
■※※※注意事項※※※■
・素人故の文章力不足。
・原作設定の崩壊。
・キャラの性格崩壊。
・浮き沈み無しのグダグダ文。
・笑い無し、涙なし、ポロリもなし。
・和兎、行き当たりばったり感の変わらないただ一つの駄作者
上記の中に「ねーよw帰れw」と思われた方は、今すぐPCの電源をお切りください。
それ以外の方は、つまらない時間を過ごす覚悟をした上で、賢者の心境でお読みくだされば幸いです。
夏には恨めしいくらいの日差しをくれる青空ではあるが、この季節にもなるとむしろ有難ささえ感じてしまう。
身を刺すような冷たい風は今は治まり、なかなかに良好な天候となっている。
しかし――
「検問?」
街までもう少しというところで、街道に検問が敷かれているというのだ。
そのせいで街道の中腹にまで行列が出来上がっている。
行列に並ぶ顔は、商人であったり帰郷する者であったり、また私達のような旅の者であったり。
「こんなところで検問を敷く予定なんてあったかしら」
「なんか知らんが、急に出来たらしいぜ。どんな事件がおきりゃそんな事になるんだか」
話を聞いてみると、前に並ぶ男はうんざりした顔でそう言う。
この男も遠くから来たのであれば、予定を狂わされてさぞ迷惑なことだろう。
「ま、待つしかあらへんのと違う?」
「……そうね」
佑の言う通り、文句を言えば通して貰えるようなものでもない。
結局は順番をまつしかないのだが。
「いざ調べられる側に立つと、結構面倒なものね」
「むぅ、妾が言っても無理なのか、七乃?」
「もう美羽様の領地はありませんからねぇ。どっちにしても無理かとおもいますよ~」
「そうかぁ」
しぶしぶ、美羽も納得してくれた。
それから四半刻ほど経過したところで、ようやく列が動き始め、それにつられるように私達も歩を進める。
と、そんな時だった。
「もう我慢できるか!!!!」
数組前の男が急に叫びだした。
よほど切羽詰っているのか、表情はとても正気とは思えない。
「いつまで待たせる気だ、てめぇら!!!こんなもんが出来るなんて俺ぁ聞いてねーんだよ!!」
「何を騒いでいる!だまって並んでいろ!!」
「ふざけんな!!俺は急いでるんだよ!!!」
男は近づいてくる兵士に今にも掴みかかりそうにつめ寄っている。
「…………他人の土地なら放っておくところなんだけれど、そうもいかないわね」
「?何する気や?――って、ちょ、おい!」
兵士の胸元へと伸びる男の手を直前で掴み、静止する。
汗が気持ち悪い……。
「ああっ!?なんだこらぁ!」
「そこまでにしなさい。こんな事をしている間、検問の作業も止まっているのよ」
完全に我を見失っているようだ。
目は血走り、吐く言葉の一つ一つに怒気が篭っている。
「っせぇ!!関係ねぇのはすっこんでろ!!」
「理解できていないようね。おとなしくしていなさいと言ったのよ」
掴んでいる手にさらに力をこめ、男の腕の骨をきしませる。
「ぐっ…ぁっ……!て、めぇ……!!」
男はもう片方の腕を振り上げ、拳を作り上げた。
「その手、振り下ろせばお前は次の朝日を拝めなくなる。その覚悟はあるのかしら?」
もちろん、ただで済まないのは私も同じ。殴られる上に正体もばれるだろう。命を落とす分、この男の方がいくらか不幸ではあるけれど。
「うるせぇ!俺は――っ!!!」
そんな思考ができるほど、この男は冷静ではなかった。ここまでくると、怒りというよりもまるで何かに怯えているようにさえ思える。
拳が視界を埋める直前――。
「げぶぁっ!?」
吹き飛んだのは殴りかかった男のほうだった。
「そこまでにしておけ。お前のいい分も分かるが、これは魏王曹操様の命だ」
男を吹き飛ばした手の主であろう声は、聞き覚えがあるなんて程度のものではなかった。
◆ ◆ ◆
◆ ◆ ◆
「か、夏侯淵様!?何故このようなところに……!」
「何、他に手の空いているものがいなかったのでな。列が止まっているからおかしいと思ってきてみれば、こういう事だったか」
「……」
「そちらも手間をかけたようで申し訳ない。名を聞かせて貰えるか?」
「っ!?」
――まずい。すごくまずいわ。
まさか秋蘭がいるとは思わなかった。ここで偽名を使ったところで声でばれてしまう。秋蘭ならそれくらいあっさり見抜くはず。
「ん?どうかしたか?」
「ぃ、ぃぇ……」
「すまないな、よく聞こえなかった」
まずいまずいまずいまずいまずい。
ここでばれたら確実に許まで強制送還からの無期限監視が待ってる。
今はまだ帰れないし、帰ったところでまともに皆の前に立てる自信がない。
というより何より、”キレた秋蘭を見たくない”。
「――?」
秋蘭の顔が近づいてくる。変なおせっかいを焼いた結果がこれなら、もう二度と他人の世話なんてしないと誓う。
「申し訳ありません~。彼女、少し精神の起伏が激しい子でして~」
「ん、こちらの関係者か?」
「えぇ」
後ろにいたはずの七乃だが、突然私の横に立ち、声をかけてくる。
いえ、正直助かったわ。
――助かったけれど、この私が痛い子扱いはどうなの……。
「そうだったか。彼女には世話をかけたのでな。礼をするためにも名を教えてもらいたいのだが」
「あぁ、そういう事でしたか~」
「――ところで、彼女の名とは別に、そちらはもしかして張勲という名でないか?」
「ほぇ?」
やはり秋蘭は覚えている、か。
姉ほどの武はないかわりに、知のほうは軍師にも引けをとらないものね。
「これはこれは、覚えられていたとは、光栄ですね~」
「という事は、袁術もここにいるという事か」
「えぇ。後方でお待ちいただいてますよ~」
「…………特にお前達を捕らえろという命は出ていないが、おかしな事はしないでくれよ」
「もちろんですよ~」
「……まぁいい。という事は彼女も袁術の関係者ということか?」
「え?」
「うん?」
「え、えぇ、えぇ、そうですよ~。彼女はえ~っと……美羽様の……そう、姉、お姉様なんです!」
「袁術の姉……?」
七乃……それはさすがに無理がないかしら……?
「ふむ……。そんな者がいるなど聞いた事もないが……」
「戦時中はいろいろと複雑でしたからね~。表沙汰にはほとんど出てこられませんでしたので」
「そうか。そういう事ならば、改めて顔と名を覚えておかねばならんな」
「へ!?」
「袁家の人間は把握しておかねば、いつどこで曹操様に害を与えるかわからんからな」
「あ、あはは……」
秋蘭、それには激しく同意するけれど、今は空気を読みなさい。
それにあなたの言う曹操様は目の前なのよ。
「さて、せめて顔くらいは見せて貰えるか?」
「…………!」
秋蘭の足がこちらを向く。
半歩、前へと進む。
――――。
「おらあああああああああああ!!!!!」
「ごはぁぁっ!!?」
突然の声に、皆がそちらを向く。
そこには肩で息をしながら拳を振り下ろした佑と、打ち倒された兵がいた。
「貴様!何をしている!!」
「うるさいわい!さっさとこの行列なんとかせえや!!」
「ええい、こいつも連れて行け!!」
すぐに数人の兵がかけより、佑を取り押さえた――が。
「はんっ!!捕まってたまるかい!!」
二人の兵を吹き飛ばし、そのまま門の方向へ走り去る。
「くっ、追え!私もすぐに向かう!――……それどころではなくなった。私は奴を追うが、お前達も騒ぎは起こすなよ」
そう言うと、秋蘭は佑を追って行ってしまった。
「……ふぅ、助かりましたねぇ。華琳さん」
「えぇ」
「これは佑さんのお手柄ですか?」
「……手柄?今のが私のためにやった事だとでも言うのかしら」
「それ以外に佑さんがあんな事をする理由がありませんよ?」
「たしかに秋蘭にバレる事は避けれたけれど。百歩譲ってそれが佑の狙いだとしても――」
手柄なんていいもので有るはずが無いのよ。
「……救い出す手間ができたじゃない。いい迷惑よ」
「あらあら……」
まったく。手柄というならもう少し賢い方法でしてほしいものよ。
あれじゃ捕まった時にはもっと大変な目にあうじゃない。
「…………助ける事は前提なんですねぇ」
「何か言ったかしら?」
「何でもありません~」
◆ ◆ ◆
◆ ◆ ◆
「――で、無事検問は越えたわけだけれど」
「佑さんをどうやって助けます?」
「せめてアレがどこにいるのかくらい分かっていればね」
まだ街の外を走り回っているのか、それとも街に上手く忍び込んだのか。
できるなら後者であってほしいところだけど。
そのふたつのどちらでも無い場合、最悪の状況としては――
「ん?なあ、華琳~、あれは佑みたいじゃぞ」
「えぇ、今その佑がどこにいるのか考え――……は?」
美羽が指差すほうをみると、手首を縄で縛られ、首と繋がれている佑が兵士に連行されていた。
「……どうして悪い予想って当たるのかしらね」
「根拠があるからじゃないですか?良い方は希望が入るといいますし」
「……そうね」
とにかくどこか落ち着ける場所で対策を考えないと……。
「一応聞いてもいいですか?」
「何?」
「佑さんは捨てるつもりだったのでは?」
「……曹操という人間は受けた借りはすべて返す人間なのよ。なんならあなた達はここで別れてもかまわないわ」
「と言ってますけどどうなさいます、美羽様?」
「んー……しょうがないから助けてやるかの」
「ほぇ、珍しいですね。美羽様が人を助けようなんて」
「うむ。今回の恩で一生奴をこき使ってやるのじゃ」
「おぉ、さすが美羽様です~。天の御遣いを奴隷にするなんて大陸中みても美羽様しか思いませんよ~!」
「ふふん。もっと褒めて良いぞ、七乃!」
こうして今のこの美羽が出来上がっていったわけね。
あーあぁ、七乃もいい顔しちゃって。
「それじゃ、どこかで休息するついでにあの馬鹿を助け出す方法でも――」
「うん?どうかなさいました?」
「……いえ、よく考えたら何もしなくていいんじゃないかとおもってね」
「何もしなくていい?」
「えぇ」
◆ ◆ ◆
◆ ◆ ◆
さすがに前の村よりも大きな街といったところか。人の出入りは比べ物にならない。
それでも許にくらべれば幾分の一くらいだけど。
けれど少なくとも市が開けているというのは大きい。ここで大体の物は買い揃える事も可能だろう。
「何もしなくていいとはどういうことじゃ?」
「佑が殴ったのは一般の兵士だもの。アレの口が滑らない限りは問題ないわ」
「すべるとどうなるのじゃ?」
「……実は失踪中の曹操と占いの御遣いが袁術とその側近と共に辺りをうろついている事になるわね」
「曹魏さんとしてはツッコミどころ満載ですねぇ」
「だからよ。アレがそこまで馬鹿でない事を祈るばかりよ」
何もしなければ佑が少し罰をくらう程度ですむ――。
「……しまったわ」
「え?」
「あいつをここの服に着替えさせていなかった」
『あ…………』
こうなるならまだ美羽に殴らせたほうが良かったかしら。そっちのほうが袁家という名前の効果で多少はその背景をぼかす事ができた。
いえ、美羽が殴るという行為がそもそもありえないわ。
だいたいあの場での佑の機転自体が予想外だった。
「佑がどこまで誤魔化せるか……。七乃、最悪すぐにここを出ないといけないかもしれない。今のうちに必要なものをそろえておきなさい」
「んー、それでいいですか?美羽様」
「うむ、問題ないぞ!あ、蜂蜜はぜったいじゃぞ、七乃!」
「了解です~」
七乃は美羽の側近。あくまでそう言いたいのかしらね。
美羽は蜂蜜が手に入ると分かって嬉しいのか、人ゴミに混ざらないようにしながらも元気にはしゃいでいる。
「……華琳さん」
「何?」
「”命令”という形をとるのはできればやめてくださいね~。――……私も王様と事を構えたくありませんので」
「……覚えておくわ」
「ありがとうございます~」
美羽の後をついていきながら、七乃はそう言い残して市の中へと入って行った。
「……私とした事がね」
気が緩んでいたのかしら。美羽は”元敵”。かといって私の”仲間”というわけじゃない。
戦を終えても、その根が消えるわけではない。
私が麗羽の一族を毛嫌いしているのと同じく、七乃も美羽以外を味方とは認めない。
「さて、どうしたものかしらね」
◆ ◆ ◆
◆ ◆ ◆
side及川 佑
さて、困った。何が困ったって、とっさに孟ちゃんを助けたのはいいとして、この尋問を忘れとったということや。
「――名前と出身を言えといっているんだ」
これは前回の経験上いえる事なんやけど、この場合、『及川佑、東京』って答えた瞬間拳が飛んでくるねん。
かといって俺に中国系のよく有る名前なんかわからんし、地名なんかわかったもんやない。
「言えぬ素性ということか」
この綺麗なお姉ちゃんもそろそろ我慢の限界っぽいしなぁ。
――。
「なぁ、姉ちゃん」
「貴様、将軍に向かって――!」
「待て。……なんだ?」
止めてくれて助かるわ。このおっさん俺に殴られたの根にもってるんかして、さっきから人の事睨みっぱなしやねん。
「天の御遣いって信じるか?」
「天の……なんだと?」
「御遣いや。将軍さんやったら知ってるやろ?」
「さっきまでの態度と随分ちがうな。それがなんだというんだ」
「……俺がそれやっていうたら、信じる?」
「――……」
さぁ、どうでる。
「……ふははははは、天の御遣いだと!?あんな噂を、しかも終戦した今になって信じろというのか!」
おっさんの答えは聞いてないんやけど、やっぱりそういう反応になるか。
やったらしゃあないな。
「残念ながらそういう事でね。すでにその言葉に意味はないんだよ、少年」
「意味はない事はないやろ?」
「……どういう意味だ」
「――――”曹操様は元気か?”」
「っ!」
「貴様ふざけるのもいい加減に――!!」
「お前は少しはずしてくれないか」
「え?」
さっきまでの冷静な顔が急に険しくなった。
やっぱり乗ってきたな。
「しかし……」
「すまないな」
「わかりました」
男はそのまま部屋をでた。出る瞬間に一瞥くれたんはちゃんと見とったからな。
「――っ!!!」
「!?――がはっ!いきなりなんや!」
男が部屋を出た途端、女は血相を変えて胸倉を掴んできた。
「貴様、何を知っている!!!!」
「ぐ、入れ食い過ぎやで自分……!」
「言え!!知っている事全てだ!!」
「全部て……俺が知ってるんは一個だけや!――ぐぁふっ……!!」
なんつう力しとんねん、男を壁に投げるとかありえんで普通。
「言ってみろ。それ次第ではさっきの件は忘れてやる」
「――――自分、曹操の真名知ってるんやろ?」
「それがどうし――……まさか」
「そのまさかやったらどうする?」
さて、予定通りいくにはあと二回ほど賭けに勝たなあかんわけやけど。
「……なら、貴様は曹操様に直接あった事があるというのだな」
「あぁ、ある」
というかさっきまで隣にいました。
「どこで会った」
「たしか朝急いでるときに曲がり角で飯食いながらぶつかったのが初めてやったかな」
「ふざけているのか!!」
いや、わりとフラグ率高いんやて、これ。まぁ、最近はそうと見せかけて男やったりまったく関係ないサブやったりする事もあるけど。
「ふざけてへん!」
ふざけました、さーせん。
「…………どこだと聞いている」
「場所の名前はわからん。なんせ天の御遣い様やからな」
「ならば――地図で示せ。それくらいは可能だろう」
一つめの賭けは勝利、と。
「ええやろ、地図みせてくれ。あと現在地も教えてもらわんとな」
「く……。誰か!」
まずは現状の把握。最悪この場所と時間が俺の予想通りやっていう証拠がほしいな。
少なくとも、あの子がほんまに『曹操』でここが『三国史』やっていう証拠が。
■あとがき?
まず秋蘭ファンの方、申し訳ありません……。なんだか秋蘭が小物っぽくなってしまったような……。
最後は及川がちょっと頑張るシーンかけたかな、とは思いますが。
ちなみに今回はちょっと長くなったので前編という形にしました。この街での話はすこし長くなりそうな感じなので。それから街の名前とかは特に考えてません。というのも当時の地名に詳しくないもので……。まぁ、大体この辺りかなーという感じで思っていただければ。
それと、話の中であるように、まだ四人の関係は微妙なものです。特に華琳と七乃が二人になった場合が一番危険ですね。
及川の興味としては美羽>華琳≧七乃という感じですかねぇ。
美羽の場合は七乃>>>>>>>華琳>>及川くらいでしょうか。
七乃はまぁ、いわずもがなですが、美羽>>>|壁|>華琳=及川ですね。
華琳に関してはどれも似たような感じですね。美羽がすこし抜けている程度で。
まぁ、そんな四人です。
理想としては及川が上手い事接着剤になってくれればいいんですが、どうなるやら……。
ではでは、また次の機会に。
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ちょっと及川頑張る。
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