No.182237

真・恋姫†無双 記憶の旅 13

たくろうさん

真・恋姫†無双 記憶の旅 13です。

俺は漢√が大好きだぁぁぁ!!・・・スマン。だが後悔はしない。

2010-11-03 02:18:04 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:8515   閲覧ユーザー数:6627

空間の裂け目に入ると一気に景色が変わった。

周りは景色は一気に山のそれとなり、一気に標高が変わったせいか耳が少し痛む。

そして目の前には月夜に照らされた大きな神殿がそびえ立っている。

 

「ここが泰山か」

 

「ええ、少し前を思い出すわぁん。もっともあの時はもっと慌ただしかったけどねぇん」

 

「それで貂蝉、俺はこれから具体的に何をすればいいんだ?」

 

俺が聞かされているのは満月の夜に泰山に来ることだけで以降の話は何も聞かされていない。

 

「目の前に神殿があるでしょう? あそこの中に銅鏡が飾られているわ。ご主人様はそれをひたすら目指せばいいわ。それ以降のことは私でもわからない。何せこれから起こることは事例が存在しないもの」

 

わからない、か。そんなんで本当に大丈夫なのか?少し不安になってきたぞ。

 

「そんな顔しなくても大丈夫よぉん。きっと上手くいくわ」

 

「ああ、そうだな。 じゃあ行こうか」

 

今まで本当に色んなことがあった。

だがそれも今夜で最後だ。

俺は着ている聖フランチェスカの制服の袖を握りしめる。

つい最近まで大学に通っていたのにまたこれを着るのは少しおかしな気分だな。

だがこれを着ていると自然と心が引き締まる。

 

しかし貂蝉が言っていた最後の敵はどうなったのだろうか。周囲からは俺達以外の気配は感じられない。

そんな懸念を感じながら神殿に向かおうとしたら何処から現れたのか突然無数の白装束に周囲を囲まれた。

 

「何だこいつらは。それに何処から出てきたんだ?」

 

物陰から現れたとかそんなレベルの話ではない。本当に突然何も無い空間から湧いてでた。それしか言いようがない。

 

「これは于吉ちゃんの妖術ねぇん。数はざっと数百・・・いえ、数千と言ったところかしら」

 

「マジかよ・・・。こんな数相手出来るのかよ」

 

「あらん、前の戦いでは何十万という数が相手だったわよん。もっともこちらもそれなりの数を揃えていたけどねぇん」

 

「お前は一体どんな経験してきたんだ?」

 

数十万ってもはや一つの戦レベルの話じゃないか。

 

「それは漢女の秘密よん。それにこの程度しか傀儡を出せないところ見ると于吉ちゃん達、間違いなくこの世界で外史の管理者としての力が上手く行使出来ない証拠ねぇん。それだけこの外史が独立に向かってるってわけねぇん」

 

「于吉?」

 

于吉と言えば後漢末期の仙人の名前だよな。そんな奴が俺達の敵なのか。

 

「于吉ちゃんはまあ私の同業者と言ったところかしらねぇん。まあ決定的に違う部分があるのだけどね」

 

「まあそれは良いとしてたった二人でこの数を相手するって相当無茶な話だぞ」

 

普通はこんな数相手する前に逃げるが今回はそうはいかない。

話している間にも白装束達はどんどん俺達との距離を狭めていってる。

 

「恋ちゃんがいればこんな数ものともしないのだけどねぇん。まあ弱音を吐いていられる状況じゃないわ。ご主人様、腹を括りなさい」

 

「もうとっくに括ってるさ」

 

鞘から刀を抜き放ちそう告げる。

 

「それでこそ私のご主人様よぉん♪ こっちのご主人様は本当ワイルドなお方ねぇん♪」

 

貂蝉は体をクネクネさせながらそうほざく。さっきまでの雰囲気が台無しだ。

 

「やめろ、気持ち悪い」

 

「もう、ご主人様のイケズゥ」

 

「ん? スルーしたがこっちのご主人様ってどういう意味だ?」

 

「どぅふふ、それはいずれわかることよぉん。それよりもう喋ってる暇はないわぁん。行くわよ、ご主人様」

 

「ああ!!」

 

俺達は白装束の集団に向かって飛び出した。

「はぁぁ!!」

「ぬっふううぅぅぅん!!」

 

俺が白装束を切り捨て貂蝉は白装束を叩き飛ばす。

 

白装束一人ひとりに大した力はない。俺達の周りにはどんどん屍の山が築かれていく。

だが一向に終わりが見えない。やはりこれだけの数相手に二人だと幾ら何でもキリがない。

 

「・・・・・・・っく!?」

 

それに屍の山が足場を悪くするおかげで思うように立ち回れない。

貂蝉は苦も無く行動してるが生憎俺にはあんな機動力は持ちあわせていない。

俺の剣術は足運びに重を置いたもの。この状況は俺にはかなり不利がつく。

 

「ご主人様、大丈夫かしらぁん?」

 

貂蝉はこちらに気を配る程余裕があると見える。

こちらも負けてはいられないな。

 

「大丈夫さ。俺には剣術だけじゃない、たくさんの戦い方がある!!」

 

俺は斬りかかる白装束の攻撃を受け流して別の白装束にあてがう。

 

俺は今まで学んだ全ての武の知識、経験を集結させて戦かおう。

時には流し、時には押し通し、その場その場に合った戦い方を瞬時に判断して戦う。

相当精神を使うがこれだけで戦いは終わらない。出来る限り疲労を残すわけにはいかない。

 

「・・・増!!」

 

「!?」

 

こちらの考えをあざ笑うかのように何処からか声がしたと思ったら白装束が更に数を増した。

 

「力が弱まっているとはいえ流石于吉ちゃんねぇ。これではキリがないわぁん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貂蝉よ、この程度で弱音を吐くとは漢女の名が廃るぞ!!」

 

突然上方から低い声が響き渡った。

「とうっ!!」

 

掛け声と共に俺達の前に何かが落ちてきた。

 

「卑弥呼!? 来てたの!?」

 

見るとそれは教科書に載ってる弥生時代の人のような髪型にピチピチのタキシード、サイズ合ってないというか着ること自体間違っている純白のビキニ、そして夜でも眩い白の褌とハイソックスを身につけたガチムチなオッサンだった。

 

「ふむ、オヌシが北郷一刀か。 なかなかにいいオノコではないか。儂の胸がキュンキュンするぞ」

 

舐め回すように見られて全身に寒気が走る。なんなんだこいつは!?

間違いなく貂蝉と似た人種なのは理解出来る。

 

「ご主人様に何色目使ってるのよん!! ご主人様は渡さないわよ!!」

 

「貂蝉よ、今はそんなこと言ってる場合ではなかろう。さて、北郷一刀よ、儂も微力ながら力を貸すぞ」

 

「あ、ああ。ありがとう」

 

突然過ぎて理解出来ないが力を貸してくれるというなら今は藁にも縋りたい状況だ。ありがたく好意を受け取っておこう。

 

「さて、行くぞ貂蝉。漢女道を往くものの力見せてやろうではないか!!」

 

「ええ、そうね。 今回は当社比五割増しの筋肉を見せてあげるわん!!」

 

 

 

 

「その戦い、待った!!」

 

またしても何処からか声が響いた。 

だが今度は聞き覚えのある声な気がする。 

このやたらと熱い声の持ち主といえば・・・・・・・。

「はぁ!!」

 

掛け声と共に空から颯爽と現れたのはやはり医者の華佗だった。

華佗は握り拳を作り俺を見る。

 

「思い出したぞ!! お前は北郷一刀!! 俺が恋の病以外で唯一治せなかった患者だ!!」

 

今俺は聖フランチェスカの制服を着ているから気付くのは当然だろう。だが重要なのはそこじゃない。

 

「華佗、何でお前がここにいるんだ?」

 

「本来なら三国の祭りに参加する予定だったが泰山に不穏な気配があると感じてな。来てみれば北郷一刀、お前が居たと言うわけだ!!」

 

華佗よ、やっぱりお前は勇者にジョブチェンジするべきだよ。普通気配だけでこんなところに来ないよ。

 

「流石は儂のだぁりん!! ますます惚れ直してしまうではないか!!」

 

「・・・? すまないがお前と俺は知り合いだっけか?」

 

華佗が首を傾げる。

 

「おっと、こちらの世界のだぁりんとは初対面であったな。儂のことは卑弥呼と呼んでくれ」

 

「・・・? わかった。 卑弥呼、これでいいか?」

 

「そう畏まるな、照れるではないか」

 

卑弥呼と名乗るオッサンが頬を染める。 

 

「やだ、卑弥呼ばっかりズルいわぁん!」

 

いや、だから二人共クネクネするんじゃない。そして華佗よ、何でお前はそんなのに囲まれて平気なんだ?

 

「それよりこいつらは一体なんなんだ? 人の気をまったく感じられない。というよりこの気配は病魔に近しいな」

 

華佗の目付きが険しくなる。

俺達の周りには以前と変わらず白装束の集団が取り囲んでいる。

 

「だぁりんよ、よければこの戦いに加勢してはくれぬか? これは北郷一刀の全てを賭けた戦いなのだ」

 

「勿論だ!! あの時俺はお前を救えなかった。そして俺は南蛮で助けられた。これで信長・・・いや、北郷一刀に手を貸さない道理はない!!」

 

華佗程の男が味方についてくれるならこれ程頼もしいものはない。

 

これで貂蝉、卑弥呼、華佗、そして俺。 それでも味方はたった四人。

 

「だが何故かまったく負ける気配がしないな」

 

「当然だ、ここには最強の漢女二人に最強の漢二人が集ったのだ。今の儂らは無敵だ!!」

 

「卑弥呼言う通りよん、ご主人様」

 

「ああ、その通りだな」

 

今はこんなこと言えるぐらい余裕に満ちている。

「我が漢女道に賭けて・・・・」

 

卑弥呼の目が赤く輝き。

 

「私の力はすべてご主人様の為に・・・・」

 

貂蝉の目も黄色く輝き。

 

「事情は飲み込めないが・・・燃えてきたぜぇぇ!!」

 

華佗は目から炎を迸らせる。

 

「みんな行くぞ!!」

 

「「「「応!!」」」

 

俺の号令と共に一斉に白装束の集団に向かっていった。

 

 

~続く~

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
66
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択