No.181633

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 15

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-10-31 17:13:23 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4515   閲覧ユーザー数:3778

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

一刀となぎ、そして白蓮の三人が宿に戻ろうとした時、一刀は猛烈に嫌な予感に襲われる。

 

それは今まで感じた事のないような気配だった。

 

勘、とでもいうのだろうか。

 

だがその勘が危機を知らせる。

 

「公孫賛さん・・・何か変な気配を感じないか?」

 

胸がざわつく嫌な感覚に辺りを見回しても誰かに見られているというものではなく、

 

周囲の気配はあくまでも普通だった。

 

「いや、特に感じないけど・・・でも私のそういうのはあんまり役に立たないからなぁ・・・」

 

感じる能力があればこんなに不幸じゃないよなぁ・・・と思うが、白蓮は一刀の真剣な表情に

 

とても言い出せなかった。

 

少し考える素振りを見せる一刀だったが、嫌な予感は収まる気配が無い。

 

(・・・何だ?これは・・・まるで戦いが始まる前のような・・・)

 

自分の考えに驚く。

 

(戦い・・・?何を考えているんだオレは・・・)

 

戦いは経験した事は無い。現代日本に生まれた一刀であればそんな経験をした事などある筈が無かった。

 

だが、勘は確かに告げていた。

 

────これから戦いが始まる────

それは先日のニセ凪との戦いなどというものでは無く、殺し合いの雰囲気・・・。

 

ザワリ、とした気配が一刀の背中を撫でる。

 

それは村の出入り口から感じられた。

 

「公孫賛さん、悪いけどなぎを連れて先に宿に戻っててくれないか。そして、万が一の為に逃げる準備も

 

しておいて欲しい・・・信じられないだろうけど、悪い事が起きるという気がするんだ・・・」

 

一刀の言葉に白蓮が素直に頷く。

 

「わかった。私の周りにはそういうのにすごいヤツがいっぱいいたから、北郷の事も信じられるよ。

 

何も無かったら無かったで、注意するに越したことは無いからな」

 

白蓮の微塵も疑っていない様子に思わず一刀が笑顔になる。

 

「ありがとう・・・公孫賛さん」

 

「────白蓮だ」

 

一刀から眠ったままのなぎを預かった白蓮が、ちょっと顔を赤らめて真名を告げた。

 

「・・・え・・・それって・・・」

 

「北郷は真名を預けるに足る人物だと思っている。これからは白蓮と呼んでくれ」

 

顔を赤らめながらも、にっこりと笑う白蓮に思わずドキリとした。

 

「ああ、わかった。白蓮、オレも一刀と呼んでくれ」

 

一刀は笑顔でそう告げると、村の出入り口まで走る。

 

白蓮はそれを見送り、ほぉーっ・・・と溜息をつく。

 

(ああー!男の人に初めて真名を預けちゃったよ!)

 

ドキドキする心臓をなんとか抑えて宿に向かって歩き出す。

 

(それにしてもなぎはホントに魏の凪に似てるなぁ・・・)

 

ピンクの子供用エプロンドレスに包まれたなぎは、小さく寝息を立てていた。

 

その寝顔の可愛さに胸が温かくなる。

 

(子供・・・・・・いいなぁ・・・)

 

一刀からは戦で両親を失い、名前がなぎというだけしか分からないと聞いて一切疑う事無く

 

それを信じている、人のいい白蓮だった・・・。

 

 

駆け出した一刀は自分の体に不思議な感覚があるのを見つける。

 

内気孔が以前より遥かにスムーズに出来るのだ。

 

それはまるで泳ぎ方を知らなかった者が突然泳ぎ方を知ったような感覚。

 

(ニセ凪の黒い感情を受け取った影響か?)

 

今の状態になって分かるが、ニセ凪の気の使い方は異常ともいえる。

 

本来気を外部に放出するなど出来る筈が無い。

 

だが事実、一刀はそれで手痛いダメージを受けた。

 

内気孔で高めた気を『黒い閻王』に集中させれば、『黒い閻王』がそれを爆発的に高める。

 

(なるほど・・・こうやって気を廻らせて一気に膨らませるのか・・・)

 

基礎は凪との修練で覚えていた。

 

今ならあの時の凪と同じように気を放出できるだろう。

 

(でも────それだとスタミナが持つ筈が無い)

 

高めた気をその都度放出していては短期決戦か、派手さを演出して相手を混乱させる為にしか使えない。

 

そこで思い出すのが房中術だ。

 

爆発的に高めた気を放出するのでは無く、体内を循環させてそれを蓄えてさらに膨大なものにする。

 

そうする事でスタミナ不足どころか、気の力が失われるまで身体能力が高まり続けるだろう。

 

(『黒い閻王』に気を送る要領で、剣に気を送る事も出来そうだな・・・後でやってみるか。

 

それにしても・・・凪と散々房中術の訓練だーとかいってやっといてよかった・・・)

 

思い出して一瞬走りに乱れが生じたが、そんな場合じゃないと再び気を取り直して駆け出す。

 

 

一刀が村の入り口に到着する少し前、防壁の上に作られた見張り台で見張りをしていた一人の若い男が

 

村の外に上がる土煙を確認する。

 

「・・・何だ?もしかしてまた黄巾党か?」

 

「まぁ防壁もしっかりしてるし、また攻めれないと分かって撤退するだろ」

 

横にいてどっかりと腰を下ろしているもう一人の小太りの男が、まんじゅうにかぶりつきながら

 

暢気に話すのに構わず若い男が目を凝らす。

 

「・・・おかしい・・・土煙が今までより多い気がする・・・」

 

「あん?どれどれ・・・?」

 

小太りの男も面倒くさそうにどっこらしょと立ち上がり、村の外に目をやった瞬間、

 

ザシュッ!という音と共に小太りの男の首が落ちる。

 

「え!?な、なに────!」

 

もう一人の若い男もロクに声を出せずに倒れこみ、その首もまた落ちた。

 

「クスクスクスクス・・・駄目ですよ・・・知らせては・・・」

 

何も無い所から突如現れたのは、黒い神事服のようなものを着た女────

 

それは許昌の街を襲った五胡の妖術士の女だった。

 

「篭城されて時間だけ浪費してもつまらないですからね・・・」

 

その手に持つ『靖王伝家』に付いた血を剣を振って掃い振り向くと、黒いベールで隠された目が

 

村長の家を捉える。

 

「フフフッ・・・この村の人々だけでどれだけ抵抗できるか楽しみですよ孫権様」

 

女の黒い唇が醜悪につり上がる様子は、心の底から楽しんでいるようだった。

 

「懸命に戦ってください・・・一万の軍勢に飲み込まれるまで・・・」

 

この村の人口は約千人。その中でも戦えるのは三百に満たないだろう。

 

「この村は孫権様と一緒に滅びる運命なんですもの・・・」

 

クスクスクス・・・という笑い声を残して女の姿が霞のように消える。

 

残された二人の死体の上に"爆"と書かれた札を残して────

 

 

お送りしました第15話。

 

ハムさんか華雄かで悩んだ時、子供を抱っこしてるハムさんを想像してその可愛さに

 

萌えたのでハムさんにしたというのもありました。

 

華雄も華雄で可愛いんですが、華雄だとおっかなびっくり、ハムさんだといかにも

 

お母さんと勘違いされそう。という事でハムさんでした。

 

ではちょこっと予告。

 

混乱の中で一刀が出会った忍者のような格好の女の子とは。

 

では、また。

 

 


 
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