No.141964

真恋姫無双~ありえたかもしれない外史~ 第19話 涙×同盟 

ちいたさん

投降です。生暖かい目で見守ってください。
前回の更新からかなりの時間がたってしまいました。本当に申し訳ありません。

2010-05-09 03:49:32 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:19227   閲覧ユーザー数:14275

この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

 

前回のあらすじ

毒矢が刺さり倒れる美羽。自らの大切な者を傷つけられ怒る一刀はその力をもって曹操軍を退けるのであった。

真恋姫無双~ありえたかもしれない外史~始まります。

 

一刀達が部屋に入ると美羽は寝具の上で横になっていた。

  「美羽!!大丈夫か!!」

美羽の元に駆けつける一刀と七乃。美羽は顔だけを一刀達に向ける。

美羽「一刀と七乃か……妾は大丈夫じゃ……」

そう言う美羽であったが顔色はまだ優れない。そこで医者が言う。

医者「解毒も何とかなりました。応急処置が適切だったのでしょう…もう大丈夫です」

七乃「そうですか~本当に良かったです~。」

医者の言葉を聞き一安心する七乃。七乃は美羽の頭を撫でる。

七乃「美羽様~よく頑張りましたね~。」

美羽「……うむ……妾は頑張ったぞ……一刀も無事で良かったのじゃ……」

笑顔で答える美羽。美羽は曹操軍が攻めてきたことを先程兵士から聞いていた。

  「美羽……ごめん……俺がいながらこんなことに…」

一刀の言葉を聞いて美羽が首を振る。

美羽「…一刀……妾は……生きておる……だから…自分を責めるななのじゃ……」

  「でも…」

美羽「一刀……」

そう言って美羽は一刀の手を握る。そして、美羽は笑顔で言う。

美羽「一刀にはたくさん助けてもらっているのじゃ……だから…」

  「美羽……」

美羽「二人の顔を見たら安心したのじゃ……少し眠るのじゃ……」

七乃「わかりました~」

そう言って美羽はそのまま目をつぶると寝息をたてる。一刀は美羽の手を握ったままであった。

七乃「もしあそこで一刀さんが死んだらきっとお嬢様は自分を責めてましたよ……これからはあんなことをしないでくださいね…美羽様が悲しみますから~」

  「……七乃さん……俺……」

七乃の言葉に俯く一刀。うっすらとその顔から涙が流れていた。七乃は黙って美羽と一刀の手を握っていた。

 

そんな三人を部屋の外で見ていた人物達がいた。

雪蓮「美羽が意識を取り戻したって聞いて来たけど……これは入れないわね……」

そう言って苦笑する雪蓮の言葉に周囲の人間も頷いた。

冥琳「確かに……ここで入るのはかなりの勇気がいるな…」

穏 「はい~」

小蓮「シャオでも空気を読むわ」

詠 「……でもあの一刀が涙を流すなんてね……」

一刀の涙を見て呟く詠の言葉に沈黙する一同。戦場での修羅の如き強さや冷静沈着に指示を出し政務をこなす姿からは信じられなかった。彼女達は初めて本当の一刀を見たのかもしれない。

音々音「一刀も人の子だったのですね…涙を流すなんて…痛いです!!」

恋 「そんなこと言っちゃダメ……」

音々音の言葉を聞き頭を軽く叩く恋。そこで月が言う。

月 「それだけ美羽ちゃんが大切なのですよ。一刀さんにとって……」

雪蓮「美羽が無事だったのがわかったから行きましょうか…これ以上ここにいても無粋でしょ」

冥琳「ああそうだな。見舞いは明日以降でもできるしな…」

そう言って一同は部屋から離れていった

 

曹操との戦いの後、曹操から使者がやってきた。それは今回の戦いにおける兵士の凶行についての謝罪であった。一刀達はその使者を丁重に扱った。

曹操軍はその後、袁術軍への侵攻を一旦止めて涼州を攻め込み馬騰を打ち倒した。馬騰はその戦いで自害をして、その娘の馬超と従妹の馬岱達は劉備の元に落ち延びた。

徐州から益州に逃げ延びた劉備は劉璋やその家臣からの抵抗を受けたが益州を制圧することに成功した。元々太守である劉璋には悪評があり、劉備の人柄を支持した民衆達が多くいたのである。さらに劉璋の家臣達も降伏していったのである。

一刀たちも曹操との戦いの後はより内政に力を入れた。そして大陸の覇権争いは袁術・曹操・劉備の三つ巴になっていった。それぞれ袁術は『仲』曹操は『魏』劉備は『蜀』という国名にした。本来の歴史からは外れるがここに三国が成立した。

 

一刀は執務室で政務をこなしていた。執務室には一刀と美羽の二人がいた。

  「……これでよしと……」

政務に一区切りをつけた一刀は美羽を見る。美羽は一刀の邪魔にならないように黙々と勉強をしていた。美羽はあの後毒矢による後遺症は全くなく普通の生活を過ごしていた。ただ応急処置のために一刀に傷口を抉られたことによりその部分には傷跡が残っている。しかし、当の本人はそのことを全く気にしてはいない……

美羽「一刀……ちょっといいかの?」

  「どうした美羽?」

美羽「うむ……実は……」

美羽は一刀にあることを聞く。それは大陸の状況である。美羽が思うに今の状況が一番良いのではというものであった。曹操・劉備・そして自分達がそれぞれの州を治めていることにより少なくともそれぞれの民達にとって良いものであるのではと考えた。

美羽「それに一刀達とも一緒におれるしの……」

そう言って笑う美羽。さらに続ける。

美羽「じゃから劉備や曹操と話し合いをすればきっと……」

美羽の言葉を聞く一刀。

  「美羽の意見には俺も賛成だ。そもそも美羽の願いを叶えるためなら無理に大陸を統一する必要はないしな」

美羽「なら…」

  「でも…それじゃ駄目だ…美羽。」

美羽「えっ……」

一刀はさらに続ける。

  「話し合いをするのが理想だ……でも現実はそれじゃあ納得しない者もいる。曹操は特にそうだ。曹操は自分の力でこの大陸を統一しこの大陸を変えたいと思っている。いきなり話し合いをしましょうと言ってもまずその席には座らない。美羽と曹操じゃあ考え方が違う。」

美羽「……うむ」

  「雪蓮の時がいい例だ……あの時話し合いをしようと言っても間違いなく雪蓮は応じてはくれなかっただろ?」

美羽「確かにそうなのじゃ…」

  「なに……難しく考えるな……曹操と同じ席に座ってもらうためには……曹操を納得させればいいのさ…」

そう言って美羽の頭を撫でる一刀。

美羽「曹操を納得させるために戦うしかないなら……妾は戦うのじゃ……」

そう言って静かに決意する美羽であった。

 

一刀は軍師達に集合をかけていた。

亞莎「これから魏と蜀と戦う必要がありますね…」

音々音「どっちも厳しいですぞ……」

魏は三国で一番の兵力を有している。以前の戦いでは勝つことはできたが袁術軍の被害も多大なものであった。蜀も三国では一番弱小ではあるが集う将と軍師はとても優秀である。どちらも苦戦は免れない。そこで冥琳が言う。

冥琳「いや……少なくとも蜀の相手はしなくても良い…」

詠 「どういうこ……!!なるほどそういうことね……」

冥琳の言葉の心意に一同が気づく。一刀も続ける。

  「そういうことだな……劉備……いや諸葛亮ならきっと……」

穏 「ならこのことは雪蓮様達にも言っておきますね~」

冥琳「ああ」

  「決戦は近いな……」

一刀の言葉にそれぞれ頷くのであった。

 

今後の方針が決まり解散した後、一刀は中庭で空を見ていた。空には満月が出ていた。一人満月を見る一刀はどこか儚げであった。

  (……あともう少しだ……あともう少しで……)

一刀が物思いに耽っているとそこに気配を感じた。

美羽「一刀?何をしておるのじゃ?」

一刀が振り向くとそこには美羽と七乃がいた。そしてもう一度月を見る。

  「……いや月が綺麗だな…と思って見ていた」

美羽「ん~~確かに綺麗なのじゃ」

七乃「そうですね~」

一刀の言葉に空を見上げる美羽と七乃。しばらく月を見る三人。

七乃「一刀さん折角だし夕食を一緒に食べましょうか~」

美羽「うむ!!そうなのじゃ!!」

美羽と七乃が一刀をご飯に誘う。

  「……そうだな。行こうか…」

一刀の言葉を聞いた美羽は嬉しそうに一刀と七乃の手を引くとそのまま走り出した。

美羽「では急ぐのじゃ!!」

七乃「お嬢様~急がなくてもご飯はなくなりませんよ~」

そんな二人の様子を見て一刀は苦笑した。

 

それから数日後、魏が仲に攻め込んだとの報告を受けた。一刀達は玉座に集まっていた。

  「いよいよか……」

雪蓮「魏が侵攻しにきたわね……」

報告を受けて仲の主だった将達は集まっていた。軍師達は集まった情報を整理する。

冥琳「魏は百万でこっちは四十万程か……」

穏 「もはや戦、うんぬんではないですね~」

亞莎「はい…これだけの兵力差はきついですね…」

戦において数は絶対である。どれだけ優秀な将がいても六十万の差はそうひっくり返せない。

詠 「……まあでもこれぐらいは予想済みでしょ」

蓮華「曹操は僅かな期間で兵を立て直すのか……流石だな」

  「それぐらいの器量を持っているというわけさ……でないと覇王とは言われないさ」

曹操は前回の戦いでの失敗を教訓にして兵の精度をより高めてきたのである。

  「まあ予想が正しければそろそろ伏竜が動くだろ…」

冥琳「間違いないな……」

一刀達が話をしているとそこに兵士がやってきた。

兵士「報告します!!蜀より使者がやってきました!!袁術様との面会を求めています」

  「……通せ」

一刀は兵士にそう告げると美羽を見た。美羽も一刀の視線に気づくと頷くのであった。

 

一刀達の目の前に現れたのは関羽と諸葛亮の二人であった。二人は美羽の前で挨拶をする。

関羽「我が名は劉備様の家臣・関羽と申します」

諸葛亮「わ、私の名前は諸葛亮と言いましゅ」

諸葛亮は挨拶で噛んでしまっている。そのことに気づいたのか「はわわ」と言って小さくなる。関羽は軽く咳払いをすると続けた。それは簡潔に言うと同盟の申し込みであった。一刀達はその提案は予想ができていたので黙って聞いていた。二国間で同盟を組み兵力差を埋めて魏に対抗するのである。

美羽「つまり妾達にとって脅威となる魏を一緒に倒すのじゃな」

諸葛亮「はい。魏という大国は私たち一国同士で戦うのは厳しいですが同盟を組めば対抗することもできます」

美羽の言葉に頷く諸葛亮。先程の挨拶で噛んでいた少女とは思えない堂々とした態度であった。

美羽「……わかったのじゃ。その提案を受けても良いのじゃ。」

諸葛亮「ありがとうございます」

美羽の言葉に一安心する諸葛亮達。さらに美羽は続けた。

美羽「同盟を組むのはいいのじゃ。……どうしたらそなた達を信じられるか?」

諸葛亮「……私達は今は言葉でしか示すことができません。」

そう言って美羽をじっと見る諸葛亮。美羽も諸葛亮も見ていた。

美羽「……わかったのじゃ。そなた達の言葉を信じるのじゃ……でも、もし妾の信用を裏切るようなことをしたら……妾の仲間を傷つけるようなことをしたら……問答無用で蜀を潰すのじゃ」

諸葛亮「……わかりました」

美羽の言葉を聞いた諸葛亮と関羽は内心動揺していた。それは美羽からだされるプレッシャーと自分達が聞いていた袁術の人物像がかけ離れていたからである。

美羽は他の国から見ればお飾りの王であり、実質の権力者は一刀という認識がほとんどであった。美羽は傀儡である。それが他の国の共通の認識であった。しかし、美羽は様々な経験していくうちに確実に成長をしてきたのである。それは一番近くで見てきた一刀と七乃がよく知っていた。

  「さてと……話がまとまった所で……明命!!」

一刀が明命の名前を呼ぶとそこに明命が現れた。

明命「魏の間者が忍び込んでいましたので始末しました。」

  「ご苦労……ついでに今から魏の様子を見てきて」

明命「はい!!」

そう言うと明命は消えた。その様子を見ていた雪蓮が頬を膨らませていた。

雪蓮「ちょっと一刀~明命は私のかわいい部下よ~」

  「さて……諸葛亮」

雪蓮「無視しないでよ!!」

一刀はそんな雪蓮も無視して続ける。

  「これからのことなんだが……」

諸葛亮「……はい。」

一刀達は魏との戦いに向けて作戦を練るのであった。

 

魏の先鋒隊が仲に侵入してきたのでそれを明命と思春と小蓮の部隊が対峙した。最初は押されていたが蜀の趙雲と馬超と馬岱の部隊が加勢をしたおかげで退けることができた。このことにより魏に対して蜀の参戦を示すことができた。そして、一刀達の所に劉備がやってきたのである。

 

 

劉備が何人かの部下を伴い美羽の所にやってきた。

劉備「お久しぶりです。袁術さん」

美羽「うむ……連合以来かの」

劉備「今回の提案を受け入れてありがとうございます。」

美羽「妾達は最善を選んだだけじゃ……仲間が傷つかないためにな……多分そちらが提案しなければこちらの方から提案をしていたのじゃ」

美羽がそう言うと劉備が笑う。

劉備「優しいんですね」

美羽「妾は優しくなんかないのじゃ。仲間が傷つかないためにそなた達を巻き込むのじゃからな……」

劉備「そんなことないですよ!!」

そう言った劉備をじっと見つめる美羽は劉備に尋ねた

美羽「劉備よ……そなたはどうして戦うのじゃ?」

劉備「えっ?」

美羽「気になったのじゃ……教えてはくれないか?」

やや考えたのち劉備が口を開いた。

劉備「私は……この大陸に住む全ての人が笑顔で暮らせるような世界にしたいと思いました。そのためにも大陸を平和にしないといけません。でもそれは曹操さんの様なやりかたでなく、みんなで力を合わせることが重要だと思っています。」

劉備の言葉を黙って聞く美羽。

劉備「袁術さんはどうして戦うのですか?」

美羽「妾か……妾はそなたのような大層なものではない。正直大陸を救いたいなんて思ったことはないのじゃ……ただ…皆とずっと楽しく過ごせたらいいなと思ったのじゃ……。」

そう言って笑う美羽はさらに続けた。

美羽「妾は王としては最低じゃと思う。民の為じゃなく自分の為に戦うのじゃ……自分の我侭のために多くの兵士が死んでいったのじゃからな……」

劉備「袁術さん………」

美羽「理由はそんなところじゃ……そのためにもここで魏を止めるの必要があるのじゃ」

そう言って笑う美羽。美羽の言葉を黙って聞いていた劉備は口を開く。

劉備「そんなことありません!!袁術さんの願いはとても素晴らしいと思います。」

美羽「そうか……ありがとう。劉備」

劉備「私のことは桃香と呼んでください」

美羽「なら妾のことは美羽と呼ぶのじゃ」

そう言って二人は握手をする。

桃香「よろしくね♪美羽ちゃん♪」

美羽「いきなり態度が変わったのじゃ!!」

桃香「気にしない気にしない♪」

美羽「うむ…ところでそっちで麗羽が厄介になっているみたいじゃが……」

美羽が袁紹の名前を言うと蜀の面々が全員顔を引きつらせた。

桃香「あはは……え~と」

美羽「……いや何も言わなくてよいぞ……同じ一族としてすまんと思うぞ……」

 

後書き

久しぶりの更新です。皆様遅くなってしまいもうしわけありません。ちょっと忙しく中々できませんでした。次の更新も遅くなるかもしれません。ご勘弁の程を…

話は変わりますが恋姫の新作出ますねw自分も非常に楽しみにしています。美羽と七乃さんがどんな活躍をするのか楽しみです…主様か…かわいいですよねwではみなさんまた


 
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