようになれ!!)」

 

心の中でそう強く思い、華琳の横に並ぶ

 

「それで、一刀」

 

「えっ!?な、何?」

 

「今日はどこに連れて行ってくれるのかしら?」

 

「・・・・・・」

 

一刀は思った・・・

 

 

神は死んだ・・・・・・と

 

 

 

~町~

 

祭りの日程も中盤だが、初日から続いている熱気は覚めやらない

 

活気に満ちた多くの露店

 

笑顔で歩く親子連れ

 

宣伝のために声を張り上げる店員

 

人々の笑い声もたくさん聞こえてくるそんな人ごみの中・・・

 

「本当に信じられない男ね、あなたは・・・」

 

「わ、悪かったって」

 

呆れたような口調で華琳が隣を歩く一刀に話しかける

 

「まさか自分から誘っておいて何にも考えていないなんて」

 

「だぁぁぁ!もう機嫌直せよー」

 

城を出てからこの調子なので、いい加減少し情けない声が出てしまった

 

「・・・(じとーっ)」

 

「・・・うっ」

 

視線さえも呆れている・・・・・・が

 

「・・・ぷふっ」

 

「へっ?」

 

突然、華琳が噴出した

 

「(・・・これくらいにしときましょうか)」

 

 

つまり・・・・・・

 

華琳はそんなに怒っていなかったのだ

 

 

一刀がこちらに帰ってきてまだ数日・・・

 

町を見て廻ったのはその中でも少しだけ

 

加えて、一刀がいなくなって三年・・・

 

当然、この町も大きくなっているのだ

 

一刀自身、出かけるための予定を立てられるほど満足にこの町のことは知らないはず・・・

 

 

そんなことぐらい華琳にも分かっていた

 

「(・・・でも)」

 

少しは期待していたのだ

 

もしかしたら・・・と

 

「(・・・だから)」

 

このぐらいの意地悪は許されるだろう・・・

 

一刀の情けない顔も見れたことだし・・・ね

 

 

「ふふっ、まぁいいわ」

 

「・・・えっ!?」

 

一刀はいまいち頭が追いつかないようだ

 

「今回だけは許すって言ったのよ」

 

「お、おぉ!そ、そっか、ありがとう!」

 

無事お許しが出て一刀の顔にもようやく笑みが浮かんだ

 

「その代わり、今日は私の買い物に付き合ってもらうわよ?」

 

「分かった!」

 

元気を取り戻した一刀を見て華琳は笑う・・・

 

「それで何買うんだ?本?お菓子?それとも・・・下着?」

 

「したッ・・・ッ!!か、一刀ッ///」

 

照れた顔の華琳を見て一刀も笑う・・・

 

二人が笑顔で歩いていく

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

相変わらず町の活気はやまない・・・

 

商売をしながら・・・

 

子供の話を聞きながら・・・

 

呼び込みを続けながら・・

 

幾人かの者たちがそんな二人を見送る

 

 

 

くすっ・・・

 

誰かが堪えきれない笑みをこぼした

 

 

機嫌が良いはずの華琳が必死にいじけて見せているのが可愛らしくて・・・

 

 

怒っているはずの華琳の手は・・・

 

しっかりと・・・

 

一刀の手と繋がれたままだったのに・・・

 

 

 

くすっ・・・

 

また別の笑みがこぼれた・・・

 

 

瞬く間に・・・

 

その笑みは周りの人たちにどんどん広がっていく・・・

 

 

そして・・・

 

人々は実感するのだ・・・

 

 

----------やっと・・・可愛らしい”女の子”が帰ってきたんだ・・・----------

 

 

と・・・

 

 

 


 
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