No.181602

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 14

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-10-31 14:44:00 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4488   閲覧ユーザー数:3767

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

一刀がなぎを白蓮に"知り合いから預かった"と紹介し、白蓮が

 

「ハハハ・・・そう・・・か」

 

と真っ白になったが、何とか気を取り直して三人でなぎの服を買いに来ている頃、

 

村に到着した一団があった。

 

村長以下、村の責任者数人が出迎えるその一団は皆武装した十数人の呉の兵士達。

 

「それでは我等は捜索に向かいますので、村長の家でお待ち下さい」

 

「分かった。よろしく頼む」

 

思春の言葉に頷いたのは蓮華だ。

 

"天の御遣い様に似た青年を見かけた"

 

建業の街でそう話す商人を兵の一人が城へ連れて来た時、城内はすでに大騒ぎだった。

 

それは先日、華佗が呉に来た時に赤壁の戦いで重傷を負いながらも生きていた祭を

 

呉に連れて来たからだ。

 

そんな大騒ぎの中、その話は冷水を浴びせるが如く騒ぐ将達を黙らせる。

 

『天の御遣い』には赤壁の戦いでは見事にしてやられたが、それは戦であった為恨みは無い。

 

こちらも随分な被害を出したが、魏も相当な被害が出ていたからだ。

 

問題はそこでは無く、『天の御遣い』が消えた後の魏の将達の落ち込み様だ。

 

戦勝国とはとても思えない程の沈みようは将達だけでは無く、街の人々も同じだった。

 

それだけの影響力のあった男が再びこの地に現れ、そして今、建業の近くに居るかもしれない。

 

今まで『天の御遣い』を名乗る偽者は何人かいた。だがその商人はかつて魏の国で

 

商いをしていて、一刀の顔をよく知っていたという。

その商人が乗合馬車の停車した小さな村で一刀によく似た青年を見かけたのだが、

 

かつての面影はあったが立派な青年へと成長し、白い服では無く見た事の無い黒い服

 

を着ていたので人違いかどうか悩んでいる間に、乗合馬車が建業に向けて出てしまったという。

 

だが思い出せば思い出す程『天の御遣い様』としか思えず、悩んで友人に話をした所

 

それはやはり一度城に報告した方がいいのではないか、となって兵士に相談したらしい。

 

決め手となったのは"白馬に乗った女性と一緒"で"笑顔だった"というのがあるが・・・。

 

商人のその話は信頼性があった。何しろその商人は長い事魏と呉の間で商いをしており、

 

誠実で真面目な商売で呉の将達にもその名を知る者がいるくらいだったからだ。

 

そしてその話を聞いて、真っ先に飛び出そうとしたのが雪蓮だ。

 

「そーんな面白そうな事、いちいち議論するより行って確かめた方がいいでしょう!

 

それに、何かありそうな気がするのよね♪」

 

ワクワクという表情の雪蓮に、

 

「ほぅ・・・お前は祭殿が帰ってきた祝いより、そっちの噂の方が大事だというのか」

 

物凄く冷たい目と、冷徹な響きを持つ言葉を浴びせる冥琳。

 

その背後にはドス黒いオーラのようなものが見える。

 

「・・・いえ、決してそのような訳ではなく・・・」

 

思わず正座して項垂れる雪蓮に、冥琳の説教が続くといういつもの光景になったが、

 

そこで思わぬ怒声が上がった。

 

「私が探索に行きます!」

それが蓮華だった。

 

蓮華の怒りの表情を見て皆が不思議に思うが蓮華の意志は固く、とても言い伏せる事は

 

できなそうだと判断した冥琳が許可を出す。

 

当然お供付ではあるが。

 

そうして一刀の足取りを探してこの村に到着した蓮華は、内心渦巻く怒りを抑えれずにいた。

 

(3年前に勝手に消えた男が華琳達の苦しみも知らず、今更のこのこと戻ってきおって

 

さらには女連れだと!?『魏の種馬』というのは本当だったのか!!)

 

蓮華の怒りの原因は、一刀が消えた日に見た華琳達の悲しむ様子からだった。

 

敵でありながら魏の将達には尊敬できるものも多く、中でも華琳には自分よりも遥かに王

 

としての器を感じていただけに、泣き崩れる魏の将達と華琳の姿に衝撃を受けた。

 

その原因が近くにいると思うだけで悔しく思う。

 

肩を怒らせながら歩く蓮華に、前を歩く村長は冷や汗を垂らしながら命が縮まる思いをしていた。

その頃、思春は蓮華の護衛に残った三人の兵以外を村の中の捜索に割り振り、自身も村の中の捜索に向かう。

 

(あんな軟弱そうな奴の事などどうでもいいが、せめて魏の者達に引き渡してやらねばならないな)

 

思春は『天の御遣い』の事を調べていた関係で顔を覚えていたが、貧弱そうな愚か者という印象しかなかった。

 

獲物を探す鋭い目で周囲を見回す事で、村の人々は「ひぃっ」と小さく悲鳴を上げて慌てて家に飛び込む。

 

それに構わずズンズンと進んだ先で、服屋らしき所から出てくる黒い服を着た男の背中を見つけた。

 

「お────」

 

おい、貴様!と出掛かった言葉が止まる。

 

思春の目が、横にいる赤い髪の女性を捉えたからだ。

 

あまりの驚愕に目が見開かれ、どうする事もできずに呆然と立ち尽くす。

 

男の横にいた女性は間違いなく蜀にいた白蓮だ。

 

そして────男の腕には二歳か三歳くらいの眠った女の子が抱かれていた。

 

幼い女の子は可愛いエプロンドレスを着て、白蓮がいくつかの子供服を抱えている。

 

男と白蓮が向き合い、笑顔で何かを話している二人の様子はどう見ても仲睦ましい夫婦そのものだった。

 

瞬時に思考を廻らせる。

 

『魏の種馬』『天の御遣い』『魏の警備隊隊長』『蜀の公孫賛』『3年前に消えた』『二、三歳くらいの女の子』

 

『魏では子供を持った将はいない』『蜀でも子供がいるのは以前からいる一人だけ』

 

そのキーワードはある仮定を即座に作り出す。

 

"『天の御遣い』は魏を捨て身を隠し、『蜀の公孫賛』と夫婦となっていた"

 

いくら三国同盟が成ったとはいえ、『魏の警備隊隊長』が『蜀の公孫賛』と一緒になるなど当時、

 

果たして可能だったろうか?

 

『魏の警備隊隊長』まで登り詰めた地位を捨て、身を隠してまでも一緒になりたかったのではないだろうか?

 

3年前に消えたのは愛する妻と子を守る為ではなかろうか?

 

だから3年もの間『天の御遣い』は姿を現せず、子供と共に隠れ住んでいたのではないか?

 

否定するには、あまりに目の前の光景が眩し過ぎた。

 

やわらかな笑顔で笑う夫婦と夫の腕で眠る子供────

 

それは女として産まれ、憧れなかったと言えば嘘になる。

 

自分ではありえないであろうその光景に目を奪われ、思春は三人が立ち去るのをただ見送るしかなかった。

 

 

お送りしました第14話。

 

自分的には、赤壁の戦いで一刀を恨む・・・っていうのは無いんじゃないかな、

 

と思いまして。策を策で返した戦いだったので冥琳辺りなら感心するんじゃないかと。

 

そうでなければ他にも死んでいる兵は沢山いるしなーというのが呉の印象です。

 

蓮華なら関係なく怒ってそうですけどw

 

思春の衝撃は、自分と同じだと思っていた同僚の独身OLが突然結婚したくらいの衝撃です。

 

その衝撃は推して知るべし・・・。

 

13話で貂蝉の漢女発言は、漢女=乙女ですからねー。

 

なぎ=漢女ではないですよー。

 

そんな男の娘は・・・いや・・・あるいみ・・・いやいや・・・妄想が・・・。

 

ではちょこっと予告。

 

「最悪の前兆」

 

ではまた。

 

15話は本日の17時過ぎ頃更新を予定しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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