No.127632

ロマーノとヴェネチアーノ3【腐】

けんざきさん

・APH
・ロマーノ
・消失
・三話目

2010-03-02 14:16:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2100   閲覧ユーザー数:2074

ロマーノとヴェネチアーノ

 

「兄ちゃん! おはよう」

 目を覚ましたロマーノの目の前には、ニコニコ笑うヴェネチアーノがいた。

「……お前、何してるんだ?」

ヴェネチアーノとは、イタリア統一後は一緒に暮らしていたが、今は別々に暮らしている。

「朝ご飯作ったから、食べてね」

「いらねぇ」

 倒れた日以降から、まともな物は殆ど口にしていない。食欲がなくなった。

 微かに香るコーヒーの匂いだけでも吐きそうになる。少しでも匂いを遮ろうと、毛布を頭からかぶる。味覚がなくなっても、匂いは若干感じられる。だが、それも徐々に分からなくなって来ている。

「ヴェー、食べないとダメだよ。最近、殆ど食べてないでしょ?」

「食べてるぞ、コノヤロウー」

「ウソだよ。さっき、キッチンに行ったけど料理した跡とか無かったよ。それに、顔色が悪い」

「寝起きだからだ。だいたい勝手に来て、詮索すんな」

「国はそれなりに安定してるのに、具合が悪いって絶対に可笑しいよ。俺は元気なのに」

「だから、健康だっつうの! 人の話を聞け!」

「なら、本当のこと話してよ。俺が安心できる理由で」

「何なんだよ! 何が気にいらねぇ………」

 毛布から、少し顔を出してヴェネチアーノを見て、息が詰まった。いつもは、開いているのかもよく分からない目が開いている。さっきとは違い、真剣なまなざしで、ロマーノを見つめていた。

 何を言えば良いのか、どうやって追い出せば良いのかが分からない。そのまま、聞く体勢をとる。それ以外で、どうやったらヴェネチアーノが、早く帰るのかが分からなかった。

「……消えたりしないよね?」

「な、なんだよ。藪から棒に」

「俺、知ってるんだよ。大戦が終わった頃から、徐々に兄ちゃんの具合が悪くなって来てるの。ねぇ、本当に消えない?」

「……消えねぇ」

 消えなくて済む方法は、確かにある。

 ヴェネチアーノを消すこと。または、ヴェネチアーノにロマーノを必要と思わせること。

 消えないかどうか心配だと言いながら、本心はそう思って無いじゃないかと思ってしまう。もし、本心でロマーノのことを消えないで欲しいと思っているなら、ロマーノがここまで体調を崩すことは無かった。心の何処かで、ロマーノの事を必要としていない。確かにマフィア関係の仕事以外は、ヴェネチアーノがしている。だから、ロマーノがいなくなった所で、別に問題がある訳でもない。

 真剣な目でロマーノを見ているヴェネチアーノの気持ちが正直分からない。

 ロマーノは、必要とされている方が残れば良いと思っている。それが、弟の方ということも分かっている。だから、こうして、何の対策もしないで、体調を悪化させていった。だが、漠然とした思いの中に、生きていたいとも思っている。思っているだけで、それを実行に移すほどの力はもう残ってはいない。ヴェネチアーノが、必要としてくれないのに、他の国が必要としてくれるとも思えない。唯一可能性がある、スペインもどちらかが消えるなら、ヴェネチアーノを残そうとするだろう。国を支えるのは、ロマーノには無理だと言って。彼は、ロマーノのことは可愛がっているが、期待してない節がある。

「決めたよ、俺」

 目は閉じられいつも通りに笑っている。でも、どこかやる気に満ちていた。

「兄ちゃんが、元気になるまでここに一緒に住むからね」

「おい、仕事はどうするんだよ? だいたい、俺に了承も得ないで決めんなよ」

「ヴェーヴェー、もう決めたんだもん。俺、兄ちゃんと暮らす。だから、早く良くなってね。大丈夫だよ、俺がそばにいるんだから」

 その自信はどこから出てくるのか聞こうとして、口を開いたが声は出なかった。その代わりに小さく「飯、持ってこい」と呟いた。その呟きに、笑うヴェネチアーノ。

「待ってて。今、温めてくるから」

「早くしろ」

 部屋から出ていくヴェネチアーノは、鼻歌を歌っている。それに隠れて小さくロマーノのお腹がなった。

 

あとがき

ははは、基本的に私はヴェネチアーノが苦手です。ちびイタは好きですが。

 

 


 
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