No.184232

TINAMI学園祭 騒乱~狼の狩り~

狭乃 狼さん

皆さんどうも~。sayでございます~。

リレー学園祭小説を投稿いたしまっす!

関平氏が、PCが逝ったので、飛ばしていいとのこと。

続きを表示

2010-11-13 11:48:49 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:9683   閲覧ユーザー数:8680

 「関平!そっち行ったぞ!」

 

 「応!スターダスト!お前は左から回り込め!」

 

 「OK!!」

 

 

 私立・TINAMI学園。

 

 生徒数は優に一万人を超える、超マンモス学校である。

 

 

 現在この学校は学園祭の真っ最中。広大な学内の敷地のあちこちで、様々な屋台や出し物で多いに盛り上がっている。

 

 そんな中、ある戦いが、その裏で進められていた。

 

 きっかけは、生徒会からの校内放送。

 

 「……というわけで、もし、やつを取り逃がした場合は、新任のあの二人の先生に、皆さんの部屋の合鍵をお渡ししますので」

 

 と、生徒会長の声が学内に響き渡ったとき、殆どの男子生徒が恐怖の悲鳴を上げた。

 

 「俺たちの貞操を、あんな化け物どもに奪われてなるものか!」

 

 

 そして、”狩り”は開始された。

 

 

 

 「ワフ(くそ。風紀どもめ本当にしつこいな。……とりあえず、戦略的撤退とするか)」

 

 腕に”風紀委員”の腕章をつけた数人の生徒の目を盗み、”ソイツ”はある方向に向かって一目散に駆け出した。

 

 「!!野郎!旧校舎に向かったぞ!!」

 

 「逃がすか、あんのクサレ犬!みんな追うぞ!!」

 

 『応!!』

 

 と、あごに付け髭をつけ、長刀を手にしたその青年の指示で、彼らがソイツの後を追おうとしたときだった。

 

 ピリリリリリ!!

 

 「!?……ケータイ?この忙しいときに誰だよ?(ピッ)……はい、こちら風紀の関平」

 

 『……関平か。おつとめごくろーさん♪』

 

 「……その無駄に明るい口調は……。何か御用ですか、say先生?こっちは今やつを追い詰めるのに忙し」

 

 『その奴だが、今どこに?』

 

 その青年、風紀委員の関平は、その声の主を悟った瞬間、あからさまに不快の色をその顔に浮かべた。それでも、相手は一応教師。とりあえず、彼の質問に答える。

 

 「……奴なら今、旧校舎に向かっています」

 

 『わかった。……悪いが、風紀の諸君はその手前で追撃を中断してくれ。後は僕に任せてもらおうか』

 

 「!!……出来るんですか?貴方に」

 

 関平は信じられなかった。なぜなら、”彼”は一時期、関平、いや、風紀の敵であったことがあるのだから。

 

 『はは、信用ないな。ま、仕方ないっちゃあ、仕方ないけど。けどさ関平』

 

 「?」

 

 『…………”殺れる”に決まってるだろうが』

 

 ゾクッ!!

 

 関平の背中に、凄まじいまでの悪寒が走る。その、ケータイの向こう側から聞こえたその声に、その”質”を感じ取って。

 

 『じゃ、そゆことで一つよろしく♪あ、援軍はいらないから、こっちには来ない様にな。……とばっちりを、食いたくなかったら、ね?』

 

 ピッ。プーッ、プーッ、プーッ。

 

 

 通話が切れたケータイを片手に、関平はしばしその場に立ち尽くした。……額に、冷たい汗を大量にかいて。そこに、

 

 「おーい!どーしたー!電話、だれからだったんだ?」

 

 頭に星型の髪飾りをつけた、関平と同じく風紀の腕章をつけた青年が、早足で駆け寄ってきた。

 

 「……スターダストか。……say先生からだ。奴は、自分が相手をするってさ」

 

 「はあ?!……信じたのかよ、その言葉」

 

 「……信用はしてない。……けど」

 

 「けど?」

 

 「……あの声を聞いたら、誰だって反論なんか出来ないよ。……はじめて聞いたよ、あんな、憎悪むき出しの声」

 

 「……(ゴク)」

 

 思わずつばを飲み込むスターダスト。無理もない。長らくともに風紀を勤めてきた関平が、恐怖、というか怖れのような表情を、その顔に浮かべている。スターダスト自身、初めて彼のそんな顔を見たかもしれなかった。

 

 「……一応、あの人の事情は知ってるし、理解はしていたつもりだったんだけどな。……あまかったかも、な」

 

 「それだけ、あの人の背負っている業は深いということですよ」

 

 『タンデム』

 

 二人の背中に声をかけてきたその人物、超霊感青年として有名な、タンデム=A=創作に、その視線を転じる関平とスターダストの二人。

 

 「一時的にとはいえ、”奴”の傘下に入ってしまった。それは決して許せることじゃないんだろう。あの人の中では、ね」

 

 『……』

 

 「そして何よりも、あの人が一番許せないのは、自分自身だろうね。自分に、そーゆー一面があったってことが、多分、ほかの何よりも」

 

 何も言葉を発せなくなる二人。そして、いつの間にか集結をしていた、風紀の面々。

 

 「さ、奴の事は先生に任せて、君たちはこっちを手伝ってくれないか?深紅ちゃんの後始末をさ」

 

 「……まだ残ってたのか?あの分身たち」

 

 「ああ。とはいえ、もう残りは一桁を切ってるけど。ほら、さっさと行こう」

 

 「……了解。行くぞ!」

 

 『いえっさー!!』

 

 風紀たちは、学祭の行われている、本校舎のほうへと、きびすを返して走り出す。

 

 

 

 それを、少し離れた場所から見ている、一人の人物がいた。

 

 紺色の上下のスーツを着、金縁の眼鏡をかけ、そして、なぜか狼を象った被り物の様な帽子をかぶった、結構いい年したおっさんが。

 

 「誰がおっさんだ!……って、何に突っ込んでんだ俺?……まあ、いいや。ッ!!……来たな」

 

 その眼鏡の下に光る真紅の瞳で、旧校舎屋上のフェンスの上から、眼下を見下ろすその人物。そこには、息を切らせて駆け込んでくる一匹の子犬の姿が。

 

 「……祭りが始まってすでに数日。みな、楽しく過ごしている。……後は、あのクサレ犬をとっ捕まえれば、みんなも安心し……!!あ、が」

 

 と、突然顔を抑えて苦しみだす男。すると、

 

 『……ククク。出来るのか?貴様ごときが、母上を捕らえることなど』

 

 先ほどまでとは違う声と口調で、自分で自分に語りだす。

 

 「うる、さい。この、クソ狼が。……いい加減、てめえもしつこいんだよ。そろそろあきらめて、おとなしく意識の底の底で、引きこもってろ!」

 

 『そうはいかんよ。われは簡単には消えんぞ?何しろ、我は汝、汝は我、なのだからな』

 

 ころころとその口調を変え、男は一人で言い争いを続ける。

 

 「やかましい!どこぞの影みたいなことぬかしてんじゃねえ!……いまは、この俺に、この体の主導権はあるんだ!とっとと引っ込んでろ!!」

 

 『……まあいい。せいぜい頑張るんだな。無駄な努力を。……フヒーヒ♪』

 

 「く、そ。……おわっ!」

 

 どさ、と。

 

 フェンスから屋上の床に落下する。

 

 「痛つつ……。くそ、まだまだ時間がかかるな。狼の奴を封印するまでは。……だが今は」

 

 がしゃ。

 

 立ち上がってフェンスをつかみ、今は使われていない旧校舎の運動場をを見下ろす。そこには、後ろ足で頭をかく、先ほどの子犬がいた。

 

 「……あの野郎をとっ捕まえて、学園を、みんなの平和(ついでに、男子たちの貞操)を、守ることが、最優先事項だ。……ま、そのくらいで、俺の”罪”が消えるわけじゃないけど」

 

 フフ、と。

 

 彼は自嘲気味に笑う。

 

 「―――さて、と。そろそろ”狩り”を始めるか。……よっと」

 

 ふわっ、と。

 

 再びフェンスの上に立つ男。そして、

 

 「……TINAMI学園・世界史教師、牙狼 say!いざ、……参る!!」

 

 バッ!!

 

 彼は翔んだ。下にいる、すべての元凶たる、奴に向かって。

 

 

 

 「ワフ(……どうやら撒いたようだな。……よし、ジョージに受けたダメージも大分回復したし、奪われた(注:正しくは取り返された)お宝の再回収にむか……ん?)」

 

 ひるるるるるる――――。

 

 「ワフウ?(なんだ?空から何か…………って、人おっ!?)」

 

 と、そいつが思った瞬間、

 

 ずっどおおおおおおおおんんんんっっっっっ!!!!!

 

 「ぎゃわーん!!(何事ーーー!?)」

 

 ”それ”が落下したことによって起きた、その衝撃と風圧によって吹き飛ばされるソイツ。ごろごろごろ―――、と。玉のように転がり、その先にあった一本の木に、

 

 ドスッ!!

 

 「ぎゃいん!!(グエッ!!)」

 

 思いっきり激突した。

 

 「わ、ワフ……(何が何なんだ……?んん?)」

 

 よろよろと起き上がり、もうもうと立つ土煙の方を、ソイツが見やる。そこには。

 

 「ワフ(まさか、本当に人が空から降ってくるとは。……どうせ降ってくるなら、美少女のほうがいいが……でなくて!)」

 

 ぎろ、と。

 

 そこに立つ人物をにらむ。

 

 「よっ!クサレ犬。しばらくぶりだな♪」

 

 満面の笑顔で、ソイツに手を振る、その人物――――say。

 

 「……わふ?(……だれだ、お前)」

 

 「(ピクッ)……そうか、覚えてないってか。ハ、ハハハ、ハハハハハハハハハ!!」

 

 「ワフウ……(なんだ、急に笑い出して?……どこの痛い人だ?)」

 

 「誰が痛い人だ。……ま、覚えてないならそれでもいいさ。学園荒らしの犯罪者、ヒトヤ犬。下着ドロ、覗き、痴漢、その他もろもろのハレンチ極まる行為の罪で、お前を一万発ぶん殴る!さ、おとなしく刑に服せ!」

 

 ジャキ、と。

 

 どこから取り出したのか、巨大な剣を構えて戦闘体制をsayがとる。

 

 「ワフ!(ちょっと待て!ぶん殴るとか言っといて、その剣は何だ!殺る気満々じゃないか!)」

 

 「安心しろ。……逝く時は一瞬だ♪」

 

 「ワフウ(そっか、それはよかった。……じゃなくて!)」

 

 「問答無用!!貴様は今日この場にて、我が牙狼大残刀の血錆に変えてくれる!チェストおおおおおおおおおっっっっっ!!」

 

 どこぞの親分のごとく、ヒトヤ犬に突撃を敢行するsay。

 

 

 

 「ワフ!(んなもん、おとなしく斬られる奴がどこにいる!当たりはせん!当たりはせんよ!)」

  

 目にも止まらぬ速さで、その轟撃を次々とかわし、ヒトヤ犬は余裕の表情を見せる。

 

 「チッ!ちょこまかと逃げやがって!おとなしく逝っとけっつーんだ!このへ」

 

 「わふ?(なんだ?急に動きを止めた?)」

 

 ぴたり、と。

 

 突然その動きを停止するsay。その体を、ガタガタと震わせながら。

 

 「ぐ・・・、や、ろう、こんな、ときに、が、ガガ、ガアアアア!ガアオオオン!!」

 

 ざわざわと、その髪が逆立ち始め、さらに、その口に巨大な牙が生え始める。

 

 「ワフ♪(……そうか、思い出したぞ。おまえ、いつぞやか俺の分身を植え付けた奴か。……フフ、これは面白い。フヒーヒw)」

 

 にやり、と。いやらしい笑いをその顔に浮かべ、ヒトヤ犬がsayに近づいていく。

 

 「ワフン!(さあ、その男のうちに眠る、俺様の分身よ!ともにこの学園の美少女(幼女含む)を狩ろうではないか!フヒーヒwフヒヒwフヒーヒw)」

 

 「が、ガオ、が、そ、ソウハ、いく、カ、よ。……こ、これだけは、つ、使いたくなかった、んだけど、な。シカタ、ない!」

 

 ごそごそ。

 

 ズボンのポケットを探るsay。そこから取り出したのは―――。

 

 「……ワフ?(何だ?ピンク色のヒモパンだと?……”ゾクゾクッ!!”な、何だこの強烈な不快感は?!きさま、それは一体……!?)」

 

 「……対、狼封じ専用、超強力鎮静剤、だ。……その名も、”ちょーせんのヒモパン”だ」

 

 「ワフ!?(ちょっ!?おま、そんなもの何を……!!)」

 

 「これを、……こうする!”ふがっ”……『ぎいいやあああああああっっっっっっ!!』」

 

 sayは、あろう事か、あの、筋肉漢女のパンツを、自分の口に、押し付けたのである!

 

 「ワ、ワフ!!(き、気でも違ったか!?……え?)」

 

 その途端、彼の口に生えていた牙が、一瞬にして引っ込んだ。

 

 「…………ふ~~~っ。あ~、死ぬかと思った。きょうれつだわ~、これ。ま、その分よく効くけど」

 

 「ワフ……(まさか、俺の分身を押さえ込むためだけに、そんな自殺行為までするとは。……もはやこれは狂気!……これ以上付き合ってられるか!!)」

 

 ダッ!

 

 文字通り、尻尾を巻いて逃げ出すヒトヤ犬。だが、

 

 「逃がすか!!疾れ大斬刀!!雲耀の速さにて!!」

 

  

 雲耀―――、それすなわち、稲妻のごとき速さのこと。

 

 

 sayが振るった大刀の剣圧が、空を引き裂いてヒトヤ犬に迫る。そして―――。

 

 「ギャワーーーーン!!(うぎゃあーーーっ!!)」

 

 ヒトヤ犬は、ものの見事に、真っ二つに、された。

 

 「……へっ、ざまあみやがれ」

 

 

 

 「……で、結局やつは?」

 

 「……逃げられたよ。くそっ!奴が空蝉の術を使えることを、すっかり忘れていた!一生の不覚だっっっ!!」

 

 ダンッ!!

 

 忌々しそうな表情で、自分の机を思い切り叩くsay。

 

 この数時間前、彼は怨敵ヒトヤ犬を、その大刀で真っ二つにした。―――――はずだった。

 

 死体を確認しようと、それに近づいたとき、彼はソレが、”木の丸太”であることに気がついた。

 

 「ま、仕方ないですよ。先生はよくやってくださいました。……その身に眠る、奴の分身を押さえ込むために、あんな禁忌のアイテムまで使ったんですから」

 

 そう言って、sayの正面に立つその少年が、その穏やかで優しい笑顔で、彼に微笑む。

 

 「……そう言ってもらえると、こっちも救われるよ、老仙」

 

 「どういたしまして。……さて、と。祭りもそろそろ終わりですし、後は、関平君が間に合えばその後に。間に合わなければ、私が始末をつけます。……生徒会長としての、責任を持って」

 

 口元を引き締め、そう宣言する青年。

 

 TINAMI学園生徒会長こと、南華老仙であった。

 

 

 

 

 と、いうわけで、リレー小説の続き、ここに書き上げました。

 

 ・・・・・・・リレーにちゃんとなっているかどうか、不安といえば、不安ですが。

 

 さて、

 

 関平氏、

 

 スターダスト氏、

 

 タンデム氏、

 

 sink6氏、

 

 ジョージ氏、

 

 南華老仙氏、

 

 そして、ヒトヤ犬氏。

 

 以上の方のお名前を使わせていただきましたこと、

 

 この場で改めて、御礼申し上げます。

 

 

 では、私は刀香譚の〆作業に戻ります。

 

 今度はそちらでお会いしましょう。

 

 

 それでは、再見、です!

 

 『ガアオオオオオオン!!』

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
17
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択