No.228493

狩人†無双 乙女だらけのモンスターハンター  第九話一刀、大怪鳥と相対すの事

海皇さん

 どうもこんにちは、三連休いかがお過ごしでしょうか?

 本日でいよいよクックとの遭遇戦となります!!

 果たして一刀達は強大な飛竜種(正確には鳥竜ですが)に勝てるのか!?

2011-07-17 16:55:51 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3514   閲覧ユーザー数:3041

 ポッケ村から出発して約三日、竜車を乗り継ぎ、船に乗って・・・。

 

 「ようやく到着したな」

 

 俺達はテロス密林のベースキャンプに居た。

 

 

 

 テロス密林は巨大な湖(海に見えたんだが湖らしい)に囲まれた森林地帯だ。

 緑も水も豊富なため、モンスター達にとってかなり居心地のいい環境である。

 その為ケルビやアプトノスのような草食モンスターだけでなく、ランポスやコンガのような肉食の小型モンスター、果てはリオレイアやガノトトスのような大型モンスターまでしばしばここに出現する。

 

 

 

 イャンクックもまたその大型モンスターの一体だ。

 

 とはいえ体の大きさはリオレイアやガノトトス程ではなく、大型モンスターの中ではかなり小型の部類に入る。それでもドス系よりも大きいんだが・・・。

 

 性格はそこまで攻撃的でなく、地面に生息している虫を主食としている。

 

 が、自身の縄張りを荒らすもの、自身を攻撃してくるものには容赦なく、突進、火炎液ブレスで徹底的に排除しようとする。

 

 その生態は鳥竜種よりむしろ飛竜種に近く、初代MHでは飛竜種に分類されていた。

 

 

 

 もっとも当時は前足が翼のモンスターは全部飛竜に分類されていたからなにもイャンクックが特別と言うわけではないけど・・・。

 

 

 

 まあともかく、そういうわけで今回の戦いは恐らくドスギアノスやドスファンゴとは比べ物にならない激戦になるだろう。

 

 だから俺達もそれなりの準備をしてきた。

 

 俺、愛紗、鈴々それぞれ閃光玉を一個ずつ所持(まだ光蟲が手に入りにくいから三個しか用意できなかった)音爆弾一個と落とし穴も全員所持、といった形だ。

 

 爆弾も持っていこうと思ったんだが、重いしかさばるしで逆に行動を阻害する可能性があったため今回は持ってこなかった。

 

 それ以外にも回復薬を十個、こんがり肉を十個フルに持ってきていた。(ちなみにこんがり肉は全部俺が焼いた。愛紗と鈴々じゃあ約90%の確立でコゲ肉か生焼け肉にするから・・・)

 

 装備も今回、大幅に奮発して新調した。

 

 

 

 俺の防具はギアノスシリーズ、ドスギアノスの素材を主に使って作られる初心者御用達の装備だ。まあ素材集めと資金調達に少々骨が折れたけど・・・。

 太刀は鉄刀『禊』、これもまた比較的初期に作れる太刀だ。資金的に余裕が出来た今だからこそ作れたと言ってもいい。

 

 愛紗の装備はランポスシリーズ。イャンクックと同じく密林に生息するドスランポスの鱗や皮を素材に作られた装備だ。これもまた駆け出しハンター専用の装備と言えよう。

 武器は大剣、バスターブレイド。モンスター素材ではなく鉄鉱石や大地の結晶といった鉱石を用いて強化した大剣だ。主に採掘のみで手に入る素材で作ることが可能なため、素材はかなり簡単に手に入った。

 

 鈴々の装備はハンターシリーズ。これもまた初心者用装備。もっともこの装備は武器屋で一式購入することができるので素材を集める必要が無いのが利点だ。まあ加工より値は張るけど・・・。武器はハンマー、アイアンストライク。これもバスターブレイド同様鉱石のみで強化可能なハンマーだ。素材集めのために何度か素材ツアーに行ったっけ・・・・。

 

 

 

 まあそんなことで俺達は装備も新調し、準備万端の状態でこの密林に立っているのだ。

 

 「鈴々、今クックはどこにいるか分かるか?」

 

 「んにゃ?ちょっと待って欲しいのだ!・・・・」

 

 鈴々は目を閉じてしばらく沈黙していた。十秒後、ぱっと目を開けると俺達の方に顔を向けた。

 

 「分かったのだ!今エリア6に居るのだ!!」

 

 「そうか、ありがとうな鈴々」

 

 「にゃはは~~♪」

 

 俺はお礼に鈴々の頭を撫でてあげる。鈴々は嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

 

 何故クックの居場所が分かったのか・・・・。それは鈴々の装備しているハンターシリーズについているスキル、自動マーキングのおかげだった。

 

 このスキルは、装備しているハンターの五感を研ぎ澄まし、大型モンスターの居場所を察知することができるようになるという便利なスキルである。

 

 このインスタント版ともいえる千里眼の薬というのも存在するが、あちらは短時間で効果が切れてしまうのに対してこれはほぼ永続的に発動している上にモンスターの状態を知る事が出来るため有用性は勝る。

 

 ちなみに俺のギアノス装備にもこれの劣化版ともいえるスキル、探知というのがついているのだが、これは大型モンスターの居場所が分かるときもあれば分からないときもあるというかなりランダム制の高いスキルである。だからはっきりいうと余りアテにならない。一応モンスターの状態を知る事が出来るけど、それもペイントしてある状態か、千里眼使っているとき限定だし・・・。

 

 

 

 まあそれはともかくとして鈴々に居場所を教えてもらった俺達はイャンクックの居るエリアを目指してベースキャンプを出発した。

 

 

 

 まず到着したエリア1には、アプトノス以外のモンスターは存在しなかった。

 

 アプトノスは草食の大人しいモンスターであり、自分に危害を加えるもの以外には積極的に攻撃してくることは無く、危険性は少ない。

 

 大型モンスターとの戦いのときも、もっぱら別のエリアに逃げてしまうためハンターの邪魔をすることは少ない。だから別に無視しても構わないだろう。

 

 

 「・・・こうしていると、思い出しますね」

 

 俺が地面に生えている草を食べているアプトノスの親子を横目に眺めながら歩いていると、突然愛紗が話し始めた。

 

 「?何を?」

 

 「初めて私達が出会ったときのことです。あの時は、ご主人様と私と鈴々だけしかいませんでしたね・・・」

 

 ああ・・・、そうだったな・・・。

 

 「その後すぐに朱里が仲間になって、その後月達を保護して、翠、星、紫苑ってどんどん仲間が増えていったんだっけ・・・」

 

 「そうでしたね・・・。まったく、ご主人様のご仁徳には本当に頭が下がりますよ・・・」

 

 愛紗がじと目で俺を睨み付けてくる。う・・・・まあ、それは否定できないな・・・・。

 

 「にゃはは~~~♪愛紗、お兄ちゃんは女好きだから仕方がないのだ~~~♪」

 

 ちょっ!!鈴々!!そんな事いわないで!!

 

 「でも、事実でしょう?」

 

・・・はい、事実です。十数股してしまってすみません・・・。

 

 俺ががっくりと落ち込むと、突然愛紗がくすくすと笑い始めた。

 

 「愛紗?」

 

 「ふふ・・・、でも、そんなご主人様だからこそ、私達も惹かれたのかもしれませんね」

 

 「そ~なのだ!お兄ちゃんはお兄ちゃんだから、鈴々は大好きなのだ!!」

 

 愛紗と鈴々の言葉に、俺は心の底から嬉しいと感じた。

 

 「二人とも・・・、ありがとう・・・」

 

 「ふふ・・・、まあ私と鈴々だけではないんですけどね」

 

 うん、それは俺自身もよく分かってる。

 

 俺はそのまましばらく黙って歩いていたけど、頭の中にふと思い浮かんだことがあった。

 

 「なあ愛紗、もしも俺が愛紗達の世界に来なかったら、どうなっていたかな?」

 

 「?唐突になんですか、一体・・・」

 

 「いや・・・、単純に気になってさ・・・・」

 

 そう、単純に興味本位だ。

 

 貂蝉曰く、俺が新しい外史を生み出した際、あの聖フランチェスカの外史以外にも無数の外史が生まれたらしい。

 

 ならばもしかしたら、俺が存在しない外史も存在するかもしれないと考えたわけだ。

 

 もしそうなら愛紗はどうするのか、俺は愛紗に質問してみたのだ。

 

 愛紗は俺の質問にしばらく考えていた。

 

 「そうですね・・・、やはり鈴々と一緒に世直しの旅をしたでしょうか・・・。ですが、ご主人様がいらっしゃらないから、朱里や星達に巡りあう事もなかったでしょうね・・・」

 

 「でも愛紗のことだから曹操に気に入られて寝床でにゃんにゃんすると思うのだ!!」

 

 「鈴々!!私はご主人様一筋だ!!何が悲しくて百合に走らねばならぬ!!」

 

 「お兄ちゃんがいなかったらどうするのだ?」

 

 「う・・・・・・」

 

 鈴々の言葉に詰まった愛紗はそのままだんまりしてしまった。

 

 「あはは・・・、早く行こうか・・・・」

 

 「そうですね・・・・」

 

 「早くしないとクックが逃げちゃうのだ~~~」

 

 俺達はさっさと先を急いだ。

 

 

 

 エリア2、周囲に木があまり無いひらけた場所だ。

 

 そこには2頭の大きな猪が居た。

 

 「・・・ファンゴか・・・・。厄介なのが居るな・・・」

 

 その猪の名前はブルファンゴ、通称ファンゴ。

 

 草食ではあるものの獰猛な性格で、ハンターを発見すると突進して襲い掛かってくる。

 

 突進で受けるダメージはそれほどでもないが、命中すると吹き飛ばされるため、大型モンスターの狩猟中には戦闘中に最も邪魔になる存在である。

 

 だから俺達のとる手段は一つ・・・。

 

 「ご主人様、しばしお待ちを。すぐに済みますので」

 

 愛紗はそう言って大剣の柄を握りながらファンゴ目掛けて駆け出した。途中ファンゴは接近してくる愛紗に気付いたようだが、遅かった。

 

 「はあああああああ!!」

 

 裂帛の気合と共にバスターブレイドの刃がファンゴの頭部に炸裂した。

 

 「ブヒイイイイイ!!?」

 

 ファンゴは悲鳴を上げて怯むが、愛紗はそれに構わず振り下ろした大剣を上に向かって斬り上げる。

 

 「であああああああああ!!!」

 

 それがファンゴの頭部を切り裂くと同時に、ファンゴは地面に横転、痙攣した後動かなくなった。

 

 「さて・・・残りは一匹か・・・」

 

 愛紗の視線は、残り一体のファンゴに向けられたいた。

 

 

 

 

 

 愛紗がファンゴを全滅させた後、俺たちはエリア5に移動を開始した。

 

 「いや、愛紗はすごいな。突進してくるファンゴに最大溜め斬りを叩き込むんだから」

 

 「そ、そんな、そこまですごいことではありません!」

 

 「いやいや、しかもファンゴを一撃で真っ二つにしちゃうんだから、さすが三国一の豪傑・・・」

 

 「にゃはは!怪力女なのだ~~!!」

 

 「り、鈴々!!お前というやつは~~~!!!」

 

 「にゃにゃ!?逃げろなのだ~~~!!!」

 

 「むあ~~~~てえ~~~~~~!!!!」

 

 俺の目の前で愛紗と鈴々の壮絶な追いかけっこが始まった。

 

 

 

・・・どうでもいいけどここ狩場だぞ?

 

 俺は溜息を吐きながら愛紗を止めようと愛紗に近づこうとした。

 

 

 

 

 と、

 

 

 

 

 「!?」

 

 俺の五感が何かに反応した。

 

 今居るエリア5に、何かが近づいてくる。そんな感覚がした。

 

 

 

 俺のギアノスシリーズの探知には、ランダムで千里眼の薬とおなじ効果、五感が高まりモンスターの居場所が分かるようになる効果が発動することがある。

 

 

 

・・・まさか!!

 

 

 

 「愛紗!!鈴々!!」

 

 「!?いかがなされました、ご主人様!!」

 

 「にゃにゃ!?大変なのだ愛紗!!けんかはここまでなのだ!!」

 

 「!?鈴々まで一体・・・!?」

 

 その時、空の上からばっさばっさと巨大な羽が羽ばたく音が聞こえてきた。俺達ははじかれたかのように空を見上げる。

 

 

 

 俺達の目に飛び込んできたのは、翼を羽ばたかせながら、地面に降りてくる巨大な生物だった。

 やがて地面に降り立ったそれは、首を左右に振ってうなり声を上げた。

 

 

 

 俺達はおもわず息を呑んだ。

 

 

 

 その姿形、なんどもゲーム内で見たことがある。

 

 桃色の硬質な甲殻、まるで白亜紀に生息していた翼竜の如き翼、今はたたまれている巨大な耳、そして、顔の大半を占めている巨大な嘴。

 

 

 

 

 

 怪鳥イャンクック、それがこいつの名前だった。

 

 

 

 ドスギアノスをはるかに上回る迫力に、俺達は息を呑む。

 

 

 

 あまりにも巨大、あまりにも強大・・・・、これが本当にドスギアノスと同じ鳥竜種なのか!?

 

 

 

 だけど、まあ戦わなくちゃいけないからな・・・。

 

 

 

 俺はゆっくりとクックに近寄ろうとする、と・・・・・

 

 

 

 

 

 バキッ

 

 

 

 

 

・ ・・と、何かが折れるような音が響いた。

 

 

 

 

 俺が恐る恐る後ろを振り向いてみると・・・・

 

 

 

 

 

 「お、お兄ちゃん、ごめんなのだ・・・」

 

 

 

 

 

 鈴々が地面に落ちていた木の枝を踏み潰していた。

 

 

 

 

 

 「クエ?」

 

 

 

 

 

 と、突然イャンクックの鳴き声が聞こえたので、恐る恐る振り返ると・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達とイャンクックの目があった

 

 

 

 「クアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 俺たちに気がついたイャンクックは俺達に向かって威嚇してくる。

 

 

 

 「くそっ、気づかれた!!」

 

 「いかがなさいます!?ご主人様!!」

 

 「仕方がない、こうなったらここで相手をしてやる!!」

 

 「うにゃ~~~!!やっつけるのだ!!」

 

 

 

 俺達はクックの気迫に怯みつつも一斉に武器を構える。

 

 

 

 

 

 そして、俺達の始めての飛竜戦が幕を開けたのだった。

 


 
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