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真・恋姫†無双~真・漢ルート~ 第7.5話:漢達の休息Ⅲ

大鷲さん

名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。

2010-07-11 23:12:30 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:4146   閲覧ユーザー数:3424

一刀たちが魏に来て数週間がたった。

 

魏の武将の中にも一刀を快く迎えてくれた女の子たちもおり、意外にも快適に暮らしている。

無論、夏侯惇と荀彧のように高圧的かつ理不尽に扱われることもないわけではない。

 

一刀が宮仕えをしている中、他の仲間もそれぞれ好き勝手にやっている。

 

華佗は街で借家を借りて診療所をしている。

連日多くの客が来る為忙しいとのことだ。

 

貂蝉と卑弥呼は華佗の診療所の近くの服屋で働いている。

あの見た目で客足は減るかと思っていたが、案外上手くやっているらしい。

 

華雄も張遼を経由して警備隊の仕事を手伝いながらも修行に明け暮れている。

張遼と楽進と共にほぼ毎日のように修行中だ。

 

そして、左慈と干吉は師匠に一度顔を見せに峨眉山に戻っている。

準備をしている間に色々あったが詳しくは後ほど……

 

 

今回はそんな感じで何とかやっている一刀君とその他の皆の日常を綴った話である。

 

 

第7.5話:漢達の休日Ⅲ

 

 

 

 

 

拠点イベント:華佗

 

 

 

華佗「よしっ!問題なしだ」

 

一刀「ん、俺も特に何も見えないな」

 

 

華佗と一刀が曹操に言う。

 

現在一刀と華佗は曹操の部屋で曹操の診断をしていた。

護衛と称して夏侯惇と荀彧が曹操の傍に控えていたが、今回は再発していないかの確認である為曹操に脱いでもらう必要がなかったので二人は少々がっかりしていた。

 

 

曹操「態々来てもらって悪かったわね」

 

華佗「いや、何もなければそれに越したことはない

   けど、俺が来なくても一刀に診て貰えば良かったんじゃないか?」

 

一刀「俺は見えるだけだろ、鍼とか出来ないよ」

 

 

そもそも、華佗の治療で鍼を使う場合、『氣』を鍼に込めているのでそのあたりは一刀には不可能な領域と言っても良い。

一応体を鍛えてはいるが、氣の扱いについては当分先の話である。

 

 

夏侯惇「しかし、不思議なものだな

    何で鍼に氣をめぐらせるだけで病気が治るのだ?」

 

華佗「鍼によって人間が持つ本来の治癒力を高め、病魔の原因を弱めているんだ」

 

荀彧「その原因って何よ?」

 

一刀「それこそ病気しだいじゃないかな?」

 

曹操「それにしても治って良かったわ

   最近では良く眠れるようになったもの」

 

 

曹操の言葉が終わると同時に扉を叩く音がする。

中に入ってきたのは夏侯惇の妹・夏侯淵であった。

 

 

夏侯淵「華琳様、茶の支度がすみました」

 

曹操「あら、丁度良かったわね

   華佗と北郷もどう?」

 

荀彧「いけません!こんな汚らわしい男たちを茶の席に誘うなど!」

 

 

曹操は一刀たちを茶の席に誘おうとすると荀彧が必死になって止める。

そんな荀彧の反応を楽しむように曹操は一刀たちに視線を向ける。

 

 

一刀「あー、俺達は……」

 

華佗「悪いが、飯を食いに行く事になってるんだ」

 

 

最近の一刀は城から出るのは警邏の時のみであまり城から出てきていない。

久しぶりに華佗と会ったのでこれから一緒に飯を食いに行くことにしていたのだ。

華佗も一刀も仕事が今まで掛かっていた為、昼食を食べていなかった。

 

そんな素っ気無い男たちの態度に女としてのプライドが刺激されたのかむっとなる曹操。

 

 

曹操「あら、私の誘いを断るのかしら?」

 

一刀「それは……」

 

夏侯惇「貴様ら!華琳様から直々に誘われているのだぞ!」

 

華佗「そうは言うがな……男同士気兼ねなく飯を食うのも……」

 

荀彧「華琳様に逆らうつもり!?」

 

一刀「はいはい、俺達に拒否権はないのは分かった」

 

 

なんだかんだ言いながらも言い包められる一刀と華佗。

皆で曹操の部屋から出て中庭に向かう。

 

 

 

 

着いた先ではお茶とおやつが準備されており、この場にいる人数と同じ数だけ準備されていた。

夏侯淵はこうなることを読んでいたのだろうか、それとも曹操が予めこうなる様に仕向けていたのだろうか。

 

 

曹操「そうね、今日は北郷もいることだし、天の世界の話でも聞かせてもらいましょうか?」

 

一刀「んー、何から話せばいいのやら……」

 

夏侯惇「面白い話だ!」

 

一刀「面白い……か、もう少し具体的に言ってほしいんだけど」

 

曹操「まあ、私たちを楽しませるような話をすればいいじゃない」

 

 

曹操の言葉に頭を悩ませる一刀。

華佗ならば民間療法とか病気の話でもしていればいいが、流石に曹操たちにそんな話しをしても盛り上がらないだろう。

かと言って女性を盛り上げるような話題を持っていれば今頃一刀に彼女の一人くらいは出来ていただろう。

 

 

華佗「医学の話じゃ駄目か?」

 

荀彧「アンタが楽しいだけでしょ!?」

 

曹操「あら、そうかしら?我が国でも病気に対する備えは万全とは言い難いわ

   遠征時には風土病による病人が後を絶たないわ」

 

一刀「ああ、それなら華佗にもしたことがあるけど水が原因の可能性があるかもね」

 

夏侯惇「水?」

 

華佗「ああ、極小の生物のことか」

 

 

華佗の言葉に一刀が肯く。

そのまま曹操のほうを見て寄生虫について説明する。

 

曹操は一刀の話を興味深く聞き、意味が分からない夏侯惇が横槍を入れようとするのを夏侯淵が止める。

荀彧も一刀の話なので無視しようかと思っていたが、考えを改める。

 

 

一刀「まあ、そういう生き物がいるから生水を飲むと危ないんだ」

 

曹操「対処法はないの?」

 

華佗「寄生虫とやらも生き物だからな、熱に弱いんだそうだ」

 

一刀「そう、だから飲み水や料理用の水は最低でも一度沸騰させておいた方がいいよ

   それでも完全とは言いがたいけどね」

 

曹操「なるほどね、参考にしておくわ」

 

一刀「じゃあ、他に役に立ちそうなのは……」

 

 

昼食を食べていないのでお茶菓子で誤魔化そうとお菓子に手を伸ばそうとするが、すでになくなっていた。

話が理解できなくなってやることがなかった夏侯惇によってすべて食べられてしまったのだ。

 

行き場を失った手が空中をさまよう。

 

 

曹操「北郷、私の分をあげるわ」

 

一刀「え?」

 

 

予め自分の分を取っていた曹操が一刀の方に自分の皿を動かす。

突然の状況に対応の取れない一刀、周囲の反応を面白いと判断した曹操は悪乗りをする。

   

 

曹操「あら、仕方がないわね

   ほら、口を開けなさい」

 

荀彧「か、華琳様!?」

 

一刀「いや、それは……ちょっと……」

 

曹操「私の菓子が食べられないとでも?」

 

 

有無を言わせぬ曹操の威圧、別方向から来る嫉妬の視線。

一刀は覚悟を決めて口を開いてお菓子を食べる。

 

咀嚼しながら華佗に視線で合図を送る。

華佗もこの後どうするのか理解する。

 

一刀が完全に飲み込むのを合図に全速力で逃亡する二人。

 

 

夏侯惇「貴様ッ!なんてうらやましいことを!!」

 

一刀「少しは本音を隠せよ!」

 

華佗「おい!俺まで逃げる必要はないだろ!!」

 

 

そんな追いかけっこを始める三人を曹操は面白そうに笑うのであった。

 

 

 

 

 

拠点イベント:左慈&干吉

 

 

現在、左慈と干吉は師匠の所に帰省中である。

そんな二人がまだ魏に残って準備していた時のことである。

 

 

数週間前、一刀は左慈と干吉の二人と共に男3人食い倒れツアー(一刀命名)の真っ最中であった。

 

 

左慈「おい、もう一個よこせ」

 

一刀「お前3個目だろ、自重しろ」

 

干吉「まあまあ、私の分を差し上げましょう」

 

 

何故に食い倒れツアーかと言うと、当分は山に戻って修行をすることになるので、今のうちに食い溜めしておくのが目的らしい。

元は左慈と干吉の二人であったが、休暇中の一刀が二人を発見し合流したのだ。

 

 

一刀「干吉はいいのか?」

 

干吉「ええ、私が触ったモノを左慈が食べる……それだけでお腹いっぱいですよ」

 

左慈「おっと、手が滑った!」

 

 

勿体無いが左慈の饅頭が地面に叩きつけられた。

饅頭は四散してしまった。

 

 

程昱「おやおや、食べ物を粗末にするとはいけませんね」

 

宝譿「ニーチャンたち、世の中には飯を食うことも出来ない奴だっているんだぜ?」

 

 

そんな三人に声をかける少女の声。

少女の名前は程昱、魏の軍師の一人である。

そして、彼女に味方をするように喋る頭の上にある人形・宝譿。

 

彼女は魏の軍師の中で唯一一刀に厳しくない人物である。

そんな彼女の後ろからもう一人の女性が現れる。

 

 

郭嘉「北郷殿ですか、仕事の方は良いのですか?」

 

一刀「今日は休暇なんだけど……」

 

郭嘉「そうですか、人一倍仕事が遅いので残しているものかと思っていました」

 

 

厳しいことを言う女性・郭嘉はメガネのずれを直しながら一刀の後ろにいる二人を見ている。

左慈と干吉は魏の城内に入ることもないので彼女達とは初対面であった。

そのことに気が付いた一刀は二人を紹介する。

 

 

一刀「ああ、この二人は左慈と干吉

   俺の仲間だよ」

 

程昱「あ、風は程昱です

   こっちのむっつりちゃんは郭嘉なのです」

 

郭嘉「誰がむっつりですか!?」

 

 

程昱の紹介に郭嘉の顔を赤くして怒る。

 

 

程昱「そんなこと言って、陰ではお兄さんのこと褒めてるくせに……」

 

一刀「え?」

 

程昱「仕事は遅いですし、字も下手っぴですが、綺麗にまとめているって言ってるんですよ?」

 

郭嘉「ちょっと!風!?

   貴方だってよく北郷殿の話をするではないですか!!?」

 

 

普段何かと天邪鬼な態度をとる郭嘉は一刀に対してそれほど悪い印象を持ってはいない。

彼女は荀彧とは違い、単純に仕事のみで一刀を判断している。

一刀は叩けば伸びるタイプの人間である為、基本的にきつく当たるようにしているのだ。

 

 

 

 

程昱「風はお兄さんのこと嫌いじゃないですから……それに……」

 

一刀「それに?」

 

程昱「……ぐぅ」

 

一刀&郭嘉「「寝るな!!」」

 

 

話の途中で寝る程昱に一刀と郭嘉の息のあった突っ込みを入れる。

 

 

程昱「おおぅ、これです

   稟ちゃんにも劣らない素晴らしい突っ込みです」

 

干吉「むっ、北郷殿、私と組んで漫才しませんか?

   あ、左慈を入れて3人でなんてどうでしょうか?」

 

??「それは面白そうね」

 

 

声の先にはいつぞや(3話)以来の登場となる人和。

彼女と一緒に他の2人もいる。

 

 

人和「『天の御遣いたちによる漫才』、これを前座にすれば盛り上がるかしら?」

 

左慈「悪いことは言わん、考え直せ」

 

一刀「干吉のダジャレはどうしようもないぞ」

 

干吉「……傷つきますねぇ」

 

 

二人にボロクソに言われて涙目の干吉。

そんな干吉を無視して天和が一刀に抱きつく。

 

 

天和「それより、一刀、『天の世界』の話聞かせてよー」

 

地和「そうね、今度あったらって言ってたくせに忙しくてそれ所じゃなさそうだったもんね

   今度こそ話してもらうわよ」

 

人和「立ち話もなんだからあそこに入りましょう」

 

 

そう言って人和は近くの店を指差す。

 

一刀は苦笑して左慈たちに視線を送る。

左慈たちも仕方ないという風に見せに向けて歩き出す。

 

帰る時に一刀の財布がとんでもなく軽くなったことは仕方が無いことだろう。

 

 

 

 

拠点イベント:貂蝉&卑弥呼

 

 

 

楽進「北g…一刀様」

 

一刀「何かな、凪?」

 

 

現在一刀は楽進(凪)と共に警邏の真っ最中である。

魏でも一番一刀に優しいのは彼女である。

 

元々彼女は真面目な性格をしており、一刀にも最初から親切にしてくれていた。

一刀が警備隊の人員不足に対して曹操に掛け合ってくれたり、一緒に警邏をするようになるに連れて凪は一刀を尊敬するようになっていた。

それゆえに彼女は一刀に真名で呼んで貰う様にしている。

彼女が真名を渡したことにより親友の李典と于禁も真名を渡している。

 

一刀も名前で呼んで貰う様に言ったのだが、真面目な彼女は頑なに拒んだ。

拝み倒して漸く名前で読んでもらえるようになったので、次は様付けで呼ばないように『路上で土下座』しようと考えている。

 

 

凪「いえ、今日は良い天気ですね」

 

一刀「そうだな、今日みたいな日は良いことあるかもな」

 

 

特に問題は無く、陽気な光を浴びて二人はのほほんと気を抜く。

そんな風に二人はまったりとした空気を作りながら歩みを進める。

 

しかし、角を曲がった瞬間凪の表情が真剣なものになり、一刀の顔が歪む。

 

視線の先では同じく警邏中のはずの李典こと真桜と于禁こと沙和が服屋に入っていくのが見える。

凪の周囲に病魔による靄ではなく、彼女自身の氣が展開される。

 

このままでは店ごと破壊されかねない

 

 

一刀「な、凪!待ってくれ!!

   確かこの店に俺の知人がいるから俺もちょっと顔を出しておきたいんだ」

 

凪「知人ですか?」

 

一刀「ああ、だから于禁たちも俺の仲間を見ておこうと思ったんじゃないかな?」

 

 

穏便に済ませようと凪の前に出て手を広げる一刀。

 

この服屋には貂蝉と卑弥呼が勤めているはずなのでそれを利用して凪の意識を逸らす。

于禁たちが貂蝉たちのことを知っているとは思えないが……

 

 

凪「私はあの二人を『捕獲』しておきますので」

 

一刀「……ほどほどにな」

 

 

 

 

店の中に入ると、女性用の服ばかりで男性客は皆無。

一人浮いた存在である一刀はそそくさとカウンターの方に向かう。

 

カウンターには一人の男が立っていた。

人のよさそうなやや痩せ型の男。

一刀に気付き声をかけてくる。

 

 

店長「貴方様が天の御遣い様ですか?

   父がお世話になりました」

 

一刀「父?」

 

店長「貴方様方に許昌まで送っていただいた一団に私の親族がおりました」

 

一刀「そうですか、でも気にしないでください

   こちらも行き先を決める良い機会になりましたから」

 

 

そうですか、と微笑みながら店長は肯く。

その時カウンターの裏から2メートルを越す巨漢……貂蝉と卑弥呼が顔を出した。

 

 

貂蝉「あらん、ご主人様

   私たちのお店に何か御用かしら?」

 

一刀「お前らの店じゃないだろ、店長さんも苦笑いしてるぞ」

 

卑弥呼「しかし、一体何のようだ?

    まさか意中の女子に贈り物か!?」

 

一刀「残念ながら財布の中身が激減してるから難しいな」

 

沙和「あー、一刀君だ」

 

真桜「凪も居るんやし、そりゃ一刀はんも居るやろ」

 

 

そう言ってポケットから財布を取り出して振る一刀。

その時後ろから女の子の声はする。

 

凪とは違い遠慮が無い二人は言いよどむことなく名前で呼ぶ。

 

 

一刀「凪……」

 

凪「えと、その……」

 

 

声のほうを向くと顔を赤くしてもじもじする凪も一緒に立っていた。

 

その服装は学生服、彼女にしては珍しく着飾っていた。

ブルータスよ、お前もかと言いたげに頭を抱える一刀。

 

 

真桜「あー、あかんわ一刀はん、女が着飾っとるんに一言も無しやなんて」

 

沙和「ぶーぶー、一刀君のイケズー」

 

卑弥呼「流石に我らも擁護できんぞ」

 

貂蝉「そうねん、ご主人様にしては気が回らないわね」

 

 

一刀に女性陣(?)の冷たい視線が突き刺さる。

凪もチラチラと一刀を見ている。

 

ため息を一つついて覚悟を決める一刀。

 

 

一刀「凪が可愛いのは良いとして、お前らは仕事しろよ」

 

真桜「うわっ、さらっと褒めて流そうとしてるで」

 

沙和「ひどいのー」

 

一刀「お前らは仕事に行け!」

 

 

二人はぶーぶー言いながらも店を出て行く。

二人が出て行ったのを確認して、改めて凪のほうを向く一刀。

 

 

凪「あの、着替えてきます!」

 

一刀「ちょっと待って……凪、その服ってさ俺と同じような学生が着る服なんだ」

 

凪「そうだったのですか……」

 

一刀「ああ、だから……もうちょっとだけ着ててくれないかな……」

 

凪「ですが……」

 

 

凪が着ているのはあくまで試着であり、実際に購入しているわけではないのだ。

凪もあまり手持ちが無いので購入は厳しい。

 

 

貂蝉「お金ならわたしが出しておくわよん」

 

店長「いえいえ、私が立て替えましょう

   御遣い様ならば信頼できますので」

 

 

そういって店長は微笑んだ。

 

その日、天の御遣いと楽進将軍が仲睦まじく歩いていたという。

 

 

 

 

拠点イベント:華雄

 

 

 

服屋の店長に代金を支払い、一刀は店を出る。

その手には新たにもう一着の『別の制服』が握られていた。

 

 

一刀はいそいそと城に戻り、ある人物を探す。

その人物はこの時間帯は中庭で武器を振るっているはずだ。

 

中庭では思った通り金属と金属がぶつかり合う音と二人の女性の咆哮が聞こえる。

二人の集中を乱さぬように静かに近寄って行く。

 

 

華雄「はぁ!」

 

張遼「くぅっ!こなくそ!!」

 

華雄「ふんっ!これで終わりだ!!」

 

 

華雄の攻撃に腕が痺れていたのか張遼の手から飛龍偃月刀が弾かれる。

 

 

張遼「あー、うちの負けや」

 

華雄「そうだな…何か用か?」

 

一刀「ああ、華雄にちょっと」

 

 

一刀に気付いた華雄が一刀に声をかける。

一刀は華雄に服をプレゼントしようと思ってきたのだ。

 

 

張遼「ん?何や、贈り物か?」

 

一刀「ああ、華雄に服を……ね」

 

華雄「服か……私はあまりそういったモノに疎いぞ」

 

一刀「まあ、凪の制服を見て思い出してさ、貂蝉たちに頼んで作ってもらったんだ」

 

 

そういって一刀は包みを渡す。

一刀が貂蝉たちに頼んだのは聖フランチェスカの女子制服である。

色は同級生の青色、記憶が曖昧である為、デザインは多少違うがかなり近いものになったはずだ。

無論、ポリエステルの生地などあるわけは無いので光沢は無い。

 

 

華雄「……まあ、貰える物は貰っておこう」

 

張遼「(・∀・)ニヤニヤ」

 

華雄「なんだ……何か文句でもあるのか!」

 

 

若干頬が赤い華雄にニヤニヤと面白いモノを見つけたという風に笑う張遼。

一刀も華雄が満更でもなさそうなのでほっとする。

 

そこに曹操の親衛隊で最年少の二人組みが現れる。

 

 

許緒「兄ちゃん!」

 

一刀「おっと、元気だな季衣」

 

典韋「季衣!いきなり飛びついたら兄様が困るでしょ!」

 

一刀「大丈夫だよ、流琉」

 

 

許緒こと季衣が一刀に飛びつき、典韋こと流琉がそんな彼女に怒る。

彼女達から真名をもらったのは二人が喧嘩をしている所を仲裁したのが切っ掛けである。

 

流琉が料理を作っていた際に季衣がつまみ食いをした為二人は言い争いを始めた。

最初はただの口喧嘩だったのだが、次第にエスカレートし二人とも武器を構えた所で一刀が割って入ったのだ。

彼女達がもし武器を止めなかったら一刀は死んでいた。

 

そこから二人と良く話すようになり、真名で呼ぶことが許されたのだ。

二人からすると年上の男性ということで、兄が出来たような気分なので一刀のことをそれぞれ『兄ちゃん』『兄様』と呼んでいる。

 

 

張遼「あんさん、手ぇ早すぎるんちゃう?

   幾らなんでも季衣たちはあかんやろ……」

 

一刀「何を勘違いされてるか何となく分かるけど、貴方が考えているような事実はありません!」

 

張遼「まあ、ええわ

   ウチは霞でええよ」

 

一刀「真名だろ?いいのか?」

 

霞「ええよ、アンタ弄るん面白そうやし」

 

 

そう言ってニヤニヤと笑いながら一刀の方をたたく。

 

 

華雄「そうだ、張遼

   一刀に馬術を教えてやってくれ」

 

霞「ん?なんや一刀、アンタ乗れんの?」

 

一刀「乗れるけど動いてくれないんだよね……」

 

霞「それ、乗れんのと同義やろ」

 

 

 

 

一刀たちは中庭から馬小屋に移動し、馬を調達した。

季衣と流琉も面白そうだからとついて来てしまった。

年上としてあまり格好悪い所を見せたくないので一刀も気合が入る。

 

 

霞「とりあえず、こいつは大人しいから乗ってみ」

 

 

霞の指示に従って馬の上に乗る一刀。

手綱を持って馬の腹を軽く蹴る。

 

馬はのろのろと歩き出す。

馬が動いたことに目を輝かせる一刀。

 

 

一刀「こいつ……動くぞ!」

 

霞「当たり前やろ!……両手で手綱引いてみ、止まるはずやから」

 

一刀「こうかな?」

 

 

手綱を引っ張り馬を止めようとする一刀。

馬はちゃんと止まり、その場で一鳴きする。

 

 

霞「動くやん」

 

華雄「前の時は微塵も動かなかったのだが……」

 

流琉「このお馬さんがメスだからってことは無いですよね?」

 

霞&華雄「「!!?」」

 

一刀「『それか!?』見たいな顔されても……」

 

 

流琉に言われて霞が別の馬を連れてくる。

同じく大人しい『オス』の馬である。

 

一刀はオスの馬に乗り軽く腹を蹴る。

 

 

馬「フンッ」

 

霞「鼻で笑われたで」

 

一刀「……」

 

 

無言で2、3度腹を蹴る一刀。

しかし、馬は一切動かない。

 

 

霞「一刀……今度からメスの馬に乗るようにしぃ」

 

華雄「問題解決だな、後は慣れだ」

 

季衣「兄ちゃんらしいって言えば兄ちゃんらしいね」

 

流琉「兄様、私たち仕事がありますので馬を元の所に戻してあげてください」

 

 

良かった良かったと一刀を置いて帰っていく華雄たち。

 

彼女達がいなくなるのを確認してから一刀は無言で馬から降り、少し泣いた。

 

 

おまけ

 

 

天和「私たち出番少ないー」

 

地和「不公平!」

 

人和「不公平ね」

 

貂蝉「あらん、わたしたちなんてどう見ても楽進ちゃんに乗っ取られてるわよ?」

 

卑弥呼「まったくだな」

 

 

 

 

あとがき

 

皆様、こんばんは。

 

豚骨ラーメンが好きな大鷲です。

 

感謝の1日1投稿もついに途切れてしまいました。これでは百式観音なんて不可能ですね。

もっとも、0時過ぎに投稿したことも多々あるので1日1回とは言えないんですけどね。

 

かなり無理やり魏の面々を入れてみました。その所為で一部アレですけど……

華雄に制服……もう分かりますね。公式であった着せ替え投票です。

 

本当はもっと早くから投稿を始めて巫女服にしようかと思ったんですけどね……まあ、3位でしたけど……

 

今は浴衣の投票が行われていますね。

祭と七乃が凄まじいデッドヒートを繰り広げています。

 

大鷲は……七乃派です。

祭が嫌いなんじゃない、単純に七乃の方が好きなだけです。

 

 

次回予告

 

魏に来て(物語内では)大分経った

             そろそろ別の国に行くか……

                        曹操たちには無断で!

 

次回、『漢達、逃亡する』にご期待ください


 
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