No.302312

真・恋姫無双「新たなる地と血」第23話

正確には18.5話って所なんですが、董卓陣営の決戦前のお話です。

一刀の実力がついに!

2011-09-18 01:13:10 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4951   閲覧ユーザー数:3807

この作品は恋姫無双の2次創作です。

 

作者の勝手な解釈もある為、若干キャラの性格等のズレが生じる場合が御座いますが

そこらへんはご容赦のほどを。

 

~少し遡って洛陽~

 

洛陽内・董卓軍の中では今回の件について話し合いが行なわれていた。

 

「月、本当~にこれでいいのね?」

 

「うん。これでいいの。これが責任の取り方だと思うから。」

 

「…分かったわ、月がそう言うなら僕からはこれ以上何も言わない。じゃあ大まかな方針はこれでいいかしら?」

 

「ごめんね、詠ちゃん。」

 

「ああ、それでいいと思う。」

 

「でも大丈夫?間に合わなければ…」

 

「だからの時間稼ぎだろう。あっちの方も意識を取り戻したって言うし、もう暫くすれば動けるだろうからな。後は待つだけだよ。」

 

「はあ~、わかったわよ。」

 

詠は溜息を付き納得する。

 

「なあなあ一刀。司馬懿と稽古しとったんやろ、どんだけ強くなったん?うちと手合わせせえへん?」

 

今後の方針も決まり会議も終わった頃、霞は一刀が司馬懿との鍛錬をしていた事に興味を持ち、手合わせしようと持ち掛けた。

 

「恋殿が最強です~!」

 

「…そうね、あんたがどれだけ腕を上げたのか見ておくのも悪く無いわね。どれだけの戦力になるか把握しておくのも必要でしょうから。」

 

一人全く見当違いの事を言っているのを無視する詠。

 

「無視するなです~!」

 

「うるさい、今はこいつの話をしているの。関係無い事言うな!」

 

「なんですとー!」

 

「じゃ、一刀練兵場行こ!」

 

「あれ?俺に選択権は?ちょちょっと霞引き摺らないでよ。自分で歩けるから~」

 

二人のいつものやり取りを無視して霞は一刀を練兵場へと連行して行った。

 

霞は目の前に突き付けられている剣に呆然としていた。以前の一刀の実力とは段違いになっている事に。

 

最初のうちは霞が一方的に攻めていたのだが、一刀はその早さを観察していた。そして一刀は霞の渾身の一撃を避けると同時に胴を薙いで勝負が付いた。

 

これには皆驚いていた。

 

「やった~父上がかった~」

 

一樹は父の勝利に喜んでいた。

 

「…次は恋が相手」

 

何時の間にか恋が方天画戟を持ち立っていた。一刀の強くなった武に興味を持ったようだ。

 

「…いいよ。やろうか、恋。」

 

「ちょっと!幾ら強くなったからって恋を相手にするなんて無茶よ。」

 

「確かに無茶だよ。でも、自分がどこまで強くなったのかを知りたいんだよ。」

 

詠からは無茶と言われた。だが自分の力を知る良い機会と思い一刀は武器を構える。

 

「「勝負!」」

 

一刀は一気に間合いを詰めると斬撃を繰り出した。

 

「なっ?!うち((霞))より速い!」

 

その速さに霞は驚いた。いや霞だけでは無い対峙している恋も、そして華雄も見ていたもの全てがである。

 

暫くは一刀の一方的な攻撃が続いていた、だが恋はそれを悉く防いでいた。

 

そして合間、合間に恋が方天画戟を振るう。一刀もそれを防いでいたがやがてその内の一つ、左脇腹に来る一撃に対応がやや遅れた。

 

剣での防御が間に合わないと判断した一刀は、鞘からもう一方の短剣『蒼風』で戟の刃を防ぎ、そして左膝を上げ方天画戟の柄の部分とを受け止めたが、それだけでは勢いは完全に止まらず、そのまま反対側に跳んで衝撃を逃がした。

 

恋と渡り合っている事に見ていた者達は更に唖然とする。霞との戦いでも正直、まぐれではないかと疑っていたのだから。

 

「恋殿に勝てるわけが無いのです。さっさと降参するのです。」

 

音々一人が興奮して騒いでいるが、周りは全くそんな事が気にならないほど二人の戦いに集中していた。

 

先ほどの攻防で距離が開き、恋は自分から攻めよう構えたが、一刀が剣を鞘に戻す。それを見ていた恋は止まった。

 

「…?」

 

その行動に恋は不思議そうに見つめた。

 

「なんだあいつは?諦めたのか?」

 

華雄も剣を収めた事に試合放棄かと思った。

 

「…いや、まだ一刀は諦めてへんみたいやで、目ぇ見てみぃ。」

 

その目を見るとまだ諦めてはいなかった。

 

「(なんだ、あいつは?呂布に全く武が通じていないのに、なぜまだ諦めていないんだ?)」

 

嘗て華雄も呂布に散々挑み掛かっていたがその結果は惨憺たるもので、かすり傷一つ負わしたことも無く今では諦めてしまっている。

 

恋も一刀の気迫闘気が衰えないことに警戒を緩めないでいた。

 

一刀は一息吐くと腰を落とし、剣を鞘に収めたまま構えた。所謂抜刀術。日本刀ではない故に速度は落ちてしまうが、それでもこの大陸では見られない最速の技、一刀が片刃の剣にした理由は此処にある。

 

実際日本刀を使って抜刀術をした事は無い為、泉との鍛錬によって一刀が片刃の剣用に開発したものである。

 

本能的に危険を察知して、この奇妙な構えに恋は更に警戒を強めた。そして周りで見ていたものは異様な空気に誰一人喋れず見守っていた。

 

じり、じりっと一刀は間合いを詰めていく。恋の間合いに入ったがそれでも動かない。先に動けばなんとなく危険である事を感じていた。

 

そうして一刀は間合いに入ると一気に剣を抜き放つ。それに反応して恋も戟を振るった。そして金属のぶつかり合う甲高い音が辺りに響いた後、

 

「ぐわあああぁぁぁぁ!!」

 

吹き飛ばされ地面に転がっていたのは一刀であった。

 

「一刀(父上ぇ)!?」

 

慌てて一刀の元へ駆け寄る一樹、月、詠の三人を見送りながら華雄と霞は呆然としていた。

 

「…霞、今のあの動き見えたか?」

 

「…いや、抜いた瞬間しか見えなかった、あとは気ぃ付いたら一刀が吹っ飛ばされてた。」

 

神速の張遼である霞ですら見えないほどの速度を繰り出した一刀、そしてそれを返り討ちにした呂布の武に二人は身震いした。

 

「父上~、痛い?ねえ、痛い~?」

 

ぼろぼろになり地面に転がっている父に涙目ながら心配をする。

 

「大丈夫だよ一樹。少ししたら動けるからさ。」

 

無理矢理手を動かし頭を撫で、安心させる。

 

「ご主人様、余り無理をなさらないでくださいね。」

 

一刀が無理矢理手を動かしている事に気が付いている月は優しく注意する。

 

何で分かったのかと後で聞くと「これでも嘗てはご主人様の身の回りを世話をして居たのですから。」との事。流石月さん、北郷付きの元メイド長である。

 

転がっている一刀の元に恋と音々、霞と華雄がやって来た。

 

「…ご主人様、強くなった。」

 

「恋には敵わなかったよ。」

 

「当たり前ですぞ。恋殿がお前なんかに負ける訳無いのですぞ!」

 

「…音々うるさい。」

 

「(がーん)恋殿~」

 

黙るように言われショックを受けている音々を他所に恋は話を続ける。

 

「…手、痺れて方天画戟持てない。」

 

「大丈夫か?」

 

自らの痺れている右手を見る。

 

「…(こくん)うん、でもご主人様の方が大丈夫じゃなさそう。」

 

「暫くすれば動けるよ。俺の丈夫さは恋も知ってるだろう?」

 

「…でも心配。」

 

「ありがとう。」

 

その後部屋に運ばれ寝台に寝かされ詠と一樹が看病に付き添った。詠曰く、太守である月にそんな事をさせられないとの事。だが何処となく嬉しそうにしているのを見て月達はくすくす笑っていた。

 

翌日、一樹が目を覚ますとそこには着替えを済ましたいつもの父の姿があった。

 

「父上ぇ、動いて大丈夫?」

 

「おはよう一樹「おはようございます。」もう大丈夫だよ。ほら。」

 

そう言って身体を動かして見せる。そんな父の様子にほっとする。

 

「相変わらず出鱈目の回復力ね。」

 

二人のやり取りに起こされた詠は、一刀の回復力に呆れながら声を掛ける。

 

「おはよう、詠。看病ありがとうな。」

 

「べ、別にあんたの為じゃないわよ。一樹や月が心配そうにしてたからしただけなんだから…」

 

顔を赤くしながら詠は答えた。そして三人は一刀を心配しているであろう皆に顔を見せに行く事にした。

 

当然、昨日動けずにいた一刀が一晩寝ただけで回復した事に驚いていた。

 

動けるようになり皆にその姿を見せるのと、心配を掛けた事に謝る為に皆の元に向かった。

 

月や霞・恋は動けるようになったことを喜んでくれ、劉協・華雄・音々は唖然としていた。「(そんな馬鹿な!?)」と。

 

そんな一刀に声を掛けたのは貂蝉であった。

 

「ご主人様、随分力を付けられたわね。」

 

「ああ、泉のお陰だ。…けど、まだ足りない。」

 

「そう…」

 

貂蝉は一刀がまだ満足していない事にあえて何も言わなかった。

 

「ところで一刀。武器壊れたけどどないすんねん?」

 

そう言って霞は壊れた一刀の剣を差し出す。恋との手合わせで壊れてしまったのだ。

 

「ご主人様、ごめんなさい。」

 

「いいよ、恋。恋が悪い訳でも無いんだから。」

 

謝ってきた恋の頭を撫でる。

 

「さてそうなると、新しい武器が必要になるな。」

 

「それなら良い物があるんだけど。」

 

そう言って貂蝉は何処からともなく剣を取り出した。

 

「オイ、貂蝉!これって日本刀じゃないか。こんなもの何処で?」

 

「それは漢女のヒ・ミ・ツ♪と言うの冗談で、稀に外史の狭間に落ちてくるのよ。銘は無いけど業物である事は間違いないわ。」

 

「いいのか?」

 

渡された一刀は驚き日本刀と貂蝉を交互に見る。

 

「いいのよ。昨日の戦い方を見て、こっちの方がご主人様に合ってるって思ったから。」

 

「ありがたく使わせてもらうよ。」

 

鞘より抜いた刀身から見事な紋様が最初に目に入る。それを見た者は一様に、『美しい』と呟いていたが、華雄は気になった事を聞いてきた。

 

「そんな細い得物で戦えるのか?」

 

そんな疑問を抱く華雄に説明をしたが、自分もどんなものか感触を確かめる為、中庭に移動する。

 

まず一刀は刀の感触を確かめながら演舞を行なう、その優雅な様に更に皆見惚れる。

 

一通りそれが終わると用意した木材を難なく斬り、その切れ味に皆驚く。それも感触を確かめながら二本、三本と斬って行き最後の一本の手前で刀を納める。

 

そして腰を落とし昨日恋との戦いで見せた抜刀術の構えを取ると恋、霞、華雄はその動きを見逃すまいとじっと見つめる。

 

だが音がした、と思った瞬間には既に一刀は刀を振り抜いた後で遅れて材木が倒れる所であった。

 

そんな姿を見て一樹は父の凄さにはしゃいでいた。

 

「父上~すごい~!」

 

嬉しそうにしている一樹とは対照的に三人は先ほどの一刀の動きに呆気にとられていた。

 

「恋、ようあれ見えたな?」

 

「…なんとか見えた。でも今のもっと早かった。」

 

得物が軽くなった事で更に速度が増し、恋ですらまともに目で追えていないと言うことなのだ。

 

「恐ろしい奴だな、北郷は。恋ですら完全に見切れない技を持っているのだから。今度の戦いで大分、連合の連中を蹴散らすことが出来るんじゃないか?」

 

「いや。あれは使えんで。」

 

霞の言葉になぜだというふうに視線を向ける。

 

「乱戦やったら使えんのや。一騎打ちならええけど。乱戦やと構えてから抜くまで間が無防備になってしまうからや。」

 

霞に言われ華雄はあっと気付く。構えから抜くまでの間、集中している為無防備になってしまうことに。

 

最も抜刀術無しでも恋と渡り合えるのだから大きな戦力には間違いない。

 

そして反董卓連合への準備が整い汜水関へ一刀、霞、華雄がそれぞれ隊を率い出発する日。

 

先行していた霞達にようやく追いついた一刀。

 

「なあ、一樹どないしたん?」

 

横に並んだ一刀に一樹の様子を聞く。実は見送りに来ていた一樹が一刀と離れるのが嫌で、いざ出発と言う時になって駄々をこねて服を離さなかったのだ。

 

それ故に霞達を先に行かせ、ようやく一樹をなだめてつい今しがた合流したのだ。

 

~回想~

 

「じゃあ、一樹。父さんが居ない間、良い子にしてろよ。月お姉ちゃんや、詠お姉ちゃんの言う事を聞くんだぞ。」

 

見送りに来ていた一樹の頭を撫でる。

 

「う~。」

 

だが返事をせず一刀の服を掴んだまま、離そうとせず俯き、困惑しながら一樹の頭を撫で続ける。

 

「悪い。霞、先に行っててくれないか?」

 

「まあええけど。」

 

時間が掛かりそうだと判断した一刀は霞達に先に行くように言う。

 

~回想終了~

 

そこからなんとか宥めてようやく一刀が遅れて出発できたのだ。

 

「でも今までどないしとったん?」

 

「今までこんな事無かったんだがなぁ」

 

一樹が生まれてからも仕事の為、留守にする事は多々有った。その時は別段駄々を捏ねるでもなく、機嫌良く見送りをしていた。

 

それが今回に限り、なぜか離れるのを嫌がった。何かの予兆かとも思ったが、余り気にすると集中を欠く為、気に留める程度にする事にした。

 

それより気に掛かったのは帰った後の事である。

 

「暫く遊びに付き合わされる。」

 

「ええやん、それ位。自分と一樹のご褒美やと思っとき。」

 

ようやく宥めたが、帰ってきた時に遊ぶ約束をさせられたのだ。ここ最近余り構ってやれなかったから、その罪滅ぼしも兼ねてそんな約束をしたのだ。

 

「大丈夫やて、うちが一刀を守ってやるよって。ちゃんと一樹の元に生きて連れて帰るさかい。」

 

そんな霞の慰めにそうだなと頷き、生きて帰ることを誓うのであった。

 

あとがき

 

恋対一刀、どうでしたでしょうか?

 

戦闘描写は相変わらず難しいです…

 

一刀の剣もぶっ壊れて、新たな武器を手にいれました。

 

やっぱり日本人の一刀には日本刀でしょう。こちらは銘は未だ無いですが…

 

あと以前手に入れた短剣の方も名前が決まりました。

 

その名も『蒼風』!一刀が振るえば蒼い石が疾風の如く速さで戦場を駆け抜ける。

 

そう言う意味合いで。

 

次からは虎牢関に舞台を移します。

 

ではまた次回~


 
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