No.154486

~魏志恋姫伝~4

SekiToさん

4話です。ようやく、華琳意外のキャラ登場です。
書き手の私が言うのもなんですが、華琳さん崩壊しちゃってますね。

2010-07-01 00:36:01 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6948   閲覧ユーザー数:5198

第一幕、一章 黄巾の乱 四話

陳留に来て約1カ月が過ぎ、文字の読み書きも(曹嵩さんのスパルタにより)マスターしたと言ってもいいだろう。

こちらの生活にも慣れ、仕事にも板がつき始めたこの頃。

優雅な昼食をと思っていたのだが、目の前にあるのは・・・。

 

大剣。

 

振り下ろされた剣の先にクレーターができてる。

当たったら致命傷だよな。

いくら鍛練用で刃を潰してると言ってもクレーターが出来るんなら、死んじゃうよな。

 

?「こら、北郷。避けるな。」

一刀「無茶言うなよ。当たったら死んじゃうぜ?」

?「あきらめろ、北郷。ああなった姉者は止められん。」

 

今、俺は美女に追っかけられている、ここまではいいのだ。

しかし、大剣と言うオプション付きでだ。

ホント何でこんなことになったのだろう?

 

何故こうなったのかは、2週間前。俺がこの街を守る兵について、義勇軍を発足させるのはどうだろうかと進言したからだ。

何でも、前任の太守が一部の兵を私兵として雇い、逃げ出した事により兵の数が激減。

兵数は時期に増えるから良いが、農民上りが多数を占めるため。錬度が低い事が問題になった。

 

強くなるには、より強い相手と戦うのが一番だと言う結論に至り、曹嵩さんが優秀な人材に心当りがあると言っていた。

曹嵩さんが連れてきた二人の美女、かの有名な夏候惇、夏候淵であり、陳留周辺の民から造った義勇軍の将及び調錬役のために二人を呼び出したのだ。

 

両姉妹は今回の件を快く引き受けてくれたのだが、なぜか夏候惇が俺を睨んでくるのだ。

あからさまに敵意を抱いているのだ。あんまりうっとうしいので直接理由を聞いてみた。

 

春蘭「お前が、華琳様の横にいるからだ。」

一刀「はぁ?」

春蘭「天の御使いだろうが、私は負けない。」

 

何に対して負けたくないのだろうか?俺にはさっぱりだ。

すると、先ほどから俺たちの様子を傍観していた夏候淵が助け舟を出してくれた。

 

秋蘭「北郷、姉者はただヤキモチをやいてるだけだ。悪く思わないでくれ。」

 

夏候淵が言うには、敬愛する華琳の下で働けるというのに、知らない奴が華琳の横にいるのは、許せないとの事。

 

一刀「夏候惇って、意外に可愛い所があるんだね。」

秋蘭「ああ、姉者は可愛いぞ?それと、華琳様が真名を許している、私も秋蘭で良い。」

一刀「良いのか?」

秋蘭「ああ、構わない。」

春蘭「北郷、私の事は春蘭と呼べ?」

 

春蘭は顔を赤くして言った

 

一刀「何故上からなんだ?」

春蘭「うるさい。私は秋蘭と一心同体、秋蘭が良いと言えば良いのだ。」

一刀「わかった。これからよろしくな、春蘭、秋蘭。」

春蘭「それと、いまからどちらが華琳様に相応しいか、勝負だ。」

そして、冒頭に戻る。

 

春蘭は毎日暇さえあると、襲いかかってくる。

慣れとは怖いもので、春蘭を撃退することが日課になってきている。

春蘭の打ち込んできた腕をとり、懐に体を滑らせ、勢いを殺さずそのまま背負い投げした。

投げ飛ばされた春蘭が射殺さんばかりに俺を睨んでくるが、正直言って涙目+上目使いなのでむしろかわいい。これも毎回の楽しみである

 

そこに曹嵩さんがお茶の準備をしながら声をかけてきた。

 

曹嵩「そろそろ、休憩にしませんか?春蘭ちゃん、華琳と秋蘭ちゃんを呼んできて。」

 

春蘭は駆け足で華琳たちの下に向かった。

曹嵩さんは涙目の春蘭を見て、微笑んだ

 

曹嵩「今日も春蘭ちゃんが負けちゃったのね。」

一刀「でも、春蘭に同じ手は通用しませんから、そのうち負けると思いますよ?」

曹嵩「にしては、まだ余裕にみえるわよ。」

一刀「春蘭にはもっと大きな兵を率いてもらうつもりですから、もっと強くなってもらわないとね。」

曹嵩「そう・・・。」

 

曹嵩さんの微笑みに少し陰りが見えた。

 

曹嵩「やはり、この国は乱世の波に飲み込まれるのね。」

一刀「ええ、あまり時間はありません。早急に戦力を整えなければなりません。」

曹嵩「そういえば、頼まれていた黄巾党の目撃証言集めておいたわ」

一刀「ありがとうございます。」

 

渡された竹管をすぐに懐にしまう。

 

曹嵩「各州でも黄巾党が目撃されてるわ。それに、徐々に被害も増えてってる。」

一刀「陳留に現れるのも時間の問題でしょう。」

曹嵩「一応、街の周辺の堀や防衛柵の補強、武具強化、食料の備蓄、周辺の町や巴の警戒態勢、他にやれる事は有るかしら?」

一刀「難民の受け入れる体制を整えてもらえますか?」

曹嵩「難民の?受け入れるのは良いけど、今のままじゃ少し苦しいわよ。」

一刀「ここに今回の案、屯田法について書き記してありますので、後で目を通してください。話はここまでにしましょう。」

曹嵩「そうね。華琳たちも来たみたいだし。」

 

彼女の陰りが消えたのと同時に華琳たちがやってきた。

 

華琳「母様、何の話をしていたんですか?」

曹嵩「一刀さんに、いつになったら華琳との婚姻の儀を結ぶのか聞いてたのよ。」

 

華琳がトマトみたいに真っ赤になる。

 

華琳「母さん。何と言う事聞いてるんですか?」

曹嵩「娘の幸せを願って何が悪いのかしら?」

一刀「じゃあ、曹嵩さんの事、母さんって読んだ方がいいのかな?

そうだ、華琳も俺の事、旦那様って呼んでみるか?」

 

おもしろそうなので、曹す・・・いや、母さんの援護射撃にまわる。

俺と母さんは必死に笑いをこらえたが、堪えられず吹き出してしまった。

それを見た華琳が爆発した。

 

華琳「一刀のバカァーー!!」

 

ずっとこんな日々が続くと思ってた。ずっと笑い合えるとおもってた。

そう、あの日が来るまで。

 


 
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