No.230045

狩人†無双 乙女だらけのモンスターハンター 第十話 一刀、大怪鳥と激闘するの事

海皇さん

皆さんお待たせいたしました!いよいよイャンクックとのバトルです!!今回の狩りもドスギアノス同様上手くかけているか心配です・・・。後半におまけも用意してありますのでどうかご堪能を。

2011-07-23 08:38:03 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4565   閲覧ユーザー数:4060

 

 「クウアアアアアアアア!!」

 

 「くるぞ!!」

 

 俺達を敵と認識したイャンクックは、予備動作なしにこちらに向かって突進してきた。

 

 巨体の割に速い!・・・だが。

 

 「散開!!!」

 

 俺達はすぐさま横に回避する、と、イャンクックはそのまま俺達の居た場所を通り過ぎ、そのまま上半身から倒れこんだ。

 

 イャンクックは、突進をまっすぐにしか行えない。さらに突進の後倒れこむため、攻撃のチャンスにもなり得るのだ。

 

 俺達はすぐさま倒れこんだイャンクックに接近し攻撃を開始した。

 

 「イヤアアアアアアアアア!!!!」

 

 愛紗が裂帛の気合と共に、翼膜目掛けて大剣で抜刀斬りを叩き込む。

 

 

 イャンクックの部位で、最も柔らかいのは腹部、二番目が翼膜だ。腹部の場合は足や尻尾に当たってしまう場合もあるため、もっぱら剣士は翼膜を狙うのだ。

 

 

 まあそれはゲームでの話なんだけど、どうやらこの世界でもイャンクックの翼膜は柔らかいようだ。愛紗の斬り裂いた場所から血が噴き出している。

 

 と、起き上がったクックは、体を突然回転させた。

 

 「・・・ちっ!!」

 

 回転と共に薙ぎ払われる尻尾を避けるため、俺達はクックから離脱する。

 

 大型モンスターの特徴とも言える尻尾回転攻撃。当然クックも使ってくる。

 

 ゲームでは回復薬を飲んでいれば治る程度のダメージですんだが、実際にあんなものが当たったら骨折程度では済まないだろう。

 

 俺は思わず冷や汗をかきながらクックの尻尾回転が終わるのを待つ。

 

 イャンクックは尻尾回転を終わらせると、自分を傷つけた愛紗の方を向き、口から炎を吐き出した。

 

 吐き出された炎は放物線を描いて愛紗に向かっていく、が、愛紗は横にステップしてこれを回避した。炎が命中した地面は、爆発音と共に燃え上がり、生えていた草は黒コゲになった。

 

 イャンクックの武器である火炎ブレス。もっともリオレウスやリオレイアと違い、イャンクックのものは可燃性の液体を吐き出して攻撃する。その為か飛竜のブレスに比べて飛距離は短めだ。だが、当然喰らえば確実に大火傷だ。

 

 俺は、ブレスを吐き終えたイャンクックに接近すると、その頭部目掛けて抜刀斬りを叩き込んだ。

 

 「ハアアアアアアアアアア!!!」

 

 抜刀斬りを命中させると、俺はさらに頭部に突き、斬り上げを叩き込み、クックが振り返る寸前に斬り下がりで相手の頭部を斬りつけつつ、背後に下がる。

 

 「クアアアアアアアアア!!!」

 

 さんざん自分の顔を斬られた為か、クックは標的を俺に変更したようだ。俺に向かって飛び掛ってくると、その嘴を振り下ろしてきた。

 

 「うおおおお!?」

 

 その嘴を俺は必死に回避する。なにしろクックの嘴はハンマーの素材に使われるほど頑丈だ。現に俺の斬撃でもかすり傷程度しかついていない。そんなものをまともに喰らえば、いくら防具を纏っていてもひとたまりも無いだろう。

 

 「お兄ちゃんに何するのだ!!どっかーーーん!!」

 

 と、鈴々の溜め攻撃がクックの横っ面に炸裂した。

 

 「クアアアアアアア!?」

 

 突然の一撃に怯んだクックは攻撃を中断する。

 

 

 

 ハンマーの特徴である溜め攻撃。

 

 力を溜めて攻撃することにより、通常よりも遙かに強い攻撃を行うことが出来る。

 

 ゲームでは溜めている間にスタミナがどんどん減っていくというデメリットがあったけど、現実ではどうなのだろうか・・・?クエストが終わったら鈴々に聞いてみよう。

 

 大剣にも同じく溜め攻撃が存在するが、ハンマーとの違いは溜め中に移動できない事、溜める際にスタミナを消費しないことである。

 

 

 

 まあそれはいいとして、クックがひるんだ隙に俺はクックの正面から移動する。

 

 

 モンスターの正面は最大の危険領域、いつまでもいると攻撃を喰らいまくる。これはゲームも現実も同じのようだ。

 「クアアアアアアア!!クァ!!クァ!!クァ!!」

 

 と、突然イャンクックが口から火を噴出しながらその場で何度もジャンプした。

 

 

 

 ついに怒ったか・・・・。

 

 

 

 大型モンスターの特徴、怒り状態。

 

 この状態のモンスターは攻撃力、スピードが上昇し、さらに通常状態では行わない行動もしてくるため、通常よりもかなり危険になる。

 

 ただし、ティガレックスやゲリョスのように怒り状態のときには肉質が柔らかくなるモンスターも存在する、が、それでも攻撃の威力やスピードがアップするのだ、初心者は手を出さないほうが無難である。

 

 

 

 怒り出したイャンクックは、いきなり俺に向かって火炎液を吐いてくる。

 

 「当たらねえ、よ!!」

 

 が、その軌道はすでに見切っている。俺は横に回りながら回避して、横からクックに斬りかかった。

 

 

 

 

 

 が・・・・

 

 

 

 

 

 「クアアアアアアア!!!」

 

 

 

 「ぐはあ!!」

 

 

 

 

 

 突然走り出したイャンクックの足が腹部に命中し、俺は地面を転がった。

 

 

 「ご主人様!!」「お兄ちゃん!!」

 

 

 

 愛紗と鈴々の呼びかけてくる声が聞こえる・・・。が、腹部に走る激痛ですぐに思考の外に追いやられた。

 

くそ・・、まるで腹に大砲の弾が当たったみたいな衝撃だ・・・。これが怒り状態の飛竜の一撃か・・・。

 

 俺は腹部に走る激痛に耐えながら腰のポーチから回復薬を取り出して一気に飲み干した。すると、腹部に走る痛みが大分和らいだ。

 

 俺はなんとか立ち上がると、いつの間にやら側に愛紗と鈴々が立っていた。

 

 「ご主人様!!大丈夫ですか!?」

 

 「あ、ああ・・・、大分マシにはなったよ・・・」

 

 「よかったのだ・・・。お兄ちゃん、死んじゃうかと思ったのだ・・・」

 

 「はは・・・大げさだな鈴々は・・・」

 

 俺は心配そうに駆け寄ってきた二人を宥めていたが、あまりそうしていられない。

 

 突進で倒れこんだクックはもうすでに起き上がっている。

 

 「くっ、まずいな!!さすがにすぐには動けそうに無い!!」

 

 「にゃにゃ!!大丈夫なのだ!!お兄ちゃんは鈴々が守るの「・・・・さん」・・・にゃ?愛紗?」

 

 と、突然愛紗が俯きながら何かを口走った。俺と鈴々も何だと耳を傾けていたが、次の瞬間・・・・

 

 

 

 

 

 「許さんぞ!!!貴様アアアアアアアア!!!!」

 

 

 

 

 

 エリア5に愛紗の怒号が響き渡った。

 

 

 「うわっ!?」

 

 「にゃにゃ!?愛紗がキレたのだ~!!」

 

 「クアア!?」

 

 

 ゆっくりと立ち上がる愛紗の背中には凄まじい怒りのオーラが・・・。何故か背後にミラバルカンが見えるんですが・・・?

 

 「ご主人様に傷を負わせる等言語道断!!この鳥風情が!!生きて帰れると思うな!!

斬り刻んでローストチキンにしてくれる!!!」

 

 ローストチキンって・・・。確かにクックは砂肝とか軟骨とか食えるらしいけどさ・・・・。

 

 危機的状況にも関わらず俺はそんなことを考えてしまった。

 

 「でえええええええりゃあああああああああ!!!!」

 

 そんな俺と鈴々に構わず愛紗は抜刀状態のままクック目掛けて走り出した。

 

 「クアアアアアアア!!!」

 

 愛紗の気迫に最初怯んでいたクックも、すぐに愛紗目掛けて突進を繰り出してきた。

 

 

 

 まずい!!いくら愛紗でもあの体格差じゃあまともにぶつかれば無事ではすまない!!

 

 

 俺は焦った・・・・・、が・・・・

 

 

 

 

 

 「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!!」

 

 

 

 

 

 なんと愛紗は大剣を抜刀したまま飛び上がり、そのままクックの背中に大剣を叩き込んだ・・・!!

 

 

 

 「クアアアアアアアアア!?」

 

 

 

 思いもよらない一撃と背中の激痛にクックは絶叫を上げる。よくよく見ると大剣はクックの甲殻を叩き割って背中に食い込んでいる。・・・・あれは痛そうだ。

 

 

 というかクックの背中の甲殻ってそれなりに硬いはずなんだが・・・。というかそれ以前に大剣持ったまま走ったりジャンプしたりできるなんて、どういう怪力ですか愛紗さん?

 

 

 「ウェェェェェイ!!!ウェイ!!ウェイ!!」

 

 

 そんな俺の考えを知ってか知らずか、愛紗は構わず大剣を振り回してクックと激闘を繰り広げている。

 

 

 が、形勢は完全に愛紗が優勢だ。大剣をまるで片手剣のように片手で扱いつつ、クックの首や翼膜を斬り刻んでいる。大剣が振るわれるたびに赤い血が周囲に飛び散る。

 

・・・大剣を抜刀した状態で走ったり跳んだり出来るのだけでも驚きなのに、片手で大剣を振り回すなんて・・・・。

 

 よくよく考えてみると愛紗の愛用していた青龍偃月刀は20キロ近くの重さがあったはずだ。今愛紗が振るっているバスターブレイドもせいぜいそれと同じくらいの重さだとしたら、充分振るうことも可能だろう。まあそれでも常人じゃあ持つのがやっとな武器を片手でぶん回しているんだから充分化け物染みているんだけど・・・・。

 

・・・あと愛紗の声が何故かオンドゥル語化してるんだけど・・・・、まあ気にしないでおこう。

 

 「クアアアアアア!!」

 

 だがイャンクックもこの世界の生態系の頂点に立つ飛竜種(に近い鳥竜種)だ。いつまでもやられてばかりではない。起き上がるや否や尻尾を回転させて愛紗を薙ぎ払う。

 

 「ウェアア!!」

 

 攻撃に夢中になってたせいで尻尾の一撃をまともに喰らった愛紗は防御することも出来ずに吹っ飛ばされた。

 

 「「愛紗!!」」

 

 俺と鈴々はすぐに愛紗を助けようと駆け寄ろうとした、が、突然クックがこちら目掛けて走ってきた。

 

 「な!?鈴々!!避けるぞ!!」

 

 「にゃにゃ!!危ないのだ!!」

 

 俺と鈴々はすぐに横に避けた。そんな俺達をまるで見えていないかのように、イャンクックはそのまま俺達から遠ざかり、その巨大な翼を羽ばたかせて空に舞い上がった。

 

 

 「あ・・・・」「にゃ・・・・」

 

 

 俺達がぼ~、としているのを尻目にイャンクックはそのまま何処かへ飛び去ってしまった。

 

 「逃げられた、な・・・・」

 

 「そうみたいなのだ・・・・」

 

 まあ別にこの密林の何処かにいるのは間違いないから、焦る必要は無いか。

 

 俺がそんなことを考えていると。

 

 「ぐうう・・・・、おのれ、あの鳥め、逃がすか!!」

 

 さっきまで倒れていた愛紗が起き上がり、すぐにでもイャンクックを追おうとする。

 

 「ちょ、待てって愛紗!!そんな体で無理するなって!!」

 

 「そうなのだ!!怪我したなら回復薬を飲んでじっとしているのだ!!」

 

 そんな愛紗を俺と鈴々は必死で押さえつける。なにしろ愛紗は怒り状態のイャンクックの一撃をまともに喰らったのだ。無事であるはずが無い。

 

 「し、しかし!ご主人様を傷つけた借りは・・・・!!」

 

 「俺はまだ大丈夫だって!!それよりも、もう少し冷静になってよ、愛紗。そんな怪我のまま行ったらどんな危険があるか分からない。ここは回復薬を飲んで休息してから行ったほうがいいよ」

 

 「し、しかし・・・・」

 

 「しかしもかかしも無い!愛紗が傷つくのを見るのは、つらいんだ・・・。まだ時間はある。焦らずに行こう」

 

 俺は愛紗の両手に俺の両手を重ねながらそう諭した。愛紗は少しばかり顔を赤らめていたけれど、納得したのかゆっくり頷いた。

 

 「・・・分かりました、ご主人様がそれほどまでに私を想って下されるのなら、私もそれに応えざるをえません」

 

 愛紗は若干照れ気味に微笑みながら答えた。そんな愛紗に、俺も笑みを浮かべた。

 

 「ああ、それじゃあ鈴々、今クックがどこにいるか分かるか?」

 

 「にゃ?んとね~・・・・、今はエリア4に居るのだ!!」

 

 「エリア4か・・・。ならしばらく休息して体力を回復してから向かおうか」

 

 「御意!!」「おーなのだ!!」

 

 

 

 

 そして俺達はしばらく回復薬を飲んだり、持ってきたこんがり肉を食べたりして休息を取った。しばらく休憩をとっていると、体力も少し回復してきた為、俺達はエリア4にベースキャンプ経由で向かうことになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・んだが・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・え~、愛紗さん、鈴々さん」

 

 「・・・はい」「・・・なんなのだ?お兄ちゃん」

 

 「・・・この崖、飛び降りれる?」

 

 「「無理です!!(なのだ!!)」」

 

 

 

 

 

 ベースキャンプの崖で立ち往生してしまった・・・。

 

 

 

 

 

 だってそうだろ!?確実に高さ二十メートル以上はある絶壁から降りるんだぞ!?

 

 仮にゲームのように飛び降りたら確実に全身の骨が粉々になるか、もしくは即死だ!!

 

 それ以外となるとツタに掴まりながら降りるしかないんだが・・・・、間に合うかな・・・。

 

 というかそれも怖い、下手に手を滑らしたら真下に真っ逆さまだ。

 

 今更ながらエリア2、3経由のほうが良かったかな・・・とも考えてしまった。が、今更進路を変えるわけにもいかない・・・。

 

 

 「・・・仕方がない、ゆっくりでいいからツタに掴まりながら降りよう」

 

 「・・・そうするしかなさそうですね」

 

 「うう~・・・おっかないのだ~・・・」

 

 結局俺達は10分以上時間をかけてツタを伝って降りることになったのであった・・・。

 

 今度からはエリア2、3経由で行こう・・・。俺達は冗談抜きでそう考えた・・・。

 

 

 

 「よかった・・・、まだいたよ・・・」

 

 「地面の釣りミミズを食べていますね・・・。チャンスです!」

 

 「にゃ~~!今度こそ決着つけるのだ!!」

 

 俺達がエリア4に到着すると、まだイャンクックはそこに居て、地面を掘り返しながら釣りミミズ等の昆虫を食べていた。耳は畳んでいるから・・・、警戒は解いているな・・・!!

 

 「よし!!皆、行くぞ!!」

 

 「「応!!」」

 

 俺達は足音を忍ばせつつ、クックにゆっくりと近寄った。

 

 クックまであと3メートル程の距離に近づいた時、クックが突如首を上げて周囲をきょろきょろと見回し始めた。

 

 

 

・・・わずかに俺達の気配を察知したか・・・!!

 

だが俺は構わずイャンクックの脚目掛けて抜刀斬りを叩き込む。

 

イャンクックの脚は全部位の中でも最も硬い。実際太刀は、弾かれはしなかったものの、与えたダメージはせいぜいクックの鱗を一枚傷つけた程度だ。俺は思わず舌打ちをした。

 

「はああああああああ!!!!」

 

と、裂帛の気合とともに、愛紗の大剣がイャンクックの翼膜に振り下ろされた。

 

振り下ろされた大剣は翼膜を切り裂き、傷口から大量の血が迸った。

 

「クアアアアアアッ!!!」

 

翼膜を切られた痛みでついに俺達に気がついたイャンクックは、俺達に振り向くと同時に突進をしてきた。

 

が、その攻撃は既に学習済みだ。俺達は真横に回避してクックの突進を回避する。クックはそのまま通り過ぎて、地面に倒れこんだ。

 

この隙こそが、クックに攻撃をくわえるチャンスなのだ。

 

俺は起き上がろうとするクックの腹部を縦斬りで斬りつける。さすがに一番柔らかいだけあって、弾かれること無く切り裂けた。斬られた部分からは血が溢れ出す。

 

「クアアアアアア!!」

 

俺の一撃を喰らったイャンクックは俺の方に振り向いてくる、が、それが狙いだ・・・!

 

「うりゃりゃりゃりゃ~~!!!」

 

ぐるんぐるんとまるで独楽のように回転するハンマーがクックの頭部にぶち当たる。鈴々のハンマーによる回転攻撃だ。最大にまで溜めた力を、移動中に解放することで仕えるハンマーの技の一つだ。そしてその回転によって生まれる遠心力を利用することで・・・・

 

「うりゃ~~~~~!!!」

 

鈴々のハンマーがクックの頭をおもいっきり打ち上げた。ハンマーの回転攻撃によって生まれる遠心力を利用した技、通称ホームラン。

最大に溜めた状態の力に遠心力を加えた為、その威力は非常に高い。ましてやそれを力自慢の鈴々が放ったら・・・・。

 

「クアアアアアア!!」

 

クックは地面に横倒しに倒れた。鈴々の一撃で脳が揺さぶられ、脳震盪を起こしたのだろう。ゲームで言うところのスタン状態だ。しばらくは地面に横倒しになったまま動けないだろう。

 

「ナイスだ鈴々!!よし!!総攻撃をかけるぞ!!」

 

「応!!」「やってやるのだ~!!」

 

俺達は地面に横倒しになったクックに一斉攻撃を仕掛ける。

 

俺は左の翼で鉄刀『禊』を振り回し

 

 

 

愛紗は右の翼をバスターブレイドの溜め斬りで叩き斬り

 

 

 

鈴々はアイアンストライクで頭部を何度も縦振りで叩きつけた。

 

 

 

そんな攻撃を何度も繰り返していると、気絶状態が治ったのか、イャンクックが起き上がってきた。

 

俺達は慌てて離れる。あまり深追いをしすぎると痛い目を見る、大型モンスター戦での鉄則だ。

 

が、クックの頭部に目を向けると、耳が小さく畳まれているのが見えた。

 

 

 

敵が居るのに耳を畳む動作をするのは、イャンクックがすでに瀕死状態である証だ。

 

 

 

起き上がったクックは、俺達を無視するように俺達のいる場所とは反対の方向に向かって移動し始めた。

よくよく見ると脚をずるずると引きずっている。やっぱり瀕死常態か!!

 

「愛紗、鈴々、奴は瀕死だ!!一気にたたみかけるぞ!!」

 

「分かりましたご主人様!!この鳥を一気に捌いて見せましょう!!」

 

「愛紗がやったらまずくなるからやめるのだ~~!!」

 

「なんだと鈴々!!」

 

そんなのんきなことを言い合いながらも、俺達はクックに追撃を加える。

 

が、幾ら攻撃を加えても、奴は気にした様子も無く、脚を引きずりながら逃げ続ける。

 

そしてついに巨大な翼を広げて地面から飛び立とうとする。

 

「くそっ!!間に合わなかったか!!」

 

「にゃ~~!!しょうがないのだ!!またエリア6に向かうのだ~!!」

 

「その必要は無いよ」

 

空から浮き上がるクックを悔しげに睨みつける二人を尻目に、俺はクックの足元に向かって、小さな球状の物体を投げつけた。

 

 

 

キイイイイイイイイイイン!!!

 

 

 

地面に落ちた球体が炸裂すると、鋭い音が辺りに響き渡った。

 

「な!?これは、音爆弾!?」

 

「にゃにゃ!?変な音なのだ~!!」

 

その鋭い音に愛紗と鈴々は耳を塞ぐ・・・・、が・・・

 

 

 

「クアアアアアアア!?」

 

 

 

空中に浮かんでいたクックは耐えられず地面に墜落した。

 

 

 

音爆弾、モンスターから取れる鳴き袋と爆薬を調合して作り出した狩猟用アイテム。

 

主に聴覚の鋭いガレオスやディアブロスのようなモンスター等を、地面から引きずり出すのに用いられる。

 

が、この道具は実はイャンクックにも有効なのだ。

 

イャンクックは巨大な耳を持っており、そのおかげで非常に聴覚が鋭い。本来は天敵や縄張りを荒らす存在を察知するのに重宝するものなのだろうが、あまりに聴覚が鋭いため、音爆弾や各種タル爆弾の爆発音に非常に弱い。そのため音爆弾を喰らった場合、しばらくの間棒立ちになって行動不能になってしまうのだ。もっともその後怒り状態になる為あまり使われないんだが・・・。

 

だが逃亡しようとするクックを足止めするのには非常にもってこいのアイテムである。

 

墜落したクックは地面でじたばたともがいているが、そんな隙は見逃さない!!

 

「おおおおおおおおお!!」

 

俺は太刀をクックの首目掛けて振り下ろす。それだけにとどまらずさらに太刀を大きく振りかぶって左斜め斬り、右斜め斬りと連続で斬りつけ、最後に・・・

 

「はあっ!!っらあ!!せいやああああああ!!!」

 

左右に大きく斬りつけ、大上段に振り上げた刃を大きく振り下ろした。首に食い込んだ刃を引き抜いた瞬間、首から血が噴水のように噴き出す。それと同時にイャンクックも細かく痙攣し、起き上がろうとしたものの、遂に力尽きて地面に倒れ伏した。

 

 

 

太刀の奥儀、気刃斬り

 

自分の身長よりも長大な太刀を、全身に満ちた気を解き放ちながら大きく振りぬく大技である。気を解き放ち、さらに重心の移動等によって生み出される斬撃は、ハンマーや大剣の溜め攻撃には及ばないものの、強力な威力を持ち、また、弾かれることが無いため、肉質の硬いモンスターにも斬りつけていくことが可能だ。

これを使うにはモンスターとの戦いの中で、体の中に気を満たしていくことが必須であり、これが出来なければ太刀は扱えないと言ってもいい。俺も最初は出来なくて苦労した・・・。

 

 

まあそれはともかく、地面に再び倒れたイャンクックは再び動き出す様子は無い・・・。

 

「・・・・勝った、のか・・・?」

 

 「はい・・・やりました!!ご主人様!!」

 

 「やったのだ~~!!初めて飛竜を倒したのだ~!!」

 

 大きな声ではしゃぐ二人、それを見た俺は、やっとイャンクックに勝利できたと実感することが出来た。

 

 そう実感すると、俺の体中に、なんとも言えない達成感と、とてつもない疲労感が押し寄せてきた。

 

 「はあ~~~~~~」

 

 俺は大きく息を吐くと、砂浜の上に大の字で寝転がった。

 

 「ご主人様!?いかがなされました!!」

 

 「にゃにゃ?お兄ちゃんどうしたのだ?早く一緒に剥ぎ取るのだ!!」

 

 「ちょっと待ってくれ・・・。疲れて、動けそうに無い・・・」

 

 俺は二人にそう返すと、真上に広がる青空を見上げた。

 

 

 

 何故かその日は、太陽が一番眩しく感じた。

 

 

 あとがき

 

 皆さん、ようやく第十話、イャンクック戦投稿完了しました。

 

 なんだかかなりあっけない気がしますが・・・。モンハンの戦闘シーンを書くのは難しくて・・・、どうかご勘弁を・・・。

 

 少々ギャグが入っていましたけど、これでもシリアスなつもりなんですよ?いやマジで。

 

 しかし、どうでもいいですけど真・恋姫†夢想PSP版、モンハンP3rdより高いですね・・・。これ三つ揃えた人そんなに居ないのではないでしょうか・・・。

 

 まあともかくとして、とりあえず今回はここまでで。次回はいよいよ第一幕ラストです。どうかご期待の程を。あとどうかコメントもよろしくお願いします!最近少なくて寂しいです・・・・。

 

おまけ

 

あの曹魏との戦が終わってから約一ヶ月。

 

 

 

三国同盟は成り、大陸は平穏を取り戻し始めていた。

 

 

 

「はあ・・・平和になってやることが無くなってしまいました・・・」

 

 

 

そんななか平和になり暇を持て余す周泰、明命・・・。

 

 

 

そんな彼女が、新たな外史の扉を開く・・・!

 

 

 

「はうあ!!どこですか此処は!!」

 

 

 

『目覚めましたか周泰』

 

 

 

彼女が目覚めたのは一面白い空間、そして目の前に立つのは仮面を被った謎の人物。

 

 

 

「あ、あなたは何者ですか!?」

 

 

 

『私の名はZ-ONE。周泰、あなたにはとある世界に行ってもらいます。その世界に向かい、あなたの役目を果たしてきてください』

 

 

 

「わ、私の役目って!?」

 

 

 

『それは行けば分かります』

 

 

 

「へっ?にゃああああああああああ!!!」

 

 

 

再び目を覚ます明命。その目に飛び込んできたのは、青い海、美しい山河、そして・・・・・

 

 

 

「お猫さまあああああああああ!!!!!」

 

 

 

「んにゃああああああ!!!何するニャ!!助けてニャアアアアア!!!」

 

 

 

直立する猫の姿をした、アイルー達の集落・・・。

 

 

 

「わしらはこの場所に集落を造っておるのじゃ。お前さんにはその手助けをしてもらえんかの?」

 

 

 

「はうあ!!大好きなお猫様の為なら、喜んでやらせて頂きます!!」

 

 

 

「その前にもうモフモフするのやめてニャアアアアア!!」

 

 

 

時には釣りをしたり

 

「はうあ!!すごく大きなお魚さんがつれました!!」

 

「それはガノトトスにゃああああ!!」

 

 

 

時にはクエストに行ったり

 

「はうあああああ!?く、臭いですうううう!!」

 

「ニャニャ~~!!ババコンガの屁を喰らったニャ!!消臭玉ニャ~!!

 

 

 

今ここに、明命とアイルー達のモフモフ冒険譚が幕を開ける!!

 

 

 

真・恋姫†無双日記 モフモフアイルー村!!

 

 

 

発売日、未定!!

 

 

 

「はうあ~!!直立して言葉をしゃべられるお猫様、最高です~~~!!」

 

「「「「ウニャアアアアアア!!!」」」」

 

Z-ONE『人選・・・、間違えたでしょうか・・・・』

 


 
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