No.230676

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 合間12

lovegtrさん

今回は呉の古参である冥琳と祭の拠点。
2人は王となった一刀を激励します…
ではどうぞ!

2011-07-25 02:58:24 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5735   閲覧ユーザー数:4517

姉さんが目を覚まして少し経ち、病み上がりということで俺と冥琳以外は部屋から出て行った。

皆と入れ替わるように華佗が部屋に入ってき、姉さんに病状の説明を始めた。

「……そう、もう剣を握ることはできないのね…」

「ああ。麒麟児と言われた孫策殿には厳しいかもしれないがな…」

右腕で目を覆うようにして、

「あーあ、もう王でもないし、ただの女になっちゃったわね……」

「雪蓮……」

冥琳が今はそっとしてやろうと言うので、姉さんを残し部屋を出ることにした。

 

廊下に出てふと隣の冥琳の顔を見ると、少し顔色が悪いような気がした。

「冥琳、少し顔色が悪いようだけど?」

「ん?そうか……最近は魏との戦の準備とかであまり休めなかったからな。

 それに雪蓮が目を覚ましたのを見て少し気が緩んだのかもしれん」

「そうなのか……今冥琳に倒れられたら困る。

 今日はもう休んでくれ」

「いやしかしだな……」

「良いから、良いから」

後のことは他の皆でやるからと強引に冥琳の背中を押し、部屋に連れてゆく。

「なら、あとで特製の薬膳料理を持ってゆこう」

華佗の言葉を受けながら冥琳の部屋を目指すことにした。

冥琳を寝台に寝転ばし、俺は近くの椅子に座る。

「しかしよく分かったな、私が疲れていると」

「長い付き合いだからね」

「そうか、そうだな。付き合いが長いと隠し事もできんか」

冥琳も観念したのかおとなしく俺の言う事に従った。

「……一刀、これからが大変だ。

 雪蓮が倒れたのを好機と呉から独立しようと考える者達が出てくるだろう。

 お前はその者達を時には力で従わせなくてはいけない。

 その覚悟があるか?」

布団に入った冥琳は真剣な声で聞いてくる。

「覚悟か……実のところはよくわからないんだ。

 姉さんが倒れたときは俺がなんとかしなくちゃって思ったけど。

 姉さんが目を覚ました今、本当にこれでよかったのかって思うんだよ。

 武の力を無くしても姉さんには人を引き従わせる力がある。

 だから本当は王を退かなくても良かったんじゃないかってね。

 でも……」

「でも?」

「でも、さっきの弱った姉さんの姿を見たら、やっぱり俺が王の責を引き受けなきゃって思ったんだ。

 だけど俺一人じゃ何も出来ない。

 だから、冥琳にそばで支えて欲しんだ」

「ふっ、なんだか求婚みたいだな」

「えっ!?そういうわけじゃ」

冥琳の言葉に慌てて否定すると、

「むぅ、それでは私に魅力が無いみたいではないか」

「そんなこと無い。冥琳はとてもきれいで俺の大切な人だよ」

「だからそれが…だと言うのだ……」

「え?なんて言ったの?」

「なんでもない。立派になったと言ったのだ」

そう言い体を起こすと、冥琳は顔を近づけてきた。

「これからどんな困難が来ようとも、この周公瑾共に歩むことを誓おう」

冥琳の顔はどんどん近づいてくる。

そして鼻と鼻とが引っ付きそうなくらい近づき、

「誓いを……」

「冥…琳……」

 

「特製薬膳料理を持ってきたぞ!」

バンッと勢い良く扉を開け、華佗が部屋に入ってきた。

「ん?どうした?」

扉が開く音で互いに素早く離れた俺と冥琳はなんとも気まずい雰囲気となった。

「別に…何も。

 それよりの華佗殿その料理を早くくれないか」

「?ああ、分かった。

 これを食えばたちまち元気になるだろう。

 だが周瑜殿の気は今少し乱れている。あとで鍼もうっておこうか」

「だったら俺はそろそろ」

冥琳が料理を食べている間、華佗は鍼の準備を始めた。

部屋を出ていこうとすると、

「一刀。私がさっき言ったことは本心だ。

 私はお前の支えとなる。だから安心しろ」

冥琳は微笑みながら優しい声でいった。

「うん、分かってる。だからきちんと休んでくれよ」

俺はそう言うと部屋を出た。

姉さんが倒れたことで独立しようとする豪族が出ると思われたが、箱を開けてみれば反乱を起こしたものは予想よりもだいぶ少なかった。

理由として考えられるのは姉さんがまだ存命であること。

そして早急に王が立ったからといえよう。

もっと大きな反乱が起きるかと思っていたが少なく済んでよかったのだが、それでも反乱を起こすものは出てきた。

なので俺は今、祭と共に反乱を起こした者の鎮圧に向かっている。

しかしいくら豪族と言っても持てる私兵の数には限界がある。

突然のことで準備のろくにしていなかったのか、こちらの一方的優勢のまま決着は着いた。

 

その夜、野営で焚き火に一人で当たっていると祭が酒を持ってやって来た。

「それにしても今回の奴は呆気なかったのぉ」

「いいじゃないか、こちらも被害が少なく済んだんだし」

祭の差し出す杯を受け取り、酒を注いでもらう。

「まあ、確かにそうじゃな。

 ……それにしても一刀が王になるとはのう…」

お返しに酒を注ぐと祭はポツリと言った。

「俺も孫呉の王族だぞ。なってもおかしく無いじゃないか」

「はっはっは、たしかにそうじゃな。

 でも、あの小さかった孺子が、『大きくなったら祭と結婚するー』って言っていた奴がのぉ」

「ぐっ、ゴホゴホ。む、昔のことじゃ無いか」

祭はにやけた顔で茶化すように言った。

「ほーお、ならあの時の言葉は嘘だったんじゃな?」

「いや、そういうわけじゃ……」

「何じゃ、はっきりせん奴じゃの」

そう言い祭は酒を一気に飲み干した。

「じゃが、王になったと言ってもお前はまだまだ孺子じゃ」

「え?」

さっきとはうって変わり祭は真剣な顔で俺を見る。

「だから何かあったら一人で抱えようとするなよ。お前はそういうきらいがある」

「……」

「周りを頼ってもいいんじゃぞ。儂ももちろんな」

そう言いながら祭は隣に来ると、俺の顔を抱えるように抱きしめた。

「誰かに頼ってもバチなんて当たらん。だから一人で抱えこむなよ……」

「……ああ」

祭になされるままでいると、徐々に…

「うっ、祭?ちょっと力が…く、苦しい……」

あの魔乳に顔を押し付けられ危うく窒息しそうになる。

「はっはっは。女の胸でイクとは男冥利に尽きるではないか」

いや、別の意味で逝ってしまいますよ。

「……わかったか?」

「ああ。祭、これからも頼りにさせてもらうよ」

そう言うと祭は満足そうに「うむ」と言い、再び酒を勧めてきた。

はじめにネタバレと言いますか先のことですが、冥琳は死にません!

ゲームでは雪蓮のあとを追うように亡くなってしまいますが、この話では雪蓮は生きているので死にません。

作者はあの病気は大切な人を無くしたからなったと考えるからです。

 

 

そしてこの孫権一刀の初恋の相手は祭!?

小さい時って近所のお姉さんをスキスキって言いますよね。

一刀の小さい時もそんな感じで、祭のあとを追ってはスキスキって言ってたのではないかと思い書いてみました。

子供ってすぐ好き嫌いっていうよなぁ。純粋でいいなー。


 
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