No.178787

デペイズマン・シード 4th season;④

はい、もう「八神つながり」とか言ってられない、なのデジ、続きです。

一回上げたんですけど、入れる予定だったやりとりを入れ損ねていたので慌てて一時公開停止。更新報告ってどうやったら消せるんだ・・・?

2010-10-17 14:19:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2155   閲覧ユーザー数:2091

良心、というか良識的名「おまわりさん」を一人ボディガードに、(果たして「どちらに対して」か)とりあえず銀行まで赴くことになった一行。

おかげでフェイトは「なのは」としかさっきから言っていない。

彼女はアドリブがきかないので、自主的に喋ることを自重した。

さすがにこの状況ではやてに更なる脚本の追加を求めるのはあつかましい。

気になったもの、気に入ったものを親友の名を子呼ぶことで共有しようと頑張る様は決して異質ではない。

まぁもっとも念波があるので「会話」は当然成立している。

傍から見れば充分ツーカーというやつだ。

 

「てかフェイトちゃんてなのはちゃんにべったりだな」

 

距離を置いて見物(念波が出来ないゆえの、ボロを出さない配慮である)していたヤマトが思わずそんな様子にそんなことを言ってしまう。

何気ない一言であったが、にしし、と太一がソレに頷いた。

 

「だよなあ。昔のお前みてるみてぇ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・若気の至りだ」

「まだ若い身空でなにいっとるんよ、ヤマト兄」

「いや、こいつ弟にべったりで」

「たいちぃいいいっ!!」

 

勿論太一のいう「昔」は"あの頃"のことだ。

ヤマトにとって、この言葉ほどあの頃を言うのに正しい表現は無いだろう。

そりゃぁもういろいろな意味で。

弟に構いまくったのも、仲間に突っかかりまくったのも、逆に恥ずかしい科白吐きまくったのも、全部「若気の至り」だ。

それはともかく。

 

「とりあえず、フェイトちゃんの場合、兄弟…って、この場合は姉妹やね。ってよりもなのはちゃんが"おかーさん"の部分があるからなぁ」

「お母さん?」

 

警官の方が不思議そうに声を上げる。

なにせどう見ても同い年くらいだ。当然の反応といえたが、だからこそこれ以上、深い部分を語るわけにも行かない。

はやてはその「物語」を聞いただけだし、内容に至ってはファンタジーでありながら、熱血で昭和臭のする「けんかのあとでしんゆう」という伝統を見事に再現したらしいのだから、うかつに話せない。

ヘタをすると犯罪行為も発覚してしまう。主に管理局に対する、この国の労働基準法的な意味で。

どうごまかすかと思案しかけたところで目的地に着いたのは幸いだ。

 

「あ、あったあった」

 

丁度一人、青年が出てきた。

警察の制服にびくり、と大きく身体を揺らす。

正直、当然の反応だ。

 

「じゃ、そゆことで」

「……、あ、あぁ。その、良い休日を」

 

・・・・・・・・・・まぁ。ほかにどういっていいのか、わからなかっただろう。

 

「はは、どうも」

「ありがとさんやー」

 

・・・・・・・・・・でもどう聞いてもソレ、事件フラグですから。

そうと口にしなかったのは、彼らなりの安全策だったはずだ。

はずなのだが。

 

 

 

さて。

休日とはいえ銀行のATMくらいは開いている。

コンビニでもよかったのでは?というツッコミは不可だ。普通に今気づいたし、おしゃれな街には案外ないものだ。多分。

小学生のクセに自前のキャッシュカードで手持ちの殆どを返却する手続きを行うフェイト。

だがいざというところで果たしてどれだけ「持っていれば」いいのかと同行者たちを見渡した。

主に目線のメインは一人に固定だが。

 

「なのは、その」

「えーっと」

「一万も遺しておけば充分だぞ?」

「そうなのかな」

「まぁ金額ばかりが愛情の指数ともちゃうから」

 

大体、母の日の小学生の予算なんて紙と鉛筆くらいだ。

こだわるならそこに色鉛筆が入るだろうか。

1万なぞ、充分なんてかわいいレベルではない。

そうなのかなぁといいながらも、少女は素直に自分の財布から殆どをATMに預けることに決めた。

戸惑うほどの作業ではないがほんの数十秒、揃って手持ち無沙汰になる瞬間。

 

 

 

「……、あ、あぁ。その、良い休日を」

 

 

 

さっきの警官の科白が、太一の視界にとどまったモノの前でリフレインした。

ひく、とその咽喉が呼吸に失敗したように鳴る。

その様子に気づいたヤマトが同じところ辺りに目線を投げ、大きなため息をついた。

 

「あの科白、フラグだったか」

 

流石相棒。考えたことが伝わったか。

太一はそんないささか現実逃避めいたことを考えながら、それでも決意して「店内と隔たりになっているシャッターの隅に置かれた黒いカバン」に近づいた。

オンナノコたちがその様子に後ろから覗き込んでくる。

別段、問題なかろうが、こういうのは開けた途端…というのもないわけじゃない。

 

(まぁ今更か)

 

自分よりも間違いなく生存率は高いだろう少女たちに振り返るでもなく、意を決して彼はカバンのチャックを引いた。

妙な手ごたえはない。

その代わり、中には勝ちたくない賭けに勝った、その景品が入っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

太一の頭の中でBGMが流れる。言うまでもなく、ボレロだ。譲れない。

果たして後ろから覗き込んだ地球組がしみじみと「それ」に対して感想を口にする。

 

「爆弾やなぁ」

「爆弾だな」

「爆弾、だねぇ」

「え?爆弾て質量兵器の一つだっけ?」

 

人間ていうのも実質「質量」じゃね?とかって突っ込んではいけない戦うための生物兵器な異世界人がきょとん、と呟く。

まぁそんな反応もあるかもしれない

・・・・・・・ねぇよ。

 

ふー、と太一が息を一つ吐いて、自分ひとりではない結論にちょっとだけ遠い目をする。

さてどうしよう。

反り返った顔が、目線が投げてくる問いに、他の面子が顔を見合わせる。

 

「とりあえず、さっきのおまわりさん呼んでくるか?まだ近くにいるだろ。

って言っても、自衛隊の仕事なんだけどな」

 

ヤマトが沈黙に耐え切れないように提案する。

ごく良識的な発言だ。

その横で、魔法少女たちがそろり、と小さく手を上げながら発言。

 

「あの、結界にしまっちゃうとか」

「一度空に上げて、打ち抜くとか」

「信管とか爆薬転移魔法使って抜いてまうとかどうやろ?」

「できるの?」

「はい。その中で爆発させれば多分被害は抑えられると思います」

「私もそんな難しくなく撃ち抜けると思うの。場所さえあれば……」

「私は、言っといてアレやけどもちょぉ無理やなぁ。

 細かい作業苦手で……シャマルならできそうやけど」

「そうだよね……人の心臓ピンポイントで撃ちぬくとか…ふふ……ふふふ…」

「なんかえらい物騒な話を聞いた気がするけど」

 

すごく魔法関係者っぽい、だろうか?

 

「それにしたって後が説明できないぞ、そんなの」

 

思わず太一が突っ込んでしまうが。

苦笑いしながら、ヤマトも首を傾げる。

 

「動かしたらBOM,とかないよな?」

「こんなトコにしかけるとしたらそういうトラップはないやろなぁ」

 

解体されることを前提とはしていないだろう。

爆弾とは言うし、見掛けに他の要素はないのだが、そこにあったのは完成された、とは言いがたい荒っぽいつくりの印象を受ける。

いや、本物を見たことがあるわけじゃないだろうが。

 

「狙いってATM?」

「いや、配置からすれば銀行そのものじゃないか」

「え、じゃぁ逆に一人が動くのまずくないやろか」

「なんで」

「あぁなるほど。犯人が近くにいる可能性があるな。

読みがあってりゃ、爆発させるだけが目的じゃないはずだ」

「じゃぁ爆発しなければ様子見に来るのかな?」

「となると人間巻き込もうとはしないだろうな。アンテナっぽいのでもあるか?太一」

 

どう考えても小学生と高校生の会話ではないのだが、本人たちは至って真面目だ。

普通に考えればここで携帯でも使って警察に通報すればいい。

信用されるかどうかは別にして、市民の義務は果たしたことにはなるだろう。

が、そんなことができたらそもそもこんなやり取りは発想すら出てくるはずもなく。

聞かれた太一は口を尖らせ、拗ねたように言った。

 

「わかんねぇよ、機械は」

 

・・・・・・・そういえば前科がありましたね。

はーい、と今度手を上げたのはなのはだ。

 

「じゃぁ私みます。こう見えても強いんですよ、機械」

「そうなのか。よろしく」

 

普通なら躊躇いそうなものだが、太一はあっさりと位置を少女に譲った。

彼女も嬉々と危険の前に躍り出る。

 

「はいっ。えっとアンテナ探せばいいんですよね?」

「ん。あと潰して、みつけたら」

「へ?」

 

そうすれば確かに爆発はしなくなるが、あまりにあっさり言われてとまどわないわけでもない。

はやてが思案しながらうん、と呟く。

 

「爆発させるとしたら、多分わたしたちが出てきてからやろな」

「ん、一人だけ外に出たらはやての指摘どおり、それはそれで逃げる可能性もある」

「爆発失敗の様子を見に来たところを捕まえるのが、ベスト」

 

フェイトが言葉を引き継いだが、再びはやてがんー、と首をひねる。

 

「アンテナみつからんかったら?」

 

対する年長組の提案は、実に驚くべきものだった。

 

「電波障害起こせる人がいるから、そっちに頼ろう」

 

・・・・・・・・・・・・はい?

 

「今回はすっかりなのはちゃんにおんぶに抱っこだな」

 

それに対して、親友殿は驚きすらしないまま、大きく頷いた。

 

「まぁしかたないさ」

「はは・・・・・・・ぜったいみつけます」

 

これ以上都市伝説めいたものは生まないようにしよう。

一部の内輪には既に「魔王」だのなんだの言われているが、まだまだ悪魔レベルの白い魔法少女・高町なのはは、今更のように心の内でそうと誓いながら、目の前の機械と向き合った。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

今回書いてて気づいたんですが、2話にでっかい矛盾が出るんですよね

答え:電波障害起きてるのになんで携帯使えるんだよ?!

なーおそっと。

 

あ、補足。今更ですが魔力による電波障害はウチ設定です。

むしろ公式であったら逆にごめんなさい。

ミッドチルダならその辺りを対策がとられているというところで

 

シグナムさんがどうしても=刃物まにあ設定から離れられない罠

 

 


 
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