No.133622

G×T・海鳴の空に羽は舞う~一話目~

さん

一姫「だから、私の話はどうなってるのよーー!!」
乱「一姫✝無双はブログの外√に手間取っていて…」
一姫「いい訳禁止!!」
乱「ギャーー!!」

2010-04-01 14:17:12 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:8560   閲覧ユーザー数:7638

 

 

其処には神魔の最高指導者の二柱がいた。

 

『ようこそ、横島さん』

『あんじょうよろしゅーにな』

 

その二柱を見て横島は複雑な表情をした。

 

『この世界でもそのキャラなのね…』

 

神魔人形態の横島はそう呟いた。

 

『まあ、これがワイらやさかいな』

『貴女の事は向こうの私達に頼まれてますから心配しないでください』

『今、どさくさに紛れて女の方の『貴女』って言ったでしょ』

『細かい事は気にせずに』

『細かくないわよ!!』

『ともかく、横っちの戸籍はワイらの力で確保してるさかい

 とりあえずこの住所の所に行ってんか』

『……分かったわよ』

 

横島はサっちゃんからメモを受け取り、鞄を手に取った。

 

『じゃあ、行ってくるわね』

 

横島は翼をはためかせその場から飛び去った。

 

 

 

 

『行きましたね…』

『行ったな…』

 

二柱は飛び去っていく横島を見ながら薄笑いを浮かべた。

 

『しっかしキーやんも人が悪いな。いくらでも他の場所はあったのに

 ワザワザあそこを選ぶんやからな』

『貴方だって笑いながらも止めなかったじゃありませんか』

『当然やろ!!こんな面白そうな事、止めるバカがおるかい!!』

『そういう事です』

 

そしてその場には、暫く笑い声が響いていたとか……

 

 

 

反デタントの過激派はデタントの象徴でもある横島を狙っていた。

最初は隠れて一人の所を狙っていたが、だんだんと手段を選ばなくなって来た。

無関係な人たちが巻き込まれるのを恐れた横島は一旦この世界を離れる事にした。

自分がいてもあまり影響のなさそうな世界を最高指導者達に捜してもらい、

事態が収拾されるまでそこに隠れていようとしたのだ。

最高指導者はその提案を受け入れ、この世界を横島に紹介しこの世界の

自分達に後を託した。

 

 

異空間から抜け出し、現世の空に出た横島はメモを見ながら

その場所を捜した。

 

『え~と、海鳴市…「さざなみ寮」と……』

 

 

第一話「やって来たあの人は優しそうなお兄ちゃんなの」

 

海沿いの町、海鳴市。地面に降り立った横島は左手にある封印具の

ブレスレットに【封】の文珠をはめ込み、男の姿に戻った。

そして【隠】の文珠の効果を解き姿を現す。

 

「さてと、この地図じゃよく解らないな。とりあえず…」

 

横島は辺りを見回すと山の中腹の辺りに神社があった。

 

「あそこに行って街を見渡すか」

 

そして鞄を勢いよく肩から回し背中にぶつかると…

 

『キャン!』

 

「……ちょっと待て…」

 

横島は鞄を下ろし、中を覗いてみると、

 

『乱暴にしないでよ!痛いじゃない!!』

 

そこには狐形態のタマモがいた。

 

「何をしとるんじゃーー、お前は!!」

 

タマモは鞄から飛び出し人間形態になると、横島にしがみついた。

 

「何で私達に黙っていなくなろうとしたのよ!!」

 

横島はタマモの肩をつかんで離そうとしたが、その肩が小刻みに

震えているのに気付き、逆に優しく抱いた。

 

「アンタが今、あの世界に居場所がないのは分かってるわよ。

 でもね、あの世界に疎まれているのは私も同じなのよ。

 私一人だけ残されて、どうしろって言うのよ…」

「…一人じゃないだろ。おキヌちゃんだっているし、美神さんや…

 シロだって…」

「ヨコシマがいないじゃない!!ヨコシマがいなけりゃ一人と同じよ!!」

 

タマモは泣きじゃくりながらもしがみ付いた手を緩めようとしなかった。

 

「別にずっと居なくなる訳じゃないんだぞ。反デタントの過激派が

いなくなればすぐにでも帰るつもりなんだから」

「それでもよ!!」

 

何があっても引きそうにないタマモに横島は根負けした。

 

「悪かったよ」

 

そしてポンポンと軽く頭を叩いて優しく撫でた。

 

「分かればいいのよ…」

 

ようやく嗚咽は止まったが代わりにその顔は耳まで真っ赤だった。

 

「それでこれからどうするの?」

「とりあえず、あの神社まで行って町を見渡そうと思ってる」

 

そう言い山にある神社を指さす。

 

「じゃあ先に行ってるね」

 

言うや否やタマモは走り去っていった。

 

「やれやれ」

 

横島も歩きながら後を追った。

 

 

 

 

 

 

神社へと続く石段に、三人の人影と一匹の子狐がいた。

巫女の格好をした女の足元に子狐が隠れていてそれを小学生位の

女の子が瞳をキラキラさせながら眺めていた。

女の子の傍には少しぶっきら棒だがそれでも優しそうな目で女の子の

頭を撫でていた。

 

「少し怖がられてるようだな、なのは」

「初めて会うんだもんね。仕方ないかな…」

 

なのはと呼ばれた少女はそれでも諦められないというように

子狐を眺めていた。

 

「ふわ~~♪」

「ごめんね、なのはちゃん。久遠は凄く人見知りなの」

「あ、いいんです。いきなり来ちゃったのは私なんですから」

「すみません神咲さん。いきなりは迷惑だぞと言ったんですが

 どうしても子狐が見たいと聞かなくって」

「ごめんなさい…」

「謝らなくてもいいのよ。高町さんもあまり気にしないで下さい」

「あの、このサンドイッチ、狐さん…くおんちゃんにあげようと思って

 作って来たんで後で食べさせてあげて下さい」

 

そう言いなのはは那美にサンドイッチの入ったバッグを渡そうとすると

そこに横島がやって来た。

 

「あ、どうも」

 

横島は恭也達に挨拶をするが恭也の横島を見る目は鋭かった。

 

(コイツは一体何者だ?唯者じゃない事だけは確かだが…)

 

しかし横島は恭也より那美の足元に居る久遠に気を取られていた。

 

(あの子狐も妖狐か。だが力は封じられているようだな)

 

(あの人は誰だろ?何か強い霊力を感じるけど)

 

那美もまた横島の力に気付いていた。すると足元から久遠の気配が消えた。

 

「久遠?…え、嘘……」

 

驚いた事に久遠は自分から横島に近づいて行ったのだ。

 

「く~~ん」

 

横島の足元まで近づいた久遠は横島を見上げて一鳴きした。

 

「ん?どうした」

 

横島は久遠を抱きあげると胸の中へと招き入れた。

 

「…くーーん♪」

 

「…えっと。人見知りなんじゃ……」

 

恭也は横島を指さしながら那美に聞く。

 

「そ、その筈なんですけど。…久遠が初めて会った人に

自分から近づいて行くなんて…しかもあんなに懐くなんて初めてです」

 

那美は呆然とその光景を見ている。

そしてなのはは。

 

「いいな、いいな。私もくおんちゃんと仲良くしたい」

「仲良くすれば?」

「でも怖がって触らせてくれなかったの…」

「そうなんだ」

 

横島は残念そうに目を伏せるなのはを見ると軽く笑い久遠を抱いたまま

しゃがんでなのはと顔の高さを同じにする。

 

「お穣ちゃんの名前は?」

「あ、なのはです。高町なのは」

「そっか、俺は横島忠夫。よろしくな」

 

横島は優しく笑いながらなのはの頭を撫でる。

 

「は、はいっ!よ、よろしくお願いします!!私の事はなのはと呼んで下さい。

 え、えっと…忠夫お兄ちゃん」

 

なのはは真っ赤になりながら答えた。

そんななのはを見て恭也は……

 

(コイツは…敵だ!!)

 

シスコンパワーを爆発させていた。

 

「えっと、くおん…久遠か。久遠、なのはちゃんはいい子だがら大丈夫だよ。

 だから安心しな」

「く~ん。…こんっ」

 

久遠は不安そうな顔をしていたがなのはを見て一鳴きする。

そしてなのははゆっくりと久遠の頭へと手を伸ばす。

 

「大丈夫かな?大丈夫かな?」

 

優しく久遠の頭に手を載せてゆっくり撫でていく。

久遠もそれを拒む事無く大人しく撫でられている。

 

「ふわあああ~~~~♪」

 

なのははもう、幸せ一杯という感じで微笑んでいた。

 

「くうう~~ん♪」

 

久遠もなのはの手の暖かさからなのはの優しさを感じ取っていた。

 

 

こうしてこの海鳴の地で横島とタマモの新しい物語は始まろうとしていた。

 

 

続く。

 

 

あとがき

 

なぜ、こうもGS美神のクロス小説ばかりが思い浮かぶのだろう?

しかも、なのはとのクロスはもう一つアイデアがあったりする。

困ったもんだ・・・

 

 

 

《次回予告)

 

なのはや久遠達と和んでいると其処にやって来たのは禍々しいオーラに包まれたタマモであった。

 

「他の狐と浮気とはいい度胸ね」

 

さざなみ寮にやって来た横島とタマモ。

 

新たな居場所と新たな出会い。

 

海鳴の地で新たな物語は始まる。

 

次回・第二話「さざなみ寮と翼を持つ少女なの」

 

 


 
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