No.300853

そらのおとしもの二次創作 ~エンジェロイド改造計画 シナプス編 Ver3~

tkさん

『そらのおとしもの』の二次創作になります。
 今後は小刻みな投稿を目標にしようと思います。その分、一回の文量は少なくなりますが。
 今回のテーマ:ひよりん改造計画

エンジェロイド改造計画シリーズ

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2011-09-15 22:52:30 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1411   閲覧ユーザー数:1381

 

 そういえば、風音の畑も収穫時期なのか?

 はい、大変だけど一番楽しみな時期でもあるんですよ。

 

 そっか… なあ、俺も手伝いに行っていいか?

 え? ええっ!?

 素人だけどさ、いないよりはマシだろうし。一度やってみたかったんだよなー。

 は、はい。こちらこそよろしくお願いします。

 

 そんじゃ、明日にでもいいか?

 はい! 待ってますね桜井くん!

 

 

 

 

 ~エンジェロイド改造計画 シナプス編 Ver.3~

 

 

 

 

 今日もシナプスは平和だ。

 

『ティロ・フィナーレ!』

『やったぁ! マミさんかっこいー!』

『うん、憧れちゃうよね!』

 

「ふむ、どうやら魔法少女というのはポジティブなシナリオが主流なのだな。カオス用の新衣装にも加えてみるか…」

 マスターが地上の映像作品を見て萌え文化とやらを学んでいるくらいに平和だ。

『それ、続きを見るなら覚悟しておいた方がいいわよ?』

「ほう。かわまんさ、少々刺激的な方が私の好みだからな」

 ダイダロスのハッキングによる割り込みも日常と化し、私達も危機感を抱かなくなっている。慣れって怖い。

「このトモエマミという人物はベテランなのだろう? おそらく最後までヒロインを導く美味しい役なのだろうな」

『………もう、何も怖くない』

「なんだそれは?」

『この台詞が出たら心を強く持っておきなさい』

 ダイダロスはこの作品の顛末を知っているらしい。マスターを見つめるその表情はどこまでも優しかった。

 

 ピピッ

 

「ん? マスター、侵入者のようです」

「なんだ、いい所だというのに。………ほう」

 監視モニターで侵入者を見つけたマスターがニヤリと笑った。あー、あの顔は悪い事考えてるなー。

「迎撃の必要はない。ここまで丁重に案内しろ」

「はっ!」

 どうやら今日は一騒動ありそうだ。 

 

 

 

 

 

 

 結論から言うと、一騒動どころじゃなかった。

 

『メイン動力室に大規模な異常気象が発生。エネルギーラインの7割に損傷』

 

 鳴りわめく警告音声と地響きがシナプスの危機的状況を如実に教えてくれる。

 というか、エネルギーラインの7割が損傷って拙いんじゃないだろうか。

「つ、つまり貴様の願いを聞き届ければいいのだな!?」

「はい、よろしくお願いします。寛大なマスター」

 必死に椅子にしがみつくマスターへ慇懃無礼にお辞儀するタイプZ、ヒヨリ。

 シナプスをひっくり返さんばかりの騒ぎはこいつの仕業だった。

 

『シナプス、高度低下します。姿勢制御機能に異常、傾斜率3%』

 

 いよいよ物理的にひっくり返りそうだ。

 これもマスターがもったいつけて色よい返事をしなかったのが悪い。

『なにしてるの! 早く彼女のお願いを聞きいれてあげなさい! このままじゃ本当に落ちるわよ!』

 ダイダロスも相当焦っている様だ。

 そりゃシナプスのど真ん中で竜巻やらタイフーンやらをありったけ発生されたらこうなる。

「ええい! いいだろう、貴様の願いを叶えてやる! さっさとこの目ざわりな異常気象を止めろ!」

「はい、マスターのご慈悲に感謝します」

 また心にもない事を。こいつ絶対仕返し半分でやってる。

「ですが、私のお願い通りの物だけで結構です。…余計な事をしたら、分かりますね?」

「ふん、言っている意味が分からんな。私が少々手を加えた所でかまわんだろう」

「そうですか、では」

 

『マスターの私室で小規模な豪雨が発生。被害は軽微』

 

「私のコレクションもとい資料になんて事をっ! まだ視聴していない物もあったのだぞ! 貴様は人間かゼータ!」

「私、もうエンジェロイドですし」

 ニコッと笑って首をかしげるゼータは活き活きとしていた。

「おのれぇ…! あの後マミさんはどうなってしまうのだ、気になって眠れないではないか」

「よろしければ、今度お貸ししましょうか? 桜井くんが持っていたと思いますし」

「よかろう、今の無礼はそれで許してやる」

 マスターが段々と遠い所へ行ってしまっている気がする。でも追いかけたくないなぁ。

「ではさっそく用意してやろう。ハーピーよ、ゼータと共に地上へ物資を運べ」

「了解でーす」

 もうどうでもいいや。今日の晩御飯はどうしようかな。

 

 

 

 

「すっげぇ~」

 実際に風音の畑に入った俺の感想はそれに尽きた。

 トウモロコシや西瓜、他にも収穫前の野菜が目の前に広がっていた。

「今年は良く育ちましたから」

「これ全部一人で収穫すんのか?」

「いえ、まさか。弟達や近所の人に手伝ってもらってますよ」

「そっか、そうだよな」

 風音の言う通りだ。これだけの数を一人でできるわけないか。

「んじゃイカロス達も連れて来て正解だったな」

「…この西瓜。日和さんはいい仕事をしています」

「この畑ってこんなに大きかったっけ? それになんか道具も真新しいし…」

「………(ジュルリ)」

 例によって俺について来た未確認生物達は収穫の準備を始めていた。

 とりあえずアストレアにはつまみ食いをしない様に釘を指しておこう。

 

「………ちっとも正解じゃありません」

 

「ん? 何か言ったか?」

「いいえ、何でもありません。それより道具の中には危険な物もありますから気をつけてくださいね」

「わかった。とりあえず最初だけ教えてくれないか?」

「はい、もちろんです」

 さて、それじゃやってみますかね。

 俺は収穫用のハサミを手にピーマンのある方へ向かった。

 

 

 

 同時刻、シナプス。

 

 

「…フフフ」

「あ、また何か企んでますねマスター」

「企む? 私はゼータの願いを叶えてやっただけだが?」

 その割には凄く楽しそうな顔してるんだけどなぁ。

「もっとも、私なりに考えた素敵アイテムを混ぜてやったがな!」

 いや、それを企むって言うんじゃないだろうか。

 そんな事も知らず、モニターの向こうでサクライトモキはのほほんと収穫を始めていた。

「いいんですかマスター? またゼータが動力室に竜巻を起こしに来ますよ?」

 

 ゼータの願いは畑の掃除(あと、ちょびっと拡大)と農具一式の更新だった。

 それくらいマスターも素直に叶えてあげればいいのに、変に偉ぶって焦らすからあんな事になったのだ。

 というか自分で改造したエンジェロイドに落とされそうになったシナプスとマスターって…

 

「ふん。すでにシナプス全域を完全防水、防風に改良済みだ。もはやゼータなど恐れるに足らん」

 へぇ。マスターも一応考えて行動してるんだなぁ。

『それよりも、何を仕込んだの?』

「慌てるな。時機に分かる… クックック」

『嫌な予感がすわね…』

 ダイダロスの不安はきっと駄目な方向への不安なんだろうなぁ。

 そんな事を考えながら私もモニターを見つめるのでした。

 

 

 

 再び桜井家編3に続く

 


 
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