No.147242

真・恋姫無双 刀香譚 ~双天王記~ 第一話

狭乃 狼さん

刀香譚の第一話を投稿です。

いつもながらの駄文ですが、

見てやってください。

2010-06-02 16:33:31 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:49662   閲覧ユーザー数:40518

 「・・・・・・・・・・」

 

 練兵場の一角で、二人の男女がにらみ合う。

 

 「どうした?打ち込んでこないのか?」

 

 「っっ!!やああああああ!!!!」

 

 男の挑発に、娘が思い切り地を蹴り、斬りかかる。

 

 「甘い」

 

 ガキン!

 

 金属音が響き、男の剣が娘の剣を軽々と受け止める。

 

 「攻撃が単調すぎるぞ。もう少し相手を揺さぶるんだ。・・・こんな風に」

 

 ふっ、と、男の姿が掻き消える。

 

 娘がその動きを察知し、後ろを振り向く。

 

 そこに男が立っていた。

 

 「今のは見えたか。じゃ、これならどうかな?」

 

 男がすさまじい速さで左右に動きながら、娘に迫る。

 

 「わ、わ、わ。・・・こっち!!」

 

 慌てながらも、男の動きにあわせ、娘は剣を振る。が。

 

 「残念」

 

 娘の剣は空を切り、そして、男の剣が娘の喉にピタリと当てられた。

 

 「あう・・・・」

 

 「ふふ。・・・今日はここまでにしようか、桃香」

 

 そう言って、剣を娘から離し、鞘に収める男。

 

 「・・・う~~~。やっぱり勝てないよ~~。一刀ってば強すぎ~~」

 

 「はは。けど、桃香だってたいしたもんだぞ。俺とこれだけ打ち合えるんだから」

 

 「五合持たないのは打ち合うって言わないよ。白蓮ちゃんとなら互角なんだけどな~」

 

 「白蓮か。懐かしい名前だな。櫨植先生の私塾以来か、会ってないのは」

 

 「今は洛陽にいるらしいよ。・・・この間の手紙に書いてあったけど、近々どこかの太守に、

 

  任じられそうだって」

 

 そう言いながら立ち上がる娘――桃香。

 

 「太守か。そうなったらかなりの出世だな。俺たちの同期中でも一番になるんじゃないか」

 

 「一刀だってその気になれば、郡の太守、ううん、州の牧にだってなれるんじゃないの?」

 

 「俺なんて全然さ。県令の身分だって親父から継いだだけなんだし、州の牧なんてとてもとても」

 

 汗を拭きながら、笑顔でそう言う男――一刀。

 

 「も~。一刀ってばもう少し上昇志向を持とうよ。・・・なんたってあたしの自慢のお兄ちゃんなんだから」

 

 「お?久々に聞いたな。桃香が俺をお兄ちゃんって呼ぶの」

 

 そう言われて、思わずもれた自身の一言に、赤くなる桃香。

 

 「もう!一刀の意地悪!!」

 

 「ははは」

 

 

 (でも、ほんとに自慢のお兄ちゃんなんだよ?劉翔北辰は、劉備玄徳にとっての)

 

 そう心の中で、ひそかに想う桃香。

 

 ここ、幽州は琢郡・琢県にて、その県令を務める兄、劉翔・字を北辰。真名は一刀と、

 

 それを補佐する妹、劉備・字を玄徳。真名は桃香。

 

 二年前。前県令であった父の死後、その後をついで県令に就任した兄を補佐すべく、

 

 桃香は少し予定を繰り上げて、私塾から帰ってきた。

 

 兄は父が没する一年前に、父親の病を理由に、故郷である楼桑村に帰っていた。

 

 それからというもの、桃香は兄のことばかり考えていた。

 

 親友である白蓮・公孫賛には、

 

 

 「まるで恋する乙女だな」

 

 

 と、冗談交じりに言われた。

 

 だが、三年ぶりに兄と再会したとき、桃香は気がついた。

 

 いや、気付いてしまった。

 

 自分が、兄に対して、持ってはいけない感情を抱いていることに。

 

 むろん、言葉にすることだけは決してしなかったし、今でもそうである。

 

 おそらく、一生言葉にすることはないだろう。

 

 だから、せめて、名前だけは、”一刀”と、呼びたかった。

 

 そのたびに、高鳴る胸の鼓動を抑えながら。

 

 「・・・桃香?どうかしたか?」

 

 「え!?あ、ううん!!なんでもないよ~!!さ!ご飯を食べたら、残ってる仕事、片しちゃお!!」

 

 「あ、ああ」

 

 兄の背を押しながら、

 

 (顔があかくなってるの、気付かれませんように)

 

 そう祈る桃香であった。

 

 

 

 昼食を済ませた後、執務室にて政務に励む一刀と桃香。

 

 そこへ、一人の女性がやってきた。

 

 「五月(さつき)さん。どうしました?」

 

 「・・・公務中はちゃんと姓名で呼ぶようにと、いつも言っていますでしょう?」

 

 「う。・・・ごめんなさい。・・・それで、簡雍さん、用件は?」

 

 「太守さまに書状が届いております。送り主は公孫白珪様です」

 

 簡雍と呼ばれた女性が、一刀に書状を渡す。

 

 「白蓮から!どれどれ」

 

 「一刀、白蓮ちゃんなんて?」

 

 久々に送られてきた旧友からの手紙に、少し興奮気味の劉兄妹。

 

 「へえ!!白蓮、北平の太守に任じられたってさ!!」

 

 「北平の?!じゃあ、近いうちに挨拶に行かないと!!」

 

 「ああ。お祝いもかねて、な。手紙では今週中には到着するらしいから、準備しとかなきゃな」

 

 「そうだね。簡雍さん、大丈夫ですよね?」

 

 「そうですね。北平までは片道でも二日というところですか。

 

  それくらいならば、私だけでも何とかなりますよ。存分に旧交を温めてきてください」

 

 笑顔でそう返す簡雍。

 

 「ありがとう、五月さん」

 

 「ですから、公務中は姓名でと、言っているでしょう!!まったくあなた方ときたら!!」

 

 「あ~、つい」

 

 「つい、じゃないでしょう。まったく」

 

 「あはは」

 

 部屋の中に笑い声がこだました。

 

 

 

 その頃、楼桑村に程近い場所にて。

 

 「姉者ー!!邑が見えたのだー!!」

 

 「わかってる!鈴々!!あまり先に行くな!!」

 

 赤毛の少女の声に答える、黒髪の少女。

 

 「ふふ。天下の関雲長も、義妹には甘いんですね」

 

 その背に男が声をかける。

 

 振り向き、すまなそうな表情で、

 

 「申し訳ありません。・・・言って聞かせてはいるのですが」

 

 そう答える少女。

 

 「良いんですよ。お気になさらず。・・・それより、あの邑が楼桑村で、間違いないのですね?」

 

 「はい。以前に訪れたのは、まだ物心つくかつかないかの頃ですが、場所だけはよく覚えています」

 

 「そうですか」

 

 にっこりと、少女に微笑む男。

 

 彼らの後ろには、五十人ほどの男たちが従っていた。

 

 「あの村で間違いないのですね?あなたの宝剣を奪ったという、賊が根城にしているのは」

 

 邑の方を見ながら、男に問いかける少女。

 

 「ああ。我が家に伝わる由緒正しき一品を、ね」

 

 にやりと、笑みを浮かべながら答える男。

 

 少女はそれに気付かず、

 

 「わかりました。必ずやその剣、取り戻してごらんにいれましょう。

 

 その暁にこそ、我が真名を預け、終生、御身の剣となりましょう」

 

 再び男の方を見て、自信満々にそう言い放つ。

 

 「期待してますよ、関雲長殿」

 

 にこりと微笑む男。

 

 

 

 

 

 

 「お任せを。・・・劉備玄徳殿」

 

 

 

 

 

 はい。

 

 刀香譚の第一話にございます。

 

 いかがでしたでしょうか。

 

 オリキャラとしてひとり、簡雍さんを出しました。

 

 字(あざな)をちょっとしらべてないんで、次までには調べておきます。

 

 

 さて、一刀と桃香の関係について少しだけ触れました。

 

 というより、桃香の想いだけですが。

 

 一刀の方の想いについては、また今後ということで。

 

 

 最後にちらっとだけ出てきました、愛紗と鈴々。

 

 二人が従っているのは果たして?

 

 な~んて、皆様ならすぐわかりますよね。

 

 そう、あいつです。

 

 その目的は何なのか?

 

 一刀と桃香の運命は?

 

 愛紗と鈴々はどうなるのか?

 

 ハムの出番は?!(笑)

 

 第二話にこうご期待!!

 

 コメントもお待ちしてます!!

 

 では。


 
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