No.238979

鋼の錬金術師×テイルズオブザワールド 第12話~14話

NDさん

東方SS等も、pixivで観覧をお願いいたします。

2011-07-28 11:14:29 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2589   閲覧ユーザー数:2459

~バンエルティア号~

 

『おかえりなさい。』

 

依頼が終わり、全員無事で帰ってきたが、

 

一人、ものすごく不機嫌な顔で帰ってきた

 

さらに、何があったのか

 

人数が増えて、帰ってきた

 

『あら?お客さんかしら?』

 

『ああ、この人は先程の坑道の中で危険な所、助けてもらってな。礼を兼ねてこの船に招待した。』

 

けっ!と嫌味ったらしくエドは舌打ちを打つ

 

『初めましてお譲さん。私の名はロイ・マスタングと申します。以後、お見知りおきを』

 

いきなり自身を”お譲さん”と呼ばれ、手を握られたアンジュは、そのいきなりさに戸惑った。

 

『え?……お……お譲さ……』

 

それを見たエドが、いじるようにロイに突っかかる

 

『へ、こんな所でもナンパかよ。相変わらず暇だなぁ。』

 

『私はこんな遠い所にまで遊びに来ているお前の方が、よほど遊んでいるように見える。ああ、まだ遊び足りない年齢だったな。』

 

エドは、一瞬にして怒りの表情へと変わる

 

『………その腹立つ嫌味は相変わらずだな……!!!』

 

その話しに割り込むように、扉が開き、また一人の錬金術師が現れる

 

『むっ……マスタング大佐』

 

『ご苦労だ。アームストロング少佐』

 

大佐を見て、アームストロング少佐は敬礼をした

 

『さて鋼の、今のこの状況、分かってるな?』

 

マスタングは、エドの方に目を向け

 

『少なくとも、私よりは。』

 

そう言って、嫌味たらしい笑顔をエドに向ける

 

『説明してもらおう、この世界と鋼のがこのギルドに身を置いている訳をな』

 

冷静な口調で淡々と話を進める

 

エドはこんな大佐が大嫌いだった

 

だが、この状況で話をしないというのもできそうにない。

 

エドは嫌々ながらも、この世界の事、そして自分がこのギルドに身を留まらせている訳を説明した。

 

アルと離れ離れになった事、

 

住み込みの条件

 

短期契約

 

『なるほど』

 

ロイは、納得したように腕を組んでソファに座る

 

『やられたな。まさかあの巨大樹にこんな罠が存在していたとは。』

 

『はいはい。全く』

 

『これでは、私も身を置く場所を見つけないといけないな』

 

『はいは………はあああ!?』

 

エドは、嫌な予感がビンビンした

 

自分のアンテナが、それに反応するように激しく運動する

 

『クラトスさん、と言ったかな?』

 

『どうした?』

 

『このギルドのリーダー。となる人はどなたですか?』

 

するとクラトスは、アンジュの方に目を向け

 

『なるほど、彼女ですか。』

 

そう言ってマスタングはソファから立ち上がり、

 

アンジュの方へ歩み寄る。

 

そして、女性を口説く時の表情と口調になる

 

『依頼を、申し込んでもよろしいでしょうか?』

 

『はい……?』

 

アンジュは、少し予想外だと思ったらしい。

 

新規隊員の申し込みならば、遠慮くなくしてやれたのだが、

 

まさか、依頼を申し込まれるとは思わなかった。

 

『私が今後、身を置ける場所という場所を探していただけませんでしょうか?』

 

マスタングがそう言った瞬間、エドは立ち上がり、入口に向かった

 

『よっしゃ!じゃぁその依頼!俺が引き受けた!』

 

とりあえず、大佐とは一緒に居たくない。

 

そんな本心から、自分から依頼を引き受けようとエドは動いた。だが

 

『身を置ける場所?それならばこのギルドに身を置いたらどうでしょうか?』

 

『はぁあああああああああああああああああああああああ!?』

 

アンジュが言い終える前に、エドの叫びが船内に響き渡る

 

『おいアンジュ!!今度という今度は我がままには付き会わねぇぞ!!俺は反対だ!!反対する!!』

 

そのエドの反応に、アンジュは少し動揺したが、

 

マスタングはまるで慣れているかのように、エドに反論をする

 

『おやぁ?このギルドのリーダーはこのお嬢さんなのだろう?ならば平である鋼のは何の権限も無いと思われるが?』

 

エドが、さらに声を荒くして

 

『てめっ……!!初めからそのつもりで…………!!!!!』

 

ギリギリとエドの歯ぎしりが聞こえる

 

『エドワード君、マスタングさんの言うとおり、いくらこの人が気にくわないからって新入隊員を迎える事は、貴方が拒否できるものじゃないのよ』

 

『だからって新入……』

 

そこでエドの言葉が止まる。

 

そうだ、新入

 

ここで、エドが有利な事が頭に流れる

 

ふっふっふ。とエドは笑う

 

『どうした?鋼の。ついにあきらめたか?』

 

『……大佐がこのギルドに入るって事は、つまり新入りになるって事だよな?』

 

マスタングは、少し考える仕草をし、

 

『まぁ、そう言う事になるだろう。』

 

エドは、勝ち誇ったような、有意に立ったような笑顔でマスタングを睨みつける

 

『つまりだ、大佐が入隊したら俺は先輩、そして大佐は後輩って事になる。面白い称号だな。こりゃ』

 

『なんだ、そう言う事か』

 

どうでも良いように、マスタングは入隊手続きをした

 

『良いのかよ?俺は厳しい先輩だから、後輩の事はたっぷり可愛がるかもしんねぇぜぇ?』

 

エドはこの時、マスタングをどう料理しようか考えていた

 

パシリか?

 

雑用か?

 

何にしても、それを考える事が楽しかった

 

そして、マスタングの手が止まった

 

『まぁ、この世界には私達の世界の称号なんぞどうでも良いと言ったな。』

 

『ああ、だから大佐が入る事によって、俺は大佐の先輩に』

 

マスタングは、不敵の笑みを見せて

 

『だが、どうでもいいのは”今”だけだ。その”今”に私をどうパシろうがどうでも良いが、いずれは元の世界に帰る。その時に、その私への扱いに置いては、向こうの世界での鋼の今後に対する”参考”にさせてもらうぞ。』

 

それを聞いて、エドの笑みが消えた

 

そうだ。先輩とか後輩とかに気を取られていたが

 

その”参考”に対しては、確かに厄介事だ。

 

マスタングの事だから、エドが思っている以上に厄介なのだろう。

 

すると、エドはお手上げという感じで溜息を吐き

 

嫌な顔でマスタングに舌打ちをする

 

『素直でよろしい。』

 

アンジュが笑顔でエドに対応する

 

エドは、怒涛の声を張り上げる

 

『おい!!そいつの部屋は俺の部屋より遠くに配置させろよ!!せめて半径100M外にだ!!分かったか!』

 

『まぁ、私はそれでも構わないんだがね。』

 

HAHAHAと馬鹿にするように笑うマスタングに、エドはさらに怒りを倍増させる

 

そして、エドが言う部屋に対して、アンジュは はっ と息を吸い込むように声を出す

 

『そうそう。部屋と言えば、相部屋のルームメイトのカノンノちゃんが甲版に倒れていたの』

 

『カノンノが?』

 

『ええ……。ちょっとしたショックがあったみたいだから、身体に異常は無いんだけど……。』

 

ふぅん。とエドはあごに手を置く

 

だが、ルームメイトで大佐は反応する

 

『カノンノ…ちゃん?』

 

おそらく、その者は女性と感づいたのだろう。

 

少し不穏な顔でエドの顔を見る

 

『なんだよ』

 

そして、マスタングはふっ。と微笑する

 

『いや、異性の者とルームメイトになるとは、なかなかのたらし者だな。鋼の』

 

『違えよ!!部屋を勝手に決められてほぼ強制で相部屋になっただけだ!!』

 

マスタングの冗談に、エドは苛立ちを覚える

 

『進展は?』

 

『は?』

 

『進展だよ。相部屋になったからには、どこまで関係が進んでいる?』

 

こいつは………

 

エドが極度に呆れてしまった時、溜息を吐いた後、この広場から去った

 

『エドワード君、カノンノちゃんは医務室に居るから、ちゃんと会いに行ってあげてね』

 

へいへーい…と元気の無い声で返事をした。

 

これからこの野郎と屋根の下で生活すんのか………

 

とっととアルを見つけてこっから脱出しねぇとな――………

 

 

 

 

 

 

 

 

~廊下~

 

『付いてくんな!大佐!!』

 

『行く道が偶然同じなだけだろう。気にしなければ良いだけの事だと思うが?』

 

『るせぇ!!てめぇが後ろに歩かれると嫌な感じがすんだよ!!』

 

大佐に向かって大声を張り上げるエド。

 

それを聞いてほとんど知らんぷりをする大佐

 

その光景は、どこか兄弟のようにも思わせる。

 

だが、そんな事を言ってはいけない

 

『おっ。エドワード君、そいつはお兄さんかい?』

 

早くもそう言ったレイヴンは、容赦無しにエドに殴られる

 

そして、壁に叩きつけられ、意識が遠ざかる

 

消えてゆく意識の中で。レイヴンはとっさに一言、呟いた

 

『なんで?』

 

そして、意識は途切れた

 

 

 

『ったくざっけんな!こいつと俺とどこが兄弟だ!!』

 

『確かに、私もその事については心外だな。ここまで身長差のある兄弟はあまり欲しくは無い』

 

『誰がぁ!!小さい弟だぁああ!!!』

 

エドがそう叫んだ時、廊下の向こうで二人、歩み寄ってくる

 

『あっ!師匠!』

 

エステルと、その隣のもう一人

 

『ふん』

 

リタと、その二人が仲良く並んで歩いていた

 

『師匠……?』

 

マスタングが、エステルのその発言に疑問を抱く

 

『師匠、この人は一体誰です?』

 

エステルは錬金術の本を抱えながら、マスタングを見上げる形でエドに話しかける

 

『このギルドの新入りだ。』

 

エドは、ただそうしか言わなかった。

 

『おっと、ここから先は私が自己紹介しよう。』

 

付け足すように、大佐は言葉を挟んだ

 

エドは、ふん とそっぽを向く

 

『私の名前はロイ・マスタング。向こうの世界では鋼のの上司に当たる人物です。』

 

『鋼の……?』

 

初めて聞く、その”はがねの”に、エステルは少し混乱する

 

『ああ、鋼のとはこのエドワード・エルリックのもう一つの名前、鋼の錬金術師という』

 

『大佐』

 

エドが、それ以上は何も言うんじゃねえと口をはさむ

 

『ふぅん、あんたのようなちっこいのが”鋼の錬金術師”って名前ねぇ……似合わないわね』

 

『んだぁ!?コラァ!!なんつったこらぁ!!』

 

”ちっこい”という言葉に反応したエドは、リタに突発に突っかかる

 

『ちなみに私のもう一つの名前は、焔の錬金術師と申します。以後、お見知りおきを。美しいお譲さん方』

 

そう言って、マスタングはエステルの手を取る。

 

その行動に、一瞬エステルは戸惑うが、

 

『ちょっと何やってんのよあんた!』

 

リタがすぐにその繋いでいた手を引き離す

 

『焔の錬金術師とかなんとか分かんないけど、どうせそっちのチビ助と同じ、魔法の一部でしょ?それに、今手に触れたエステルわねぇ、一国の王女なのよ!』

 

敵意を出すようにリタエステルをかばう

 

『てめぇ!!また俺の事をチビって言いやがったな!!』

 

『うるさいわね!事実に事実を言って何が悪いのよ!』

 

『こっ………!!!』

 

また喧嘩が始まる。

 

だが、マスタングはそんな喧嘩など気にせず、エステルと話を続ける

 

『これは驚いた。王女の方でしたか。道理でお美しい上に上品さを感じたはずです』

 

『は……はぁ』

 

『どうでしょうか、今度休日の日に一緒にお食事でも』

 

『おいコラ!大佐ぁ!!』

 

リタと喧嘩中に、エドはリタがマスタングに向かって声を出す前に、声を張り上げた。

 

その言葉に上乗せするように、エステルはマスタングに謝罪の礼をして

 

『すみません。私に休日の時はございませんので、またその時が来たら、お誘いお願いいたします。』

 

そう対応した時、マスタングは

 

『はははは。構いませんよ。貴方のご都合のままに』

 

そう笑って対応した

 

その光景に、リタが何かイラつきの表情を浮かべる

 

『なんか…気に入らないわねあいつ……』

 

『ああそうかい。中身知ったら、さらに気に入らなくなるぞ』

 

そう言ってエドは、三人をほっとくように前へと早歩きしていった

 

『あ!待って下さい師匠!!ちょっと聞きたい事が』

 

『36ページ』

 

エドはただそう言って、医務室の方へと歩いて行った

 

その36ページという言葉で、一体何を言っているのか分からなかったが、

 

試しに、持っていた本の36ページを開き、読んでみる

 

『あっ…ああ!』

 

エステルは、そのページを見た時、はっきりと理解した。

 

まだ完全ではないが、また少し、錬金術での知識を一歩踏み入れたのだ

 

『ありがとうございます!師匠!』

 

礼をした時には、もうエドは居なかった。

 

つまり、何も無い所でエステルは礼をしていたのだ。

 

そのまま、しばらく沈黙が続く

 

 

 

 

『ところで、師匠というのは一体?』

 

マスタングの言葉で、エステルは振り向く

 

『え?…ああはい。私、エドワード君の所で、錬金術を習っているのです。』

 

その事を聞いて、マスタングは、

 

ほう と納得するような声を出す

 

『まさか王女と師弟関係となっているとはな。』

 

マスタングは、また微笑して、少しだけ冗談を向けた

 

『私も、彼と同じ錬金術師ですが、どうでしょうか?私の元で錬金術を習いませんか?』

 

そう言われ、エステルは一瞬戸惑ってしまう。

 

ただ、本当にこの人が師匠になって大丈夫なのだろうか。

 

そんな不安も存在する

 

だが、その時にリタが割って入ってきた。

 

『あんた、焔の錬金術師って言ったわよね?』

 

『ああ、確かに言いましたね。』

 

リタは敵意まるだしの声で張り上げるようにキーキー叫ぶ

 

『そんな敵を傷つけるだけの錬金術なんかエステルは習いたいわけないでしょ!!少なくともあんたのような性格悪い奴の下では習いたいとは私は思わないわね!!あのチビンコの下で習った方が、まだマシよ!!』

 

『リッ…リタ?』

 

必死に声を張り上げるリタの姿に、エステルは少し動揺した

 

『行くわよ。今、分かった事を試すんでしょ?』

 

リタはそう言った後、エステルを半ば強引的に引きずるように連れて行った。

 

『ははは。嫌われてしまったな。私も』

 

マスタングは、面白そうな顔で笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~医務室~

 

カノンノは、エド達が人工精霊に追いかけられている時、

 

悪夢から覚めるように、起き上がった

 

『カノンノさん?』

 

アニーが、起き上がったカノンノを心配すると、カノンノは大量の汗を流しながら、首を横に振った

 

『どうしたんですか?顔色が悪いですよ?』

 

『ううん……もう大丈夫だよ。』

 

先程の悪夢で、黒い人達

 

あの人が、私の方に指を差して、あの坊主頭の大人か子供か分からない容貌の人に

 

身体を骨ごと食いちぎられ、首が身体から離れていった時、

 

その時、自分の身体が食べられているのを見た。

 

そして、あの黒い人が私の首に手を伸ばし、

 

その頭ごと食いちぎられる所で、私は目を覚ました

 

『駄目ですよ。まだ寝ていないと…。ふらふらじゃないですか』

 

足取りが重く、歩こうとすれば、あさっての方向へと進んでしまう

 

倒れそうになった時、アニーさんに捕まり、またベッドへと寝かされる

 

『……………』

 

頭が痛い

 

もうあの光景は見えないが、またどこか、不安が押し寄せる

 

『カノンノさん…。一体何があったんですか?』

 

言えない。

 

頭の中で、死屍累々な光景が見えたとは、とても……

 

『大した事ないよ。ちょっとした立ちくらみが起こって…そのまま倒れて頭をぶつけただけだよ。』

 

嘘を言う事に抵抗が少しあったが、

 

真実を言えば、心配される。

 

それは、あまり望んではいなかった。

 

だから、自分は間抜けのような言い訳をした

 

『そうですか。暑い日が続きましたからね。今度から気を付けて下さい。』

 

『うん……心配かけてごめんね。』

 

そう言って、カノンノは定位置であるベッドに横たわり、安静にした

 

『……なんだか悪いね、自分だけこんな楽になってて、皆は依頼を命がけでしている人もいるのに。』

 

『何を言ってるんですか。カノンノさんは今病人なんですよ。今、依頼を受けようとしたら逆に迷惑になりますよ。』

 

『ははは…そうだよね……』

 

だけど、こう寝ても居られない。

 

この先程の頭の中の光景が、何か嫌な予感を感じるのだ。

 

早く体調を治し、依頼を受けなければいけない気がする。

 

不安が、まだ治らない

 

だが、しばらくそう考えているうちに、扉が開いた。

 

その現れた人物に、カノンノは少し動転する

 

『よう』

 

『あ……エド…。』

 

カノンノは、少し気恥ずかしそうに返事をする

 

『なんで俺の顔を見ないんだ?ん?』

 

エドの目がつり上がり、少し機嫌悪そうにエドは言った

 

『エ…エドは、どうしてここに来たの?』

 

『どうしても何も、ルームメイトって義理でこんな所にまで行かされんだよ。』

 

『はは…そ…そうだったね。』

 

カノンノが、少し苦笑いでごまかす。

 

そうだった。エドとはルームメイトだったんだ

 

『エドワードさん、カノンノさんのお見舞いに来ていただいたんですね。』

 

『だから義理だって義理』

 

『例え義理でも、お見舞いに来ていただける世は喜ばしいものなんですよ。』

 

エドが、少し考える仕草をして

 

『ふーん……そんなもんなのかね』

 

と言った。あまり自分には良い思い出が無い。

 

嫌いな牛乳出されたり、チビ発言されたり

 

少佐に来られて酷い目に会ったり、傷口が開いたり。

 

『一体なんで急にぶっ倒れたりしたんだ?』

 

その事を聞かれ、カノンノはまた、考えてしまう。

 

あの事を言うべきか、でもエドにも心配はかけたくは……

 

『ああ、カノンノさんは立ちくらみでそのまま倒れて頭をぶつけてしまって、それで気絶したんですって』

 

その言葉を言われ、カノンノは小さな悲鳴を上げながらアニー方に向いた

 

エドが、固まったまま動かない

 

私の方を見ていない

 

さっきとはまるで逆の状況だった

 

やばい、どうしよう。ものすごく恥ずかしい

 

『ふぅん……まぁ暑い日が続いたからな……。』

 

少し引いたような声で、エドは呟く

 

墓穴を掘った。恥ずかしくて顔が真っ赤になるのが、自分でも分かった

 

『まっ、そんぐらいなら全然大丈夫だろ。元気でなによりだ。じゃあな』

 

エドは、心配事が減ったような顔をして、医務室から出ようとした。

 

その時、あの事を言わないでも良いだろうか?という疑問が頭に流れた。

 

あれは、エドが来た事と、何か関係があるかもしれない。

 

それとも、次の依頼で出会うかもしれないのだ。

 

『エド。』

 

カノンノは、とっさにエドを呼びとめる

 

『ん?なんだ?』

 

カノンノは、ぼそぼそと言うように、

 

先程の失態がまだ残っており、恥ずかしそうに言った。

 

『……黒い人達、で。何か……知ってる?』

 

その後の言葉がつかえた

 

黒い人達、と言う言葉で、エドの顔が真剣になったからだ

 

『黒い人達……?』

 

エドは、その言葉で何かが引っ掛かった。

 

どこか、何かで知っているような。

 

いや、まだ思いだせない

 

頭の中に見つかりもしない。とそう考えた

 

『それがどうかしたか?』

 

『あ……いや、寝ている時に、黒い人達が出てくる夢を見たから、それが妙に現実っぽくて……その……ごめん!!』

 

カノンノは、勢いよく布団の中に潜り込んだ

 

なんだ、夢の話か

 

エドは、少し呆れの混じった溜息を吐きながら、医務室の扉を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~???~

 

どこだここは

 

暗い

 

狭い

 

何でおれは此処に居るんだ

 

俺は、消えてしまっていたはずだ

 

あいつに、あの野郎に、

 

包まれたまま

 

 

 

『目が覚めたかい?』

 

目の前には、一人の男

 

いや女か

 

どちらか区別のつかない奴が立っていた

 

『誰だ、お前は』

 

『さぁね、誰にでも?』

 

そう言うと、そいつの顔が変わった

 

ゴツイ男から、犬の顔にまで

 

なんだこれは、夢を見ているのか

 

『まぁまぁ、そんな顔をしくさんな』

 

また元の顔に戻ったそいつは、俺に手を差し伸べた

 

『ちょっと俺達の手助けをしてほしいだけさ』

 

『なにをするんだ?』

 

『世界をちょっと滅ぼす、って感じかな』

 

馬鹿馬鹿しい、と俺は一瞥した

 

『正しくは、有効活用しようと言う物さ』

 

そう言われた後、そいつは赤い石を出した

 

『飲んでみな。面白い事が起こるぜ』

 

そう言われ、ほぼ強引的にその赤い石を飲まされた

 

『…!!!』

 

身体が熱い

 

身体に拒絶反応のような、その石が身体を乗っ取るような

 

そんな反応が起こった

 

俺は悲鳴を上げながら、転げまわっていた

 

だが、

 

『おお、やっぱすごいねぇ』

 

その反応は、しばらくすれば消えた

 

『ごきげんよう。新しく生まれ変わった気分はどうだい?』

 

『てめぇ……何をした……!!』

 

すると、急に腕から刃物のような形に変わった

 

『!?』

 

『お、上出来上出来』

 

その刃物は、戻れと念じた時、一瞬でも戻った

 

『おい、樹の根っこ』

 

そいつは、俺の事をそう言った

 

『俺たちに協力すれば、もっとその”石”が作れるぜ?』

 

そいつは、不気味に笑い、

 

後ろには、さらに多くのそいつが居た。

 

これでは勝ち目は無いな。と思う

 

『……誰だてめぇら。一体何が目的だ』

 

『ん?まぁ俺達の名前は……まぁいいか。俺の名前は………エンヴィーってんだ。』

 

エンヴィーは、急に俺の髪を掴み、脅すように声を出す

 

『出来れば、俺達の事は公言しないでほしいんだよね』

 

そして、エンヴィーは手を放し、寝ころんでいる俺を見下すように言葉を出す

 

『で?お前の名前はなんなんだよ?』

 

また、不気味な笑い

 

その笑いが、気に入らねえ

 

だが、

 

『俺は………』

 

この石の力は、興味を持った

 

『名前は…』

 

そうだ、また復讐だ

 

俺を嫌ったこの世界に、復讐を

 

『ゲーデ。世界の憎しみを背負う者だ。』

 

紅い目が、さらに濃くなり、黒みが増す

~バンエルティア号~

 

エドは先程のカノンノの見舞いを終了し、

 

特にこれといった依頼も無いと知った為、部屋に戻りゆっくりする事にした

 

『はぁ~あ。ったく、今日は無駄骨三昧だったなぁ。』

 

思いだすだけで面倒くさくなる先程の依頼二つの空回りっぷりに、エドはいらつきさえ感じた

 

アルも、今まで通り見つからず

 

苦手である大佐が、このアドリビドムに入隊してきやがったからだ

 

それに少佐も、溜息を出せないはずがない。

 

これらの事を考えるだけで頭が痛くなったエドは、ふらふらになりながら廊下を歩いた

 

あくびをし、視界が良く無くなった所に、

 

エドは、誰か走ってきた誰かにぶつかった

 

『うわぁ!!』

 

『きゃぁ!』

 

声で、女性と判断ができたが、

 

エドは、先程のストレスが大量にたまっており、

 

おかまいなしに文句をそいつにぶつけようとした。

 

『痛っっってぇぇえええなぁああああああ!!!!なにすんじゃコラァアアアアア!!!!!』

 

『ひぃいいいいい!!』

 

ぶつかった女の子が、怯える顔でエドを見つめる

 

『ご……ごめんなさい…。ちょっと道に迷っちゃって………』

 

『迷うだけなら良い。だが人にぶつかる理由にはなんねぇぞ!!!ちゃんと前見て歩け!!!!』

 

『ご……ご……ごめんなさい……』

 

涙目でウルウルした目でエドに謝罪する。

 

今までマシな女に出会った事が少ないエドにとって、それが真実の涙なのか、嘘泣きなのかは理解できなかった

 

『ふん!』

 

一喝したエドは、そのままぶつかった女の子を無視するように前に進んだ。

 

『あの……』

 

後ろの女の子が、何かを言いたげな声を出したが、

 

エドは女の子の方を向きもせず、そのまま部屋へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~カノンノとエドワードの部屋~

 

二人で暮らしている部屋で、エドは一人、そのベッドで寝ていた。

 

しばらく安静に休めると言うのは、エドにとっては結構嬉しい事だ。

 

だが、それ以上に焦る気持ちも存在した

 

アルを見つけなければいけない

 

『ったく……どこに行きやがったあの野郎……』

 

たった一人の弟に愚痴を言いながら、エドは寝返りを打った

 

アルは大丈夫だろうか。

 

あの鎧で、気味を悪くされていないだろうか

 

村人や人間から、疎遠されていないだろうか

 

酷い目を合わされていないだろうか。

 

『ああ~~~~!!!!』

 

考えれば考えるほど、奇妙に不安になる

 

だが、その不安の中には信頼もあった。

 

なんたって俺様の弟だ。出来が良い。

 

俺が居なくても、ちゃんとやってはいけるだろう。とは考えている

 

だが、やっぱり不安だ

 

『うう~~』

 

唸る声を出していると、部屋にノック音が響いた

 

『どうぞ』

 

そのノックに返事をすると、しいなが部屋に入ってきた

 

『おや、ここはあんたの部屋かい』

 

『………何しに来やがったてめぇ………』

 

エドは、ものすごく嫌そうな顔でしいなを睨む

 

『なんだい、その顔は。新しい仲間に対する目つきじゃないね』

 

『お前なんか仲間と思いたく無いね』

 

『ああそうかい。だったらこっちもアンタとは依頼の同行はしないでおくよ』

 

またどこかで似たような会話が続いた

 

またこのまま喧嘩が始まっても、不毛だと気付いたエドは、溜息を吐いて起き上がる

 

『で?もう一度言う。何しに来たんだ?』

 

『ああ、とりあえずアンタにも自己紹介はしておかないといけないからね。』

 

そう言った後、エドと同じくらいの年の子が部屋に入ってきた。

 

『しいな、仮にもこの人は先輩だろ?そんな口を聞いて良いのか?』

 

『でもさ、年の割に結構生意気だし子供だよ?このチビ。ため口言いたくもなるよ』

 

赤い服を来た、髪が全体的に逆立っている男が、しいなに口出しした

 

だが、エドはしいなの言った”チビ”に反応する

 

『チビっつったなてめぇ!!あと先輩にため口を言っても良い訳無えだろこらぁ!!』

 

いきなり怒りだしたエドに、赤い服の男はエドをなだめるように頭を下げる

 

『悪いな。しいながアンタに失礼な言葉を言ってしまって。』

 

『俺の名前はエドワード・エルリック!良いか、エドワードだぞ!それ以外の呼称は断固断る!!』

 

前にも、何回も言ったこのセリフに、エドは何か嫌気を差した。

 

『そうか、エドワードさん。俺の名前はロイド。ロイド・アーヴィング。よろしくな。』

 

この男の笑顔は、何も黒い所が存在しない。

 

こいつなら信じても良さそうだ

 

『ふん』

 

だが、素直じゃないエドワードは、それ以上何も言わず、手を差し伸べて

 

静かに握手をした

 

『それと、もう一人俺達の仲間の…』

 

ロイドが言いかけると、扉の外から、また一人、女の子が入ってきた

 

『初めまして。私の名前はコレッ………』

 

言葉が止まった

 

入ってきた部屋の中には、先程ぶつかった人が居たからだ。

 

一瞬で空気が気まずくなった

 

コレットは、エドを見て固まったままだった。

 

そのコレットを見たエドは、

 

―――あ、さっきぶつかった奴じゃねえか

 

としか思っていなかった。

 

今となってはエドは怒っておらず、すでに過ぎ去っている

 

だが、エドは目つきが悪く、顔も今、無愛想の状態であるため

 

コレットは、まだ怒っていると勘違いしていた

 

『えと……あの…ご………ごめ………』

 

またコレットは再び涙目になり、後ろ退がり

 

いつの間にか壁の近くに居て、コレットは壁にぶつかる

 

『キャッ!』

 

瞬間、机の上に乗っていたガラスの置物が落ちた。

 

そして、割れた

 

『わ――――――!!!』

 

叫んだのはコレットだった。

 

また、この人の迷惑をかけてしまった

 

震える手で、コレットは割れたガラスを、部屋で元に戻そうと触ろうとした

 

『触るな!!!』

 

エドは、コレットに向かって大声を出した

 

コレットは、その声に驚き、小さな悲鳴を上げた

 

『ご…ごめんエドワード。コレットも悪気は無いんだ。だから………』

 

『悪気があるか無いかは俺が決める』

 

エドの顔が、また一層険しくなる

 

『ちょっとアンタ!コレットを悪者にするつもりかい!?』

 

『少なくとも、今のところはな。』

 

しいなの顔が、また不機嫌な顔になる。

 

そしてエドは、割れたガラスの置物の方に近寄る

 

『あーあ。派手に割れてんなぁ。コレ』

 

コレットが、しゅんと落ち込む顔になる。

 

『まぁ、俺のじゃないから良いけど』

 

エドはコレットの方を向いてそう言ったが、

 

コレットは、何も動じず、そのまま落ち込む表情になった。

 

いやむしろ、さっきよりも落ち込んだようだった

 

『それに、これ結構安物だって聞いたしな。別に気にする事は無いと思うぜ』

 

コレットは、まだ落ち込んだままだった

 

『廊下にぶつかったのも、あん時は機嫌が悪くて怒鳴っただけだしな。元と言えば俺が悪い所もあるし、これはその俺への報いって事にもできるぜ』

 

コレットの目に溜まった涙が、床に落ちた

 

その光景を見て、エドはふんと鼻を鳴らした

 

『さて……と』

 

エドは手をパンと叩き、発光した手を硝子の置物に向けた

 

バラバラになった硝子の置物は形を取り戻し、

 

やがて一つの硝子の置物へと元に戻った。

 

一瞬の出来事に、ロイドはただその光景を見ていただけだった。

 

コレットも、驚きの表情で硝子の置物を見ている

 

『元に……戻った…………?』

 

エドは、その表情を知らんぷりするかのように、口を開いた

 

『俺がさっきから助け船を入れていったのに関わらず、まさかずっと反省したままで船に乗らないとはね。』

 

エドの口元は、笑顔の口元へと変わった

 

『悪気は無かった。そして悪い奴でもなさそうだな。お前ら』

 

ロイドとコレットの方を見る

 

『改めて自己紹介する。俺の名前はエドワード・エルリック。錬金術師だ。よろしくな!』

 

そう言ってガラスの置物を机の上に置いて、久しぶりの笑顔を見せた。

 

『お前……結構頭が良いんだな……。んで錬金術師?』

 

ロイドは、エドの言った錬金術という言葉に頭をかしげる

 

『エドワード…君って。本当は優しい人なんだね。で、錬金術師って何?』

 

コレットは、エドの言った錬金術という言葉に頭をかしげる

 

『お前ら……結構頭が悪いんだな…………』

 

さっきの技を見ても微塵も理解が出来ないとは。呆れて声が出なかった

 

『ふぅん、あんたも結構そういう所あるんだねぇ。んで、頭も良かったんだねぇ。んでも小っちゃい』

 

『んおい!!!!!』

 

最後の余計な言葉に、エドは声を張り上げた

 

『なぁ、さっきの技って物を直す力なのか?』

 

『いや、だから錬金術って言ってんだろ……。それに、ちょっと違う』

 

違う?とコレットは疑問の声を出す

 

『まぁ、お前らは話すよりは実践でやった方が分かりやすいかもな』

 

錬金術師を理解できない奴に、言葉で伝えても無駄だと感じたエドは、

 

とりあえず報酬で貰った鉄を用意した。

 

そして錬金術で、剣を錬成した

 

その剣は、大きな牙の狼が剣の刃であるように、つばが狼の頭で、持ち手の所々にも角がある

 

『うわ………』

 

相変わらずのセンスの無さにしいなは呆れたが、

 

ロイドとコレットは

 

『うおすげぇ!!錬金術って一つの鉄をこんなクールな剣に変えるのか!!』

 

『え?』

 

『すごい!鉄がわんちゃんの剣になっちゃった!可愛い剣だね!』

 

キラキラ輝く目でその技に魅入られた

 

『なぁなぁ、同じ剣をもう一個作れるか?俺、二刀流で闘うからよ。』

 

『ねぇロイド……?マジでその剣で闘うつもり……?』

 

遠まわしに止めといた方が良いよとしいなは言おうとしたが、

 

それより先に、褒められて調子に乗ったエドがまた鉄を錬成して

 

『ほらよ!一丁上がり!』

 

『おし!ありがとう!エドワード!!』

 

すっかり意気投合し、そのセンスが悪い剣をロイドは受け取った。

 

『ねぇねぇ、わんちゃんの人形作れる?』

 

『材料さえあれば、作れる…なっと!』

 

使わない枕を犬(?)の人形に変えたが、

 

その犬は、牙が大きく、図体もやや大きい凶暴犬のような物で、

 

とても女の子向けだと思わなかったが

 

『うわぁ!独特なわんちゃんだね。ありがとう!』

 

コレットは以外にも喜んでいた。

 

この錬金術のセンスに、しいなは付いていけず、

 

『じゃ、自己紹介済んだなら、わたしゃ部屋に戻らせてもらうよ』

 

と一応ロイドに伝え、部屋に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~バンエルティア号~

 

『キール君、精霊の居場所の特定はまだかな?』

 

キールと呼ばれるその男は、エドはまだ出会っていない。

 

まだエドが立ちよっていない街はずれの図書館にこもって勉強しており、

 

先程まではミブナの里の文献を解読に一生懸命だったからだ。

 

『まだかかりそうだ。ミブナの里の文献は、この上なくひねくれた暗号で書かれているからな』

 

ため息交じりの声で、キールは話す。

 

『それに、学会の発表にも重なるし、リッドとかには呼ばれるし、あまりはかどらないよ。』

 

『そういえば、リッド君はいつ戻るのかしら?』

 

もうかれこれ彼らは3日は帰って来て居ない。

 

まぁ、依頼が依頼なだけに、かかってもおかしくはないが

 

『ああ、まだかかりそうだと言っていた。連山の瓦礫事故の復旧作業、そしてアンジュが勝手に付け加えた赤い煙調査やらで、結構疲れているようだけどね、復旧作業もやっと半分以上終わったみたいだし』

 

キールは皮肉そうにそう言った

 

『ふぅん……。リッド君には悪い事をしてたわね、でも、もうすぐにでも終わりそうよ』

 

『え?どうしてアンジュがそう言うんだ?』

 

『復旧作業をたった一瞬で片付ける事が出来る魔技を持つ人が新しく入ってくれたからね。これで3秒もかからずに復旧作業は終了できるはずよ』

 

キールは、それは何かの冗談だと考え、ふっと笑った

 

『一瞬で片づけるか。リッド達の苦労が水の泡だな』

 

『悪い事をしちゃったわね』

 

まるで笑い話のように語っている二人の間に、また一つの依頼が届いた

 

『あら…?なになに…………』

 

その依頼の内容を見て、アンジュの顔の表情が変わった

 

その依頼内容をじっと見ている

 

『何が書かれているんだ?』

 

『赤い煙。に会いたいっていう依頼…みたいね。』

 

場所は、リッド達が居るルパープ連山

 

エドが落ちてきた場所とは、反対方向に属していた

 

その、まさにリッド達が居る場所であった。

 

『その依頼は、どうするんだ?』

 

『依頼者には悪いけど……この存在を追う事にするわ。』

 

アンジュはそう言って、この依頼に必要な人をまとめる。

 

『必要人は……エドワード君と、アームストロングさんと……………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~カノンノとエドワードの部屋~

 

カノンノは、激しい頭痛から一旦落ち着き、なんとか退院という形で部屋に戻ってきた。

 

そして、微妙に変わっている部屋の風景に、少し疑問を感じ

 

ベッドを一旦全部出してみて、エドに質問をする

 

『……ねぇエド、なんだか枕の数が減っている気がするんだけど………』

 

エドは、ビクゥ!とビビった反応をし、何も言えない状態で、カノンノの方に振り向いて、

 

汗だらけの顔で、カノンノに言葉をかけた

 

『…………やっちゃいました。』

~カノンノとエドワードの部屋~

 

『エド。』

 

『んあ?』

 

カノンノが、少しだけ言いづらそうに、エドに言葉を投げる。

 

なんだか、また喧嘩が始まりそうで、怖いのだ。

 

カノンノは、もっとエドは皆と仲良くなって欲しいから。

 

『……その、リタさんが呼んでるよ』

 

部屋の扉の前には、開いた扉にもたれかかって

 

ニヤニヤ笑顔をしているリタが立っていた

 

何か、嫌な予感がしてたまらない。

 

『へいへい、行きゃぁ良いんだろ。行きゃぁ』

 

ため息交じりで、エドはリタの元へと歩み寄った

 

 

 

 

 

 

 

~研究室~

 

『あら~エドワードちゃん。よくここまで来たわねぇ♪』

 

『……おい、何のつもりだ?こらぁ?』

 

ハロルドが上機嫌でエドの方に近づいて来て、

 

エドは、リタにメンチを食らわすが、

 

リタは、まだニヤニヤと笑ったままだった

 

『チビ、しいなが使っていた人工精霊って知ってる?』

 

エドの眉がピクリと動く。

 

こいつは、何かしらもエドの事をチビと言う者だから、もう怒るのも疲れてくる

 

『………あの野郎か。おかげでえらい目に会ったぜ。で?それがどうしたんだ』

 

リタは、右手にある術が記されている巻物を持ち合わせる

 

『光気丹術に関する記述に記されている巻物よ。中身は暗号だらけだったけど、ある男の協力によってほぼ解読されたわ』

 

『で?それがどうしたってんだよ』

 

リタは、ハロルドの身体に手をかざした。

 

すると、急にハロルドの身体の周りに文字の書かれた、光る輪が回った

 

『なんだ?こりゃ』

 

『ドクメント、と言ってもあんたには分からないでしょうね。』

 

『分かるわけねえだろが!俺は前にも言ったように、別の世界の人間だっつっただろ!!』

 

その後、ハロルドが割って入った

 

『根底の理論としては、全ての物質の中の情報、あるいは設計図みたいなものね』

 

エドは、その輪を見て

 

『ふぅん』

 

と言うだけだった

 

『物質はこの、ドクメントというエネルギー体のありきなの。』

 

『随分、開放的な個人情報だな』

 

『情報と言っても、その物質とか質量とかの問題で、心の仲までは読めないわ』

 

そして、リタはさらに手を押すようにして、

 

ハロルドの周りの輪を二重にする

 

『これで、もっと細かく見る事が出来る。これはその人の潜在能力や病気になりうる要素とか、設計書のさらに細かい所ね』

 

『へぇ、便利だな。その能力』

 

ふん、とリタは、自慢気にエドに笑顔を見せた

 

だが、エドは何も動じない

 

『呪いって奴とか、魔術とか、全部このドクメントで行い、光気丹術はこれらをいじったり、作りだす事のできる能力。人工精霊も、これらによる応用よ』

 

『何が言いてぇんだよ』

 

『錬金術を、魔術だと言う事を裏付ける事が出来るわ』

 

『はぁ?』

 

エドは、侮蔑の顔でリタを見る

 

すると、リタは自信満々に答えた

 

『つまりね、あんたの使う錬金術ってのは、このドクメントをいじって、物質を変えたり、作りだしたりする能力の事。そしてそれらは、魔術に分類されるのよ!!』

 

自信満々にリタは答えた。

 

エドは、その理論を聞いて、感想を言った

 

『……くだらねぇ…。』

 

『なっ……!』

 

リタの顔が、一瞬で怒りの顔に変わる

 

『何よ。負け惜しみのつもりかしら?』

 

今度はエドが、理論を立てた

 

『…あのな、仮にそのドクメントって奴が錬金術に関係しているってのは、まぁ仮にだが、認めても良い。だが、俺の世界にも、名前が違うだけの同じ物があるしな。DNAって言う奴』

 

DNA

 

『そっちの世界では、ドクメントをDNAって呼んでる事?』

 

『逆に言えば、お前らの世界がDNAをドクメントって呼んでんだ。』

 

さらに、エドは説明を続ける

 

『良いか、仮に錬金術がそのドクメントをいじる物だとしよう。治癒術もDNAが関係する事だと言っておこう。だがな、肝心の魔力はどうなる?』

 

『魔力って……それはあんた達が知らない所で使ってるんじゃないの?』

 

『それは無いね。ある人は、錬金術一回で街を作ったって言ってるし、俺も一日中錬金術をしていて、120回くらいは連続で錬金術を使うときだってある』

 

リタが、押し返されていて、額に少しだけ汗が出る

 

『後、一つ勘違いをしているようだが、錬金術は物質を変えたり作りだす術じゃ無い』

 

『は?じゃぁなんだってんのよ』

 

『錬金術は一の物からは一しか作れないし、岩の者は岩でしか作れない。いわゆる、原則は特価交換だって、言ってなかったか?』

 

輪の中に入っているハロルドが、また突っかかる

 

『つまりは、岩から水を作りだすって事は不可能って事ね』

 

『ま、そう言う事』

 

リタは、その言葉を聞いて、頭を抱え出した

 

『じゃぁ………なんなのよ』

 

『何が?』

 

『あんたの使ってる錬金術って、一体なんなのよ!!』

 

『錬金術は錬金術だ。俺はもう疲れたから部屋に戻っていいか?』

 

この部屋に苦手な奴が二人いる時点で、ものすごく帰りたかったが、

 

全くそうも行かなかった

 

『でも、大佐って人は火を操っていたわね、あれはどういう事?』

 

『あれは、燃焼物・酸素・点火源を錬金術によって生成して、焔を起こしてんだ。だからあれも列記とした特価交換だ』

 

『……空気と原子も使えるって事なの。錬金術って……』

 

リタが、急に大人しい声になった。

 

自分の言っていた論文が、この一言で全て崩れ去ってしまったからか、ショックは大きかった

 

ドクメントは、非物質…つまり酸素や火には存在しない。

 

だから、操るもクソのない。

 

さらにそれらから、複数のドクメントを作りだすにしても、あんな指パッチンだけで作りだすなんて、

 

それは今までのドクメントを研究してきた人達を馬鹿にするような物だ。

 

『でもそれって、やっぱりいざという時には使えないわよね?特価交換特価交換ってばっかりじゃ』

 

ハロルドが、鋭い所に突っかかった。

 

エドは、その言葉に、少しだけためらって声を出した

 

『……特価交換を無視して、一から百、いや万を作りだす方法はあるけどな』

 

その声を聞き逃さなかったハロルドは、輪っかを解除して、エドの方に駆け寄った

 

『なになに?教えて教えて?』

 

エドの表情が、堅く真剣になる

 

『教えねえし、俺もそんな錬金術師の道の外れた事はしねえよ。んじゃ、俺はまた帰るわ』

 

そう言って、エドは研究室から帰って行った。

 

最後に行ったエドの言葉に、リタはまた混乱した。

 

『………なんでそんなすごい方法があるのに、使わないわけ?』

 

リタはまた、錬金術に対して混乱を招いた。

 

興味はあるのに、世界が違う為か、私の頭脳を持ってしてもほとんど理解ができない。

 

それが、気に入らなくてしょうがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~バンエルティア号~

 

『あ、エドワード君、ちょうど良かった』

 

笑顔のアンジュの隣に、アームストロング少佐が居る

 

俺は何も言わず、何も見ずに部屋に戻ろうとした

 

『ちょっと、どこに行くの?』

 

アンジュが、エドを呼びとめる

 

『黙れ俺は今から部屋に戻って寝る』

 

淡々と流れるように言ったが、その流れも一気にせき止められる

 

『駄目よ。悪いけどまたエドワード君にしかできない仕事が出来たの』

 

エドはくるりと振りかえり、アンジュに怒涛の声を出す

 

『少佐が居るんだから俺が居なくても全然大丈夫じゃねえのか!!少佐は俺が出来る事のほとんどは出来るぞ!!』

 

『エドワード・エルリック!他人の困っている依頼にそんな我がままを通してはいかん!依頼となる物、ちゃんと責任を持って行わなければ!!』

 

少佐が、すごい勢いでエドに近寄ってくる

 

『ぎゃぁああああああ!!分かった!分かったから近寄んなぁああああああ!!!』

 

エドが少佐から逃げていくと、

 

甲版に続く扉が開き、エドはその扉に激突した

 

『あ、わり』

 

緑色の髪の色をしたそいつは、右手を立てて軽く謝罪するポーズを取った

 

『ティトレイ君、今終わったの?』

 

ティトレイ?

 

『誰だよそいつ』

 

『ああ、この人は、エドワードが入ってくる前に居たギルドの一員よ』

 

それを聞いたティトレイは、エドが新入りだと気づく

 

『へぇ、お前新しく入った奴か。』

 

『他にも新しく入った人は居るから、ちゃんと挨拶してね』

 

『俺が居ない間に、このギルドも賑やかになったんだなー。へへっ楽しくなるな!』

 

陽気で素直なその男を見たエドの第一印象は、”なんだこいつ”だった。

 

『俺の名前はティトレイってんだ。よろしく!エドワード!』

 

ちゃんと初対面で名前を呼ばれた、

 

今まで”チビ”とか”ちっこいの”としか言われていなかった為、初対面でまともに呼ばれたのは始めてで新鮮だった

 

『ああ、よろし』

 

『ところでお前いくつだ?見た所12、13歳って所だな。この船での最年少だな!すっげぇなアンジュ!』

 

その言葉で、エドは固まった

 

『あの…ティトレイさん………』

 

『エドワード!お前もこんな小さいのに立派なもんだよなー。その心意気、俺は結構好きだぜ!』

 

エドが、暗い表情で、プルプル震えている

 

『…………言うな』

 

『え?』

 

エドは、火山が噴火したように顔を真っ赤にして、怒りを露わにした

 

『ちっさい言うなぁあああああああああああ!!あと俺は15歳だこの野郎ぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!!』

 

『え………ええ!?え!?』

 

ティトレイが、一瞬混乱した様子を見せた

 

溜まった怒りをそいつにぶつけようと、地面を蹴った瞬間、

 

後ろの襟首を、巨体の少佐に掴まれた。

 

その光景は、まるで首を掴まれた猫のようだった

 

『うわぁ!あんたでっかいな――――………』

 

『おらぁ!!てめっ!!コラっ!!かかってこいやぁああああああ!!』

 

じたばたしているエドを無視して、ティトレイは少佐の方を見た

 

『うむ、我が輩の名前はアレックス・ルイ・アームストロングと申す。以後、お見知りおきを』

 

『ああ、俺の名前はティトレイってんだ。……にしてもすんげぇ筋肉だな。』

 

『ふむ。これは我がアームストロング家に代々伝わる、芸術的肉体美と言いまして……』

 

『ぅおら!こっち向けやコラァ!!』

 

『へぇ、なんか良く知らねえけど、なんだか頼もしい奴が入ったな。』

 

『無視すんじゃねえ!!コラ芝生頭!!』

 

『ふっ。全力でこのギルドを支えていきましょうと、決めましたから、なんなりと申しつけて下さいませ』

 

『芝生コラァアア!!ぶっ飛ばす!!芝生!芝生!!』

 

ティトレイは、真剣な目でエドの方を睨む

 

『えっと……エドワード、だっけか?』

 

しばらく睨みあった後、ティトレイは、またバネが元の形に戻るように、

 

笑顔に戻った

 

『悪かったなぁ、その、ちいさ……身長の事は気にしてんたんだな。今度から気を付けるから、勘弁な』

 

その堂々とした、悪意の無い姿勢に、エドの調子は狂う

 

『……まぁ分かれば良いんだ。分かれば』

 

エドもまんざらでないらしく、あっさりとティトレイの事を許した

 

『じゃぁエドワード君、この依頼が終わったら、もう休んでも良いから、お願いできるかしら?』

 

このアンジュの笑顔には、良い思い出が無い

 

だから、エドはこの笑顔が苦手だった

 

『おっなんだ?エドワード今から依頼行くのか?じゃぁ俺も着いていくぜ!』

 

ティトレイは、早くもエドに心を開いたようで、自分からエドの依頼の同行を願った

 

『え?良いのかお前。さっき帰って来たばかりなんだろ?』

 

『良いって!良いって!さっき俺がお前の身長の事を悪く言っちまった詫びと思ってくれ!』

 

そのやりとりをしていて、エドは

 

仲間が増えるならば、早く終わる事が出来るかもなと感じ

 

『ああ、じゃぁよろしくな』

 

と握手をした。

 

そして、横を振り向いたら

 

『うわぁ!!』

 

あ―ムストロング少佐が、輝いた目でティアトレイを見ていた

 

『素晴らしいですぞ、ティトレイ君!自分から危険を冒してまでも恩を返さねばと思うその心意気!そして罪悪感をまっすぐ受け取るその心!』

 

アームストロング少佐は、ティトレイに抱きつく

 

その暑苦しい光景に、アンジュや他の人達は、数歩後ろ退がった

 

『我が輩は感動した!その心意気!!ありがたく受け取ろう!!』

 

『はっはっはっはっはっはっはっは!!!お前も良い奴だな!!』

 

ティトレイは、心の底から、嫌がる事がなく笑っていた

 

『す……すげぇ……笑ってやがる…あいつ……』

 

研究室から覗いていたリタも

 

『なんで笑ってんの……?死ぬわよ?死んじゃうわよ……?』

 

と疑問を感じていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ルパープ峠~

 

昨日まで、エドが落ちていた場所であり、

 

この場所から、エドはこの世界に入って来た土地だ。

 

あまり、良い思い出は無かったが、

 

あくまで、この場所に

 

『アルが居る可能性が、あるかもしれない………』

 

と感じる事は大きかった

 

『ん?あそこに誰か居ないか?』

 

ティトレイが指差した場所には、二人の男女が、入口で立ち止まっていた

 

『おーいあんたら、そんな軽装じゃぁ山舐めてるぜ』

 

エドが、皮肉るように忠告をすると、二人の男女はこちらに振り向く

 

『あ?登れないっつったって、こっちは登らなきゃなんねえんだよ?』

 

『ぬ?どういったご用件があるのですか?』

 

男は、説明を面倒くさそうにして、ため息交じりで言葉を出す

 

『願いを叶えてくれるってのがこの山の上にいるんだろーよ?』

 

女も、混じるように語りだす

 

『私ら、そいつに会いに行くんだよね。で、この山って危ないの?』

 

エドは、一応ギルドの人間として、注意を言った

 

『やめとけって、どうせその願いを叶えるのに会う前に死んじまうだろうよ』

 

『あ?何なんだよお前ら。偉そうな事言いやがって』

 

アームストロング少佐は、気品ある態度で丁寧に自己紹介をした

 

『む、申し遅れました。我が輩達はアドリビドムというギルドの者です。』

 

女は、その事を聞いて、また楽そうな態度になる

 

『あんたら何でも屋って奴らでしょ?ちょっとウチらの護衛頼まれても良いんじゃない?』

 

その偉そうな態度に、エドはカチンと来る

 

『オレら、この山に居る願いを叶える奴に大金持ちにしてもらうんだよ』

 

その勝手な言い分に、少佐はその者達が哀れに見えた。

 

エドとティトレイは、その偉そうで勝手な言い分に、かなりイライラしていた

 

『悪いけど、断らさせてもらうね』

 

『ああ?何でよ。なんでも屋って言うならなんでもやってくれんでしょ?詐欺よ詐欺。看板泥塗ってるよ』

 

その言い草に、エドはさらにイライラする

 

『あのなぁ、いくらなんでも何でも屋ってったってやりたくねえもんは拒否するんだぜ?』

 

男が、舌打ちする

 

『使えねえ奴ら……行こうぜ』

 

そう言って前に進もうとした

 

『おい!待ちやがれ!!』

 

ティトレイが叫んだが、もう遅く、

 

二人の男女は、向こうへと行ってしまった

 

『おい!おいかけるぞ!!』

 

ティトレイが先頭となり、あの二人を追いかけていった

 

 

 

 

 

 

 

~ルパープ連山 大崖~

 

しばらく走り、前に進んで行くと、

 

人が多く、揉めている場所があった

 

『おいおい!なんなんだよこれはぁ!』

 

『これじゃぁ前に進めないじゃない!』

 

あの二人が、崖を修復している人達に文句を言っている

 

『んな事言われてもな、こっちも急ピッチで崖を修復させてんだ。しばらく待ってくんねえかな』

 

赤毛の男が、ツルハシを持って二人と話をしている

 

『うるっせえな!こっからじゃねえと願いを叶えるアレに出会えねえだろ!?俺らが此処まで来た体力はどうしろってんだよ!!』

 

『だからって、この状態じゃぁどうしようもないな』

 

その話の中に、一人少女が割り込んだ

 

『それって、赤い煙ことか?駄目だー。あれは危ないってアンジュ言ってた。』

 

肌は黒く、肩には一匹の小動物を持っている

 

『赤い煙だかアンジュだか知らねえけどな、こちらとら急いでんだよ。力づくでも行かせてもらうぜ!!』

 

そう言って突っ込んで行こうとした男と女を、赤い髪の男と緑色の女が受けとめた、

 

『やめろって…!おまえらそんな……』

 

その時、黒い肌の少女がこちらに気づく

 

『バイバ!ティトレイ!』

 

『おお!メルディ!リッド!ファラ!久しぶりだな!!』

 

『あ…?さっきの奴らじゃねえか』

 

男と女は、突っ込むのを止めた。

 

『久しぶりです。ティトレイさん……その……』

 

ファラは、すぐに後ろの二人に目を向ける、

 

ちっちゃいのと、おっきいの

 

『その二人は……誰ですか?』

 

『ああ、こいつらは新しく入った仲間だ』

 

するとリッドは、二人の方に近づいて

 

『へぇ、俺の名前はリッド、リッド・ハーシェルってんだ』

 

『私の名前はファラ。ファラ・エルステッド!よろしくね!』

 

『私の名前、メルディ言うよ。よろしくなー!』

 

一斉に挨拶をされた為、エドは少し驚いたが、

 

『ああ、俺の名前はエドワード・エルリックってんだ。よろしく』

 

そう言って、大きな工事現場の方に向かった

 

『おいエド?そっちに近づいたら危ねぇぞ?』

 

『危ないも何も、こっちも手伝いをしろとアンジュに言われてんでね』

 

そう言って、その崖の方に近づく

 

ファラは、手伝いをすると聞いて、活き活きとした表情になる

 

『そうなの。お手伝いをしてくれるなら大歓迎だよ!とても力強い人も入って来てくれたしね。』

 

そう言って、リッドは小屋の中から新しいツルハシを持ってくる

 

『ほら、これティトレイの分、んでこれがエドワード、お前の………』

 

パン!という手拍子の音と共に、大きな光が崖を包んだ

 

『!?』

 

その大きな光は、崩れた崖の形を変え、元の崖の姿へと戻ろうとしていた。

 

そして3秒後、崩れた崖は、完全に元の姿へと戻った

 

『へい、お手伝い終わり』

 

エドは手を払った後、皆の方へ振り向いた

 

『え……と?今のは、何?崖が一瞬で元に戻っちゃった……。』

 

少しだけ気まずそうに、ティトレイは話す

 

『あのさ…あいつ錬金術師らしくてさ、なんか………一瞬ですぱーっと物作ったり、直したりするんだってさ。俺もたった今初めて見たけど……こりゃすげぇな……マジで』

 

その一瞬で、大掛かりな工事を完璧に終わらせてしまい、

 

多くの者は唖然としており、

 

リッドは、膝から崩れ落ちた

 

『なんだよ……俺達の今までの苦労、全部水の泡じゃねえかよ………』

 

本気で落ち込んだ様子で、そう言った。

 

緑色の髪の女の人も、脱力したように膝から崩れ落ちた

 

『なんだか…馬鹿馬鹿しくなっちゃったね。』

 

黒い肌の少女は、二人とは対極的に、その一瞬で片づけた錬金術に、目を輝かせていた

 

『バイバ!辛かったコージが一瞬で終わっちゃったな!錬金術!すごいな!!』

 

工事が終わった事と錬金術の凄さに喜び、エドの元へと駆け寄ってきた。

 

それと一緒に、もう一匹の小動物がエドの肩に乗ってきた

 

『うわ!なんだこいつ!』

 

小動物は、エドの肩の周りをぐるぐるまわり、頭の上でエドに甘えるように鳴いていた

 

『クククィッキー!クィーッキー!』

 

『クィッキーもエドワード気に行ったな!じゃぁエド、いい奴だな!』

 

『なっなんだよ!良く分かんねえ喋り方するな!』

 

メルディの独特な喋り方に、混乱はするものの理解はできるが、

 

繋ぎが下手であるために少し気持ちわるさを感じた

 

『むん……仕事を奪ってしまって、悪い事をしてしまられたでしょうか?』

 

少佐が、リッド達の元に歩み寄る

 

『いや、まぁこれで結果オーライだな。まぁ助かったよ。もうこの依頼にウンザリして来た所だし』

 

リッドが、思考を変えてポジティブにし、笑顔を取り戻していった。

 

『これで、またギルドに戻って新しい依頼をこなしていけるしね。すぐに終わらせちゃったのはビックリしちゃったけど、でもありがとね。』

 

二人は喋りながら帰る準備をしていた。

 

そして、この連山を後にしようと、帰り道へと進んだ

 

『リッド?ファラ?もう帰るかー?』

 

『うん……まぁ。もう終わっちまたしな。とっとと帰って飯にしたい。』

 

『他にも依頼は大詰めだからさ、私達はそっちの方をやらないと』

 

そう言って、二人は帰ろうとした時、ティトレイはある事に気が付いた

 

『あ、そういえばよ、アンジュから伝言』

 

二人は振りむき、ティトレイの方を見る

 

『なんか、お詫びに御馳走用意しているからそれで勘弁してって言ってたぞ。』

 

リッドは、全速力で帰り道を激走した

 

『っしゃらぁああ!!久しぶりの御馳走だ!!』

 

その速さは、馬よりも早いように見えた

 

ファラは、待ってよ~と早足のリッドを追いかけるように走る

 

『さて、と』

 

エドは、先程の男と女の方へと振り向いた

 

『あんたらはどうすんだ?ここらへんで帰った方が良いんじゃねえの?』

 

エドは、冗談の敵意を二人に見せ、挑発したが

 

『………ああ。じゃぁ止めようかなぁ。』

 

案外、簡単にあきらめた

 

そのあっけなさに、ティトレイは一瞬安心した。が

 

『……でさぁ、ガキ。お前錬金術師だって言ってたよな?』

 

ガキという言葉で、エドはつっかかろうとしたが、少佐に止められた

 

『錬金術師って事はさぁ、金もさっきのようにパパパーっと出せるってわけでしょ?』

 

二人は、懐からナイフを取り出し、こちらに刃を見せた

 

『願い事叶える奴は諦めるからさ、ちょーっとここで金を出してくれねえかなぁ?それなら俺達、こんな危険な山にわざわざ登らなくても済む事になるからさぁ、』

 

『人助けになるじゃない?だからぁ、ここで私達の願いを叶えなさいよぉ?何でも屋のみなさん?』

 

まず女がナイフを振り、ティトレイを捕まえて人質にしようとしたが、

 

『おっと!!』

 

ティトレイは瞬発力で交わし、男女と距離を取った

 

女は、全員に聞こえるほど大きな音の舌打ちをした

 

『おらぁ!!』

 

今度は男が、エドワードを捕まえようとナイフを振りかざす、

 

『エドワード!!』

 

『エドワード・エルリック!!』

 

ティトレイと少佐の声が重なり、エドを守ろうと動く

 

だが、間にあわない。その上、

 

そんな動きは、必要が無いと気付いた

 

パン!とエドは両手を合わせ、

 

右腕でナイフを掴む、ナイフは発光する

 

『なっ!?』

 

ナイフの刃は一瞬で、砂へと変わってどこかへ散って行った

 

『で?その錬金術師様を脅そうとして何をしろって?』

 

エドは、余裕そうな表情で男を見る

 

『ぬん!!』

 

『あっ!!』

 

女の剣も、少佐の拳で粉々にされてしまった

 

『お――。やっぱすげっ』

 

その腕力に、ティトレイは感心した

 

『くっ………クソ野郎!!』

 

『だから言ったじゃねえか、ここで帰った方が良いって。人の忠告は聞いておこうぜ』

 

エドが皮肉るようにそう言うと、男と女は心底悔しそうな表情をした

 

『な……めんなよ!!こんのチビがぁあああああ!!!』

 

男は、腹の底から叫んだ。

 

腹の底から叫んだの声は、エドの心の底にまで届いた。

 

そして、エドはもう一度両手をパンと叩き、

 

男と女は、予備のナイフを握る

 

だが、それは余りにも無力だと気付く

 

『だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇがぁぁぁああああああああああ!!!』

 

地面が盛り上がり、謎の巨人が生まれている

 

顔はごつく、角と牙が生えており、それはまるで鬼のようだった。

 

『お……おい?エドワード……さん?』

 

地面から鬼が生えているのを見て、ティトレイとメルディに恐怖を生じさせた

 

その鬼は、二人の男女の方を見つめている

 

『『ぎゃっぎゃぁあああああああああああああああ!!』』

 

『おいコラァ!!待ちやがれ!!絶対ぇ逃がさねえ!!』

 

逃げている二人に向かって、鬼の鉄槌が二人に襲いかかる

 

『きゃっ!!』

 

女が転び、転んでいる最中に男の脚を掴んでしまい

 

男の方も倒れてしまう

 

『お…・・・おいコラ!!離せ!!』

 

男は、女の手を振りほどこうと、足をじたばたさせた

 

だが、その間にも鬼の鉄槌は振りおろされる

 

『ぎゃぁあああああああああああああああああ!!!』

 

『きゃぁあああああああああああああああああ!!!』

 

ズゥン……・・

 

鬼の鉄槌は、大きな音を立てて振りおろされた。

 

 

 

 

『エドワード、錬金術ってすごいなー』

 

大きな崖を直したと思えば、今度は大きな鬼を作りだし、

 

さらにその鬼を操る事も出来るその技に、メルディは感心した

 

『ふん、国家錬金術師様を馬鹿にした報いを受けさせたまでよ。』

 

ティトレイは、この有様を見て、エドの方に振り向く

 

『で、こいつらはどうするんだ?』

 

間一髪で、エドが意図的に避けたのか、錬金術のズレか、

 

鬼の拳は二人の男女から離れた場所に振りおろされていた。

 

だが、そのせいで二人は泡を吹いて震えて気絶していた

 

『じゃぁ少佐、この二人を街にまで送ってってくれるか?』

 

普段は、上司に命令するエドではないが、

 

二人を一片に持っていけるのは少佐以外居ない上に、自分の方が先輩である

 

だが、少佐は嫌な顔一つもせず、

 

『承知したぞ。エドワード・エルリック』

 

と、笑顔で喜んで二人を担いで帰り道へと下って行った

 

そして少佐は小さくなり、そしてついに見えなくなった。

 

これで暑苦しい奴は居なくなったと、エドワードは内心喜んでいた。

 

『しっかしエド、さっきの鬼の鉄槌、あれ本気でぶつける気だったのか?』

 

『さぁね、死なない程度にはしておくつもりだった』

 

そう適当に返事をしてから、ティトレイはまた笑顔になる

 

『そうか、ありがとな。エドワード』

 

『は?』

 

『いや、ああいう大した努力もせず夢を叶えようとしている奴を見ると、なんだか許せなくてさ、俺も一発なぐらせろ!って感じだったんだけど、ほとんど無傷で追っ払うってのが、なんだか俺の望んだ結果でさ。』

 

ティトレイは、左手をエドの肩に回し、愉快に笑った

 

『やっぱりエドワードはすげえな!そんな強大な力を暴力に生かさずにすぐに鎮圧させるなんて、そうそう出来る事じゃねえぜ!』

 

『あ…ああ。』

 

なんだか照れくさかったエドは、あまり返事が上手く言えなかった。

 

『そうさ!エドはすごいな!ギルドもこれでもっと良くなるよ!みんな幸せになれるな!』

 

メルディも、エドに抱きついて来る

 

小動物も、エドに甘えて飛び跳ねる

 

この状態になって、ようやく気付く

 

――――少佐が居なくても、こいつらだけで暑苦しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~山頂付近~

 

先程の戦闘が終了し、前へと進んで行くと、霧が深い場所へと辿り着いた

 

『危ねぇなぁ……』

 

霧を掻きわけながら進んで行くうちに、前方に赤い光が見えた

 

『ん?』

 

最初に気付いたのはエドだった

 

『おい、あそこに何か見えないか?』

 

ティトレイとメルディが、前方を見つめる

 

そこには、赤い光が存在していた

 

『………こいつが赤い煙だった奴か?願いを叶える奴なのか?』

 

『さぁ分かんねえ。でも、何か人の形をしているな』

 

その赤い、人の形をした”何か”は、こちらへと歩み寄ってきた

 

『うわ!こっち来るぞ!』

 

エドは、その赤い人物を気味悪そうに見ている

 

『気を付けろよエドワード!そいつは生物を別の物に変えやがる!』

 

『分かってる!』

 

分かっていた。

 

あの赤い煙を吸った、ジョアンという男は、

 

後に異形の形となり、村から捨てられ、

 

挙句の果てに、異形化が進んで。そして命を落とした

 

そんな恐ろしい煙など、吸うつもりは無かった

 

『居たぞ!ディセンダー様だ!!』

 

後ろから、二人程の異様な格好をした男性が走ってくる

 

その二人は、その赤い者をディセンダーと信じていた

 

『ディセンダー?こんな赤くて小さい奴がか?』

 

『貴様!!ディセンダー様は願いを叶え、全ての者を導き拾うお方なのだぞ!!失礼な発言は慎め!!』

 

エドは頭を掻いて、溜息を吐く

 

『んな事言ってもねぇ、俺の見た中ではそのあんたらが言うこの赤いディセンダーに殺された奴が居たからね。あまり信用はしてねえのよ』

 

エドのその発言を聞いた信者は、不敵の笑みを浮かべる

 

『ふん、ならばその者は裁かれる者だ。死んで当然の者だったのだ!』

 

『なんだと!!てめぇ!!』

 

ティトレイが激しい怒りを露わにし、戦闘態勢に入る

 

『あんたら、チラシ配っている”暁の従者”って野郎共だな』

 

『”暁の従者”…?聞いた事あるよ!ディセンダーを待ち望んでいる団体だな!』

 

後ろの赤い人は、ゆーらゆーらと漂うように地に足を付けている

 

『おお…!ディセンダー様が私達を呼んでいるぞ!』

 

『今すぐ!運び出そう!』

 

近づいて来る暁の従者の二人が、その赤い人に近づく

 

『待てよ、こいつが仮にディセンダーとして、あんたらが連れていって良い証拠はあるってのか?』

 

『なんだお前は……邪魔をするな!!』

 

『そうだ!!我々はいつどの時もディセンダーの出現を望み、そして信じた者だ!証拠はそれで十分だ!』

 

『…………弱いねぇ』

 

あまりに救い用の無さに、エドは呆れてしまうが、

 

それでも死んでもらっては後味が悪いと感じ、エドは錬成で右腕を刃に変える

 

『!!』

 

『願ったり望んだりしているだけで何もしていない奴が、導きに従うとか願いを叶えようとか、そんな事する資格は無いと思うけどな』

 

それは、先程自分が思っていた、そして語っていた言葉だが、

 

エドのそのごもっともな言い分に、ティトレイは強く頷いた

 

『貴様……!ディセンダー様を侮辱するか!!』

 

『いや、侮辱するも何も。あんた等間違ってんじゃねえの?と言ってるだけだっての。』

 

『黙れ!!間違っているのは大国だ!貧しい国から物資を奪い、自分たちは私欲に肥え膨れていようが、お構い無しではないか!ディセンダー様は、それらの大国を成敗する為に降臨されたのだ!!』

 

エドは、その言い分に呆れて溜息が出る

 

『だからそれが間違ってんだって。なんでも人に任せようとして、自分たちはまるでなにもしていないじゃねえか。というか、お前らはただそのディセンダーってのにすがって生きているだけで、ただ楽がしたいだけじゃねぇの?それじゃぁ、大国に舐められるし、物資を取られまくられてもしょうがないわな。ディセンダーが成敗するべき奴らは、自ら動いて発展した大国なんかじゃないと思うけどねぇ』

 

エドのその説教で、メルディは、少し複雑な気持ちになり

 

ティトレイも何も言えない状態だった。それほど、不気味に納得が出来てしまう、悲しい論文だった。

 

だが、そんな論文を暁の従者は認めようとしなかった

 

『黙れ……黙れ……!!黙れ黙れ!!』

 

懐から拳銃を引き抜き、エドの右腕に向かって発砲した

 

『!!』

 

『うわぁあああああああああああああああああ!!』

 

認めたくないその言葉から、信者たちは発狂して、銃を乱射した。

 

だが、その弾がこちらに当たる前にエドが壁を錬成していて、その弾がエド達に当たる事は無かった

 

壁が崩れて、姿が見えた時には、もう銃の弾は残っていなかった

 

『ディセンダー様!!そいつらは悪魔です!!そっちに居てはいけない!!さぁ!!早くこちらへいらしてください!!』

 

『どうだかな。もしかしたら、成敗する相手があんたらかもしんねぇんだぞ?』

 

エドは、地中を盛り上がらせ、さらに壁を作る

 

『エドワード!右腕が……!!』

 

『ん?ああ。大丈夫大丈夫』

 

エドはそう言ってマントを脱ぐ

 

『え!?』

 

その光景に、ティトレイとメルディは驚く

 

エドの右腕は、それは鋼となっていて、

 

それは、まるで機械の身体のように、それは見えていて

 

二人は、その右腕に魅入られていた

 

『うわぁああああ!!』

 

信者の一人が、慄きながら発光弾を放ち、辺りを光で包ませた

 

『ぐっ!!この野郎!!』

 

エドが手探りで探していくが、どうにも感触が無い

 

ガン!!

 

『捕まえた!!』

 

『痛ててて!エドワード!俺だよ!!』

 

強く握りしめたのは、ティトレイの腕だった

 

そして光が覚めた頃、そこにはあの暁の従者は居なかった

 

『!どこに行きやがったあの野郎!!』

 

『エドワード!あそこ!!』

 

メルディが指を差した方向に、飛行機のような物に赤い人を乗せ、

 

徐々にある場所へと帰っていっているようだった

 

『アレが人の手に渡ったら、やべえ事になるぞ!!』

 

『逃がすかよ!!!』

 

エドが地中を錬成し、一本の伸びるトゲを錬成した

 

そのトゲは、赤い人を乗せた飛行機に向かって、伸びていく

 

『いっけぇぇぇええええええええええ!!!』

 

さらに早く、伸びるのを早くしたが、

 

途中で、トゲが所々欠けていく

 

あともう少し!!

 

あと1メートル!!

 

飛行機の目前で、あと少しで飛行機を捕まえられる

 

そう思った瞬間、

 

トゲの中間地点から折れ、トゲの中間地点から先は

 

ガケの下の森へと、落ちていった

 

『~~~~っ!!くそ!!!』

 

エドは、地面に拳を叩く

 

『また……!無駄足になっちまった……!!』

 

今度は訳が違う

 

最初から間違っていたのではなく、自らがミスをしてしまったのだ。

 

自分が生み出した、このミスに、エドワードは悔しがっていた。

 

やっぱり、今日は厄日だ

 

根本的から間違った依頼を2つもされて

 

最後には自らがミスを招いた

 

その悔しさに、エドは砂を強い握力で握りしめた

 

その時、肩に手が置かれた

 

『良くやったエドワード。お前は良い仕事をしたよ』

 

『……は?』

 

ティトレイは、悔しがる事も無く、笑顔でエドを見ていた

 

『エドワード、すごかったな!あんなにトゲを伸ばしたり、いろんな物を作ったり!』

 

『お前ら…何言ってんだよ。盗られちまったんだぞ?あの赤い奴を』

 

その言葉に、ティトレイは考えたが

 

『ま、エドワードが居なかったらさらに最悪な結果になっていたさ』

 

と笑った。

 

その笑いが、エドは一瞬分からなかったが、

 

意味が分かったら、なんだか笑えてきたらしく、エドは笑った

 

さて、

 

エドは、笑いを止めた

 

『おっ。マジになったな』

 

ティトレイは、エドを頼りにする声で言った

 

エドは、さっきの失敗で決めた。

 

『エドワード。今度は、絶対成功させような』

 

メルディが笑う

 

エドワードは、拳を顔の前に出し。

 

そして、その拳を強く握りしめる

 

『……赤い奴が、人の手に渡ったんだ。こっから、ウカウカしてられないな』

 

ああ、とティトレイが返事をする

 

エドは、帰り道へと、歩み寄る。

 

船へと向かうエドと、ティトレイとメルディの目は

 

焔がついた目になっていた

 

 

 

 

 

 

『赤い煙とか、願いを叶える存在の野郎どもを、ぶっ飛ばそうぜ。』


 
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