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真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1―7.5

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1―7.5
更新させていただきます。

今回は、更新期間がいつもより短い分、内容も短めです。
よろしくお願いします。

2011-07-19 09:38:22 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:9133   閲覧ユーザー数:7088

 

 

 

この作品は恋姫無双の二次創作です。

 

三国志の二次創作である恋姫無双に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方は 次へ をクリックし、先にお進みください。

 

 

 

 

 

 

「ここが幽州……公孫賛殿が治める土地なのですね」

 

「そ。ここにきてから日の浅い俺が言うのもなんだけど、良い街だよ。住んでる人はみんな優しくて、胡散臭さたっぷりな俺を偏見無しに迎え入れてくれたぐらいだからな」

 

 

二日かけて幽州本城のある街に到着し。

辺りを見回す燕璃に、おすすめの店や街の良いところを教えながら、その足は城にむかって動いている。連れ立って歩くのは三人。一刀、舞流、燕璃の三人である。

 

星は街に着くや否や、報告は任せましたぞ?なんて言って近くの酒家に入って行った。察するに、燕璃と行動したくなかったのだろう。一応、帰路の途中に燕璃に謝罪はしたのだが、一見なんとかなったムードも、数秒後には別件で崩れ落ちた。そりゃあもう見事に。

 

燕璃は一刀の説明に小さく頷きながら街の細部にまで目を光らせており、舞流は舞流で露店で買った点心を一人で貪り食っている。

 

 

「一応、街の案内はこんな感じかな?あとは自分で歩いた方がよく分かるよ。……あぁ、その前に伯珪さんに二人を登用できるか聞かないと、だな。でも、この街には嫌な人はいな――」

 

『おーい! 北さん。別嬪二人連れて逢引かい? 』

 

「……嫌な人は、いないから安心していいよ。ちょっと気さくなだけだから」

 

「はぁ……」

 

 

嫌な人は、の部分を強調して言う一刀は苦笑いしながらも、声を掛けてきた街の民に手を軽く上げて応ずる。そんな様子を見て、燕璃は戸惑いとも呆れともつかない当たり障りのない返事を返すだけだった。

 

 

「ふぉふぉろで、ふぉのふぁふぉうふぉんふぁん(ごくん…!)殿と親しいのでござるか? 」

 

「いや、前半なに言ってんのかさっぱりなんだけど。というか食べながら喋るな、行儀悪いぞ。なにより点心蒸してくれたおっちゃんに失礼だ」

 

「ところで、殿は公孫賛殿と親しいのでござるか?だそうです」

 

「……もうなんかエスパーレベルだよな、それ」

 

 

点心を咀嚼したまま話す……いや、話といっていいのかどうなのか。

舞流の明確な言語にすらなっていない言葉に辟易しながら、とりあえず行儀の悪さを注意する。

 

そしてその謎の言語を解析できる燕璃は、ごく自然に翻訳結果を一刀に伝える。

会ってまだ数日だというのにできあがりつつある自然な流れ。舞流がボケ、一刀がツッコミ、燕璃が解説もしくは実況といったところだろうか。

無論、ここに星が加わればこの配役も変化すること必至だが。

 

 

「えすぱー? えすぱーとはなんでござろうか?」

 

「私も聞いたことありませんね。どういう意味なのですか? 」

 

「えすぱーっていうのは超能力者……じゃあ分かんないか。え~と……読唇術のもっと凄い奴って感じかな、多分。この場合限定だけど」

 

 

一刀としてはこういうときほど自分のボキャブラリーの無さを呪うことは無い。

もう少し賢ければと思うのだが、こればかりはどうしようもない。今の一刀にはこれ以上の現代の知識は学べないのだから。

よく分からないという表情で袋の中の点心に手を伸ばす舞流と、なんとなく分かったという表情でそれ以上つっこむことをせず、周りの風景を見ながら何かを考えるように顎に手を当てている燕璃。なんとなくこの正反対な二人が仲の良い姉妹のように見えて、苦笑しかける。

 

……ちなみに、どちらが姉に見えたかは内緒の方向でお願いしたい。

いや、身長的な意味で。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、城門に着いた三人。もちろん、一刀は門番と知り合いなのでなんら問題は無し。舞流と燕璃も士官しに来たと紹介し、なんのトラブルも無く通過。

それどころか、門番に

 

『公孫賛様を助けてあげて下さいね』

 

と頼みこまれていた。

それをにこやかに承諾した舞流と、人の良い門番を見ながら一刀は

 

「……この警備の薄さ、なんとかしたほうがいい気がする。いや、絶対になんとかしないとダメだろ、これ」

 

「えぇ、比較的治安の良い街とはいえ限度はあるかと。このままだと、気付いたら公孫殿が賊にやられていた、なんてことになりかねませんよ」

 

「だよなぁ」

 

門番の警戒心の無さに、警備の質に関する改善案を燕璃と二人で練っていた。

警備とか改善案とか、ホントこっちに馴れちゃったなー俺。あははははー。

なんて複雑な気持ちになりながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場所は移り、公孫賛の執務室にむかう廊下。

城に入った後、暇そうにしていた文官を捕まえて公孫賛の居場所を聞いたところ、執務室で仕事をしており手が離せないらしく、謁見の間ではなく直接、公孫賛の執務室にむかうことになった。それ故の行動である。

 

「一刀さん! 」

 

「ん? 」

 

一刀にとっては聞き覚えが、舞流と燕璃には聞き覚えのない声が後ろから聞こえてくる。

立ち止まって振り向くと、今まさに、一刀を呼んだであろう少年が手に竹簡を抱えて駆けて来て、三人の前でブレーキを掛けて止まった。

 

「一刀さん、帰ってきてたんですか? 」

 

「あぁ、たった今帰ってきたとこ。なんかあったか? 」

 

「ええ、それが……あー……あの、こちらの方々は? 」

 

警戒ではなく、むしろ純粋に見慣れない人達だからと一刀に紹介を求める少年。

その瞳は純粋に興味の対象として舞流たち二人を見ていた。

 

「あぁ、新しく仕官する人達。周倉と裴元紹だ」

 

「周倉さんと裴元紹さん……武官ですか? 文官ですか? 」

 

「まだ分からないな。それに、仕官出来るかどうかも分かんないし。伯珪さんに断られればそれまでだ。もちろん仕官出来なかったら俺が責任もって働き口探すけど」

 

「大丈夫ですよ。僕みたいに胡散臭いのでもここに置いてくれましたから、公孫賛様は。でもそうですか……僕としては文官だったら同僚が増えるんで嬉しいんですけど」

 

あ、武官でも全然大丈夫ですよ。仲間外れとかはないですから、と苦笑いしながら、決して他意はないと首を左右に振ってアピールする。一刀と同い年ぐらいの外見で目つきは鋭いが、中身は文官らしく温和な性格のようだった。

 

「どちらにしても人材不足なんだからありがたいよ。そういえば俺になにか用事があったんじゃないのか? 」

 

少し話が長引きそうだったので、一刀は燕璃に

(先に行っててくれ、すぐ追い付くから)と、手振りと視線で廊下の先へと促す。

その手振りで一刀の言いたいことを理解できたらしく、一度だけ頷くと、未だに点心を食っている舞流の首根っこを掴み、ずるずると引きずって行った。

 

「あっ! そうでした。一刀さん、これ全部に目を通してほしいんですけど……今は無理そうですね」

 

ちょうど一刀が壁になって少年には見えなかったのだろうか。

なにもなかったかのように少年は話を続ける。

いや、見えていたのだろう。その証拠に、早くも少年の方から話を切り上げに入っていた。

 

「悪いな、気遣わせて。周倉達を伯珪さんに会わせた後でもいいか? 」

 

 

「全然大丈夫です。部屋の前で待たせてもらってもいいですか? 」

 

「いや、それじゃ悪いから俺が呼びに行く。今日は書庫か?」

 

「あ、いえ。一刀さんの手を煩わせるわけには……あー……そうですね。はい。分かりました。今日は書庫で仕事なのでそちらに呼びに来てもらうと助かります」

 

最初こそ慌てて手を振ったものの、この人はこういうことになったら意地でも自分の言葉を曲げないことを思い出す。ここに仕官するようになってから日は浅いが、それだけはとてもよく分かる。

誰にでも対等に接しようとする、つまり良い人。

それが、少年が一刀へ感じた今のところ唯一の人物評だった。

 

「りょーかい。できるだけ早く済ませるからさ。そんじゃな――――左慈」

 

「はい。ご苦労様です。書庫でお待ちしてます、一刀さん」

 

そう言って文官の少年――――――左慈は、廊下を歩いていく一刀の背中に一礼し、書庫に続く廊下に歩いていった。

 

 

 

 

 

一刀はまだ知らない。この少年こそ、始まりの外史における自分の仇敵だったことに。

 

 

 

左慈はまだ知らない。自分が何故ここにいるのかということを。そして、自分にとって北郷一刀はやはり仇敵のような存在だということを。

 

 

 

その答えを知る人物は今この場に置いてただ一人。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ……あの二人が接触してなにも無しとは興味深いですね。それにしても左慈、あなたの一人称が{僕}になる日がくるとは……。今すぐ抱きついて{ピー!}で{ピー!}を{ピー!}したいところですが、さすがにここではまずいですね。まぁ、お楽しみは後に取っておきましょうか。ふふふふ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、誰とは言わないが。

 

 

 

 

 

 

 

【あとがき】

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1―7.5

【 二人の仕官とガチホモの暗躍 】

更新させていただきました。

 

 

今回は7.5という形式で少し短めです。

前回、尺の問題で出せなかった部分と考えていただいて構いません。

 

さて、今回は舞流と燕璃の二人を幽州の、公孫賛の治める街に連れてきた話でした。

そして作者も予想だにしなかったキャラクターが……!!

……すいません。嘘です。狙いました。ごめんなさい。

登場したのは、無印恋姫に出ておられた二人でした。

恋姫の中では貴重な、モブでない男キャラです。

一応、片方のキャラ設定はいじくらせてもらいましたので、そちらは詳しく……とはいかないまでも、人物紹介2で紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

ここで、お知らせならぬ謝罪を。

 

前回の更新作品で、趙雲と裴元紹の繋がりを考えるあまり、暴挙に走ってしまいました。

浅慮だったと反省しております。

星ファンならびに恋姫ファンの皆様、気分を著しく害すことになってしまい申し訳ございませんでした。

今後、一層の努力と研鑽を積み、頑張りたいと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。

 


 
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