No.186197

みらいけ 才編 第二話

戦国さん

みらいけ

未来才の過去の話 第二話です

皆さん、暖かい目で見てください

2010-11-23 20:06:31 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1028   閲覧ユーザー数:957

 

才の両親が死んでから・・・一週間

 

才の人生は一気に変わった

 

家は両親の借金で、売り払い

家にいた使用人たちは次々と本家のほうへ移された

 

才に残されたのは・・・ある程度のお金と養子となる契約書の紙一枚だけだった

 

「・・・・・これにサインをすれば、俺は平成家の人間として扱われる・・・人生は安泰する・・・・でもそれで良いのか?」

「才お坊ちゃま」

 

才は高級ホテルの部屋を借り、現在、執事の善弥と共に暮らしている

 

「善弥・・・・・これが俺の運命なのか?」

「・・・・・分かりません」

 

彼らには二週間の猶予を渡された

 

才がサインをすれば生活費、これからの学校費など全て平成家が出してくれる

もちろん、善弥も仕事が貰える

 

「・・・・善弥・・・・お前、家族がいるか」

「・・・ええ、田舎の方に妻や孫達がおります」

「・・・・帰ったりしないのか?」

「仕事だと、あちらは認めておりますのでご心配は要りません」

「・・・そうか・・・・家族がいるのか・・・・」

「才お坊ちゃま・・・・」

 

才はこの頃、何かを考えていた

平成家に行けば本当に自分が求めているものがあるのか

 

 

それとも・・・・・

 

 

「善弥・・・・出かけてくる」

「っは、掃除などはお任せください」

 

 

才は学校を中退した

表では留学という話だが、事実は違う

彼が平成家に行く事になればさらに良い学校に行かされるからだ

 

才を平成家に行かせるように、本家がそうさせたのだ

 

 

「・・・・・本家の馬鹿どもが、そんなに俺が欲しいのかよ・・・・・あるいは善弥か・・・」

 

才はいつものように空を見上げた

 

 

「そういえば今日は満月だったな・・夜になったら綺麗なんだろうな・・・でも俺がいるホテル月が見えないし」

 

 

そんな風に言って、ある場所にたどり着いた

 

「あぁ?だれだテメェ」

 

そこには、五十も超えるチンピラたちが集まっていた

 

「お前らだろ、最近この辺で荒らしている暴走族は・・・・近所の迷惑なんだよ!」

「あぁ?何?まさかテメェ一人でやるんか?」

「そのつもりだが?」

「なめるんじゃねぇ!」

 

チンピラたちは一斉に才に襲い掛かり乱闘が始まった

 

「ここんところストレスが溜まっているんだ!ここで発散させてもらうぞ!」

「なんだ!コイツ!強え!」

「アニキ!コイツ、最近現れた・・・・・『蒼炎の災』じゃ!」

 

才はこの一週間色んなところに行って、ゴロツキやチンピラたちを相手にしていた

 

「テメェ等!よく覚えて置け・・・俺を怒らせるとどうなるかをな!」

 

才は暴れた、今はそれしか出来なかった

 

自分を抑える事が出来なかった

 

ただ闇雲に戦い、強くなる

 

それしか考えていなかった

 

 

 

「・・・・さて、戦利品としてお前達の物を一つずつ貰うぞ」

 

才はチンピラたちがつけていた指輪やピアスなどを外し、ポケットに入れた

 

元々、『不良狩り』と名乗る誰かがチンピラを倒し、勝利した後に財布の金を取っていく事件が話題となり

 

喧嘩などで勝利した者が敗者の物を奪う事が出来るという不良達の間でこの様なルールができた

 

才はそのルールにのっとり、現在では数々の戦利品を手にした

 

 

 

「さて、今度はどこの奴と勝負をするか」

 

そんな時に、一人の男とぶつかった

 

「ああ?にぃちゃん痛えじゃねぇか。どこにメン玉付けてんだ?」

「うっせーな、テメェこそ脳ミソいかれてんじゃねえか?・・・脳信号ぶっ壊れてんじゃね?」

 

才が見上げると、見るからにヤクザだった

 

「(・・・・・ヤクザか・・・・となると、真剣とか持っていそうだな・・・・刀とかマジ欲しいんだよな)」

 

才はただ、戦利品のことを考えていた

 

「上等だコラァ!こっちにきやがれ!」

 

才はヤクザに連れて行かれ、人気の無いところにやってきた

 

「テメェ、俺を怒らせたことを後悔させてやる」

「いいぜ、俺が勝ったら。刀でもくれよ」

「この!」

「弱い!」

 

勝負は一瞬だった、ヤクザ男が短剣を掲げ突き刺そうとした瞬間、才が腹の辺りに蹴りを入れ込み、男は倒れた

 

「馬鹿だろ、武器を持っているからって調子にのるんじゃね」

「この・・・・ガキ!」

「あ~あ、何してんだお前」

 

才、が振り向くと大勢の男達が現れた

 

「ア、アニキ!」

「おい、ガキ。俺の子分が世話になったな・・・たっぷり礼をさせてくれ」

 

男たちは長い刀を掲げ才に向けた

 

「ワオ、今日は大収穫だな」

「このガキ!」

 

 

ヤクザの刀は才を切り裂き

才の身体から所々血が流れてきた

 

「かんねんしな、命までは取らねえよ」

「俺は・・・・まだ負けていない!」

「このガキ!・・・・・『アニキ!』・・・・どうした!・・・・誰だ!」

 

 

 

ヤクザたちが振り向くとそこには才がいた中学の制服を着た少年と少女がおり

すぐ近くで一人のヤクザが倒れていた

 

 

「誰だ!・・・・コイツの仲間か?」

「いいえ、ただの後輩です」

 

才は目を疑った、そこにはあの孤児院の少年がいた

 

「・・・できれば、もう止めにしてくれませんか?・・・近所迷惑なんですけど」

「あぁ?テメェ、誰に口を聞いているんだ。そうさせてほしければ、金でも渡せ」

「止めろ、光!」

 

才は彼の名前を呼んだ!

自分は後悔していただろう、自分のせいで憧れていた者に危険な目を合わせたことを

 

「・・・・・やっぱり、ヤクザはヤクザですか・・・・・・もういいです。話になりません・・・先輩だけ連れて行きます」

 

そう言って、光は才の元まで歩いていった

 

「先輩、大丈夫ですか?」

「馬鹿ヤロウ、なんで俺なんかに関わるんだ!」

「何ででしょう?・・・自分でも分かりません」

 

光はキョトンとした顔で首を傾げた

 

「はぁ?・・・・相手はヤクザだぞ!関わったら徹底的につぶしに来るぞ!」

「・・・・・なら、こっちが先に潰しますか」

「な!」

 

光はヤクザたちを見て、一瞬にして凄まじい殺気を放った

 

「なんだ、コイツ!・・・・化け物か?!」

「・・・どうします?・・・・殺りますか?・・・・それとも、このまま引き下がって、もう俺たちに関わらないことを誓いますか?」

「・・・ふざけるな!ヤロウ共、やっちまえ!」

 

一人のヤクザが命令を出すと、後ろにいた男達が一斉に光を襲った

 

「馬鹿!早く逃げろ!」

「だいじょうぶですよ」

 

すると、光のすぐ近くにいた少女が才の直そばに立っていた

 

「お前、光と一緒にいた」

「はい、過去空と言います」

 

空は自己紹介をすると、光のほうへ向いた

 

「なんだ、これは・・・・・本当に光なのか」

 

才は唖然とした

 

彼の目の前には一人の少年が

大勢のヤクザと戦い、未だに無傷であった

それに比べて、ヤクザたちは次々と倒されていく

 

「・・・完璧に喧嘩慣れしていやがる・・・・・いったい、何者なんだ?」

「光は元々、この辺では有名な『不良狩り』だったんです」

「・・・・・・・あいつが」

「でも、院長にであって、それから変わったんです」

 

才にとって、光の過去を知った時驚いた

当然、両親がいない光は相当辛い過去があるのだと思っていた

しかし、彼の暗い過去はそれ以上なのだと才は思った

 

「・・・・・・・」

「バ、バケモノだ!!!」

 

気が付くと、半分以上のヤクザ達が逃げていった

 

「・・・・この、ガキ!大人をなめるんじゃねえ!」

 

ヤクザが刀を光に降りかかると一人の女性が鉄パイプで刀を弾いた

 

「女!誰だ!」

「ああ?・・・・コイツの母親に決まっているだろ」

 

才は知っている、彼女はあの孤児院の院長である事を

見た目は若く、二十代前半にしか見えず、誰もが年の離れた姉だと思うだろう

 

「・・なんだ、人妻か・・・だが、見た目はいい女だな・・・・」

「触るな下郎・・・・」

 

そう言って、女性は男をぶん殴り

 

殴られたヤクザは十メートル以上吹き飛ばされた

 

「・・・・すげー」

「お前、怪我は大丈夫か」

 

女性は優しく才を見て聞いた

 

「・・・ああ、ありがとうござ・・・・」

 

そして、才は安心した為なのか、そのまま目を閉じ意識を失った

 

「・・・・・光が気になるとか言い出すから付いて来たら・・・・」

「賢さん・・・先輩を病院に連れて行かないと」

「お、そうだったな」

 

 

これが、地天才と未来賢の初めての出会いだった

 

 


 
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