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桔梗√ 全てを射抜く者達 第31射

黒山羊さん

原チャに雛里のステッカーを貼ろうとしている黒山羊です。
白のステッカーなので、切り絵的なイラストに挑戦していますが、何せ難しい。何処を残して、何処を切るのか悩みどころです。

最後になりますが、
現在私は2本長編作品を書いています。

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2011-11-13 17:03:24 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3612   閲覧ユーザー数:2660

 

 

桔梗√ 全てを射抜く者達   第31射

 

 

 

 

視点:杏里

 

今日は良く晴れた日で、仕事が無ければ、木陰でお昼寝をしたくなる。そんな程良く温かい日です。

ですが、そんなごくごく普通の昼間にそれは現れました。

 

掲げる旗は純白の『劉』旗。劉焉の軍です。西から20万近くの軍を率いてこちらに向かってきました。

西の門の警備に当たっていた兵士がそれを見つけたので、報告に来ました。焔耶はそれが信じられず、わざわざ西の城門に行き、確認したというのだから、間違いありません。

 

私達の巴郡に居る兵の数はたったの1万。

もし衝突することがあれば、どう考えても勝てるとは思えません。

焔耶が戻ってきた直後に劉焉の軍から使者が来ました。

使者が差し出した書に書かれた要求はこうでした。

 

「『天の御遣いの名声を利用して我が領地を混乱させた厳顔の首を差し出し、天の御遣いを我が陣営に降るが良い。』」

 

最悪です。恐れていたことが起きてしまいました。

覚悟はしていたとはいえ、これはあまりにも急展開ですね。

一刀さんの存在を知って、部下である桔梗様を呼び出して、一刀さんを差し出せというのではなく、いきなり、実力行使と来ましたか。無茶苦茶にも程があります

成都に送っていた間諜が帰ってこなかったのは、何か失敗をしてしまったのでしょうか?

 

「ほう、劉焉の若造が言うではないか。わしに死ねと言うか。面白い。

使者よ。帰って、劉焉の若造に伝えるがいい。わしは北郷もわしの首も差し出すつもりも無いとな。」

 

「そうですか。では、巴郡の街が火の海になりますな。では、これにて失礼する。」

 

そう言い残し、使者は玉座の間から出て行きました。私達は使者を黙って見送ります。

『ここで、使者を殺せば、時間稼ぎが出来るかもしれない』と凪が言ってきましたが、私はその提案を却下します。何故なら、私には考えがあったからです。

 

私達は玉座の間でこれからの戦について軍議が行いました。

意見は真っ二つに分かれました。桔梗様は徹底抗戦を言います。一刀さんや凪達は死んだら意味が無いから、此処を捨てて逃げ出した方が良いと言います。

 

「杏里はどう思う?」

 

「両方の案を採用するのが得策かと思います。」

 

「両方の案?徹底抗戦しながら、逃げるという事か?」

 

「違います。徹底抗戦して、逃げるということです。」

 

「どういう事だ?」

 

「作戦の概要はこうです。私達は西の城門に兵を集めて、劉焉の軍と戦います。

その間に巴郡の民達を街の外へと東の城門を通して、逃がします。

ですが、こちらの方が錬度は高いでしょうけど、数の暴力には勝てません。

私達は東門からこの城に撤退し、最終決戦をします。

ですが、それでも負けるでしょう。最後に城に火を放ち、この城の井戸を使って、皆で脱出します。

戦が終わって残るのは、焼け野原。劉焉からすれば、敵は焼身自殺したとしか思えないでしょう。

敵が死んだと分かれば、士気が下がり、外に逃げ出した民を殺そうとは劉焉は思わないでしょう。

先ほど、使者を殺さなかったのは、桔梗様が頭の回るような人ではないと劉焉に思わせるためです。」

 

「分かった。巴郡の街を犠牲にすることになるが、民とわしらが残っておる。

だから、儂らの理想がついえる事は無いじゃろう。

では、凪、真桜、沙和!お前達は警邏隊で、民を東門と南門に誘導して、巴郡の街の外へと逃がせ。

杏里は効率よく民達を逃がす方法を凪達に説明しろ。

焔耶と北郷は西門に兵と武器を集めろ。わしも今すぐ西門に向かう。以上じゃ!各々の命運を祈る!」

 

「「「はっ!!」」」

 

軍議は終了し、解散となりました。

私はこういう時の事を考えて、作成した『巴郡緊急避難まにゅある』を書庫から引っ張り出します。

東門からの脱出の時の事を考えて書かれたところは此処からでしたね。

私は自分が書いたものを見ながら、凪達に指示していきます。

 

「東門と南門に近い人から順に脱出させて下さい。荷物は必要最小限度にとどめておいて下さい。」

 

 

 

 

警邏隊への巴郡の住民避難指示は終わりました。後は凪達がやってくれるでしょう。

そして、私には民を脱出させるだけの時間を稼がなくてはなりません。

敵軍が南門や東門に行かないように、引き付けて戦わなければなりません。

 

方法は簡単ですね。西門に一刀さんと桔梗様がいるという事を劉焉に認知させる。

そうすれば、劉焉は目の前の目的に釣られて、西門を攻撃するでしょう。

時機を見計らって桔梗様と一刀さん達を城に退却させます。そして、西門を突破した劉焉の軍は一刀さんを捕縛するために、城へと向かうでしょう。

 

あっと、劉焉の部隊をまっすぐ城へと誘導させるために、家屋を壊しておく必要がありますね。

劉焉の軍が東門に行かれたら、やっかいです。

それから、要所要所に時間稼ぎをする為の罠や防衛線を用意させないと駄目ですね。

とすると、先ほどの住民避難の手順から考えて、何処の家屋を壊して、劉焉の軍を通させるか決まってきますね。此処と此処と此処の家を潰して…………きゃわわ♪

後、此処を潰せば、迷路状になって、敵軍が迷子になりますね。そうなれば、更に時間が稼げます。

更に、壊した家屋で道を塞いだとしても、乗り超えられたら、厄介ですから、火を放ちましょう。

燃えている物を乗り越えてまで、通ろうとする人はいないでしょう。

それから、あれも設置しましょう。

どうせ、負け戦。色んな事を試して、時間はたっぷり稼がせてもらいますよ。

あぁ、人の嫌がる事を考えるのは楽しいです♬きゃわわ♪

 

さて、策は考えるだけではいけません。実行に移せなかったら、机上の空論です。

確か、一刀さんの人狼部隊(WEREWOLFという名前は定着しませんでしたww)が武器庫から武器を引っ張り出しているのでしたね。さっき、人狼部隊の兵士が居たから、一刀さんは此処に居るでしょう。

 

すぐに、一刀さんは見つかりました。

丁度、武器この武器を出し終わったところで、荷車に乗せようとしていたところでした。

私は一刀さんに、私の考えた策(劉焉の嫌がらせ)について地図を見せながら、話します。

一刀さんはニヤニヤしながら、私の話を聞いてくれました。

 

「面白いな。流石は軍師徐庶様だ。敵でなくて本当に良かったよ。」

 

そう言うと、一刀さんは人狼部隊に家屋の破壊や罠設置の指示を出します。

人狼部隊の皆さんは一刀さんの指示の通り動きます。指示を出された人狼部隊の人達は防具があっても、クロスボウの数が足らないため、前線に出られない人達だそうです。

家屋の破壊や罠設置、放火の人員が確保できて、丁度良かったです。

武器を乗せ終わった荷車は、西門に向けて移動を開始し始めました。

 

「杏里はどうするんだ?西門に行くのか?」

 

「そうでないと、誰が西門からの撤退の機会を見測るのですか?」

 

「おっと、これは失礼。じゃあ、あの荷車に乗れ。」

 

一刀さんは私の前に来ると、私の両脇に手を当て、私を持ちあげました。

私は一刀さんに抱っこされて、未だ動き始めていない最後尾の荷車に乗せられました。

 

「今、胸触りましたよね?」

 

「マジで?」

 

「マジです。私を抱き上げた時に親指で触られました。責任取って下さい。」

 

「どういう風に?」

 

 

 

 

「………私を一刀さんのお嫁さんにして下しゃい//////」

 

私は一世一代の愛の大告白をします。

いつもの私達を傍から見れば、単なる罵り合いにしか見えないかもしれません。

でも、一刀さんと話そうとすると緊張してしまうから、おもわず、笑顔で罵ってしまうのです。

簡単に言うと、好きな子を思わず虐めてしまう。それが私の行動でした。

 

だって、一刀さんのことが私好きなんです。

妹分の朱里と雛里を助けてくれて、此処に来てからも、私にとても優しく接してくれました。

一刀さんはちょっと変わった人で不器用だけど、とても真っ直ぐな人で、だから!私はこの人の事を好きになったんだと思います。

 

そんな告白も残念ながら、朱里や雛里みたいに舌を噛んでしまいました。

穴があったら入りたいとはこんな気持ちなんでしょうね。とっても恥ずかしいです。

恥ずかしすぎて、顔が熱くなっていることは自分でも分かります。

でも、顔が赤いのは恥ずかしいからだけでは無いみたいです。どうやら、緊張しているみたいです。

心音がバックンバックンってなっています。胸が苦しくて、とても切ないです。

 

一方、一刀さんは私が本気だということに気付いたのか冷やかしてきません。

 

「俺は杏里に対してそんな感情を抱いた事が無い。だから、杏里の願いを叶えてやる事は出来ない。

俺は桔梗様の事が好きで、他の娘に同じような感情をいだくことが出来ないんだ。」

 

「でも、この世界だったら、何人もお嫁さんを抱えている人がいます!だから!」

 

「俺は何人も同時に愛することが出来るような器用な人間じゃないんだ。

かりに、杏里の告白を受け入れても、杏里の望むものを俺は与えてやれない。

俺は桔梗様の事が好きだから。」

 

「……………………分かっていました。一刀さんなら、そう言うだろうって。

でも、私は貴方の事が好き。だから、この結果が分かっていても、言わないと私は辛かった。」

 

「…………そうか。」

 

「謝らないんですね。」

 

「俺は悪い事をしたと思っていないからな。人を好きになるっていうのは病気にかかってしまうのと同じだ。病気にかかってごめんなさいって、謝る奴はいないだろう?」

 

「病気ですか。そうですね。」

 

「なあ、一つ聞いて良いか?」

 

「どうしたのですか?」

 

「何でこんな時に俺に告白したのかなって疑問に思ったんだけど?」

 

「一刀さんはすぐに無茶をしますから、それを止めさせようって思って。それで。」

 

「ありがとう。杏里」

 

そう言うと、私の乗った馬車に行くように一刀さんは言います。馬車は動きだしました。

 

 

 

 

視点:一刀

 

正直杏里が告白してきたのは吃驚だったな。

杏里の気持ちは嬉しい。でも、俺には桔梗さんが好きで好きで仕方が無いんだ。

だから、俺は杏里の気持ちを受け入れられなかった。

 

ならば、せめて、杏里が相思相愛の人を見つけるまで、杏里を護ってやろう。

それが、杏里の友人としての最低限の義務だろう。

 

「この戦争。唯で負けるわけにはいかないな。」

 

「隊長。避難誘導の流れは出来たで。後は凪と沙和が上手くやってくれるはずや。

なんか此処でやること無い?無かったら、西門に向かうで?」

 

真桜が良いタイミングで戻ってきた。

俺は民の避難誘導が終わって戻ってきた真桜の部隊に指示を出す。

内容は家屋を壊す手伝いだ。要するに人狼部隊のサポートってわけだ。流石に百数十か所の破壊工作と罠設置を百人しか居ない人狼部隊だけでは出来ないと困っていたところだった。

細かい所は真桜が各小隊に指示を出していく。

 

真桜も螺旋槍で家屋の破壊を手伝ってくれる。

真桜は次々と螺旋槍で支柱を貫いて行く。しかも、真桜はからくり師。どこの支柱を壊せば最も効率的に家屋を壊すことが出来るか分かっている。だから、だいたい3分で1軒のペースで壊れて行く。

何度も倒壊する瞬間に真桜が下敷きになったが、螺旋槍を上に掲げて、自力で脱出する。

どうやら、真桜はただのからくり大好きのサボり魔では無かったらしい。

 

俺もBarrettM82A1で家屋の支柱を撃って、皆が家屋を破壊しやすいようにしていく。

そして、家屋を壊したら、その残骸を道に広げて行き、道を塞いでいく。

と言っても、真桜が効率的な怖仕方を教えてくれたおかげで、瓦礫で道を塞ぐのにそんなに労力を必要としない。

 

「よっしゃあ!隊長!次はどこや!」

 

「もう、大丈夫だ。今すぐ西門に向かって、焔耶と桔梗様の援護を頼む!」

 

「了解!あんた等!聞いたか!西門に向かうで!」

 

家屋の破壊が終わった事を真桜に伝えると、真桜は部隊を率いて西門へと向かう。

俺は念のために、破壊していない所が無いかどうか確かめるために、人狼部隊の兵達に確認作業をしていく。どうやら、もれているところは無いらしい。後は罠を設置したら、準備完了だな。

俺は地図から視線を上げるとそこには人狼部隊の全隊員が居た。

 

「負け戦確定の戦だが、本当に逃げなくていいのか?」

 

俺は此処に居る全員に聞いた。

フルフェイスのヘルメットを被っているため、皆の表情を伺う事は出来ない。

一人の兵が前に出て来て、ヘルメットを脱いだ。鮮花だった。

 

「一刀さん、私の名前知っていますか?」

 

「鮮花だろう?それがどうかしたのか?」

 

「違います。真名では無くて、普通の名前です。」

 

「そう言えば、知らないな。なんていう名前なんだ?」

 

 

 

 

「ありません。」

 

「え?」

 

「名前が私には無いんです。」

 

「どうして?」

 

「私、実は捨て子なんです。

いろいろあって、私が4つの時、あの山に両親に捨てられたんです。

だから、両親から呼ばれていた真名は知っていても、自分の性と名、字が思い出せないんです。」

 

そう言って、鮮花はある山を指す。たしかあの山、俺が兀突骨に襲われた山だったな。

鮮花の話は未だ続く。俺はその話を黙って聞いた。

 

鮮花の話の要点を押さえると大体こんな感じだ。

捨てられた自分を拾ってくれたのが桔梗さんで、鮮花を孤児院に入れてくれたらしい。

さらに、人狼部隊はそんな連中の塊だという。慰安婦や奴隷、戦争孤児、口減らしで捨てられた奴だっているという。今日まで此処に居る全員が生きて来れたのは、この巴郡があったからだと鮮花は言う。

そして、過去と向き合い、戦場で命を賭けている俺の姿勢に憧れたらしい。

だから、『天の御遣い様見守り隊』が発足されると、此処に居る皆が集まったという。

そして、人狼部隊の話が出ると全員志願した。

 

「だから、私達は厳顔様や魏延様、一刀さんが好きなんです。

一刀さん、よく言っていましたよね?『自分に忠を尽くせ』って。」

 

「ああ、言ったな。」

 

「だから、私達は自分達を今日まで支えてくれた人の為に戦います。

それが、私達の『自分に忠を尽くす』だと思います。だから、一刀さんが何と言おうと逃げません。」

 

俺が思う以上に、自分と自分の好きなモノの為に戦う奴は居たらしい。

あーあ、嬉しいのやら、哀しいのやら。

まあ、会社に勤めていた時もこんな連中ばっかりでしたから、慣れているはずでしたが、自分の部隊を持って、負け戦前提となると感じるものがいつもと何か違う。

 

「…………わかった。もう好きにしろ。

その代わり、俺が言えた義理ではないが、命は大事にしろ。だから、それなりに時間を稼いで、自分の身が危なくなったら、逃げだせ。良いな?」

 

「「「さー・いえっさー!!」」」

 

「では、配置につけ!民が逃げきるまでの時間を稼ぐぞ!」

 

俺はそう言うと西門に向かった。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

今回のお話はどうだったでしょうか?

劉焉VS桔梗陣営編の第1回目ということでしたが。

さて一刀や桔梗達は無事、巴郡の街から民を逃がし、無事に脱出できるのでしょうか?

今後の展開に注目ですね。

 

それから、最近杏里の影が薄かったので、何をやらせようかと考えた末に、戦前の告白となりました。

なんか、戦前の告白の所為で一刀か杏里に准死亡フラグが建ったのは気のせいでしょうか?

さてさて、どうなる事やら。

 

鮮花の過去も暴露されました。

言っておきますが、鮮花の名前を考えるのが、面倒だったという訳ではありませんからね!

類は友を呼ぶという事で、人狼部隊は一刀のような辛い過去を持った集団です。

もでるはMGS4のBB部隊。

これで、人狼部隊がただの変態集団で無いということが分かっていただけたら幸いですww

人狼部隊のこの戦いでの活躍も注目ですね。

 

では、何時もの挨拶で閉めましょう!

それでは御唱和下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 


 
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