No.195512

真・恋姫無双 季流√ 第39話 拠点 弱さと静けさとおやすみ

雨傘さん

菖蒲と氷というオリキャラ同士の拠点話となります。
2人はアンケートの上位に食い込むなど、健闘してくれました。
郁さんへの感謝の意とともに、応援してくださる皆様にも大きな感謝を。
今年もよろしくお願いします。

2011-01-11 23:43:23 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:13329   閲覧ユーザー数:7429

「あれは……菖蒲さんか? 丁度良かった、お~い?」

 

とある昼下がりに一刀が中庭に出ると、徐晃こと菖蒲が庭に用意された座席に座っていた。

 

おそらく1人でお茶でも飲んでいたのだろう、昼下がりの穏やかな陽気に誘われて、眠ってしまったようだった。

 

近くまで寄って一刀が覗きこむと、思わずドキリとしてしまいそうな安らかな寝顔。

 

なんだか起こしてしまうのが可哀想に思えてしまう。

 

軽く息を吐いた一刀は天に昇る日を見上げ、もう少しだけいいかと判断し、菖蒲の向かいの席へと座った。

 

腰を落ち着けると、辺りには穏やかな風が流れており、芳醇な草木の香りが薫るこの場所は確かに気持ちがいい。

 

菖蒲が起きるまでしばらく思索にふけようかとしたが、風が通る一刀の耳に、何か別の音が混じり始めていることに気がついた。

 

よくよく耳をすますと、菖蒲の口からかすかに声が零れているようだ。

 

寝言かと判断したが、徐々に菖蒲の表情が曇っていく。

 

清楚な顔の中で眉根に力が入っていき、見る間に苦しそうな表情へと変わっていった。

 

__悪い夢でも見ているのか?

 

不安になった一刀は立ち上がって菖蒲に近寄ると、何故か瞳から一筋の涙が流れていった。

 

いよいよ不味いかと判断した一刀は、隣に座って菖蒲の頭を撫でる。

 

さらさらとした白く長い髪が彼女の顔にかかる。

 

これで落ち着かなければ、いっそ起こしてやったほうがいいだろう。

 

だけれど、撫でられて少し安心したのか、菖蒲の表情から力が抜けていった。

 

取り合えず大丈夫かなと安心した一刀が息を吐こうとすると、菖蒲の口からはっきりとしたいくつかの単語が零れた。

 

「…………ご……なさい……わたしぉ……いじめ…………なぃで……」

 

その意味を捉えた一刀は、不意を突かれたその言葉から動揺して瞳を開くと、落ち着けと自分に言い聞かす。

 

聞いてはいけないことを聞いてしまったと、若干の後悔に襲われたが、そのまま撫でる手だけは止めなかった。

 

しばらくして菖蒲が瞳を開き、一刀に撫でられていたことに驚いて顔を赤くしたが、自分が見ていた夢のことは、どうやら忘れてしまったようだ。

 

どうにも判断のつかない一刀は、とりあえず先ほどの事を胸の内にしまって菖蒲に笑いかける。

 

少しだけ胸が苦しかったが、気づかない振りが上手くなってきた一刀はとても自然体であった。

 

「あの……北郷様、私に何か御用でしょうか?」

 

隣に一刀がいるからか、恥ずかしそうに菖蒲が微笑み、上品な声で問うてくる。

 

「ああ。

 ほら今日の午前はさ、徐晃隊の新兵補充人員を確認する日だろ?

 氷は秋蘭にちょっと手伝って欲しいことがあるらしくてさ。

 丁度いいだろうってことで、手の空いてる俺が菖蒲の手伝いに来たんだよ。

 今日の新兵には北郷隊の人たちも結構多いからね」

 

「え……氷がですか?」

 

「うん、俺じゃ駄目か?」

 

不安そうな菖蒲に一刀が困った顔で問い返すと、静かに菖蒲は頭を振った。

 

「そっか、じゃあ行く?

 もうそろそろ訓練場の方に集まってると思うよ」

 

そう言って一刀が立ち上がると、訓練場の方へと歩いていく。

 

遠ざかる背を見ながら、菖蒲は突如吹いた風によって頬に違和感を感じた。

 

そっと手で触れてみると、濡れた後のようなわずかな抵抗が肌にあった。

 

__っえ?

 

「……菖蒲さん? どうしたの?」

 

ついてこない菖蒲に不思議に思った一刀が振り返ったが、菖蒲がすぐに歩き出したので気にしなかったようだ。

 

一刀の後ろ姿を追うように歩く菖蒲だが、これからのことが頭に過ぎり、そのほっそりとした白い手が震えていた。

 

__大丈夫……もう、大丈夫。

 

そう自分の心に語りかけながら。

 

ガヤガヤと新兵達が騒いでいる訓練場であったが、予定した時間丁度ぴったりという位に一刀と菖蒲の姿が現れたので、兵達はすぐさま静まって姿勢を正した。

 

新兵の加入とはいっても、すでにある程度北郷隊でしごかれた者達である。

 

見習いを卒業したこの者達が、魏の各隊へと配属されることになるのだが、一応どの隊へ配属されたいかの希望を取るようにしている。

 

流石にいきなり春蘭や季衣達親衛隊の上位部隊に配属は出来ないが、それでもかなりの数の部隊があるので選択肢は多い。

 

確実にとまではいかないが、大抵が第三希望までのうちどれかに配属されていた。

 

これが少し不思議な話で、以前興味の湧いた霞が統計をとってみようと言い出し、ふざけ半分で調べてみたのだが、新兵の配属先がかなり均等に分かれていることに気がついた。

 

どこかの隊に偏ることなく、こうしてある程度均一なのは、珍しいのではないだろうか。

 

誰も検証できはしないが。

 

「私がこの部隊を率いている徐晃公明と申します。

 皆さん、これからよろしくお願いします」

 

菖蒲が丁寧に軽く頭を下げると、それに合わせて配属された兵達が見習うように丁寧な敬礼を返した。

 

特に問題なく進んでいく新兵の挨拶だったが、後ろで控えている一刀は菖蒲の様子がおかしいことに気がついていた。

 

__どうしたんだ? 顔色が悪い気がする。

 

ようやく新兵の部隊割りも終わったので、菖蒲が解散の号をかけて兵達が散会していった。

 

「お疲れ様、菖蒲さん」

 

労をねぎらおうと、一刀が菖蒲の背中へと手を伸ばそうとすると、バッと振り返った菖蒲の手に弾かれた。

 

こちらを振り向いた菖蒲の表情は青褪めており、ぶるぶると震えている。

 

「どうしたんですか?」

 

やはり様子がおかしいと心配した一刀だが、薄っすらと瞳に涙を浮かべた菖蒲はそのままペタリと座り込んでしまう。

 

「あ、菖蒲さん?」

 

「ご、ごめんなさい。

 ちょっと、待っ……」

 

急にどうしたのだろうかと一刀も腰を下ろし、落ち着くまで待つことにした。

 

「……先ほどは、すみませんでした」

 

しばらくしてようやく立ち上がれるようになった菖蒲が、礼儀正しく頭を下げた。

 

「いやぁそれは気にしなくていいんだけどさ、さっきはどうしたんだい?」

 

何気なく聞いてはみたのだが、菖蒲の表情の曇り具合から察するに、無理に聞かないほうがいいのだろうか。

 

「あ、あの……」

 

__しばらく1人にしておいた方がいいか。

 

どうしたらいいのかと言葉を濁す彼女に対して、一刀は1つ笑うと気にしないでいいよと一言だけかけて、そっと離れた。

 

離れていく一刀の背中を見ながら、菖蒲は追うように言葉をかけようとするが、声帯に空気が通らない。

 

 

伸ばしかけた腕を引っ込め、胸の前でぎゅっと結んだ彼女は、その伸ばした腕で一体どうしたかったのだろうかと、瞳を瞑って自問していた。

 

「はっ、はぁ」

 

乱れた息が流れる。

 

 

__もう、大丈夫。

 

 

大丈夫。

 

 

「ん? 皆で将棋をやっているのか?」

 

「あ……お兄ちゃん」

 

「………………」

 

「一刀さん」

 

「………………一刀」

 

「む、お前ですか」

 

菖蒲と別れた一刀が空を見上げると、もう陽が天高くに上っている。

 

昼飯をどうしようかなぁと考えながら適当に歩いていると、城の廊下に設置された休憩所に、司馬懿こと氷と詠と月、そして恋と音々がいた。

 

どうやら将棋をしているらしく、晴れやかな廊下の途中に設置された盤上では、氷と詠が真剣な表情で勝負をしていた。

 

氷は盤上から視線を上げて黒扇で顔を隠し、こちらを伺ってきている。

 

それとは正反対に、詠は盤上から視線を移さず、鋭い視線で駒を睨みつけていた。

 

一刀が教えて真桜が作りあげた将棋は、なかなかに軍の人達に人気があった。

 

初めは、相手からとった駒を自分の駒として利用できるという規定に、疑問の声もあがったのだが、それは相手を寝返えらせた、伏兵として見ればいい、といったら理由付けからどうにか納得してくれた。

 

とにかく将棋のルールを教え、稟と風が試しに打っていくうちに、裏では有志による将棋大会が行われているようであり、なかなか盛況なのだそうだ。

 

ちなみにそこでの現状1位は、詠と風、そして華琳の3人が競っているらしい。

 

だが少なくとも魏軍で三指に入るはずの詠の表情は、現状において明らかに曇っていた。

 

恋に片腕を抱きつかれた一刀が盤上を覗き込み、様子を探ってみると、なるほど……と納得する。

 

ちなみにここで一刀が知る、将棋ランキングに常に上位にいる各人の戦い方を、ここで説明しておこう。

 

まず詠はカウンタータイプの戦術が得意だ。

 

必勝の手筋を狡猾に隠し、潜ませ、そこに迷い込んだ者を一気に狩りにいくその様は、舌なめずりをする蛇の如し。

 

幾重にも張り巡らされたその罠を見切らなければ、彼女に勝つのは難しいだろう。

 

次に風なのだが、相手に合わせて対応を変える戦術が得意だ。

 

相手の攻撃を受け流しつつ徐々に主導権を握っていき、相手の我慢の痺れを待つ。

 

その機が訪れれば見逃さずに、持ち前の鬼謀を用いた辛辣な一手を放つという一撃必殺型だ。

 

そして華琳はまさに王道、意外に変則な手を用いない華琳の一手一手は、実に堂々と理に適ったものであり、シンプルであるが故に穴が無い。

 

しかも相手の罠はきっちりと読んでくるので、嵌めるのも難しいというのだから、やりにくい事この上ないというおまけ付きが彼女らしさだ。

 

稟の場合、将棋の盤上では彼女がもつ神算の視点が上手く収まりきらないようだ。

 

天候や地形、他国の情勢などがない、全くの対等の条件で始まってしまう将棋では、戦術よりも戦略が得意な稟としては少々分が悪い。

 

それでも安定的に5から6位を維持しているのは流石というべきだろう。

 

桂花の場合も、政治的要素が無い戦力のぶつかり合いは得意ではないようで、最近1人で一生懸命盤上と睨みあう姿を見かける。

 

まぁそれでも桂花が本気で取り組んだら、すぐにでも上位に食い込みそうだ。

 

そして意外や意外、春蘭が結構強いのだ。

 

彼女の戦い方はまさに疾風怒濤。

 

我が身を省みらない春蘭の突撃につぐ突撃は、初めから相手に陣地を守らざるを得ない状況を作りだし、防御陣も罠も張る余裕を与えない。

 

相手が春蘭の猛攻勢を凌ぎきれば、あっという間に勝負はつくのだが、一手仕損じるだけで春蘭の動物的勘が働き、陣地内へと駒が雪崩れ込んでくる。

 

初めの頃一刀が調子に乗り、からかうつもりで軽く捻ってやろうと勝負した時なんて、気づけば一刀の陣地内が”成金”に進化した、数多の軍勢に押し寄られていた。

 

__あの高笑いは忘れやしない……ちくしょうめ。

 

だがそんな一刀は一刀で、実に不思議で奇妙な勝ち方をしていた。

 

一刀は魏の全員に綺麗に勝ったことが、少なくとも1度はあるのだ。

 

ただ一刀が得意なのは心理戦であるので、その勝敗の大抵が大敗という結果。

 

だけれど、詠、風、華琳の3人に加え、真の最強にまで綺麗に勝ったことがあるのも、魏軍において一刀しかいないのだ。

 

勢いに乗れば強い音々音よりも更に極端な勝敗結果であり、あまり安定した打ち方が出来ないのでは、彼は将棋に向いていないのかもしれない。

 

そしてここに座る渦中の司馬懿こと氷なのだが、可愛らしい幼めの顔に似合わない、実にいやらしい手が得意であった。

 

なりを潜め狡猾な罠を張る詠に対し、その発動わずか一手前で全部止めきっている。

 

まるで穴倉で舌なめずりをしながら待ち構える蛇に、のろのろと近寄る間抜けを装って、手前で呑気に昼寝をしているようだ。

 

もちろん、詠が穴から出て氷を襲っても勝ち目はある、だがそれは詠が望んだ形ではない。

 

故に盤上では、どの駒もが絶妙な配置で互いを牽制しており、詠が罠にかけてやろうと必死にこめかみ辺りを指で掻いていた。

 

焦らし上手というべきか……詠が蛇なら、氷は蛞蝓のようだ。

 

分析力が飛びぬけて高い氷だからこその出来る、ギリギリの芸当。

 

詠の悪だく……いや、策と読み合いの根競べだ。

 

だが今回は、詠の方に流れがなかったらしい。

 

罠にかけようと意地になるあまり、穴から出て勝負に出ないせいか、じりじりと詠の前線は下がっていき、少しずつ氷に駒を奪われていく。

 

気づけば罠を張る余裕がないところまで、前線を下がらされていた。

 

こうなるともう勝負はついたようなもので、詠がヤケ気味に乱戦へと大胆に駒を押し進めるが、時はすでに遅し。

 

詠の陣地を酸がじわじわと浸食していくような氷の手は緩まず、ゆるゆると、だが確実に駒が奪われていく。

 

奪った駒を使って一気に攻めないのは氷の慈悲なのか、それともそうやって攻める気がないのかはわからないが、牛歩の如く前線を舐める様に伸し上げていく氷の打ち方は、相手にとっては優しい冷たさであった。

 

真綿で首を締め付けられていくかのようなこの状況は、いっそすっぱりと止めを刺して欲しいと思えるほど。

 

やはり彼女は司馬懿仲達なのか、と感心させられた一刀は、もはや俯き気味の詠にちょっぴり同情した。

 

「…………ないわ」

 

いい加減観念したのか、詠から白旗が揚がった。

 

盤上に残る詠の残りの駒は、残念ながらわずかだ。

 

氷の打ち方は派手さがない分、常にまだどこかで勝てるような気がしてしまう。

 

まだいける、まだ逆転出来るという甘い誘惑を振り切れないと、終わった結果がより酷くなる。

 

詠らしくもなく、此度は誘惑を振り切れなかった。

 

途中からしか見ていないが、結局勝負の山場たる決め手はどこであったのかも一刀にはわからず、このゲームはいつの間にか詠の敗退だった。

 

「ありがとうございました。

 お兄ちゃん…………勝ったよ」

 

漆黒の見事な黒扇に、照れる顔を俯かせる氷の頭を撫でてあげる。

 

「…………ふふ」

 

撫でられながら服の裾を掴んでくる氷は、小動物のように可愛らしい。

 

ちらりと視線を上げて見ると、詠が盤上を睨みつけながら、改めて勝負内容を振り返ってふてくされていた。

 

「残念だったな」

 

一刀が声をかけると、恥ずかしいところを見られたと、詠が勢いよくそっぽを向いた。

 

それを見た月が慌てて詠を慰める。

 

「一刀さん……詠ちゃん、一刀さんにいいところを見せたくって」

 

「ちょ、ちょっと月!? 何言ってるのよ!」

 

月が言おうとした言葉を遮り、詠が慌てて立ち上がった。

 

すると今度は、一刀の片腕にくっついている恋が声を出す。

 

「………………………………………………詠、一刀が来てから、いつもの強かさがなくなった……あれじゃあ勝てない」

 

将棋ランキングに加わっていない、”真の最強”を誇る恋が短く付け加えた。

 

恋は今まで一刀で一敗した以外、全員に全戦全勝であった。

 

ただ、ほんと気まぐれにしか勝負をしてくれないので、ランキングには入れられないのだ。

 

その戦い方は常に打ち方が変わって法則性が無く、恋が戦闘の時に見せる”天性の先読み”が関係しているのかもしれない……よってもう天才としか表現のしようがない。

 

強いて端的に表現するならば、相手の苦手な戦法を戦い方にする……それを意識せずに素で成してしまうのだから、改めてとんでもない話である。

 

「ふ、ふん!」

 

立ちながら不貞腐れる詠に、一刀は苦笑するしかなかった。

 

引き際を見誤ったのは、俺のせい? な~んて自惚れてしまってもいいのだろうか。

 

一刀が手を伸ばしてふれくされる詠の頭を撫でると、キッと睨まれてしまう。

 

「ああ、もう! 子供扱いするんじゃないわよ!

 もう行こう月、頭使ったからお腹が空いちゃったわ」

 

恥ずかしいのか照れているのか頬を赤くした詠が、月の手を握って歩き出そうとする。

 

「そういえばもうお昼の時間ですね。

 一刀さんもいかがですか?

 お昼は中庭で、皆さんと点心を頂こうかと思っているのですが……」

 

「俺もいいのか? じゃあご相伴に預かろうかな」

 

そして折りたたみ式の将棋盤を簡単に片付けると、6人は中庭へと向かっていく。

 

 

そこで月が予め用意しておいた点心が振舞われ、次々と並べられていった。

 

 

「はむはむはむはむ」

__か、可愛い! なんだこれは?!

「あむあむあむあむ」

 

正直、一刀は正視出来なかった。

 

それは詠も月も音々も同じようで、口を手で覆い隠しながら視線を逸らしている。

 

本日の勝者である氷が、瞳を輝かせながら一刀の膝上に座って点心を食べている。

 

その小さい口で、大きな肉まんをちょっとずつ齧っていくその姿は、まさに小動物……例えるならばリスに近い。

 

リスが大きいどんぐりへ齧りつくような可愛さの氷の隣、つまり一刀の隣では、恋が急いで口にシュウマイを押し込んでいっていた。

 

こちらも頬袋が一杯であり、氷と並ばせると強烈な保護欲を掻きたてられる。

 

「なんや隊長達、上手そうな匂いさせとるなぁー」

 

4人が食事に手を付けられずに悶えていると、どこからか真桜が近寄ってきていた。

 

一刀が視線を向けると、離れたところには季衣と流琉と凪と沙和が揃っていた。

 

おそらく今度行われる予定の、親衛隊と北郷隊の合同演習の話についてでも集まっていたのだろう。

 

1人突出する形でここへ来た真桜を見るに、食事でもたかりにきたのだろうか?

 

だが、恋と氷を見てすぐさま真桜は顔を背けた。

 

そっと一刀の耳元へ口を寄せると、小声で話しかける。

 

「た、たいちょう……なんやのこれ?

 なんかやたらかわええのが、もきゅもきゅと食事しとるみたいやけど」

 

「知らん。

 ただ……凄いだろ?」

 

「いや、これは凄いなんてもん、やっ!」

 

何かに気づいた真桜は振り返ると、大声で”沙和”と”流琉”だけを呼び寄せた。

 

その際、”凪”と”季衣”にはそこにいるように注意することを忘れない。

 

よく事情がわからないと小走りに寄ってきた流琉と沙和だったが、この光景を見てすぐに納得した。

 

「な? これはあかんやろ? ごっつ癒されるで」

 

「う、うん。

 それで~? 沙和達を呼び寄せたのって~?」

 

「まさか真桜さん……」

 

勘の良い2人が真桜の意図に気づいたのか、残されてこちらを呆然と眺めている、自分の相方達へと視線を移した。

 

”でも、そんなことをやって大丈夫でしょうか?”

 

”平気やろ~、別に怪我とかするもんやないし……それにほら……さっき話した”かめら”もここにあるんやで?”

 

”でも~、なんか危険な気がするの~”

 

”で、でも見てみたいですね”

 

 

”””………………まぁ、いっか”””

 

 

わずかな内に、これだけのテレパシーを送りあった3人はすぐさま妥協しあい、悶えている詠達をも抱きこんで計画を実行へと移す。

 

打ち合わせも何もしていないはずなのに、淀みなく事態が進んでいき、場が整えられていく。

 

氷に乗られている一刀だけは動けずに、ジト目でテキパキと動く彼女達を見遣っていた。

 

__こ、こいつら……まさか。

 

嫌な汗を流す一刀に気づいているのかどうかは知らないが、見事な速さで整えられた食卓は、いつの間にか4人分の食場が整っていた。

 

「季衣ー? こっちに御飯があるよー?」

 

「凪ちゃ~~ん? ちょっとお腹すいていないー?」

 

流琉と沙和に呼ばれた2人が、ようやくか、とお互いに1度視線を合わせてから駆け寄ってくる。

 

 

そして、とある誰かがみた夢がこの世に顕現した。

 

 

「はむはむはむはむはむ」

「あむあむあむあむあむ」

__ち、ちきしょう!!!

「はぐはぐはぐはぐはぐ」

「もぐもぐもぐもぐもぐ」

 

 

苦悶の表情を浮かべる一刀は、一見、この夢のような状況の中心にいながら、よんどころのない気持ちが溢れていた。

 

左隣に恋、左ひざに氷、右ひざに季衣、右隣に凪。

 

狭い座席に詰めて座らされた一刀を除いた4人が、次々に並べられた点心へと手を付けていく。

 

向かい側の座席で言葉なく鼻血を耐えるかのようにプルプルと震えている連中に、一刀は心底憎らしげな視線を送ってやりたいが、”癒し”しかないこの4人に囲まれた一刀は、愛憎入り混じった複雑な表情をしていた。

 

そんな一刀がおかしくて仕方がないのか、急ぎでシャッターを切っている真桜に、一刀は切実なシンパシーを送った。

 

”俺もそっち側にいかせてくれ!”

 

”いやぁ~隊長、ええなぁ? そんな萌え~に囲まれて幸せやね~? ええよんなぁ?”

 

”こっちからじゃ全体が見えん! なんとかしてくれ真桜! あと2回ゆうな!”

 

”我侭はあきまへんで隊長~、その4人は隊長がそこにおるからこそ! そんな幸せそうに食べてるんですから”

 

”じゃあ俺の気持ちはどーなるよ!? こちらからじゃあ、ほとんど後頭部しか見えないんだぞ! この食べる音に対して、想像で補うには限界がある!”

 

”来月に、幻の試作型カラクリ夏侯惇将軍が競りに出るかもって噂があったんやけど、こりゃうちにも勝ちの目がでてきたなぁ……これは高く売れまっせー?”

 

邪な視線と思念を織り合わせて送りながら、手に持つカメラを一刀へ見せ付けるよう上下に振る真桜。

 

真桜の顔は、なんて魔王ぶり。

 

”っぐ………………1枚、いくらだ?”

 

”まぁ隊長やから”さーびす”しといたるわ……来月の金欠見越して、昼飯夕飯十日分にて全種類のご提供……どや?”

 

”こいつ、足元どころか靴の裏まで見やがった!”

 

”いらへんの?”

 

”…………………………ごめんなさい”

 

”はい、まいどあり~”

 

がっくりと頭を俯かせた一刀、完全敗北、真桜は絶対真桜。

 

だが救いの声は、最も近くからかかるのであった。

 

「んぅ? にいふぁんろうひたの?」

 

一刀の様子がおかしいと気づいたのか、季衣が肉まんに口をつけたまま見上げてきた。

 

それに合わせて、残りの3人もこちらを見てくる。

 

そう、一刀からは見えなかった皆の表情が、わざわざこちらを向いたのだ。

 

するとあらまぁ、なんという偶然なのでしょう。

 

全員が丁度肉まんを口にしていたせいか、4人が同じように白い塊を咥え、心配そうな視線を向けてきたのだ。

 

「んむ?」

 

「んう?」

 

「んん?」

 

「んぐ?」

 

ぞくぞくぞくっと背筋が揺さぶられる、かつてない感覚に北郷一刀の理性が一気に焼き切れた。

 

 

 

__ゲボハァッ!? なんつー威力だ……及川よぉ……ヴァルハラってのぁ、天国でも二次元でもなくって……外史にあったぜ……

 

 

「お兄ちゃん……」

 

 

結局あの後、一刀は生存本能から防衛機能が促されたのか、本当に気を失ってしまったようで、1人残った氷に介抱されていた。

 

場所は先ほど食卓に使っていた、中庭の傍にある青い芝生で、まだ陽が高いのか少しだけ暑い。

 

凪達と季衣達は仕事があるし、詠達も揃って午後は霞達との共同の用があるということで、食卓を片付けてから倒れた一刀を氷に頼み、名残惜しそうに行ってしまった。

 

残された氷は午後が休みであった偶然の幸運に感謝しながら、眠る一刀の頭を膝に乗せ、黒扇で優しく扇ぎながら、木陰の涼しさを味わっていた。

 

氷は優しく膝元を見下ろすと、静かな息を刻む一刀の顔がある。

 

いつからだろう……この青年の姿を、視線で追うようになったのは?

 

「………………」

 

氷は辺りをキョロキョロと見渡すと、ほんのり頬を赤くしながら、小さい体を屈むようにして折り曲げた。

 

静かな唇と、かすかに震える唇とが、ゆっくりと近づいていき、そして……触れる。

 

「……ぅ、ん」

 

一刀から小さい声が漏れる。

 

真赤になってしまった氷は慌てて一刀から顔を離すと、何故か姿勢をピンと正した。

 

今ので一刀を起きてしまったかと思った氷だが、どうやら少し身じろぎをしただけのようだ。

 

ほっと安心した氷はまた微笑むと、一刀の少し汗ばんだ額にひっついた髪を撫でる。

 

そしてゆっくりと黒扇で煽ってあげると、彼が気持ちよさそうに笑ったように見えた。

 

錯覚かもしれないが、とても幸せな感覚であった。

 

 

「………………ふふ」

 

それは無口な少女の、静かで優しい恋心。

 

 

「ん……? あれ、俺は?」

 

しばらくして一刀が目を覚まし、氷の膝元から頭を上げる。

 

記憶があやふやなのか、軽く頭をかいた一刀は状況を理解し、木陰に座る氷の隣へと座りなおした。

 

「ありがとうな、俺重かっただろ?」

 

軽く笑う一刀に、氷は否定を表しているのか頭を横へと振った。

 

「そっか、皆は仕事かな?

 氷は秋蘭の手伝い終わったのか?」

 

「うん、大分予定よりも早かった。

 …………お兄ちゃんの方は、どうだった?」

 

「ん? ああ、新兵補充は問題なかったよ。

 だけどなぁ……」

 

一刀が口ごもったので、氷が訝しげに見上げた。

 

__簡単に聞いていいもんでもないしなぁ……でも、いつも一緒にいる氷なら、なにか知ってるかも。

 

「なぁ氷、菖蒲さんのことなんだけど」

 

ゆっくりと言葉を選びながら、一刀は朝の訓練場の時のことをやんわりと話すが、氷はよくわからないとの返事だった。

 

「そっかぁ、ごめんな変なこと聞いて」

 

氷へ一刀が視線を落とすと、黒扇で顔を半分隠した氷の上目づかいの視線とぶつかった。

 

「2人はいつも一緒だから、ついな。

 そういえば氷と菖蒲って、何で知り合ったんだい?」

 

「ぁ……」

 

その一言に氷は表情を曇らせた。

 

しばらくの間、お互いに間が空いてしまう。

 

__今日は、やたらこういう顔を見る日だな。

 

一刀は心中でそう思うと、やはり無理に聞くべきではないかと思い、立ち上がろうとするが引き戻される感覚がした。

 

そっと見てみると氷の腕が、服の裾を握っている。

 

待って、ということだろうか。

 

一刀は上げかけた腰を下ろすと、黒羽で顔を隠していた氷が話し出すまで待つことにした。

 

ちょうど気持ちの良い風が4度吹いた後に、氷は隠していた顔を少しずつ上げた。

 

「氷は……菖蒲に助けてもらったの」

 

ポツリと話し出す氷に、一刀は黙って聞いていることにした。

 

「氷……陳留に来る前は、河内郡にいたの。

 司馬家は名門で、父様も母様もとても厳しかった」

 

__司馬家か、確かにそういう話があったな。

 

一刀は記憶に残る三国志の歴史を紐解くと、司馬懿仲達のことを考える。

 

ある意味で、一刀にとって一番危険なのは彼女なのかもしれなかった。

 

今まで目を背けてきた……いや、あまり考えたくなかったのかもしれない。

 

一刀が考えているこれからの構想に、もしかしたら氷は賛同してくれないのだろうか。

 

だが一刀は氷の姿を見て、希望を見出してもいた。

 

__全ては、彼女自身の未来だ……俺は少しだけ手伝えればそれでいい。

 

一刀は心中で氷に語りかけるが、勿論氷はそれに気づかないで言葉を続けていく。

 

「氷は8人姉妹なんだけど、氷は一番出来ない子だった」

 

「ええ?!」

 

驚きと戸惑いの声を上げる一刀に、氷はまたその表情を黒扇で隠した。

 

「氷……聞かれても……何も言えなかったから」

 

恥ずかしそうに縮みこむ氷に、一刀はなるほどと納得した。

 

恐らく、氷が司馬仲達であるのだから8人の姉妹の中でも、本来の実力を発揮することが出来さえすれば、トップクラスのはずなのだ。

 

この極度の恥ずかしがり屋が、彼女の力を半減させているに違いない。

 

「氷は、ずっと1人で……そのままずっと1人でいていいと思ってた。

 でも…………漢王朝が衰退していく中で、氷は無理矢理出仕させられそうになって、それがとても嫌で……逃げるようにして来たのが陳留だったの」

 

「どうして陳留だったんだ?」

 

一刀の問いに、氷は少しだけ思案してから首を振った。

 

さっきと同じ否定の意であった。

 

「わかんない。

 昔は……華琳様の治世を優れているとは思ってたけど、仕える気はなかった。

 でも氷は気づいたら陳留を目指していたの」

 

__やはり、か。

 

「……そっか」

 

「あ! い、今の内緒にしてね、ね?」

 

失言したと慌てた氷が、一刀の服を慌てて引っ張る。

 

大丈夫だよと氷の頭を撫でると、安心したのか笑ってくれた。

 

別に華琳に言った所で、この程度何も問題はないだろうが、黙っていて欲しい気持ちもわかるから。

 

「その途中で……氷を乗せてくれていた商団は黄巾党に襲われたの。

 その時助けてくれたのが、一緒の商団にいた菖蒲」

 

「おいおい、それは初めて聞いたぞ、大丈夫だったのか?」

 

心配した一刀に氷はうんと頷いた。

 

「連れ去られそうだった氷を、菖蒲が助けてくれたの。

 その時の菖蒲はとっても強かった……きっと、一番に」

 

自分のことのように嬉しく笑う氷は、どこか誇らしい。

 

「それから菖蒲は、ずっと氷の傍にいてくれたの。

 1人ぼっちだった氷に、友達が出来た」

 

時期的に考えて、黄巾党後期の頃だろう。

 

それから2人が仕官登用の募集に申し込んで、華琳に仕官したということか。

 

2人の昔話を聞いて思考が過去へと飛んでいた一刀だったが、氷がしばらくして零れるように言葉を漏らした。

 

「悠さんなら何かわかるかも」

 

「悠が?」

 

聞き返す一刀に、氷が頷く。

 

「悠さんは、皆の相談をよく聞いてくれるの。

 氷も相談したことあるよ」

 

「そうか、悠は面倒見いいからなぁ」

 

「今日は詠さんへの報告のために、悠さん戻ってきていると思う。

 ……多分、今頃情報局のところ」

 

氷は魏の補佐を主にしているので、自然と皆のスケジュールが頭に入っていた。

 

「お、ありがとう。

 じゃあちょっと行ってくるかな」

 

ならば悠に聞いてみようかと一刀が立ち上がると、ふと気になったので、後ろで座ったままの氷に問うてみた。

 

「氷は、悠になんて相談したの?」

 

「…………ぁ……な……ないしょ」

 

 

顔を真赤にして俯く氷は、やはり黒い扇で顔を隠すのであった。

 

 

「よう、俺だけど入って良い?」

 

「ん? 一刀ね……うん、と……もういいわよ、気をつけてね」

 

入口に設置された伝声官から詠の声が返ってきたので、一刀は扉を開けると、慎重に歩を進めて更に奥に設置された部屋へと向かう。

 

その厳重に施錠された扉の奥には更に階段があり、いくつかの仕掛けを回避した後に、地下へと潜り、ようやく目的の部屋へとたどり着いた。

 

ここは詠が引き継ぐことになった細作部隊を運営するために、新たに設置した情報編纂室……通称情報局だ。

 

外に出せない秘匿情報が多いので、おいそれと中に人は入れないようになっている。

 

無制限に入れるのは、国主たる華琳と情報室室長の詠、それに第0部隊の隊長である悠と総隊長の一刀、そして選び抜かれたわずかな者達だけだ。

 

途中に設置された真桜印のトラップも並のものではなく、許可を得ないで入ろうとすれば、命の保障すら出来ない。

 

部屋へと入ると、地下でありながら快適な換気のなされた部屋は、大量の紙に埋め尽くされていた。

 

そう、この部屋にあるものは大半のものが”紙”であった、しかも上質の。

 

まだ製紙量産技術が確立していないこの時代にも関わらず……密かに一刀の知識が活かされているのが伺える。

 

そして机の上に広げられた最も大きな紙。

 

これこそがまさに魏軍最高の至宝であり、そして最強の兵器でもあった。

 

大陸の詳細地図である。

 

すでにこの地図も活版印刷技術での量産に成功しているのだ。

 

漢王朝の国都洛陽を占拠するということは、見方を変えれば最強の情報源を得るということだ。

 

この時代において、各地の収穫高、人口、気候情報、特産品、そして地形を記した大陸全土を記した地図。

 

王者の必定。

 

漢王朝時代に集められた大陸各地のあらゆる情報は、この洛陽へと集められたのだ。

 

それを纏め、彼女達が活用すればどれほどの脅威になるか……

 

「どうしたのよ一刀、わざわざここまで来る用事なんてあった?」

 

地図と報告書を刷り合わせながら、先ほど別れた詠が声をかけてくる。

 

どうやら詠は恋達とはべつに、ここでの仕事があったようだ。

 

「ん、まぁちょっとな。

 悠はいるか?」

 

「は~い一刀、こっちよこっち」

 

部屋の片隅で悠の声が上がった。

 

一刀が声の上がった方へと近寄ると、悠が椅子に座りながら色々と報告書を纏めている。

 

手にしている報告書の内容を見るに、どうやら各国から魏へ侵入してくる者達の報告書らしい。

 

「お疲れ様……こうみると、大なり小なり間諜ってのは随分といるんだな」

 

「まぁね~、魏……特に洛陽は完全な情報統制を敷いているから、知りたがってる連中なんていくらでもいるでしょ。

 少しでも怪しい連中は、どれも関を越えられないけどねぇ……あら、そういえば私に何か用?」

 

「うん、菖蒲のことでちょっと聞きたくってね」

 

「菖蒲が?」

 

「ああ、今日な……」

 

一刀は掻い摘んで説明するのを、悠が静かに聞いている。

 

やがて一刀の話しが終わると、悠は深く思案するように瞳を閉じた。

 

「う~ん……でも、そっか……」

 

1人でぶつぶつと呟きながら、悠が考え込む。

 

「そうねぇ、いつかこうなる日もくるとは思ってたし、一刀なら適任かもね。

 よし! じゃあ私からいいこと教えてあ・げ・る」

 

そう言われて手元に招き寄せられた一刀に、ごにょごにょと悠が耳打ちする。

 

「……そうなのか?」

 

「多分ね~、でも気をつけてね。

 あの子見ため以上に繊細だ・か・ら」

 

「ああ、ありがとな!」

 

軽い足取りで出て行く一刀を横目で流し見ながら、詠が声をかけた。

 

「何を言ったの?」

 

「あら、気になるの?」

 

「べ、別になんでもないわよ」

 

__まったく……どうしてこの国にいる女性は皆してツンケンしているというか、やたら奥手なのかしらねぇ。

 

悠が呆れて溜息をつくと、思考を菖蒲へと切り替える。

 

これは彼女にとって、なかなか克服出来ない問題だ。

 

ある種逃避のような解決を見ている現在だが、いつかは誰かに気づかれてもおかしくはなかったのだ。

 

「頑張ってね菖蒲……一刀なら大丈夫よ」

 

 

天に祈った悠は、次の報告書へと手を伸ばすのであった。

 

 

「……それで、どうしてこうなっているのでしょうか?」

 

「いいじゃないか、菖蒲さんとこうしてご飯を食べるのも、久しぶりなんだし」

 

一刀が菖蒲を引き連れてきたのは、街の中にある平凡な飲み屋であった。

 

予約でもしていたのか、小さな個室へと案内される。

 

卓に並べられるのは、タレがたっぷりとかかったやき鳥や、芳しい香りを放つ焼き魚、女性向きにということで煮物も取り揃えられていた。

 

菖蒲はしなやかな手つきでお酒を飲んでいるが、一刀は冷たい茶を飲んでいた。

 

焼酎や老酒の香りが店内には充満しており、一刀はそれだけでも酔ってしまいそうだった。

 

「ですが……一刀様ほどの方が、このような場所に出入りしているとなると……」

 

1つ1つが優雅な手つきで、菖蒲が焼き魚の身を解している。

 

一刀は冷たい烏龍茶をグイッと飲み干すと、タンッと机に器を叩き置いた。

 

威勢が良いのは、変装しているからか。

 

「あっはっは!

 心配性だなぁ菖蒲さんは、大丈夫だって。

誰も俺なんかに気づきもしない……菖蒲さんなら、一目でバレちゃうだろうけどな」

 

「そんな! ……私だなんて」

 

そうやって恥ずかしそうに俯く菖蒲は、流れるような銀色の髪を大きく括り、普段つけもしない帽子を被っていた。

 

服装も将軍職という地位の人とは到底思えぬ、安っぽい麻布仕立ての平服をまとっており、ごわごわとする生地がちょっとだけくすぐったい。

 

一刀の方はというと、ただの普段着なのだが、頭にバンダナのような布をつけていた。

 

天下の魏軍でも、超重要人物に指定されるこの2人が、場末の飲み屋に呑みにきていると言っても、誰が信じるだろうか。

 

菖蒲の綺麗で目立つ白いサラサラとした長髪を隠すのは大変だったが、ここには沙和の手腕がふるわれている。

 

よく見てしまえば菖蒲だとわかる人もいるだろうが、そうそう気づかれはしないだろう。

 

現にさきほど案内をしてくれた店員も、一刀は勿論のこと菖蒲にも気づくことはなかった。

 

ほんのちょっと……毛の先ほど悲しいことがあるとすれば、一刀は普段着にバンダナを巻いただけだったことくらい。

 

一刀が悠と別れた後、彼は菖蒲を食事へと誘った。

 

その突然の申し出に驚いた菖蒲だったが、一刀から誘われたのならばと勇気を振り絞って応えた。

 

どんなお店へ連れて行ってくれるのだろうかと、不安と期待を混ぜた心情でついていくと、街の片隅にあるこの飲み屋だったのだ。

 

菖蒲としても魏の武官となってからは、こういうお店にきていないので、懐かしい気持ちを喚起させられるが、逢引ならばもうちょっと趣向が凝っていても良さそうなものである。

 

適当に注文をした一刀と菖蒲は、騒々しい店内の喧騒から区切られて、2人で焼き魚を箸でつついていた。

 

絶妙な加減で焼かれた魚は、菖蒲の丁寧な箸使いでどんどんと身を解されて、油をしたたせる身と小骨とを、見事に分離させられていく。

 

摩り下ろされた大根おろしと合わせて、とても美味しい。

 

一刀は焼き鳥の串を口に含みながら、なにげなく話し始めた。

 

「菖蒲さん……んぐ……今日は大変だったかい?」

 

もぐもぐと食べながら話す一刀に、菖蒲はうっと軽く呻いた。

 

「えっと、あの、今日はその、す、すみませんでした」

 

「いやなにも謝らなくても……菖蒲さん、ずいぶんと大変そうだったからさ」

 

ああ、とこの時、菖蒲は心中で思った。

 

目の前のこの人が何を言おうとしているのかが、わかってしまったのだ。

 

今日のことで心配させてしまい、そして恐らく彼は気づいている。

 

午前の時に、お茶をしながらつい昼寝をしていた時のことを思い出す。

 

小さい頃の記憶。

 

私を囲む、苛むような視線。

 

いつも影で蹲っては泣いていた。

 

これではいけないと思い、大丈夫なようにと今日までずっと頑張ってきた。

 

あの日、ようやく光明が差して、魏の将へと身に余る職分へ就かせて頂いたが、いつかは誰かに気づかれるだろう事はわかっていたのだ。

 

それが今日であり、彼となったということ、ただそれだけだ。

 

「お? どうやら始まるのかな」

 

何かを察して俯く菖蒲に、一刀が竹串を銜えながらそう言った。

 

なんだろうと菖蒲が顔を上げると、後ろの仕切りに多くの人達が上がり込んできたようだ。

 

こういう飲み屋では、特に珍しいことでもない。

 

少し気になったので、顔をあまり出さないようにと振り向いた。

 

__あれ?

 

「よ~し! お前ら、全員集まったな! これから我等徐晃隊における、鉄の掟を新人のお前達に教え込む! 酒の席ではあるが、決して忘れるでないぞ!」

 

威勢のいい声で、仕切る大男がいた。

 

菖蒲がその顔に覚えがあるのも当然だ、自分の隊の第2部隊長なのだから。

 

がつんとした四角い顔立ちで、お手本のように太い腕の先には、大きな杯を揺らしている。

 

男の鶴というよりも熊のような一声で、集まっていた男達はシンと静まり、呑み場にも関わらず真剣な表情をしていた。

 

これから何が始まるんだろうと、菖蒲が様子を伺う。

 

「いいか、お前らは今日付けで徐晃隊へと編入した。

 今朝には、徐晃様と司馬懿様のありがたいお言葉を受けたと思うが……」

 

「あ、あの、すいません」

 

「んん、なんだ?」

 

「それが、今日は司馬懿様ではなく、北郷様がお見えになったのですが」

 

「な、なんだと?! それは本当か!」

 

副隊長の男は顎に手をあて、むむむと唸ると、わかったと言った。

 

「ううむそうか、いや、よし。

 お前たちに話があるのはそのことなのだ。

いいか、お前達もこの隊を志望届けに書いた者ならば、一度は聞いた事があるだろうが……」

 

 

「徐晃様は少し……ほんの少し男がお苦手だ」

 

 

「ふくっ」

 

熊のような男の言葉に、菖蒲が上品に咽た。

 

一刀が菖蒲を庇うように、こちらを向いた数人の男達へなんでもありませんと手を振る。

 

男達はまた姿勢を戻すと、部隊長が続けた。

 

「我等が隊長である徐晃様は、お見た目通りとても繊細なお方だ。

 そしてそれは司馬懿様にも言える事。

 よって我々は、”徐晃様と司馬懿様に接する3則”というものを定めている」

 

「「「「「「徐晃様と司馬懿様に接する3則?」」」」」」

 

若い男達の声が揃った。

 

「そうだ、まず第一に慣れなれしく接してはならない。

 これは当たり前だな。

我々は軍隊であるし、上司は絶対だ。

北郷隊において、北郷総隊長は我々によくしてくれるが、それに甘えてはならん。

これは元・楽進隊、李典隊、于禁隊ともに大丈夫だろう。

第二は、徐晃様達の付近、三歩以内にむやみに近づいてはならない。

第三は、司馬懿様不在の状況においては、さらに細心の注意を払うこと、以上だ」

 

男の言葉が終ると、がやがやと声が上がった。

 

どういうことだという疑問符が飛び交い、顔を見合わせる。

 

「いいか、よく聞けよ。

 徐晃様は率直にいえば、男が近くにいると身構えてしまう。

顔の知らない男であらば、特にといっていい。

よって今朝の訓示、徐晃様のお気持ちを考えると、俺はもう……くぅぅっ!」

 

そうして大層無念そうに頭を振る男は、神妙を通り越して泣き顔のようであった。

 

熊のようなごつい顔といい、食いしばった歯軋りの音といい、なかなかの迫力をもった男である。

 

「しかし徐晃様は、その苦手な男を克服されようと日々頑張っておられる。

 まだたどたどしくも、一生懸命我々に話しかけてくれるし、怪我をすれば心配だってしてくださる。

だから正確にいえば、我々の方から不用意に徐晃様へ近づいてはならんという事なのだ。

 いたずらに驚かせてしまうからな」

 

「そうだったのか……そういえば今日の徐晃様、顔色が悪かったような……」

 

なるほどという声が上がる中、1人の兵が手を上げた。

 

「しかし、それでは3つ目の規則はなんなのでしょうか?

 司馬懿様がいなければとは……」

 

「うむ、いい質問だ。

 これは真偽のほどをご本人に確かめたわけではないので、あくまで徐晃隊にいる者達の経験則となるのだが、恐らく徐晃様は司馬懿様が傍にいると、なんというか……お強くなられるようなのだ」

 

「強くですか?」

 

「うむ……きっと人一倍顔見知りの激しい司馬懿様を、徐晃隊長がお守りしようとしておられるのだ。

それがわかるからこそ、我々は細心の注意を払わねばならん!」

 

副隊長の力の入った言葉に、おおっと男達から歓声が上がった。

 

「我々の隊は、他の隊の将軍様達とは少し違う。

 強く賢く美しくは他の将軍様方も同じだ、だが我々の将軍であるお2人は人一倍健気でもあるのだ!

 そして我々の普段の役目は、戦場でお世話になるお2人が快く生活できるよう、そぉっっっと見守ることである!

適切な距離を保ち、無遠慮に近づく男を排じ……もとい避けさせ、男に少しずつ慣れていってもらうのだ」

 

その言葉に力強い頷きが返ってきた。

 

誰も異論はない。

 

戦場では敵兵をものともしない彼女達にだって、弱さはあるのだ。

 

戦場で命を預ける事になる彼女達には、自分達のできることであればなんでもしたいという思いが兵達にはあった。

 

現にここにいる新兵達の何人かは、戦場において菖蒲に直接命を助けられた事がある。

 

戦斧を振り下ろす彼女に尊敬していた。

 

だからこそここに揃った皆は、この隊を志願したのだ。

 

「……よし、皆にも杯が行き渡ったな?

それでは我々徐晃隊の未来を祝し、乾杯しようではないか!」

 

「「「「「乾杯っ!!!!」」」」」

 

そして各々は杯を挙げ、男達は席に落ち着いたようだ。

 

仕切りが隣のせいか、耳をたてると何を話しているかが聞こえてくる。

 

ああだこうだという議論から、今度の将軍人気投票でどうやって2人の評判を広げるかなど、話題には事欠かないようだ。

 

食卓の上のホッケの干物はすっかりと骨となり、一刀は次の御新香へと箸を伸ばした。

 

何も言わず、冷たいお茶へと口をつけて、あさってを眺めている。

 

ポリッポリッと歯ごたえのある、浅く塩味のついた漬物が美味しい。

 

向かい合って座る菖蒲は深く俯き、正座している膝の上で拳を固く握っていた。

 

 

ポロポロと、白い肌から涙が落ちていた。

 

 

「一刀様、今日はありがとうございました」

 

「ん? ああ、どういたしましてって、俺がいうのも変か。

 実はなあれ”悠様ですか?”……バレてたか」

 

頬を掻く一刀に、菖蒲は微笑む。

 

その目元はうっすらと赤く腫れていたが、表情はすっきりとしていた。

 

「悠様らしいと、そう思います」

 

ふふっと口元を少し隠すようにして笑う菖蒲は、本当に上品で儚く、そしてなにより美しかった。

 

横目で見ていた一刀は、思わずどきっと心臓が高鳴るが、次の瞬間にはもっと跳ね上がった。

 

今日という一日も終わりつつあり、城内は人気も少なく、廊下には2人しかいなかった。

 

2人の影が並んでいて、その間には光が差し込んでいない。

 

そっと手を伸ばした菖蒲が、一刀の指を2本ほど掴んで握ったからだ。

 

「っ」

 

「…………練習、です」

 

消え入りそうなか細い声で、俯きながら話す菖蒲の表情は伺えない。

 

ただ彼女から手を伸ばしてきたというこの事実が、一刀の姿勢をぴっと正させた。

 

まるで組み木人形が行進するかのように、カクカクと歩く一刀。

 

となりでは菖蒲が頬を紅潮させながら、下唇を軽く噛んでいる。

 

だけれど人差し指と中指はぎゅっとして放さない。

 

ぎこちなく、そしてゆっくりとした歩みで、2人は静まった廊下を進んだ。

 

やがて菖蒲の部屋に近い廊下の角までくると、そっと2人の影が離れる。

 

分かれ道となる通路に一歩先んじて進んだ菖蒲は、丁寧に一刀へお辞儀をした。

 

「わざわざお見送りをして頂き、ありがとうございました」

 

「ああ、いえ、そんなお礼を言われることでも。

 気にしなくてもいい、うん、今日は菖蒲さん疲れただろうし、えっと、つまり……」

 

いまだ緊張感が解けなかった一刀が、普段からは考えられない慌てた手ぶりで、何かを言おうとしている。

 

”おやすみ”って、その一言だけでいいのにと菖蒲は微笑む。

 

混乱しているのか、まだ言葉を続けようとする一刀に、菖蒲はスッと腕を伸ばした。

 

今度は朝の時とは違って、ちゃんと腕は届きそうだ。

 

「あーっと、俺は一体何言ってんだろうか、んっ」

 

開きかけた一刀の唇に、人差し指を押しあてて止めさせる。

 

「おやすみなさい」

 

つっと唇から人差し指を離した菖蒲は、最後に精一杯に微笑んだ。

 

それで落ち着きを取り戻したのか、一刀も応じるように笑う。

 

 

「……おやすみ」

 

 

「ふぅ」

 

パタンと自室の扉を閉めた菖蒲は、そのまま扉に寄りかかるように背を預けた。

 

破裂してしまいそうな心臓が、ドクンドクンと音を立てているのがわかる。

 

体が震えるくらいだった。

 

菖蒲はそっと思いだすように、指先を見る。

 

さっきまで彼の唇に触れていた指だ。

 

「わ、私ったら、なんてはしたない真似を……」

 

そういいながら両手を抱くように胸へと引き寄せる。

 

瞳をきつく閉じると、やはり心臓はドクンドクンと跳ねていた。

 

菖蒲はゆっくりと力を抜き薄く瞳を開くと、握っていた手を緩めた。

 

そして震える指先を、自分の唇へと運んでいく。

 

 

「……っ」

 

ほっそりとした指先と唇が触れた途端、菖蒲は逃げるように寝床へと飛びこんだのであった。

 

 

どうもamagasaです。

 

だいぶ遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

 

いつも多大な応援をありがとうございました!

 

今年も季流√をどうかよろしくお願いします。

 

 

今回は原作にはまったく登場しない、オリジナルキャラ菖蒲と氷の拠点となりました。

甘いというよりも……

 

プラトニーーーーック!!!! ですかね。

 

いかがでしたでしょうか?

お楽しみ頂ければ幸いです。

 

 

感想、コメント、応援メール、ご支援、全てお待ちしております!(批判でもOKです!)

 

 

作品や文章構成に対して、こうしたほうがいい、ああいうのはどうか? などの御意見も、お手数ですが送って頂ければとてもありがたいです、よろしくお願いします!(厳しくして頂いて結構です!)

 

 

まだまだ力不足で未熟な私では御座いますが、一生懸命改善出来るように努力しますので、是非によろしくお願いします!!!

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「初〇笑い」

 

一月五日某時刻。

 

初詣やらなんやらを終わらせ、静けさと日常を取り戻しかけた、そんな日であった。

いつもの如くPCの電源をポチッとしたら、ずっとWindouwsのロゴがでっぱなしだった。

はて、小生はこんな壁紙を設定した覚えはないぞと、”よつ〇と”のダンボーの壁紙のはずだぞっとキーボードを打ち込みマウスを弄くるがいつまでたってもアイコンの一つも出てきやしない。

何度も何度もクリックを連打する小生だが、どれだけ叩いてもわしの思いは届かなんだ。

 

非常に嫌な初苦笑いとなってしもうた。

 

 

「ご臨終」

 

だが、PCは整備し直せば生き返る、これは非常にありがたい特性だ。

 

しかしOSからやられてるとなると、話が俄然ややこしくなるのも事実。

幸い拙者のPCは一台ではないが……メイン機はとても大切だし、思い入れもある。

仕方なく何度か電源を入れたり消したりしてみたが、結果からいうと駄目だった。

 

またゲームとかをいちいちインストールし直さなければならないのか……と肩を落としつつ、OSを入れなおそうと思ったが、これもなかなかうまくいかない。

どういうことだ? どっかパーツがイカれたのか? と思ったが、途中まで動いているのに不意に動かなくなるとはこれいかに。

そしてまもなくして原因判明。

 

ああ、HDが逝っちゃってたのか。 拙僧の完全敗北。

 

 

「家電屋はまだ大忙し」

 

しゃーないので、中古のHDを買ってきた。

ようやく上手く動いてくれた。

 

 

「この際だが」

 

まぁもともとウイルス対策ソフトも重くなるから入れてはおらず、以前から動作もなんとなく怪しかったから、去年の夏頃からいつ終わるかなぁと思って、季流√とかのデータはちゃんとバックアップしておいたのは助かった。

 

この際だからウイルス対策ソフトも買ってきて、私と同じようにPC君にも予防接種を万全にしておいた。

ちなみにノー〇ン先生ではない。

これでしばらく風邪はひかないだろうと、一息ついて気を緩めた。

 

そんでふと気がついたんだが、私の手元には光り輝くipadがあった。

 

は? まったくわけわかんね。

衝動で買っちゃったのか、私よ。

これで金が完全に無くなったー、うはははは。

 

 

「でもまぁ、結構便利ですね」

 

ネットで使う分には結構便利かも、反応は早いし、危惧していた打ち込みも案外楽だった。

私の場合電子書籍閲覧というよりは、ネット接続と優秀な電子辞書として使うかもせんな。

それでこのさいだから色々と整備しておこかと思い、twitterとかのアド(アカウント?)を変えさせて頂きました。

それでもあまり使い方をわかっていないというロートルぶりな儂ですが、これで少しはマメに更新ができるようになるかも?

 

ですのでよかったら、フォローとかしてもらえると嬉しい……です(スイマセン適当こきました。実はフォローとかって、何がどうなるのかがさっぱりわかってないんです。 ですので今度勉強してきますね。 2〇ャンとかm○xiとかやらなかったつけが、今になって回ってきてるのかもしれない……この手のものの感覚がわからないんです、マジデ俺ナサケナー)

 

ほんと時代遅れだなぁ俺、と感じた今日この頃でした。

 

今回の一連の事で一番ショックだったことは、IME登録辞書をうっかり保存し忘れ……失ってしまった事だったんよ。

これは地味に痛い。

リバーブローのように効いちまったよ。

ほんと、書き物を多少でもPCでする方であれば共感してもらえるでしょうが、これはなかなか手痛いんですよ。

 

1つ1つ登録していって育ててきたようなものですからね、何を書くにしても打ちにくいったらありゃしない。

かなり前の登録辞書の残りしかなくて、これは本気で項垂れた。 敗北(判定負け)。

 

 

「徐晃こと菖蒲」

 

えー、とりあえず新年から耳に良くない話はここらで置いておいてですね、まず徐晃こと菖蒲さんから。

アンケート第3位の大人気。

郁さんのキャラクター説明にそえられるよう、頑張らせて頂きました。

(右上の素晴らしい菖蒲さんを皆さんでクリック!)

 

どうでしたか?

あまり想像と違っていたら、ヤッバイですね(汗)

 

清楚なお嬢様を地でいくのが菖蒲クオリティーですから、こんな感じでいかがでしょうか。

自分的にはまぁ70点、くらいですね。

最後のシーンは気に入ってまっせ。

 

焼き魚と漬物で酒を飲みたくなった。

 

 

「司馬懿こと氷」

 

白黒コンビの片割れ、黒役の氷さん。

アンケートはまさかの2位という健闘ぶりなのです。

彼女には小動物特性をつけてみた、どうでしょう?

今回拠点がまるまるオリキャラなので、安心感がゼロですねぇ私。

ずっと「どうでしたか?」と皆様にお伺いを立てるしかないのかもしれない……

私はインフルの予防接種を受けました、生還したPC君だってウイルスの予防接種してあります。

だがしかし!

 

作品に予防線ははりたくないので、はっきりといってくださって結構です!

途中ふざけた部分もありますが、2人は良かったのか、駄目だったのかを皆様に率直にお聞きしたい!

 

どうでしたか!?

 

今後、私の肥しになりますので、忌憚ないご意見をお待ちしております。

 

 

「食は三大欲求=食事は萌えー」

 

ここらは大丈夫だと思うのだが、どうか。

恋と季衣と凪という三大食べキャラ萌えに、氷をつけさせて頂いた形だ。

 

流れが不自然とかは気にしていない。

とにかくこの形が見たかったから後悔もしていない。

ちなみにこの場面は、いつかのコメントで”恋と凪が揃った食事風景がみたい”というお言葉から生まれたシーンです、コメントありがとうございました!!!

 

 

「将棋ランキングは……」

 

結構それっぽくなかったですか?

稟と風、桂花のポジションをどこにするかに迷いましたが、こういう差があってもいいかと。

相性ってありますよねぇ。

まぁ恋は圧倒ですが……デフォデフォ。

 

 

「次は袁家か、董卓軍か」

 

どっちも全員分の拠点は出来てるんですよね、見直す必要はあるんですけど。

麗羽達がちょっと不自然なできとなりました(字数制限のこともあって、自分で納得がいっていない)話の内容的に6万字くらい必要かとは思ったんですけど、3万字に詰めこんだんで、節約感が滲み出ている一作と相成った。

 

思いつきだけじゃなくて、ちゃんと考えて書かないと駄目だなぁと痛感しました。

近いうちに更新できるとは思いますが、その際にはまた暖かい応援をよろしくお願いします。

 

 

「新年のご挨拶として。」

 

皆様によい一年が訪れますよう、ネット上からではありますがお祈りしております。

amagasaの抱負としましては、皆様の貴重なお時間が無駄にならなかったと感じて頂けるような、作品作りをしていきたいと考えております。

 

目標は”完結”ですね。

 

 

 

 

 

 

 

では、また。

 


 
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