No.173403

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 41話

虎子さん

お久しぶりです。
遂に、拠点の全てが完成しました。
次回からは、黄巾賊殲滅編です。

2010-09-19 02:16:54 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3689   閲覧ユーザー数:3250

<鈴花>

 

 

 

 

【視点・鈴花】

 

私は、荀攸(じゅんゆう)公達(こうたつ)。真名を鈴花(りんふぁ)というしがない文人です。

今は、義勇軍『白虎』の軍師をしています。

そうなった経緯は、簡単に言えば豪臣君への一目惚れによるもの。

この惚れたという表現は、“愛”と言う意味では無く、豪臣君の“格”とでも言えば良いのでしょうか。この人を私の知と人脈で支えて行きたいと、そう思えたのです。

その後、私は彼に付いて行き、大商人の衛慈(えいじ)こと元(げん)さんと共に彼の世界のことや目的を聞かされました。

別の世界からやって来た仙人見習い。私は、この青年の力なら、この腐った世を正すことが出来るかも知れない。そう思い、元さんと共に頼み込み義勇軍を結成することになりました。

彼の目的は、飽く迄も仙人になること。

しかし私は、義勇軍の長として大陸の状態を見て回れば、見捨てられなくなるのではないだろうか。長として、義勇軍の戦果によって彼を縛れるのではなかろうか。私は、そんなことを考えていました。

実際、『白虎』の戦功は凄まじいものになっている。勿論、他の将たちの力もありますが、やはり、彼の力は大きい。しかし、彼はその大きな力に惑わされること無く、黄巾賊討伐後の義勇軍解散を撤回することは無かった。

普通、自身に大きな力があれば、それに自信や誇りを纏わせ、最後には邁進してしまう。

勿論、そうならない様に気を配るつもりではいたが、彼にその様な心配は無用だった。

彼は、変わらずに雄々しいく優しいままの彼だった。

そして、いくら強くなろうとも救えない者は居るし、いくら倒しても悪事を働く者は居ることを知っている。つまり、自分が出来ることを理解しているということ。

それでも、助けたい人や護りたい人のために必死に頑張っている。

そのためには、人を殺すことさえ辞さない。

 

本当は、誰一人傷つけたく無いくせに。

本当に、どこまでも護りたい者たちには優し過ぎる人、不器用な人。

 

この助けたい、護りたい人たちというのは私や朔夜さんたち。

私は、彼の“その様な”存在になれたことを、心の底から嬉しく思う。

 

 

こんな彼だから、私は・・・・・・

 

 

【視点・終】

 

 

 

~『白虎』 豪臣の天幕~

 

 

豪臣が朔夜たちに喰われてから数日経ったある日のこと

 

 

「愛していますよ」

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

鈴花の発言により、天幕の中が静寂に包まれる。

天幕の中には、豪臣と鈴花の二人だけ。二人は、元(げん)たち商人から届く情勢の変化や暗部に集めさせた情報の整理を黙々とこなしていた。

そんな中、いきなり鈴花が先の言葉を呟いたのだった。

作業をしていた豪臣は、いきなりの言葉に、ポカンと間抜け面を見せることしか出来なかった。

 

「・・・えーっと、何のことだ?」

正気を取り戻した豪臣は、躊躇いがちに訊く。

「あらあら、ですから“愛しています”と言っただけですよ。ああ、因みに、誰を?などと、的外れな言葉は要りませんよ。私が、豪臣君を愛しているということですから」

臆面も無く言い放つ鈴花。

豪臣は、苦笑しながら頬を人差し指で掻く。

「何の脈絡も無くどうしたんだ?」

(そりゃ、俺だって好きではあるが・・・てか、今更何を言ってんだ?)

「いえ、先日、遂にカラダを重ねたでしょ?そのことについて、今朝考えていたんです。そうしたら、私としたことが、自分の気持ちを伝えていなかったことに気付いたんです。豪臣君も、“自分の女”の気持くらい知っておきたいでしょう?」

ニッコリと笑って答える鈴花。

「い、いや、俺の女ってさ「あらあら、先日のことを無かったことにでもしようとしているのかしら?」・・・何でも無いです」

(犯されたなんていう黒歴史を消すことは叶わないんだな・・・まぁ、最後には勝ったから良いか)

豪臣は、少し肩を落とした。

すると、そんな豪臣の横に移動してきた鈴花がもたれ掛かる。

「ん?今度はなんだ?」

「あなたはどうなのでしょう?答えを聞いていませんよ?」

流し目で訊いて来る鈴花。

(何、恥ずかしいこと言わせようとしてんだよ、この軍師は///!?)

豪臣は、若干目を逸らす。

それを見た鈴花は、ニヤッ、と笑って

「あらあら・・・・・・それっ!!」

と、豪臣を押し倒した。

 

「おい鈴花!何し、~~~~~!?」

「ん~~~~~~~」

 

唇どうしを合わせるだけのキス。

鈴花は、豪臣に突き離される前に唇を離す。

しかし、その距離はほんの数cm。

少しでも顔を前に出せば、再び触れてしまう距離。

「・・・お前なぁ」

「私は、優し過ぎるあなたを愛しています。これからもあなたの傍に居て、私の全てを以てあなたを支えたい」

鈴花は豪臣の頬を両手で挟み、愛おしそうに撫でる。

「こんな私を・・・どう思っていますか?」

鈴花の問いに、豪臣は目を逸らす。

「恥ずかしいだろ」

若干、頬を赤くする豪臣。

(全く、子供みたいに・・・)

「言ってくれないと、また口づけをしますよ?」

「・・・言ったらどうなる?」

「勿論、口づけします」

「意味ねぇじゃないか」

「意味ならありますよ?」

笑顔でそう言う鈴花の言葉に首を傾げる豪臣。

「どんな?」

「私が嬉しいじゃないですか」

笑顔でそう答えた鈴花を見て

「・・・分かったよ」

観念した豪臣は

「・・・・・・愛してんっ!?」

全てを言う前に、その唇を鈴花に奪われた。

 

そして、離れた鈴花の顔は

「ふふふ、今日は寝かしませんよ、豪臣君?」

豪臣が今まで見た中で一番の笑顔でそう言った。

 

 

 

 

 

<おまけ・後>

 

 

 

「「隊長!」」「「御遣い様!」」「「紫堂様!」」

豪臣が攻撃を受け、さらに蹴り飛ばされたこと、こんなにも至近距離で攻撃を仕掛けるまでその存在に気付けなかったことに驚き、豪臣の近衛隊の隊員たちが慌てて駆け寄ってこようとする。

それを

「来るなっ!!」

豪臣は怒鳴り声を上げて止める。

豪臣は、突然の攻撃、自分の認識できなかった蹴りに混乱したものの、すぐに頭を切り替えて襲撃者を見る。

全身まっ白な服と覆面で覆われており、もしこの色が黒であれば、間違いなく忍者といえる服装であった。

その服装に疑問や違和感を感じながらも

(取り敢えず、俺が認識できなかったんだ・・・相当の化物と見て間違いない。うちの兵たちが精強とはいえ、相手にはならない)

警戒しながら、コートに隠れる様にして腰帯の差してある上弦と下弦に柄に触れる。

そして、抜刀しようとしたとき

「武器は不要にございます。私に敵対する意思はありません、御遣い様」

白装束がそう言った。

「・・・いきなり攻撃されて、はい、そうですか、何て言える訳ねぇだろ?」

「くくく、確かに。しかし事実です。先の攻撃は、師の命令ですので仕方なかったのですよ」

白装束は忍び笑いをしながら答える。

「師、だと?」

眉を顰める豪臣。

「ええ。“白き獣”である朔夜様のことです」

「なっ!?」

「驚きになるのも仕方の無いことですね。何しろ、相方の命令で攻撃されたのですから。ただ、これは御遣い様をどうこうするための命令では無く、私たちに対しての最終試験の様なものですので」

「・・・・・・」

白装束の言葉に、何となく分かってきた気がする豪臣。

「そう言えば、まだ私の名を告げていませんでしたね。私の名は雪(セツ)と申します」

「・・・それは真「真名ではありません」・・・じゃあ姓か?それとも名か?」

「暗号名・・・コードネームと言うらしいものです」

(コードネームって・・・ハァ)

豪臣は、朔夜が命令したと仮定して、この人物に何を求めているのか、先程よりも微妙に理解し始めた。

(日本の忍者+洋画の諜報員や暗殺者・・・か。まぁ、007やらMr.○○とかじゃないだけマシか、な?)

「で、その最終試験の命は何だったんだ?」

「私たち四名が、御遣い様、趙部隊長、太史部隊長、徐部隊長を相手に一撃入れることです。まぁ、一名だけ“入れる”ではなく“入れられない”こと、ですが」

(なるほど。ん?“入れられない”ってなんだ?・・・てか、さっきからあいつらが助けに来ないのは後ろに増えた気配の相手をしているからか?・・・それにしては、剣戟の音があまりしないけど)

豪臣は、一応警戒を緩めるが、新たな疑問に内心で首を傾げる。

(ま、その張本人とやらに訊けば良いか)

そう心の中で呟き、ことの真相を朔夜に訊くために、雪に対する意識を逸らさぬまま後ろを振り返る。

 

 

すると、そこには

(嘘だろ!?)

豪臣にとって、いや、『白虎』にとって驚愕の光景が待っていた。

 

 

 

 

 

豪臣が攻撃を受けた直後のこと。

ただただ会話を楽しんでいた星と昴は、豪臣の『のわっ!?』という声に振り返ろうとした。

が、その瞬間二人は首筋に衝撃を感じ、そのまま意識を失った。

「うっわ~弱いっスねぇ~。そう思わないっスか、宵(ヨイ)?」

「そう言うものではないよ。俺らの気配の消し方がとんでもないだけなのだらら。あ、噛んでしまった」

倒れた二人を尻目に、紺色の忍装束を着込んだ二人が呆れた様に会話をする。

 

いきなり倒れ伏した星たちを見て

「ぶ、部隊長たちが!」

「う・・・そだろ?嘘だよな!?」

「何なんだよ!あいつらは!?」

義勇兵たちが悲鳴の様に声を上げる。

呆然とする者や慌てふためく者、頭を抱える者、憤る者など様々だ。

そんな中、豪臣もまた驚きを隠せなかった。

(おいおいおい!星と昴がやられてやがる!)

大陸でも最高クラスの武を持つ二人が、得物も持てずに倒されているのだ。

そして、その隣の・・・

 

 

 

燈はと言うと、豪臣の声が聞こえた瞬間、自身の背後に気配を感じた。

「ふっ!!」

一瞬で地面に突き立てていた得物(壊大戦斧)を抜き、そのまま後方を薙いだ。

しかし、その一撃は

 

ガキン!

 

「ッ!?」

「効っか~ん!!」

背後に立っていた真っ赤な“装束”に身を包んだ大男に阻まれた。

 

その大男の肉体によって。

 

 

 

「な・・・なんの冗談だよ、これは」

豪臣は、眼前の攻防を見詰めていた。

それは、一心不乱に一撃を繰り出す燈と、ただただ己が肉体のみそれを防いでいる大男の姿を。

「燈の攻撃が効いてない、のか?」

大男は、燈の一撃を避けもせず、当たる度に『フハハハハハハハ!!』や『無駄無駄無駄無駄無駄~!』、『見よ!この肉体を!!』などとキモい発言をしながらボディービルダーもかくやというポージングを決める。

「てかさぁ、何?あのキモい格好はさ?」

豪臣は、げんなりした顔で雪に訊く。

豪臣の言うキモい格好とは、筋肉達磨の真っ赤な“装束”についてである。

雪や他の二人の服装は、確実に忍者を元に作られているのだが、筋肉達磨のは

(どう見ても、タイツにしか見えないんだよ・・・)

あまりにもピッタリなタイツ(の様な物)を着用している。

ピッタリなタイツに覆われ、目元のみが出ている筋肉隆々の大男。

(ある意味、貂蝉のおっさんより酷いかもしれない)

そんな感じの豪臣に訊かれた雪は

「ああ、アレですか・・・朔夜様曰く、“天才”なのだそうです。・・・いろいろな意味で」

覆面の影に隠れる様にしてある瞳が、若干逸らす。

そんな雪を見た豪臣は

「ハァ・・・いろいろってなんだよ?」

と、豪臣が、胡散臭そうに尋ねると

「それについては、あたしが答えてあげますよ、豪臣」

豪臣の下に歩いて来る朔夜だった。

 

 

 

「久しぶりですね、豪臣」

「朔夜か。一ヶ月ぶりだな。で、この騒ぎの目的とあの変人は何だ?」

「それは簡単です。私が育てた諜報部隊『暗部』、その主要幹部の実力を確かめるためです」

「迷惑な・・・で、『暗部』って名の由来は?」

「ええ、『暗部』です。諜報部隊って言うよりも、カッコイイでしょう」

 

『暗部』それは、間諜や暗殺の役割を担う『白虎』の隠密部隊として朔夜が鍛え上げた。率いる部隊長は朔夜。部隊員数は百人。隊員全員が、不完全ながらも気配を消す術『消(しょう)』を修得している。もちろんこれは、朔夜が才能のある者を選別した結果ではある。そして、隊員たちは『消』を駆使して、情報収集と潜り込んだ間諜の排除をしている。暗部の気配は、兵はもちろんのこと、将ですら簡単に察知出来ない。

 

「そんな理由かよ・・・いや、何となく予感してたか。で?あの変人は?」

(てかさ、俺の苦手な『消』をこんな短期間で修得されるって、結構ショックなんですけど)

「・・・・・・・・・」

「で、何故目を逸らす!?」

「仕方ないでしょう、アレですから」

「いや、分からんでもないけどさ。天才、なんだろ?」

「ええ、まぁ・・・」

 

あの筋肉達磨の名(コードネーム)は暁(アカツキ)。身長は、貂蝉たちを超える程の大巨人で筋肉の塊野郎である。

朔夜が天才と言った理由。それは、仙人若しくは豪臣の様に仙氣を使える人間でもない限り、人間は“基本的”に一系統の氣のみを有している。しかし暁は、気配を消す『消』、体に氣を纏い刃すら通さぬ『剛(ごう)』、そして、もう一系統の氣を有している。つまり、人間としてみたとき、彼は天才と呼べるのである。

さらに、その中でも『剛』才能が凄まじいのである。『剛』は、下手な者が纏っても、薄っぺらな鎧を纏う程度の物から、まさに鉄壁、城壁に匹敵するほどの防御力を手に入れることの出来る術である。豪臣は仙氣を纏うため、同量の氣を使っても只の氣を使う人間の『剛』の倍近い防御力を得ることが出来る。しかし、朔夜曰く、この暁の『剛』は豪臣のそれを軽く超えてしまう程の実力があると言う。そして格闘センス、特に無手での戦闘センスも高く、朔夜の本組み手(仙術を使わない)で、三本に一本は勝ち取れるまでになったという。

 

「まぁ、性格と服装の好みに難があるのが非常に残念ですが・・・莫迦と天才は紙一重と言いますし、あたしはそう思う様にしました」

朔夜が、溜息混じりにそう言った。

(俺以上の『剛』が出来る人間か・・・これまでの修行って何だったんだよ・・・)

朔夜の説明に、さらにショックを受ける豪臣。

そこに、ガキン、ガキンと燈の大斧を喰らいながらも、話題の主、全身タイツ筋肉が悠々と歩いて来た。

「どうだ姫?儂の実力、これで文句は無かろう?」

(姫?)

暁の言葉に疑問を覚える豪臣。

しかし朔夜は

「ええ、十分です。燈、そこまでですよ」

「・・・わかった」

然も当然の様に答え、燈にも声を掛ける。

燈は、若干頬を膨らませて短く答えて、そっぽを向く。

「で、そっちに居る御仁が?」

「ええ、“天の御遣い”である紫堂豪臣よ」

「そうか・・・では」

そう言って、暁は豪臣の前までやって来ると

「それでは、よろしく頼むぞ、殿よ!」

バシン、と大きな音を立てて背中を叩いた。

「っっっつ~~~~~!!!」

豪臣は、苦痛に声も出せずに苦悶の表情になる。

「お、暁さんは、もう挨拶済ませたんスか?」

「おお、朧(おぼろ)に宵(よい)か。主たちも、すぐに挨拶せい!」

「怒鳴らないで下さい。あなたの怒鳴り声は、頭に響くんですよ、あかかきさん。あ、噛みました」

噛んだ宵は下を出す。

名を間違えられた暁は、またか、という様な呆れた表情を浮かべる。

そんな中、紺色の忍装束を纏う朧と呼ばれた者が前に出る。

「取り敢えず、朧ッス。暗部の班長してるッス。部隊長のことは、姉御って呼んでるッスから、紫堂隊長のことは、兄者って呼ばせてもらうッスよ」

(いや、兄者って・・・まぁ、いいけど)

豪臣は、この小者っぽい喋り方をする朧を呆れたような目で見る。

すると、朧と同じ紺の忍装束をまとった宵(よい)が前に出る。

「私の名は宵(よい)。朧と同様に、暗部班長を務めております。以後お見知りおきを、ボス」

(・・・何でボス?横文字じゃん)

内心ツッコミを入れていると、朔夜が改めて二人の紹介をする。

 

豪臣とほぼ同じで長身の暗部班長、名(コードネーム)は朧(おぼろ)。自由気ままな性格をしていて、気が乗らないと、偶に怠けようとする。しかし、受けた命令の結果だけはちゃんとやってのける。戦闘では二刀流を使い、なかなかの才能を持っているらしい。術は『消(しょう)』のみではあるが、ほぼ完璧に使いこなす。

 

小さな暗部班長、名(コードネーム)は宵(よい)。130㎝程の身長しかないが、『消(しょう)』をほぼ完璧に使いこなし、敵に気取られる前に倒す戦法を得意とする。もちろん、正面からでも、朔夜直伝の体術を駆使して敵を倒す。朧や暁の様に肉体的直感で動くのではなく、理を以て動くタイプである。思慮深く、朔夜や暗部団長の雪の相談役にもなっている。物覚えも良く、朔夜から教わった横文字単語を偶に使用する。言葉を噛み間違えることがあるが、時折わざと間違えることある。因みに、朔夜のことはリーダーと呼ぶ。

 

朔夜の紹介を聞きながら

(何で、白虎(ココ)は独特な連中が集まるんだ?)

豪臣は嘆息するのであった。

「以上です。因みに、暁はただの一兵卒です。コレは忍ぶ者としては性格的に難がありますから」

「まぁ、確かにね」

「ですので彼は、豪臣、あなたの護衛とし「嫌だ!」・・・」

(嫌に決まってるだろ!?あんな筋肉達磨を傍に置けるかっての!?)

豪臣が全力でお断りするが

「・・・ての任を与えました。「あれ?無視か?」類稀なる『剛(ごう)』の使い手ですし「いや、ホントにスルーすんのか?」護衛には打って付けでしょう」

(え~!マジでスルーしてるよこの人!)

豪臣のツッコミを無視して説明する朔夜。そう、相談などでは無く、決定していることを説明しているのである。

「もう、何を言っても意味が無いってことなんだな?」

諦めモードで訊く豪臣。

「その通りです。あたしが“豪臣”のためを思って考えたんです。拒否なんて許しません」

軽く睨んで来る朔夜に、嘆息する豪臣。

「ハァ、分かったよ。ただ、暁」

「ム?何だね、殿?」

朧たちと共に、豪臣たちの会話を聞いていた暁は、呼ばれたため前に出る。

「お前、『消(しょう)』を使って、他の人間に気付かれるなよ。お前みたいな大男が居たら、周りを驚かせてしまう」

豪臣の言葉に、真っ赤な筋肉達磨は腕を組む。

「ふむ・・・・・・で、その心は?」

暁のその問いに

「デカいキモいウザい視界に入んな」

豪臣は、息継ぎもせずに捲くし立てた。

「・・・・・・ここまで、ハッキリ言われると逆に清々しいな。よかろう。殿の命にかかわることがなければ、命令無しで出て来ることの無い様にしよう」

素直にそう言う暁。

周りは、そこまで言わなくても、みたいな目で見て来て若干居心地が悪いが、豪臣は気にしない様に務めた。

そこで、朔夜に声を掛ける者が居た。

「朔夜様。私の紹介はして頂けないのでしょうか?」

白い忍装束の雪(せつ)だった。

朔夜は、忘れていたのか、ばつの悪い顔をして一言謝り、豪臣に紹介をした。

 

雪は、暗部の団長を務めている。暗部の中で、朔夜を除けば唯一『消(しょう)』を完璧に使いこなし、剣術・槍術・弓術・体術をオールマイティに使いこなす傑物。名実ともに、暗部最強の人物である。性格は真面目で、実は結構な―――な人物らしい。

 

朔夜の紹介が終わると、雪(せつ)は臣下の礼を取る。

「豪臣様。私は今後あなた様の手となり耳となり、絶対の忠誠を誓い、全力で尽くす所存にございます。暗部団長として、裏の、どのような汚れも、全てこの雪(せつ)にお任せください」

そう告げられた豪臣は、苦笑いを浮かべながら答える。

「雪、お前の覚悟、確かに受け取った。ここで、カッコよくお前たちにそんなことはさせない、なんて言えたら良いんだけど、俺はそんなに楽観はしていないんだわ。もしものときは、お願いするよ。よろしく頼むな」

「ハ!全身全霊を賭けて!」

(そう気張らんでも・・・)

 

こうして、豪臣率いる『白虎』に強力な力が加わった。

 

余談だが、一撃で沈められた星と昴は一週間落ち込んだままだった。

 

 

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

本当にお久しぶりです。気が付けばお気に入り件数が四ケタを超えてまいりました。

こんな亀更新の作品を読んで頂いて感謝感謝です<m(__)m>

やっと仕事が連休になったので投稿できました。

 

では、作品の話です・・・

今回は、鈴花の恋心を書いてみたかったので、こんな感じになりました。

おまけ・後についてですが、これ、確実にミスりました。前・中・後の三部に分けるべきでした。前後のボリューム配分が絶対に間違ってますし・・・(^_^;)

実は、鈴花編は8月の半ばには書き終えていたんですよねぇ(笑)

では、出てきた今後も活躍予定の暗部隊員たちですが、まずは雪。これまでも時折出てきた暗部最強人物です。スペック的に何で表に出てないの!?とツッコミを入れたくなりますが、仕様ですので悪しからず。このキャラには大活躍?して頂く予定です(笑)

暁。彼は、まさに防御の神といえる存在です。駄菓子菓子!容姿の関係上、豪臣にかなり引かれています。三つの氣術の内の一つは、まだ秘密です。

朧。劉備編で一度登場していますよね。覚えていますか?今後も、使い勝手の良いキャラとして登場予定です。

宵。『白虎』最小の身長の人物。スペック的には軍師のようなキャラです。

余談ですが、この四人の名前は、名前の後ろに“月夜”を付けることの出来るようになってます。夜とか月(つき)とかが大好きな作者仕様になってます。豪臣の武器とか朔夜とかですね。

 

四人のプロフは次のページに載せますが、まだまだ秘密の多いキャラですので、本名などは載せず、暗号名と能力値のみ載せますね。

 

次回投稿なのですが、22日か23日になると思います。連休バンザイですね!

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 

 

 

暗号名;雪(セツ)

能力値

 統率A・武力A・知力B+・政治力D・魅力B+

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

暗号名;朧(オボロ)

能力値

 統率B・武力B・知力B-・政治力C-・魅力C+

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

暗号名;宵 (ヨイ)

能力値

 統率B・武力C・知力A-・政治力B・魅力D

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

暗号名;暁(アカツキ)

能力値

 統率B+・武力C+(防御力S+)・知力C・政治力D・魅力E

 


 
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