No.146918

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第二十話

アボリアさん

董卓IF√第二十話です
書きあがるのに時間がかかってしまい投稿時間が遅くなってしまいました
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けると有難いです

2010-06-01 01:43:19 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:17317   閲覧ユーザー数:12717

 

袁紹を追い出し、白蓮が傘下に加わってくれた事により河北、中原といった大陸の半分を治める事になった俺達はその統治に追われていた

中でも袁紹の治めていた冀州は圧政による治安の乱れや民の不満が著しく、その解決に多くの時間を割くことになった

 

その間に当面の敵である孫呉は江東周辺の豪族を平定し、自領の憂いを取り払っていた

また劉備はといえば荊州にて政策に取り組む傍ら、劉璋の治める蜀を狙い軍備を強化しているという噂が伝令よりもたらされていた

俺達は政務に取り組むと同時に両者へと降伏を促す書状を送っていたのだがどちらからも芳しい返事が届かないという結果になり、結局残る勢力との睨み合いが続いていた

 

そんな中、幽州で異民族に備えていた白蓮が急報ということで俺達の本城を訪れた事により事態は急変するのだった

 

 

 

 

 

「急報という事ですが、何があったんですか?」

 

そう月が聞く

軍議のため訪れていた華琳を交え、俺達は白蓮さんからの報告を聞いていた

 

「ああ、実は大変な事になってな。私だけじゃ手に負えそうにないんだ」

 

白蓮さんが語りだす

その話によると、最近異民族の動きが怪しいと感じた白蓮さんは斥候を放ち動向を伺っていた所、烏丸を筆頭とした匈奴、鮮卑ら異民族が結集を始めているとの報告がもたらされたという

その集団は十万を超えるほどのものであり、自国の守備兵だけで守りきれるものではない規模にありつつあるという

そのため、異民族が結集を終え侵略を開始する前に機先を制し、異民族の企みを未然に防ぐために俺達に援軍を頼みたいという話だった

 

「奴等が長城を越えて攻めて来たら民達にも危害が及ぶかもしれない。だから頼む!」

 

「分かりました。それでは私たちの軍から援軍を…」

 

「ちょっと待ちなさい、月」

 

白蓮の頼みに頷こうとした月だったが、華琳がそれを制する

 

「確かに一大事ではあるけど今は孫呉ともにらみ合いが続いている状況よ。貴女の軍がこの地を離れればつけこまれるわ」

 

確かに華琳の言う事は正論だった

孫呉はこちらからの降伏勧告を跳ね除けているし、袁術の兵を丸ごと取り込んだことにより兵力の規模は華琳、白連を除いた董卓軍単体と渡り合える規模となっていた

 

「でも、だからといって異民族の侵略は見過ごせるものではありません」

 

華琳の意見に食い下がる月

こちらも正論であり、もし異民族連合の侵略が成功してしまえば幽州全体が危険にさらされるのは明らかであった

 

「私だってそれくらい分かっているわ。私は貴女の軍が出る事に反対っていったのよ。…私達曹魏の軍勢が援軍に赴くわ」

 

「いいんですか?華琳さん」

 

華琳の発言に驚きつつたずねる月

 

「いいも何もないでしょう?援軍は出さなければいけない。だからといって貴女の軍で無ければ今の兵の規模を持つ孫呉の抑えにはならない…なら私たちが出るのが適任、そうでしょう?」

 

ただ、と華琳が付け加える

 

「知っての通り、私の軍には騎馬を率いる将が少ないわ。だから異民族退治に長け、烏丸の騎馬に対抗できる翠を借りたい。それが条件よ」

 

「…分かりました。翠さんを預けます。私たちの代わりに援軍をお願いします、華琳さん」

 

「分かったわ。まかせておきなさい。…白蓮もそれでいいかしら?」

 

「ああ、華琳の軍が援軍に出てくれるっていうなら心強い」

 

そうして華琳率いる魏軍が北伐を行う事に決まった

だが、一つ気になることがあった俺はその話に割って入った

「ちょっと待ってくれ。華琳が向かってくれるのはいいんだがその遠征には郭嘉…稟を連れて行かないでくれないか?」

 

「はぁ?あの子は私の頭脳といってもいい子よ。何故連れて行くのに反対なのかしら?」

 

華琳の問いに対し、俺は正史での出来事を話す

正史では北伐に随行した郭嘉は成功を収めるもその行軍中病に罹り、帰らぬ人となったのだ

その話を聞き、考え込んでいた華琳だったが急になぜか面白い事を思いついたと笑みを浮かべる

 

「…分かったわ。稟には大事をとって城を守ってもらう事にするわ。ただ、稟が居ないと烏丸の騎馬に対抗できない…だから恋、もしくは霞を貸しなさい」

 

「…いや、レートが高すぎるだろう?」

 

翠だけで無く、二人のどちらかも出せというのは幾らなんでも無茶が過ぎる話である

 

「れえと、というのがどういう意味かは分からないけど稟の軍略が無い以上、翠と白蓮だけでは敵の騎馬に対抗するのは厳しいわ。当然の要求よ」

 

「でも、それじゃあ俺達が残る意味が無いだろう?」

 

わが軍が誇る勇将を二人も出したら孫呉に対抗するどころではない

 

「それぐらい分かってるわ。代わりに凪、沙和、真桜の歩兵隊を置いていくわ。それで釣り合いが取れるでしょう?…で、どちらを貸してくれるのかしら?」

 

そういって華琳が聞いてくる…その三人でも釣り合いが取れるか微妙ではあったが孫呉に対して楽進、李典というのは確かに有効かもしれない

そう思った俺は華琳に答える

 

「…分かった。それじゃあ恋に着いて行ってもらう。月、それでもいいかな?」

 

「…えっと、私はいいんですけど」

 

月がちらちらと視線を向ける

その視線の先を辿っていくと…明らかにがっかりしている恋と妙に勝ち誇った顔をしている霞がいた

 

「いやぁ~残念やったな、恋。今回はウチの勝ちみたいやな」

 

「一刀…恋、必要なくなった?」

 

「そんなこと無いよ!?だから恋、そんな悲しそうな顔しないで!!」

 

今にも泣き出しそうなくらい落ち込む恋を宥める…そんな中、疑問に思ったのかねねが聞く

 

「じゃあもちろんねねは恋殿について…「あんたはこっちで留守番にきまってるでしょ」なんでなのですか!?」

 

いきなり否定され詠に詰め寄るねね…だが詠はきっぱりという

 

「あのねえ、人数が居ないってさっきから言ってるでしょう!?あんたまで付いていってってどうすんのよ!!」

 

「いやなのです!!恋どのとねねは一心同体なのですぞ!!」

 

「恋、一刀と居る」

 

「だから恋!?頼むから今回は華琳達の方を助けてあげてくれよ!」

 

「あら、私はどちらでもいいのよ?」

 

「華琳!?そうやって話をぶり返すのはやめてくれよ!!」

 

「こら恋、今回は諦めろや!」

 

「皆さん、落ち着いてくださーい!!」

 

そういって大騒ぎとなる俺達

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で、誰が来てくれる事になったんだ?」

 

そんな白蓮のつぶやきに答えるものは誰も居なかった…

 

呉郡 建業

 

「さて、今日集まってもらったのは他でもない。董卓からの降伏勧告についての話だ」

 

そういって眼鏡の女性…周瑜がいう

 

「ふざけている!!戦う前から降伏勧告など我等を馬鹿にしているとしか思えません!!」

 

孫呉の姫であり、次期王と目されている孫権が激昂しつつ答える

 

「蓮華様のおっしゃるとおりです。ここは我らの力を奴等に思い知らせてやりましょう!!」

 

そんな孫権、甘寧のふたりに嘆息しつつ孫策が言う

 

「二人とも落ち着きなさい。特に蓮華、貴女はいずれ皆を率いる立場なのよ。自分の怒りのみで発言するのはやめなさい」

 

「では、姉さまは降伏なさるとおっしゃるのですか!?」

 

なおも、激昂しつつ詰め寄る孫権

 

「私は江東の地さえ保証してもらえるなら考えない事も無いんだけどね~」

 

「姉さま!!」

 

「落ち着いてください蓮華様。…伯符も、あまり蓮華様を逆撫でするような発言は控えてくれ」

 

二人の言い合いを見かねてか周喩が割って入る

 

「え~、私は結構本気なんだけどな~」

 

「伯符!!…いいたい事はわかる。確かに江東の平穏と繁栄こそが我らの悲願だ。しかし董卓がどのような人物であるか分からない以上、降伏などはもってのほかだ」

 

周瑜が諭す

 

「そんなことは分かってるわよ。それに私達は良くても他の豪族達が賛同するとは思えないしね」

 

そういって又嘆息する孫策

 

江東の地は各豪族が力を持っており、その上誰かに臣従するのを良しとしない気質がある

そんな彼等を戦で従えて来た孫策たちが戦わずして降伏するなどすれば、彼等は反旗を翻すであろ

うし、そうなればせっかくの江東の平和が崩れてしまうだろう

しかし、董卓がどんな人物かは知らないがこのまま硬直状態というのもあまり上手い手ではなかった

今でこそ兵力で対抗できないこともないがあるが土地の広さ、国の豊かさでは圧倒的に負けているため時間が経てば経つほど両者の差は圧倒的になっていくだろう

 

「せっかく袁術から取り返したっていうのに…うまくいかないな~」

 

そういってだれる孫策

そんな時、ある報が入るのだった

 

「も、申し上げます!!この度平定した豪族の一人である許貢が生きていたとの報告が入りました!!」

 

「なっ!!それは確かか!?」

 

「はい!!奴は影武者と入れ替わり生き延びたらしく現在は国境警備の目をかいくぐり董卓が治める土地に向かったとの事です!!」

 

「それが本当だとしたら面倒な事になったわね…」

 

そういって孫策が呟く

 

奴は自分の治める土地で好き放題やっていたような愚物であったが仮にも昔からの豪族である事は間違いなかった

そんな奴が董卓の所に言ったとなればこちらを攻める格好の口実を与えてしまった事になる

 

「…雪蓮、私に考えがある。こうなったらいっそこちらから攻め入ってやればどうだ?」

 

「…どうする気?今は同盟中の桃香達は頼れない。ならもう少し待って桃香達と合流してから迎え撃った方がよくないかしら」

 

今、劉備達は益州攻めを進めており、こちらに援軍を送る余裕はないだろう

それに自軍だけでは董卓は相手にできても曹操や公孫瓚が合流すればとても勝ち目は無かった

 

「いや、今北方の国境付近で異民族が大規模な侵略の準備をしているという情報が入っている。奴等はそちらにも兵を送るだろうから全軍で向かう事はできん。何時来るか分からん劉備の援軍を待つよりも勝算がある」

 

「…なるほど。一理あるわね…それじゃあ冥琳はどこを攻めるつもり?」

 

「ああ、長江を越えた先にある軍事拠点」

 

一拍あけて周瑜が言う

 

 

 

 

 

「合肥だ」

 

 

 


 
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