No.287646

omnibus

ojiさん

いつからか顔なじみになったギターリストの歌は、いつも不思議な世界だ。

2011-08-29 10:40:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:352   閲覧ユーザー数:352

 

青い空、灰色の大地。太陽は頂点よりも少し傾いた。乾いた風が時折吹く。

黒ネコが鳴かなくなったカラスを引きずる。

カラスは地面に落ちていた。青い空から灰色の地面へ拘束された。何が原因でそうなったのかは分からない。。

20センチ程のたくましいカラス。緑色や紫色に光る艶やかな羽毛。口は血に濡れる

ネコの名前はネオ。おとぼけた顔、たくましい背中。こいつは狂っている。

 

黒ネコが、3辻のもとに面した一つの家の前までカラスを引きずる。

カチャという大きな音と共に老婆が玄関先から現れ出る。

小さく華奢な体を玄関から滑り出させた。

真っすぐにカラスの元に向かう。きっと予期していたのだろう。

黒い毛が少し混じっている老婆の髪は上にキツく結ばれお団子状にまとめられている。まるでぜんまいザムライに出てくる団子屋のばあさんみたいだ。

 

老婆が転がっているカラスの足をむんずっと掴む。

さっきの黒ネコは少し離れた場所ーすこし高くなった排水設備の蓋の錆びた金属板の上に座っているーで状況を見ている。

地面には引きずられた後と転々と血がにじむ。

毛艶良く逞しい体つきのカラスは少し息をしていた。苦しそうに。カラスの苦しそうな息づかいを老婆はしゃがんでもちあげた腕の中でじっと見る。

カラスの首の骨が折れる音が聞こえる。

 

(老婆は自分なのだ。

そしてカラスも自分なのだ。)


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択